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製薬会社の商品と関係者を知る

学習の目的

この単元を完了すると、次のことができるようになります。

  • 主要な種類の医薬品を分類し、それぞれの例を挙げる。
  • 製薬エコシステムにおける主要な関係者を特定し、その役割を説明する。
  • 製薬会社がラボから患者まで医薬品を届けるために、関係者とどのように連携するかを説明する。

さまざまな医薬品

現在、市場に出ているすべての医薬品は何千種類もあるため、すべての名前を挙げるには時間がかかりすぎます。その代わりに、膨大な種類の医薬品を整理するために役立つ主要なカテゴリについて見ていきましょう。医薬品には、さまざまな形態と分類があります。これらのカテゴリを理解すると、医薬品がどのように開発され、どのように使われているのかを理解しやすくなります。

ジェネリック医薬品と先発医薬品

シェイクスピアの戯曲「ロミオとジュリエット」には、「バラがどんな名前で呼ばれようとも、その甘い香りは変わらない」という台詞があります。同じように、薬がどんな名前で呼ばれようとも、その効果は変わりません。先発医薬品は、特定の製薬会社が開発して販売するオリジナル医薬品で、通常は特許と商標登録された名称で保護されています。ジェネリック医薬品は、そのオリジナル医薬品の特許が切れた後で別の企業が製造する、その医薬品のコピー商品です。

ジェネリック医薬品は先発医薬品より安価です。

ジェネリック医薬品は、先発医薬品と同じ有効成分、同じ含有量、同じ安全性、同じ品質を備えています。通常は、体内での薬の働き方という点では違いはありません。大きな違いがあるのは、ブランドと価格だけです。

しくみは次のとおりです。製薬会社が新しい医薬品を発明すると、その会社は通常、その医薬品を約 20 年間独占的に販売できる特許を取得します。この期間、その医薬品はブランド名で販売され、特許を保有する会社だけが販売できます。特許の期限が近づくと、ほかの製薬会社は、独自のその医薬品を製造する許可を規制当局へ申請できます。承認されると、各社が製造する医薬品は (通常は医薬品の化学名で) ジェネリック医薬品として販売されます。

ジェネリック医薬品のメーカーは、その医薬品の発見と開発に伴う高額な研究開発費を負担していないため、はるかに安い価格で販売できます。そのため、Alvin の鎮痛薬は、先発医薬品では 10 ドルかかっても、ジェネリック医薬品なら 2 ドルで済む場合があります。治療効果という点では、どちらも同じように効くはずです。規制当局は、ジェネリック医薬品が先発医薬品と同等に機能することを必須要件としています。

ジェネリック医薬品は、より多くの人が手ごろな費用で治療を受けられるようにするうえで、世界の医療において重要な役割を果たしています。命を救う先発医薬品の特許が切れると、世界各地の患者が、元の価格より大幅に低い価格で同じ薬を利用できるようになります。厳格な規制によって、ジェネリック医薬品が先発医薬品と同じ効果を持つことが保証されているため、医師も患者もその有効性を信頼できます。

低分子医薬品とバイオ医薬品

「分子」という言葉を聞くと化学の授業を思い出すかもしれませんが、簡単に説明しますので安心してください。医薬品は、一般に、低分子医薬品とバイオ医薬品という、2 つの大きく異なる科学的アプローチから生み出されます。

低分子医薬品は、従来型の化学的に合成された医薬品です。これらは、特定の化学成分を組み合わせて化合物を作ることで製造されます。通常は構造が単純で、錠剤として服用できるものが多くあります。感染症、高血圧、糖尿病、高コレステロールなどの一般的な疾患に使われる医薬品の多くは、低分子医薬品です。たとえば、Alvin が服用した鎮痛薬も、おそらく少数の化学物質を組み合わせて痛みを和らげる錠剤にした低分子医薬品です。これらの医薬品は、通常、大量生産しやすく、コストも比較的低く抑えられます。

バイオ医薬品は、これとは異なる種類の医薬品です。バイオ医薬品は、純粋な化学プロセスではなく、生きた細胞や生物を使って製造されます。ビーカーの中で化学物質を混ぜるのではなく、細菌や培養された動物細胞のような生きた工場を使って治療薬を作るイメージです。バイオ医薬品は通常、大きく複雑なタンパク質であり、特定の病気に対して非常に的確に作用できます。バイオ医薬品の例としては、がんや自己免疫疾患の治療に使われるモノクローナル抗体、インスリンのような治療用タンパク質、ワクチンなどがあります。バイオ医薬品はタンパク質やそのほかの大きな分子であるため、通常は錠剤として服用できません。そのため、注射や点滴で投与されることが多く、低分子医薬品よりもかなり高額になる傾向があります。

スペシャリティ医薬品

複雑な疾患、慢性疾患、希少疾患の治療に使われる医薬品はスペシャリティ医薬品と呼ばれ、特別な取り扱いや投与が必要になることがよくあります。

左側の画像は点滴を受けている患者、右側の画像は試験管に液体を入れている研究所の技術者。

多くのスペシャリティ医薬品はバイオ医薬品ですが、高度な低分子医薬品もあります。スペシャリティ医薬品の特徴:

