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メドテックの商品と関係者を確認する

学習の目的

この単元を完了すると、次のことができるようになります。

  • メドテック商品を主要なカテゴリに分類し、それぞれの例を挙げる。
  • メドテック商品の導入に関与する主な関係者グループを挙げる。
  • メドテック企業が、商品化と導入の促進の目的で関係者にどのようにエンゲージするか説明する。

メドテック商品の概観

メドテック (医療テクノロジー) は、極めて広範な商品を網羅しています。幅広い商品を整理する簡便な方法は、テクノロジーを使用する方法と場所に基づいて商品を分類することです。ここで、メドテック商品の代表的なカテゴリを見ていきますが、機器の中には複数のカテゴリに該当するものもあります。

メドテックの各カテゴリを示す 6 つのタイル。

埋め込み型機器

体内に埋め込まれる機器で、通常は欠損した、または機能不全に陥った身体の部位の代替として、あるいは身体の部位を補助するために使用されます。例として、人工関節、心拍を整えるペースメーカー、白内障手術で眼内に埋め込まれる眼球内レンズなどが挙げられます。埋め込み型は侵襲性が高いため、概してクラス II または III に分類されます。生体適合性材料を要し、通常は手術で埋め込まれます。人工股関節が人の体内で体重を支え、何十年も機能し続けることが可能であるというのは驚異的なことです。これがメドテックの成せる業です。

外科用器具

この対象は、外科医や介入的治療医が使う器具です。メス、鉗子、クランプ、縫合糸などのほか、複雑なロボット手術システムも該当します。外科医が da Vinci ロボットのようなロボット手術システムを用いれば、かつてない精度で低侵襲手術を行うことができます。手術機器は病院や外科センターに販売されることが多く、通常は企業が使用法に関する包括的なトレーニングを実施します。

画像診断システム

体内で何が起きているかを視認または検知する装置です。MRI や CT スキャナーなどの大型システム、X 線装置、超音波装置のほか、血液分析器や遺伝子検査キットなどの臨床検査機器が該当します。診断機器の中には、検査機関や病院の専門職が使用するものもあれば、デジタル体温計や家庭用妊娠検査キットのように患者が自宅で使用するものもあります。画像診断は巨大な下位区分で、疾患をより正確かつ迅速に検出する手法の開発に特化した企業で構成されます。

モニタリング機器とウェアラブルデバイス

急成長しているこのカテゴリには、患者の健康状態を通常は継続的に観察する各種のテクノロジーが該当します。ウェアラブルデバイスには身体に装着するタイプと、体内に埋め込むタイプがあり、概してセンサーとそのデータを送信する接続機能を備えています。例として、心拍数モニター、連続血糖値測定器、フィットネス/健康トラッカー、補聴器、患者が装着するインスリンポンプなどが挙げられます。こうした機器があれば、患者が各自の健康状態をリアルタイムで管理し、臨床医に貴重なデータを示すことができます。ウェアラブルヘルスセンサーの出荷数が年間 5 億台を超えると推定されており、メドテックによってヘルスケアがクリニックの外に広がり、日常生活に溶け込みつつあります。

耐久性医療機器 (DME)

このカテゴリには、患者が治療や日常生活のために反復的に使用する医療機器が該当し、通常はヘルスケア提供者が処方します。例として、車椅子、病院用ベッド、点滴スタンド、松葉杖、噴霧器、家庭用酸素吸入器などが挙げられます。これらは華々しいハイテク機器ではありませんが、患者のケアに欠かせません。DME は患者や介護者が直接扱うため、丈夫で (耐久性があり)、安全で、使いやすくなければなりません。

医療ソフトウェアや健康保健 IT システム

多数の企業が、機器に付属するソフトウェアや、ヘルスケアプロセスを効率化するソフトウェアを開発しています。たとえば、心臓モニターから送信されたデータを保存して分析するソフトウェアプラットフォームも、メドテック商品の一部です。また、AI を使用して医療画像を分析し、医師の診断を補佐する臨床判断支援システムも存在します。一例として、AI を活用して X 線画像を解析し、腫瘍の可能性がある部位をハイライトして放射線科医が読み取りやすくするアプリケーションが挙げられます。メドテックのハードウェアとソフトウェアの統合も進んでおり、最先端の機器の多くにデジタルダッシュボードやクラウドサービスが搭載されています。

上記のカテゴリがすべてを網羅しているわけではありませんが、現状の把握に役立ちます。このポイントは、ヘルスケアのあらゆる分野にメドテックが存在するということです。保健医療のニーズがあれば、そのための機器やツールが存在するか、現在開発中である可能性が高いものと思われます。

メドテックの関係者のご紹介

メドテック企業がどのようなものを製造しているかがわかったところで、その商品を患者に届けるために関与している人々を見ていきましょう。メドテックのエコシステムには、主要な関係者が複数存在し、それぞれ優先事項が異なります。

メドテック業界の主な関係者。

こうした関係者の概要と、それぞれが医療機器業界に及ぼす影響を詳しく見ていきましょう。

提供者

メドテック商品を使用して患者のケアにあたる病院、クリニック、医師、看護師、その他の専門職です。特に病院の設備、インプラント、手術器具については、通常は提供者がメドテック企業の直接的なお客様になります。

たとえば、病院の購買部が新しい MRI 装置をまとめて購入する場合や、外科医が関節置換術に使用するインプラントのブランドを決定する場合などです。提供者は、有効性、安全性、使いやすさ、コストを重視します。

