デジタルエンゲージメントを計画する
学習の目的
この単元を完了すると、次のことができるようになります。
- デジタルエンゲージメントの前にケース管理を実装することの重要性を学ぶ。
- Service Cloud のデジタルエンゲージメントツールの計画プロセスを開始する。
- デジタルエンゲージメントのコンテンツの重要性を理解する。
デジタルサービスの準備をする
Maria は、複数のチャネルを追加することは、Service Cloud の一般的な設定プロセスの第 2 フェーズであることを知っています。(復習する必要がある場合は、「Lightning Experience の Service Cloud」モジュールを参照してください)。
Maria は最初にチャネルやデジタルエンゲージメントを設定すべきではない理由を理解しています。お客様がサポートを受けるために連絡してきても、お客様の質問を追跡、転送し、それに対応するための一貫した方法がなければ、ケースは誰に転送されて解決されるのでしょうか? 不明確なケース管理プロセスに迷い込んだ顧客やエージェントは不満を感じるでしょう。
Maria はサービス用のデジタルエンゲージメント機能を設定することにわくわくしています。機能を設定する前に、彼女は Ursa Major Solar のサービスチームに作業方法に関する質問をいくつかします。具体的な機能を実装する前に、一般的なプロセスと要件の概要を把握するためです。
基本事項 | |
---|---|
質問 |
回答 |
エージェントはお客様の全体像を把握していますか? |
はい。ケース管理の実装で Service Console をカスタマイズしたため、取引先、取引先責任者、その他のレコードを表示するお客様の 360 度ビューが実現しました。コンソールは複数のチャネルをサポートする準備ができています。 |
ケースやメッセージングセッションを適切なエージェントに効果的に転送できますか? |
はい。ケース管理の実装でキュー、割り当てルール、エスカレーションルールを設定しました。ただし、オムニチャネルについては検討する必要があります。 オムニチャネルルーティングはより堅牢で、エージェントがキューから項目を取得したり優先順位を決定したりしなくても、さまざまな作業を自動的にエージェントにプッシュし、優先順位を設定できるようです。オートメーションの向上とサービスチームの成長拡大のために、ぜひともオムニチャネルが必要です。 |
オートメーションを使用して時間を節約し、ケース解決を迅速化していますか? |
いくつかの基本的な割り当てルールとエスカレーションルールを使用しています。 ただし、オンラインでチャットボットとの自動会話によってよくある質問に答えるようなものは使用していません。また、ケース解決をスピードアップするために自動的に項目を予測する AI や機械学習も使用していません。誰かがセルフサービス、Einstein ボット、Einstein ケース分類について調べる必要があります。 |
エージェントはお客様の情報や答えを見つけるためにアプリケーション間を切り替えるのに多くの時間を費やしていますか? |
コンソールによってエージェントがお客様の完全なビューを表示しやすくなりましたが、ナレッジについては何らかの対策が必要です。 Salesforce ナレッジは実装しましたが、エージェントがケースに対応しているときに自動的に適切な回答が提案されるようにするために、コンソールにナレッジコンポーネントを追加する必要があります。 |
セルフサービス | |
---|---|
質問 |
回答 |
お客様は商品やサービスに関する質問への答えをどこで見つけることができますか? Web サイトまたはモバイルアプリケーションで答えや情報にアクセスできますか? |
現時点では、Web サイトに Web-to-ケースフォームがあり、お客様はそこでケースを登録できますが、それだけです。Web サイトを更新したいと常々思っていましたが、まだその時間を作れていません。 Experience Cloud サイトについて読んだ後、あのようなものが必要だと感じました。お客様、エージェント、エキスパートがコラボレーションし、アイデアを共有できるようにしたいです。また、当社のソーラーパネルに関するドキュメントの情報源も必要です。さらに Experience Cloud サイトにチャットボットを追加して一般的な質問に答えることができれば、エージェントの面倒な作業を減らすことができます。 モバイルアプリケーションでのお客様向けの情報も魅力的ですが、まずはサイトが必要です。そうすれば誰もがモバイルデバイスでアクセスできます。 |
お客様がエージェントに電話する必要があるビジネスプロセス (ソーラーパネルの登録など) がありますか? 電話でしかアクセスできないデータがありますか? それにアクセスしやすくするにはどうすればよいですか? |
残念ながら、ソーラーパネルを登録するにはお客様がエージェントに電話する必要があります。お客様が都合の良いときに商品をオンラインで登録できるように Experience Cloud サイトのような Web プレゼンスが必要であることは明らかです。 また、Salesforce ナレッジは実装済みであるため、一部の記事をオンラインで共有する必要があります。そうすればお客様は 24 時間、週 7 日いつでも自分でよくある問題のトラブルシューティングを行うことができ、営業時間中にエージェントに電話する必要がなくなります。 |
お客様向けの知識ベースがすでにある場合、ポータルのエンゲージメントや利用率を高めるためにマーケティングオートメーションを使用していますか? |
セルフサービスサイトを作成してソーシャルメディアチャネルを設定したら、トラフィックと認知度を促進するためにメッセージオートメーションについて検討するつもりです。すでに Salesforce ナレッジがあったことは幸いです。オンラインで共有できる非常に役に立つ記事が用意されています。 |