  • がん、関節リウマチ、血友病、HIV、そのほかの希少疾患などの治療に用いる。
  • 経口投与される場合もあるが、基本的には注射や点滴が必要。
  • 温度管理が必要であったり、経過観察が必要であったりするため、特別な保管や管理が必要。
  • 非常に高額。

スペシャリティ医薬品は、製薬市場の中で最も急速に成長しているセグメントです。数十年前には、このような医薬品は数えるほどしかなく、 1990 年代の半ばまでは「スペシャリティ」と見なされる医薬品は 30 種類にも満たない状況でした。2015 年には、市場に出回るスペシャリティ医薬品は約 300 種類に達しています。2020 年代の今、多くの国や地域で、スペシャリティ医薬品が薬剤費全体の半分以上を占めるまでになっています。

つまり、医薬品全体に占める割合はごく一部であっても、患者 1 人あたりの費用が非常に高いため、医薬品コストの大半を占めているということです。この傾向は世界的なものであり、がんや希少疾患に対する高度な治療法が利用可能になるにつれて、世界各国の政府や保険会社は、それらの費用をどう負担するかという課題に直面しています。

今後は、新たな遺伝子治療や個別化医療の登場によって、スペシャリティ医薬品の存在感がさらに高まっていくと考えられます。

医薬品にとどまらない支援

医薬品そのものに加えて、製薬会社は、自社製品に関するサービスを医療提供者と患者の両方に提供しています。たとえば、臨床試験を実施している企業は、研究に参加している医師に対して現地でのサポートやトレーニングを提供したり、自社製品に関する質問に答えるための医療情報ホットラインを設けたりすることがあります。

一部の製薬会社は、自宅で医薬品を自己注射する必要がある患者に看護師によるサポートを提供したり、疾患に関する認知を高めるための教育用 Web サイトやコミュニティプログラムを立ち上げたりしています。企業によっては、患者の自己負担額の支援をしたり、必要としている人に無料で医薬品を提供したりすることもあります。こうした取り組みは、患者支援と治療の受けやすさを重視する、業界の流れを反映したものです。

製薬業界の関係者

製薬会社では誰が顧客になるのでしょうか。実は少し複雑です。製品である医薬品を使う人は患者ですが、通常、患者はその製品を選ぶ人でも、その費用の大半を支払う人でもないからです。ここでは、製薬会社に関わる主な人々を紹介します。

  • 患者は、健康を改善したり病状を管理したりするために医薬品を必要とする人です。最終的に、すべては患者に始まり、患者に行き着きます。患者は、処方されたとおりに医薬品を使用します。患者は医療システムの中心的な存在となりつつあり、自身の治療に関する意思決定においても発言力が高まっています。
  • 処方者は、患者の病状に対してどの医薬品が適切かを判断する資格を持つ医療従事者です。処方箋を書くのはこの人たちであるため、製薬会社にとっては重要な情報提供の対象になります。医師やそのほかの処方者が医薬品について知り、それを信頼しなければ、その医薬品を処方することはありません。
  • 支払者は、民間の保険会社や公的医療プログラムなど、医薬品にかかる費用の大部分を負担する組織です。支払者は、どの医薬品を補償対象にするか、また、その医薬品に対して薬局や病院にいくら支払うかを決定します。支払者は、価格交渉を行ったり、償還率を設定したりすることがよくあります。欧州の多くの国では、政府機関が製薬会社と直接交渉して、その医薬品が国内で販売される前に価格を設定します。
  • 流通業者は、製薬メーカーから医薬品をまとめて購入し、それを医療現場に届ける中間業者です。大手の卸売流通業者は、巨大な倉庫と物流ネットワークを運営して、医薬品を安全かつ効率的に配送しています。流通業者は、患者が医薬品を確実に受け取れるように、各地の薬局での医薬品の在庫確保を支えています。
  • 規制当局は、各国または各地域における医薬品の承認を監督します。規制当局は、医薬品開発のルールを定め、新薬を承認し、製造拠点がベストプラクティスに準拠しているかを検査して、承認後も安全性を監視します。規制当局は、購入するという意味での顧客ではありませんが、製薬会社は継続的に関わらなければなりません。申請を行い、製造上の問題や患者の副作用を報告し、すべての規制に準拠する必要があるからです。

これらの関係者は、医薬品を取り巻く中核的なエコシステムを形成しています。製薬会社が成功するためには、各関係者のニーズと懸念を理解し、それに対応しなければなりません。

製薬会社がどのような製品を作っているのか、そして主要な関係者が誰なのかを学びましたので、次は、グローバルな環境が製薬業界にどのような影響を与えるのかを詳しく見ていきましょう。各国のルールや医療システムは、製薬会社の活動にどのような影響を及ぼすのでしょうか。

次の単元では、世界各国で医薬品がどのように承認され、どのように費用が支払われているのか、そして製薬会社がこうしたグローバルな課題にどのように対応しているのかを確認します。

リソース

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