商品ルールを設定する
学習の目的
この単元を完了すると、次のことができるようになります。
- 保険の見積と承認をガイドするうえでルールが不可欠である理由を説明する。
- 適格性ルール、設定ルール、引受ルールを区別する。
- ルール条件が見積、設定、引受をどのようにガイドするかを説明する。
- ルールが連携して、コンプライアンスに準拠した動的な見積フローをどのように作り出すかを説明する。
商品構造から意思決定ロジックへ
前の単元では商品をモデリングしました。構造は明確で、コンポーネントはバンドル化され、属性は入力可能な状態になっています。ですが、構造だけでは正確性やコンプライアンスは確保されません。無効な組み合わせを防ぐこともできず、リスクの高い見積をレビューに回すこともできません。また、特定の顧客シナリオでどの商品を許可するかを判断することもできません。
それを可能にするのがルールです。
デジタル保険のルールは、商品モデルを実際に機能させます。どの商品を見積可能にするか、設定時にどのように動作するか、見積を承認できるか、あるいは追加のレビューが必要かを判断します。また、コードを書くことなく、リスク、規制、顧客入力に応じて提供内容を動的に調整できるようにします。
この単元では、デジタル保険で使用される 3 種類のルール (適格性、設定、引受) と、それぞれがどのようにシームレスでコンプライアンスに準拠した見積プロセスに貢献するかを学びます。
それでは、Cumulus Insurance の商品管理者である Justus Pardo のシナリオに戻りましょう。Auto Gold のモデリングとバンドル化が完了しましたので、次は商品がどのように動作するかを制御するロジックを適用していきます。
適格性ルールで対象資格を定義する
Justus はまず対象資格の判定から取り掛かります。対象外の商品が表示されると、顧客が混乱したり、エラーが発生したりして、不要な手間が生じます。そのため、すべての顧客が Auto Gold を見積もれるようにすべきではありません。
これを管理するために、Justus は適格性ルールと不適格性ルールを使用します。適格性ルールは対象資格の条件を定義し、不適格性ルールは対象外となる条件を定義します。これらのルールは連携して、見積時の商品表示をきめ細かく調整します。
Auto Gold について、彼は次のルールを定義します。
- 適格性ルール: 25 歳以上の顧客のみが対象となる。

- 不適格性ルール: ハワイ州に居住する顧客は除外される。

これらはいずれも商品レベルのルールですが、デジタル保険ではカテゴリレベルのロジックもサポートしており、地域、ビジネス種別、顧客プロファイルなどの属性に基づいて、Auto (自動車保険) や Home (住宅保険) のような商品グループ全体を除外できます。
Justus はこれらのルールを宣言的に設定し、商品をまたいでロジックを一元化する決定表に整理します。次に、商品検出時に各顧客の対象資格を評価する適格性手順にそれらをリンクします。

実行時にルールが機能するようにするために、彼はコンテキスト定義も拡張して、顧客の年齢や州などの主要な項目を手順の実行時に使用できるようにします。
この設定の大部分は 1 回だけ行います。再利用可能なルール、手順、コンテキスト定義によって、対象資格ロジックを一元的に管理し、商品ポートフォリオ全体にわたって拡張しやすくなります。
顧客または担当者が見積を開始すると、デジタル保険は適格性手順をリアルタイムで実行して、顧客が対象となる商品のみを返します。
その結果、 よりスムーズで、よりスマートで、より正確な見積エクスペリエンスが実現します。顧客とその担当者には、顧客が対象となる商品だけが表示されます。
設定ルールで動作をカスタマイズする
適格性ルールで対象となる商品を定義したら、次のステップは、それらの商品とそのコンポーネントが対象になった後にどのように動作すべきかを判断することです。これは設定ルールの仕事です。
これらのルールは、見積時に商品と属性がどのように動作するかを決定します。無効な組み合わせを防ぎ、ビジネスロジックを適用し、各顧客のプロファイルに合わせて設定エクスペリエンスを調整します。
設定ルールは次の要素で構成されます。
- 条件: 商品または属性の値に基づいて条件を評価する。
- アクション: 条件が満たされたときに実行する処理を決定する。
次に、使用できるアクションの種類を詳しく見ていきましょう。
商品レベルのルールアクション