また、提供者がほかの提供者の決定に影響を及ぼすこともあります。著名な外科医が新しい機器を導入して、優れた結果を発表すると、ほかの医師がそれに倣うということが多々あります。企業が導入を促進するために、医師への教育やトレーニングに多大な労力を費やすことも少なくありません。場合によっては、病院が既存の設備に新しい機器を加える価値があるかどうかを判断するために、その機器を評価する価値分析委員会 (VAC) を設置することがあります。特に高価な機器やハイテク機器については、VAC が承認を与える前に、臨床的根拠や費用対効果を検証します。

メドテックの営業担当や臨床スペシャリストが提供者に協力することがよくあります。たとえば、メドテック側の担当者が商品のデモを実施したり、トレーニングをサポートしたり、医師から商品の改善点に関するフィードバックを収集したりします。

患者

直接的であれ、間接的であれ、大半の医療機器のエンドユーザーは結局のところ患者です。患者が機器そのものを「購入」するとは限りませんが、患者の需要や好みも考慮されます。血糖値測定器、妊娠検査薬、補聴器、あるいは健康機能付きのスマートウォッチのように任意で使用する機器などについては、患者が機器を選択して自費で購入することがあります。

昨今の患者は、多くの情報を収集して、主体的に選択するようになっています。スマートフォンの機能が優れているという理由で特定のインスリンポンプを求めたり、手術前に人工膝関節の各種のモデルのレビューを確認したりする患者もいます。また、患者擁護団体が画期的な機器の利用を促進して、市場に影響を及ぼすことがあります。たとえば、糖尿病患者団体が、治療の質を向上させるために、人工膵臓システムの保険適用を求めるロビー活動を行うことが考えられます。

メドテック企業の多くが、患者サポートプログラムを開設し、機器の使用法に関するトレーニングを実施し、ピアサポートコミュニティやヘルプラインを設けています。優れた患者エクスペリエンスは、商品の差別化要因になります。

支払者

ヘルスケアの費用を負担するエンティティで、主として保険会社や政府の保健医療プログラムです。メドテックの売上の大部分は、こうしたエンティティが決定権を握っています。機器が保険の適用外であれば、多くの提供者がその機器を使わないためです。支払者は費用対効果を重視します。そのため、「この新しい機器にその価格に見合う効果があるか?」 「ほかのコストが削減されるのか?」といった質問をします。

メドテック企業は、多くの場合、確固たる臨床データや損益データを持ち出して、支払者の説得にあたります。たとえば、新しい心臓用装置によって将来の手術の必要性が減り、長期的に費用が節約されることを示す治験を実施することがあります。支払者は外部の評価も重視します。一部の国では、保健医療テクノロジーの評価機関が新しい機器を評価し、国の保健医療制度にその費用を負担すべきか否かを勧告しています。

メドテック企業はさまざまな関係者と連携して、支払者の決定に働きかけようとします。たとえば、提供者に機器の価値を証明してもらったり、医療専門職関連の協会に機器を推奨してもらったり、患者団体に必要性を訴えてもらったりすることがあります。こうした働きかけによって、支払者がそのテクノロジーのコストを負担するように影響を及ぼすことができます。こうした支持を取り付けることは複雑な駆け引きであり、機器の商業的な成功を左右する可能性があります。

ディストリビューター

メーカーの商品を必要とされる場所に届ける仲介業者や組織です。たとえば、手術用手袋の小規模なメーカーはディストリビューターに販売し、そのディストリビューターが通常は多数の商品を病院チェーンにまとめて販売します。

ディストリビューターとの良好な関係が大切なのは、ディストリビューターが物流、在庫、そして多くの場合は顧客への販売も担うためです。一部の市場では、多数の病院の代わりに交渉にあたる中央調達機関や共同購入組織 (GPO) が存在します。GPO が、ネットワークのすべての病院に提供するサプライヤーを 1 社選定するため、機器の販売の成否を左右します。メドテック企業にとっては、大きなビジネスチャンスとなる一方で、価格へのプレッシャーや、価値を証明する必要性も伴います。

規制当局

規制当局はお客様ではありませんが、その承認がなければ商品を販売できないため、極めて重要です。また、規制当局によって規則が改定され、企業がコンプライアンスを維持することが困難になる場合もあります。メドテック企業は規制当局と良好な関係を維持し、度々変更される要件を常に把握しているほか、ロビー活動や規格の制定に参加することも少なくありません。たとえば、医療機器の AI など、新たな分野が登場し、規制当局が実用的なガイドラインを構想する際に、企業が助言することがあります。規制当局は、どの商品をいつ販売可能で、場合によってはどのような方法で商品化するかにも影響を及ぼします。

上記の流れをまとめると、メドテック企業が新しい機器を開発して、規制当局の承認を受けたら、そのコストが払い戻しの対象になるよう支払者を説得し、提供者に商品の導入を働きかけ、ディストリビューターと協力して、機器を必要とする患者に届けます。成功の鍵を握るのは、それぞれの関係者との連携です。このしくみは電力網になぞらえることができます。どの接続も不可欠で、1 つでもリンクが途絶えれば、テクノロジーがどれほど高度でも、システム全体が機能不全に陥る可能性があります。

ここでは、メドテック企業が何を製造し、誰が関与するかについて説明しました。次の単元では、規制面と商業面の実態を詳しく説明します。

リソース

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