サービス総計値の使用開始
学習の目的
重要なサービスメトリクス
Ursa Major Solar の CEO、Sita Nagappan-Alvarez は夜なかなか寝付けないことがあります。彼女のソーラーエネルギー機器会社は南西部で著しい成長を遂げていますが、事業について答えが出ていない質問が多くあり、それが睡眠を妨げています。何度も寝返りを打ちながら考えます。
- 顧客は満足しているのだろうか?
- この成長に伴う変化にサービスチームは対応する準備ができているのだろうか?
- 重要なことを測定するために適切なサービス測定値を使用しているのだろうか?
これらの質問は別にして、Sita は Service Cloud に満足しています。優秀なシステム管理者である Maria から、Salesforce を使用してカスタマーサービスを向上し、エージェントの生産性を高める方法を教えてもらって以来、お客様と従業員の両方からよいフィードバックを受け取っています。また、Service Cloud にある Ursa Major Solar のサービスデータを使用すれば、会社について、どのようなインサイトと答えが明らかになるだろうと考えています。
Sita は Maria とじっくり話し合う前に、長い間無視してきたサービスメトリクスというものについて少し学ばなければと思っています。そこで、インターネットから知識を得たり、サービスに重点を置く同僚と連絡を取ったりして、入念な下調べをします。そして次のことがわかりました。
サービスメトリクスの種別
Sita はサービスメトリクスの種別には主に内部と外部の 2 つがあることを知りました。内部メトリクスはコンタクトセンター内で起こっていること、外部メトリクスはコンタクトセンター外で起こっていることに重点を置きます。一部の組織は、効率から従業員全体の満足度と離職の測定まで、組織内のあらゆることに重点を置いています。その他の組織は、顧客満足度やカスタマーリレーションなど、外部に重点が傾いています。
基本的なことのように聞こえるかもしれませんが、独自の戦略を立てるときに留意するのは、両方を取り混ぜることが重要であるという点です。どの組織でも、両種別のメトリクスのバランスを取ることが不可欠です。
メトリクスからわかること
2 つのメトリクス種別の違いを理解できたところで、メトリクス自体について詳しく説明します。どのメトリクスを追跡したらよいのでしょうか? またメトリクスがカスタマーサービスや業績の向上にどのように役立つのでしょうか?
一般的に、サービスメトリクスでは次の 2 つの項目を追跡します。エージェントの効果 (内部メトリクス) と顧客の満足度 (外部メトリクス) です。では、1 つずつ詳しく見ていきましょう。
エージェントパフォーマンスのメトリクス
コンタクトセンターの生産性を監視する場合、重要なのは個々のエージェントとサービスチーム全体のパフォーマンスを測定することです。パフォーマンスメトリクスを使用して、次を把握することができます。
- エージェントが各自時間を使って何をしているのか。
- エージェントがどのように効果的かつ効率的に時間を使っているか。
- 業務を遂行するために、コンタクトセンターのスタッフ全体でどれだけの時間が必要なのか。
平均処理時間 (AHT) のような内部メトリクスは、エージェントが 1 回の会話を完了するための所要時間を示すのに対し、ケース総数やバックログケースはスタッフが処理しなければならない作業量を評価できます。時間は貴重です。マネージャーはこれらのメトリクスから、使える時間がどれだけあり、それがどのように使われているのかを把握できます。
顧客満足度のメトリクス
カスタマーサービスは、お客様とのタッチポイントを社内のどの部門よりも多く持っています。そのため、お客様という潮の満ち引きを評価するために外部メトリクスを使用するのは、サービス部門から始めることができます。
顧客満足度 (CSAT) やネットプロモータースコア (NPS) の追跡は、総合的な顧客満足度を表す優れた指標で、お客様がブランドを総体的にどう評価しているのかを知ることができます。特に、お客様がブランドを他者に勧める可能性を測定する NPS は、喜んでいるお客様の重要な特徴であり、好意的な口コミにつながる可能性があります。お客様は、ブランド独自のマーケティングや広告よりも、その会社を利用した他者の体験を信じる傾向があります。Amazon や Yelp のレビューを読んでみてください。会社の商品やサービスについて、はっきりとした主張が書かれています。
これらは潮の方向を表す指標ですが、顧客離脱率などのメトリクスは、新規顧客の獲得よりも、既存顧客を失うほうが多いかどうかを示します。また、これらのメトリクスは、カスタマーサービス組織の健全性と、会社がお客様を中心に考えているかどうかを表す指標です。
メトリクスデータの裏側