メッセージ | |
---|---|
質問 |
回答 |
お客様のトラフィックの大部分はどこから来ていますか? モバイルとデスクトップのどちらですか? |
わかりません。私たちがやり取りする人の多くは携帯電話を持っていて、テキストメッセージを使用していると思います。デジタルチャネルの稼働を開始したら、お客様向けのアンケートを投稿して、モバイルデバイスまたはデスクトップでのコミュニケーションを好むお客様の数を知る必要があります。 |
iPhone と Android を使用しているお客様の割合を知っていますか? |
いいえ。これもデジタルチャネルを設定した後にお客様アンケートの対象となる分野です。その答えによって、今後どのデバイスのモバイルサービスアプリケーションを作成するべきかを知ることができます。 |
お客様は WhatsApp などの国外のメッセージアプリケーションを使用していますか? |
現在のところ国外のお客様はいません。ただし将来的にはグローバルへの展開を目指しているため、この質問は成長を計画するにあたって重要です。 |
オートメーションと AI | |
---|---|
質問 |
回答 |
エージェントは取り組むケースのすべてでデータ入力や反復作業のために時間を費やしていますか? |
エージェントはコンソールで同じことを入力することが多いですが、すでに反復作業を減らすためにコンソールのマクロ機能やクイックテキスト機能を検討しています。 マクロを使用すればエージェントはメールテンプレートの選択、メールの送信、ケース状況の変更などをワンクリックで実行でき、クイックテキストを使用すればさまざまな定義済みメッセージをお客様に送信できるため、どのチャネルでも同じ応答を入力する時間を節約できます。 |
お客様から頻繁に受ける一般的な質問 (注文状況やパスワードリセットなど) のリストはありますか? |
はい。エージェントは同じような質問に回答するために多くの時間を費やしており、特に注文状況に関する質問が多いです。セルフサービスサイトやテキストメッセージチャネルで Einstein ボットがそのような質問に回答できれば、エージェントは創造性やチームワークが求められる、より複雑な問題の解決に専念できます。 |
機械学習によってエージェントのために事前入力できる選択リスト項目やチェックボックス項目がありますか? ナレッジ記事や次のアクションについてのエージェントへのおすすめについてはどうですか? |
はい。予測できる有用な項目には [Case Reason (原因)]、[Escalated (エスカレーション済)]、[Priority (優先度)] などがあります。このような項目が自動的に予測されれば、エージェントの時間とクリックを節約できます。また、エージェントが検索しなくても役に立つ知識ベースからの記事が表示されれば、生産性が大きく向上します。更に、エージェントの作業中に、次に行う最善のアクションを AI が提案できれば願ってもないことです。お客様とやり取りを行っている最中の意思決定を軽減できれば、エージェントはより良い関係を築くことに専念できます。 |
デジタルコンテンツに関する考慮事項
Maria はデジタルエンゲージメントを計画するにあたって、数々の機能をつなぎ合わせる糸となるのがコンテンツであると考えます。「複数のチャネルにわたってエージェントとお客様の役に立つ適切なコンテンツの準備ができているだろうか?」と彼女は自問します。上記の計画の質問への回答に基づくと、その答えは「いいえ」です。
これまで、コンテンツはマーケター、広告主、メディア代理店のみが作成するものでした。サポートエージェントが使用できるコンテンツの選択肢はケースオープンまたはケースクローズに限られていました。サービスチームがコンテンツを作成するとすれば、多くの場合は Web サイトのよくある質問 (FQA) ページでした。チャットボット、SMS メッセージング、あるいはボタンからオンライン支払までの会話型インターフェースでは、コンテンツがサービス提供の大きな要素となります。また、マーケティング、販売、サービスの流れを完成させるためにもコンテンツは重要です。コンテンツの作成と選定には、サービスの新しいスキルセットが必要です。Ursa Major Solar のチームは基本的なデジタルカスタマージャーニーの各フェーズに表示されるコンテンツを慎重に検討する必要があります。
デジタルエンゲージメントの次のステップ
質問への答えを得た Sita と Maria は、一歩下がって、Service Cloud 機能の実装の優先順位を設定します。設定可能な機能は多いため、更にいくつかの概要レベルの質問について検討します。
- 最初、2 番目、それ以降に設定すべきチャネルはどれか?
- エージェントはそのチャネルでコミュニケーションを行うためのトレーニングを受けているか?
- エージェントはすべてのチャネルに対応するか、それとも一部のエージェントは特定のチャネルに対応するか?
- チャネルでは国外のお客様や複数の言語を対象とするか?
- コンソールとケース管理プロセスは新しい各チャネルとオートメーションまたは AI をサポートする準備ができているか?
マルチチャネルサポートモデルに新しいデジタルチャネルを追加する前に、このすべての質問について考慮する必要があります。求めている答えが得られたら、Maria は Ursa Major Solar の具体的なサービス機能の設定を開始できます。Maria は今後も更に多くの Trailhead を学習していくことになりそうですね。
リソース
- Trailhead: Service Cloud エージェントの生産性
- Trailhead: Lightning Experience のオムニチャネル
- Trailhead: Service Cloud をよりスマートに
- Salesforce ヘルプ: 小売業および B2C 向けソリューションキット