Slack ファーストの IT サービスデスクの概要
学習の目的
この単元を完了すると、次のことができるようになります。
- Slack ファーストのアプローチによって IT の生産性がどのように向上するか説明する。
- Slack 内で IT のサービス実施を一元化することのメリットを挙げる。
- 従業員ハブと遂行者ハブの違いを説明する。
始める前に
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アプリケーションを切り替えずに業務を遂行する
次のシナリオを想像してみてください。明日が締め切りの重要なプロジェクトの最終段階に達しています。突如として、その仕事を終わらせるために特定のソフトウェアツールにアクセスする必要に迫られます。そのツールを入手するためには、現在の業務を中断して作業環境を離れ、IT ポータルの URL を見つけてログインし、確定申告のような煩雑なフォームに入力しなければなりません。[Submit (送信)] をクリックする頃には、集中力が途切れてしまいます。
生産性を削ぐこうした要因を「切り替え負荷」といいます。本質から外れたタスクをこなすために、CRM、メール、チャットアプリケーション、従来のポータルを切り替えるたびに生じる代償のことです。その瞬間は些細な操作のように思えるかもしれませんが、積み重なれば、組織全体で膨大な集中力と時間が失われることになります。
IT チームの場合、状況はさらに深刻です。問題のコンテキストを把握しようと、チケットシステム、チャットメッセージ、メールを切り替えながら常にマルチタスクで業務をこなしています。たとえば、その日 50 件目となる新しいソフトウェアのインストール方法の問い合わせなど、価値の低い反復的なチケットへの対応に追われているため、ビジネスを前進させる戦略的なプロジェクトに取り組む時間が残っていません。こうした手間を解消し、従業員や IT 担当者の全員が本当に重要なこと、つまり本来の業務に集中できるようにする必要があります。
IT サービスデスクを Slack に統合する
Agentforce IT Service があれば、各人が日業業務を行っている場所、つまり Slack で相手に対応できるため、非効率性が緩和されます。サポートが必要になった従業員が別途の IT ポータルやイントラネットにアクセスしなくても済むように、すでに業務を行っている場所にインテリジェントな IT コンシェルジュを配置します。
Slack を Agentforce IT Service と統合するということは、シンプルな通知を送信することに留まりません。一元型のエージェンティックプラットフォームを導入することで、ユーザーは作業環境を離れることなく、データを参照したり、ワークフローをトリガーしたり、問題を解決したりすることができます。
こうした変更の特長として、次の 3 点が挙げられます。
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アクセスの一元化: 従業員がどこにアクセスすべきか覚えておく必要がありません。すでにアクセスしている Slack で処理できるためです。
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コンテキストの保持: 会話、スクリーンショット、エラーログが Slack スレッドに捕捉されるため、IT 担当者や AI エージェントが問題の解決に必要なすべての情報を確認できます。
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アクションの迅速化: マネージャーは Slack で直接、新しいソフトウェアライセンスなどの申請の承認を 1 回のクリック操作で実行できます。メールを遡って確認したり、外部システムにログインしたりする必要がなくなります。
Slack ファーストのアプローチのメリット
面倒な手間が省かれれば、業務が加速し、コストが削減されます。IT サービスを Slack に移行すると、利便性だけでなく、収益性も向上します。では、Slack のコラボレーション機能と Agentforce IT Service の人工知能を組み合わせると、どのようなメリットが得られるのか詳しく見ていきましょう。
利点 |
ビジネス上の課題 |
Slack と Agentforce IT Service |
|---|---|---|
迅速な解決 |
従業員が簡単な修正のために何時間、場合によっては何日も待たされ、生産性が損なわれる。 |
即時のセルフサービス: 従業員は Slack で AI エージェントとチャットしながら、数秒のうちにパスワードをリセットすることや、回答を見つけることができる。 |
コストの削減 |
IT チームの増員にはコストがかかるため、チケットの急増に応じて人員を増やすことは持続可能な措置ではない。 |
デフレクション: Agentforce が日常的な IT タスクを処理して維持コストを削減し、価値の低いチケットが人間の IT 担当者に回されないようにする。 |