会社のパフォーマンスについて多くのことをメトリクスから知ることができますが、すべての話には裏と表があるということを忘れてはなりません。他と関わりを持たないメトリクスはありません。つまり、ビジネスで起こっていることが、サービスメトリクスに影響する場合があります。新しい福利厚生がエージェントのつなぎ留めに役立ったり、新製品によってケース件数やバックログが増えたりすることがあるでしょう。
また、たとえばチャットのような新しいチャネルを導入すると、チャットでは他のチャネルより会話が短く単純になる傾向があるので、独自の測定値セットが必要になる場合があります。これは全体的な数値に大きく影響する可能性があります。
戦略を立てるときには、メトリクスはカスタマーサービス部門の進化し続ける部分であり、固定されたものではないという点に留意してください。
メトリクス目標の定義
Sita は下調べをした後、Service Cloud がメトリクスの使用にどのように役立つのかを把握するために Maria と会います。Maria は、サービスメトリクスの分析は、Service Cloud の一般的な設定プロセスの第 2 フェーズであることを知っています(再確認をするには、「Lightning Experience の Service Cloud」モジュールを参照してください)。また、サービスメトリクスが利用可能になる前に、Salesforce で基本的なケース管理を実装する必要があることを思い出しました。ケースとは、お客様からの質問やフィードバックを追跡するものです。
Salesforce で作業を行う前に、Maria は Sita とサービスチームの主要メンバーに、メトリクスを使用して知りたいことは何か、そしてどのメトリクスが彼らにとって重要であるかを訊ねます。単純で戦略的な質問は、彼らが本当に測定したいことは何なのかをよりよく理解することにつながる場合があります。
カスタマーサービス活動の主な受益者は誰か? | 私たちが大切にしているのは、お客様と従業員の 2 つです。もちろん、両者に満足してほしいと考えています。
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カスタマーサービスの基本的価値は何か? | 最も重要な価値は、お客様の問題を解決することです。お客様がサービスやサポートを受けるときに、それが 1 時間であろうと、5 分であろうと、お客様に満足してもらう必要があります。 |
主要なサービスチャネルは何か? | ほとんどの問い合わせは、最も多いのがメール、次いで電話から入ってきますが、お客様はデジタルチャネルを好み始めているので、チャットとソーシャルチャネルへの対応に備えてる必要があり、それらについて計画する必要があります。 |
コンタクトセンターで対処しようとしている優先度の高い問題は何か? | 会社が業績と製品の両方で成長しているので、サービスエージェントがそれに対応することが難しくなってきています。ケース件数と製品に関する知識という点で、エージェントが後れをとることがないよう懸命に取り組んでいます。 |
自分が高く評価されているとエージェントが感じているかどうかは、どうすればわかるのか? | エージェントの仕事に対する満足度を表す主要な指標の 1 つは離職です。離職とは、毎月、毎四半期、または毎年、退職していくエージェントの人数を指します。エージェントの離職は、コンタクトセンターでは最も大きなコストの 1 つです。重要なのは、つなぎ留めを促す職場環境を作ることです。 |
エージェントが適切なトレーニングを受けているかどうかは、どうすればわかるのか? | テクノロジーの使用だけではなく、ソフトスキルについてもトレーニングを行うことが重要です。SMS (テキスト) などのチャネルを使用するお客様がいるので、お客様とやり取りするためには、新しいチャネルの使用方法と、チャネルごとに若干種類の異なる応答が必要であると、エージェントが理解することが重要です。 |
ケースで特定の項目を追跡する必要があるか? | はい。サービスマネージャーはケース所有者やケース状況などの項目を追跡する必要があります。また、ケースの所有者または状況が最後に変更されてからの時間を追跡する必要があります。 |
サービスメトリクスレポートやダッシュボードを複数のユーザーが作成できるようにする必要があるか? | はい。サービスメトリクスデータの実行や共有を 1 人が担当する代わりに、すべてのチームが測定される項目について提案したり、データにアクセスしたりするために、複数のユーザーが機能を使用できるようにする必要があります。 |
Sita には検討することがたくさんあります。Sita は組織のメトリクスの目標を定義し、Ursa Major Solar の重要なメトリクスを追跡するのに Service Cloud がどのように役立つかをシステム管理者に調べさせました。
次のステップは、Ursa Major Solar のサービスメトリクスについて意見を聞くために、カスタマーサービスマネージャーの Ryan De Lyon と話をすることです。Sita は、それらのメトリクスがカスタマーサービスエージェントの健全性と顧客の満足度を反映することを確認する必要があります。