商品レベルのルールアクションは、見積時に商品仕様がどのように動作するかを制御します。これらのルールは、見積のコンテキストに基づいて、商品を追加するか、削除するか、デフォルト設定するか、無効化するか、検証するかを決定します。たとえば、次のような例があります。
アクション種別 |
例 |
|---|---|
Auto-Add (自動追加) |
車両保険が選択されたときに、けん引補償を追加する |
Auto-Remove (自動削除) |
対人・対物保険のみが選択された場合に、レンタカー費用補償を削除する |
Set Default Product (デフォルト商品を設定) |
特定の地域で高額車両に対して Medical Payments (医療費補償) を事前選択する |
Disable Product (商品を無効化) |
電気自動車についてはロードサイドアシスタンスを無効にする |
Validate (検証) |
レンタカー補償が選択されているのに車両保険が含まれていない場合は、「Rental coverage requires Collision. (レンタカー補償には車両保険が必要です。)」などのエラーを表示する。 |
属性レベルのルールアクション
属性レベルのルールアクションは、商品内の特定の属性とその値を対象とします。これらは、ユーザー入力と商品のコンテキストに基づいて、属性がリアルタイムでどのように動作するかを定義します。これらのルールは、見積時のより細かな部分を制御し、多くの場合、商品レベルのアクションと連携して機能します。たとえば、次のような例があります。
アクション種別 |
例 |
|---|---|
Set Attribute (属性を設定) |
高性能車両については、車両保険の免責金額を 1,000 ドルに固定する。 |
Set Default Attribute Value (デフォルト属性値を設定) |
Vehicle Value < 30,000 ドルの場合、Comprehensive (総合保険) の免責金額のデフォルト値を 500 ドルに設定する。 |
Hide Attribute (属性を非表示) |
Medical Payments (医療費補償) の限度額が 500 ドルに設定されている場合は、その免責金額を非表示にする。 |
Hide Attribute Value (属性値を非表示) |
運転者の事故点数が 2 点を超える場合は、Collision Deductible (車両保険の免責金額) の選択リストから 0 ドルの免責金額を削除する |
設定ルールを適用する
Justus は、商品レベルと設定レベルの両方のアクションを Auto Gold バンドルに追加します。
商品レベルのルールの 1 つは、必須補償を設定するものです。このルールは、選択された車両がカリフォルニア州に登録された SUV で、評価額が 25,000 ドル以上である場合に適用されます。また、車両保険が選択されていることも条件となります。これらの条件が満たされると、無保険運転者保険が自動的に追加されてロックされます。
このルールは、ルールコンフィグレーターでは次のように表示されます。

このルールには次の要素が含まれます。
-
条件 (1): 1 つの条件では、車種、登録州、申告額を確認します。もう 1 つでは、車両保険が選択されていることを確認します。
-
アクション (2): 両方の条件が true の場合、Uninsured Motorist (無保険運転者保険) が自動的に追加されてロックされ、その理由がユーザーに表示されます。
Auto Gold について、Justus は、30,000 ドルを超える車両では車両保険の免責金額のデフォルト値を 1,000 ドルに設定し、それ以外の場合はその免責金額を編集できるようにする属性レベルのルールも設定します。
このようなルールは、個々の商品に適用することも、共有バンドルに適用することもできます。これらは複合ロジックをサポートし、複数の属性を評価して、時間がたっても簡単に管理できます。ルールを宣言的に構築することによって、保険会社は、エラーを減らし、コンプライアンス対応を効率化して、ユーザーを確信を持ってガイドできる、よりスマートな見積フローを実現します。
引受ルールで承認を自動化する
これまでに、Justus は対象資格を制御するための適格性ルールと、商品および属性の動作を制御する設定ルールを設計しました。ルールロジックの最後はリスク評価です。
引受ルールは、見積がリスク基準に対してどのように評価されるか、そして条件が満たされた場合にどうすべきかを定義します。このルールは、商品構造や属性値ではなく承認ロジックを制御します。見積を自動的に承認すべきか? 手動レビューに回すべきか? 追加の要件をトリガーすべきか?
