タスクからストラテジーへ
学習の目的
この単元を完了すると、次のことができるようになります。
- ストラテジー思考とタスク思考を区別する。
- 戦略的な Salesforce システム管理者の価値について説明する。
管理タスクと管理ストラテジーについて検討する
前の単元で、タスク思考 (これを構築する必要がある!) とストラテジー思考 (本当にこれでビジネスの問題が解決されるのか?) について学習しました。. では、この概念を掘り下げて、Salesforce システム管理者にどのように適用されるのか見ていきましょう。
タスク思考からストラテジー思考への移行は、ただ作業を行うことから、その作業を評価してビジネス成果を検討することへのマインドセットの転換です。この推移を 3 段階に分けて見ていきましょう。
第 1 段階: タスク |
マインドセット: マネージャーに頼まれたから、この自動化を構築する必要がある。 焦点: どのように行うかに着目します。このフローを設定するにはどうすればよいか? この入力規則はどのように記述すべきか? 価値/リスク: この段階の AI は向上しています。あなたがこの段階に留まれば、マシンと競争することになります。 |
第 2 段階: オペレーション |
マインドセット: このタスクのスピードと効率性を高めるにはどうすればよいか? 焦点: 効率化する方法を見出します。テンプレートを作成すれば、毎回ゼロから構築する必要がなくなります。 価値/リスク: 向上していますが、依然として作業そのものに着目し、ビジネス成果に意識が向いていません。 |
第 3 段階: ストラテジー |
マインドセット: そもそもこのことを行うべきか? 焦点: これは第一原理思考です。問題をごく基本的な要素まで分解して、根本原因を突き止めるという考え方です。業務依頼を見て、このことによってビジネスの問題が本当に解決されるのか、もはや意味のないレガシープロセスに過ぎないのではないかと自問します。 価値/リスク: この段階のシステム管理者は、会社のコンサルタントの役割を担います。ビジネスを適切なソリューションに導きます。価値やインパクトが明らかになるまで時間がかかるかもしれませんが、確固たるソリューションを提示することで関係者との信頼を構築します。 |
インパクトを生み出す
たとえば、新任のオペレーション VP から、システムパフォーマンスの向上とデータベースの簡素化を目的に、使用されていない 1,000 種の項目をまとめて削除するよう依頼されたとします。ナレッジエコノミーでは、ただちに技術要件と、速やかに作業を完了させる方法に着目するものと思われます。
次の点を検討することが考えられます。
- タスクの完了に向けたタイムライン
- AppExchange に利用可能なツールがあるかどうか
- 一括削除操作を迅速に行う方法があるかどうか
一括ツールで項目を検索して削除し、タスク完了とマークします。システムパフォーマンスはわずかに向上します。ところが、その数か月後に別のチームが極めて重要な長期レポートが破損していることに気が付きました。削除した項目の一部が複雑な履歴トレンドの計算に使われていたためです。タスクベースのシンプルな修正によってインパクトの大きな複雑な問題が生じたということです。
他方、ウィズダムエコノミーでは、パターンと根幹的なコンテキストに目を向けます。項目の削除は技術的なソリューションに過ぎず、ストラテジーではないことがおわかりでしょうか。

問題の根源を突き止めるためにさまざまな点を自問します。
- これらの項目の作成を依頼したのは誰で、最後に使用されたのはいつか?
- これらの項目はどのビジネスプロセスをサポートするために設計されたのか?
- 項目が空のように見えても、下流にこの項目を参照する自動化、カスタムコード、レポートがないか?
- 削除する前に、項目が責任をもって適切に記録され、レビューされたうえで廃止されるようにするガバナンスプロセスが定められているか?
- オブジェクトの柔軟性を高めつつ、今後項目が増え続けないようにするには、オブジェクトをどのような構造にすればよいか?
さらに調査を進めたところ、この根本的な問題は、データの品質、システムの健全性、ガバナンスの欠如であることが判明しました。そのため、単に削除タスクを実施するのではなく、VP と連携してシステム全体のデータガバナンスプロセスとポリシーを定めることにします。さらに、関係者と協力して、維持する必要がある項目と、削除しても構わない項目を見極め、データ収集とレポート作成の向上に向けた長期的なプランを立てます。チケットをクローズするだけでなく、ビジネスに大きなインパクトをもたらす問題を解決します。
ナレッジとウィズダムを比較する
下表には、同じ依頼に取り組む際の 2 つのアプローチが比較されています。
タスク重視 |
ストラテジーとインパクト重視 |
|
|---|---|---|
主な目標 |
効率的なやり方で依頼された内容を実行し、チケットをクローズする。 |
ビジネスの根本的な問題を解決し、価値をもたらす。 |
マインドセット |
その方法には、 (このタスクをどのように遂行するか?) |
その理由は、 (なぜこのことが必要なのか? これを行うべきか?) |
主な質問 |
ツール、時期、条件に着目する。 |
ビジネスインパクト、ユーザーエクスペリエンス、長期的な価値に着目する。 |
アクション |
依頼されたことをそのまま実行する (一括削除)。 |
その必要性を検証し、オプションを分析して、適切なソリューションを提案する (データガバナンスの改善に向けた段階的なアプローチ)。 |
結果 |
タスクは完了するが、システムが破損したり、ユーザーが不満を抱いたりする可能性がある。 |
包括的なソリューションによってビジネスの取り組み方が改善され、会社の成長が促進される。 |
今すぐ実践する
Salesforce システム管理者として 3 年、5 年、あるいは 10 年の経験を積めばストラテジー思考が身に付くというわけではありません。「方法」ではなく、「理由」を自問するようになった時点でストラテジー思考になります。このバッジでは、実際の業務にストラテジー思考をどのように適用できるかを想起させる一般的なユースケースを意識して、具体例を示すシナリオを作成しました。
ビジネス価値を高める
この単元のシナリオは、タスク重視から、ストラテジーとインパクト重視への移行の一例にすぎません。次の単元では、このアプローチを日常業務に適用する方法を詳しく見ていきます。