従業員エクスペリエンス |
従来のポータルは使い勝手が悪く、見つけにくいため、ストレスが溜まる。 |
自然な流れのエクスペリエンス: Slack の従業員ハブは、ユーザーがその業務の流れの中で利用できる。 |
チームのコラボレーション |
サーバー障害のような複雑なインシデントが生じると、膨大なメールやミーティングを調整する必要がある。 |
スウォーミング: IT 担当者がボタンを 1 回クリックするだけで、専用の Slack チャンネルを立ち上げ、適切なエキスパートを招集して重大なインシデントを迅速に解決できる。 |
戦略的な業務への対応力 |
IT 人材が、イノベーションではなく、単調な作業に追われている。 |
自動化: 反復的なタスクを AI エージェントに任せれば、人間の担当者は付加価値の高い戦略的な業務に集中できる。 |
各人の業務に適したビューを表示する
このすべてをシームレスに機能させるために、Agentforce IT Service は同じ Slack アプリケーション内に 2 種類のユーザーエクスペリエンスを創出します。例えて言うならば、1 つの建物にゲスト (従業員) 用とスタッフ (IT 担当者や遂行者) 用の別々の入り口があるようなものです。どちらの入り口も、各人が遂行すべき業務向けに調整されています。
リクエストの送信側である従業員ハブ
このハブは全従業員を対象とするコマンドセンターです。困ったときに「どこにアクセスすればよいのか?」という迷いが解消され、「何かお手伝いできることはありますか?」というエクスペリエンスを得ることができます。
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会話型 AI: 従業員は Agentforce 従業員エージェントと自然言語でチャットできます。「Wi-Fi が遅い」「新しい Mac が必要です」などと入力すると、AI エージェントがすぐに対応します。
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アクション可能な通知: 送信したチケットがどこかに消えてしまうことがなくなります。ステータスが変更されたときに、従業員が Slack で通知を受け取ります。しかも、単なるテキストではなく、アダプティブカード形式で表示されます。メッセージ内の [Provide More Info (詳細情報を表示)] や [Confirm Resolution (解決の確認)] をクリックできます。

IT 担当者側の遂行者ハブ
このハブは、IT 担当者 (遂行者ともいう) の専用ワークスペースで、各自のワークロードを管理します。ここで Slack が強力な生産性ツールに変貌します。
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キュー管理: IT 担当者が割り当てられたインシデントを表示したり、レコードのステータスを更新したり、チケットの再割り当てを行ったりすることができるため、頻繁に Salesforce コンソールに切り替える必要がありません。
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スウォーミング: 複雑な問題の解決に欠かせません。IT 担当者が行き詰まったときに、チケットからスウォーミングを開始できます。Slack チャンネルが作成され、適切なエキスパートが招集され、チャット履歴全体が元の Salesforce レコードに同期されるため、情報が失われることがありません。

リアクティブからプロアクティブへの移行
Slack ファーストのアプローチを導入するということは、ソフトウェアを変更するだけでなく、業務モデルを変更するということです。従来の IT は、何かが発生してから慌てて修正するという、リアクティブな火消しサイクルに陥りがちです。Agentforce IT Service があれば、プロアクティブな戦略的モデルに移行できます。
具体的には、Salesforce Platform (Data 360) のデータを一元化して Slack に表示し、可視性を向上させます。たとえば、複数の業界にわたって事業を展開する多角的な国際的コングロマリットである Orivian Global Holdings のような企業では、トレンドを把握できるようになります。一例として、50 人から同じ VPN エラーの報告があった時点で、Slack で全社に「VPN の問題は認識しており、現在修正中です!」というメッセージをブロードキャストすれば、何百件ものチケットの重複を防ぐことができます。
このようにして、IT をコストセンターからイノベーションエンジンに転換できます。切り替え負荷を食い止め、ノイズを抑え、従業員が業務でその能力を最大限に発揮できるようにします。
Slack は、各人がすでにログインしている状態の最適な IT サービスポータルです。
次は、Slack で従業員の業務を効率化する方法を見ていきます。