引受ルールは、この意思決定ロジックを宣言的に定義することで、ワークフローをハードコードすることなく、変化するリスクポリシーにすばやく対応できるようにします。これらは見積レベルでリスクを評価し、フェーズ遷移と自動化アクションによって結果を制御します。
Justus は、Auto Gold でよくあるリスクケースに対応できるように、少数の引受ルールをあらかじめ定義しておけます。たとえば、次のような例があります。
条件 |
アクション |
|---|---|
運転者の年齢が 25 歳以上かつ過去 3 年間の事故が 1 件以下 |
見積を自動的に承認する |
運転者の年齢が 25 歳未満または最近違反がある |
見積を引受審査に回す |
車両の価値が 50,000 ドルを超える |
書類提出依頼のメール送信をトリガーする |
これらのルールはそれぞれ、見積の状態遷移モデルにリンクされており、Draft (ドラフト)、In Review (レビュー中)、Approved (承認済み) などのフェーズ間でレコードがどのように移動するかを定義します。たとえば、最初のルールでは対象となる運転者を Draft (ドラフト) から Approved (承認済み) に直接進め、2 つ目のルールではリスクの高いケースを In Review (レビュー中) フェーズにルーティングします。
フェーズ遷移に加えて、引受ルールは後続アクションを処理するフローをトリガーすることもできます。これらのフローは、通知の送信、書類の要求、コンプライアンスイベントの記録など、見積レコードの外で実行されるタスクにビジネスロジックを拡張します。
Auto Gold では、Justus は車両価値のルールにフローを関連付けます。申告された車両価値が 50,000 ドルを超えた場合、このフローは次の処理を実行するように設計されています。
- 見積を In Review (レビュー中) に遷移させる。
- 顧客に査定依頼のメールを送信する。
- 監査のためにイベントを記録する。
引受ルールによって、リスクの評価と対応が自動化されます。また、宣言的に定義されているため、コードを変更しなくても、条件や結果を必要に応じて後から調整できます。
ガイド付きのインテリジェントなフロー
ルールは個別に動作するものではありません。順序付けられ、適用範囲が定義され、リアルタイムで評価されながら連携して、対象資格の判定から最終判断まで各見積をガイドします。
ここで一度立ち止まって、Auto Gold 商品でどのように連携するのかを見てみましょう。
- 適格性ルールは、顧客データと商品データに基づいて対象資格を確認します。対象外の商品は、見積が始まる前に除外されます。
- 設定ルールは、ユーザーに表示される内容や選択できる内容を動的に調整し、ビジネスロジックを適用し、デフォルト値を設定し、組み合わせを検証し、コンテキストに応じて選択肢を調整します。
- 引受ルールは、完成した見積をリスクの観点で評価します。定義された条件に基づいて、フェーズ遷移を制御し、フローをトリガーして、見積を自動的に進めるか、手動レビューが必要かを判断します。
Justus はこれで、Auto Gold の完全なルールフレームワークを設定しました。この商品は、見つけやすく、カスタマイズ可能で、チームやチャネル全体で見積に対応できる状態になっています。
ですが、見積で重要なのは構造やロジックだけではありません。保険料も重要です。
次の単元では、Justus が属性ベースの価格設定手順を構築し、デジタル保険に組み込まれた数式、料率テーブル、オーケストレーションツールを使用して、透明性があり正確な保険料をどのように算出するのかを見ていきます。
準備はいいですか? それでは商品の保険料を設定していきましょう。