KCS ユーザー向けの Lightning Knowledge の設定
学習の目的
この単元を完了すると、次のことができるようになります。
- KCS で推奨されるエージェントのロールと責務を挙げる。
- ユーザーの KCS ロールと KCS コーチを設定するカスタム項目をユーザーレコードに追加する。
- 入力規則を定義して、適切なエージェントのみが記事の状況を変更できるようにする。
KCS の責務の明確化
Ursa Major では KCS 手法が導入されたため、今後はエージェントごとに責務が異なります。以前に、記事が各フェーズをどのように進行するかによって、記事の正確性に対するチームの確信度がわかると説明しました。エージェントを対象とする KCS トレーニングも同様に段階があります。
Ada は Maria に、Ursa Major のチーム用の KCS の具体的なロールと責務を記したリストを渡しました。エージェントの初級のロールは候補者で、トレーニングを受け、経験を積みながらロールを上げていきます。
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KCS 候補者。KCS 候補者は、記事を作成することと、既存の記事にフラグを設定することができます。記事を「作業進行中」または「未検証」として保存することもできます。候補者が変更した記事を参照できるのは社内ユーザーのみです。記事を変更し終えたら、「未検証」のタグを付けます。このタグの付いた記事を KCS 寄稿者、KCS 公開者、KCS コーチが検証できます。
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KCS 寄稿者。KCS 寄稿者は、さらなるトレーニングを受け、記事を作成または編集可能であることを実証する必要があります。寄稿者も記事に「作業進行中」や「未検証」のタグを付けます。ただし、記事を変更し終えた時点で、その記事の正確性に確信がある場合は、「検証済み」のタグを付けることができます。寄稿者の記事も内部にのみ公開されます。組織によっては寄稿者が顧客やパートナーにも公開できる場合がありますが、公式の処理ではありません (認証されていないアクセスのため)。
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KCS 公開者。KCS 公開者は、KCS 候補者と KCS 寄稿者に認められているすべてのことの他にいくつかの権限があります。公開者には特別トレーニングが義務付けられ、KCS 手法を一貫した方法で適切に遂行できることを実証する必要があります。トレーニングを受けたら、新しい記事や変更した記事を、顧客やパートナーのコミュニティなど、外部のソースに公開できます。Ursa Major では、大半のエージェントが KCS 公開者になるようトレーニングを実施する予定です。
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KCS コーチ。KCS コーチは、全員が KCS 手法、新たなプロセス、各自の新しい責務を理解できるよう手助けします。KCS コーチは KCS 公開者であると同時に、記事をレビューして KCS 候補者や寄稿者にフィードバックを提供します。KCS コーチは何人かのエージェントを評価するほか、各エージェントをその KCS コーチに結び付けるという重要な任務を担います。
KCS のロールと責務のサポート
KCS の新しいロールと責務を導入するために、Maria は当初、Ada のリストの KCS ロールごとにプロファイルを作成することを検討しました。プロファイルは、ユーザーがオブジェクトやデータにアクセスする方法や、アプリケーション内で実行可能な操作を定義します。ただし、Maria はすでにエージェント用のプロファイルを設定しているため、既存のプロファイルをすべて新しいプロファイルに組み込むのは手間がかかりすぎます。
そこで、全エージェントに使用するユーザーレコードに 2 つのカスタム項目を作成することにします。各自の KCS ロール (Salesforce のロールと混乱しないようにします) を示す項目と、各自のコーチを表示する項目です。KCS コーチは、エージェントを別の KCS ロールに進めることができます (KCS 候補者から KCS 寄稿者など)。
Maria はまず、KCS ロールと KCS コーチを表示するカスタム項目を作成します。どちらの項目も選択リストです。
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をクリックし、[Setup (設定)] を選択します。
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[オブジェクトマネージャー] をクリックし、[ユーザー] を選択します。
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[項目とリレーション] をクリックします。
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[New (新規)] をクリックします。
- データ型に [選択リスト] を選択し、[Next (次へ)] をクリックします。
- 項目値を定義します。Maria は次のとおり定義します。
- 項目の表示ラベル:
KCS Role
(KCS ロール) -
[各値を行頭復帰で区切り、新しい行に配置する方法で入力します] を選択します。
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KCS Candidate
(KCS 候補者)、KCS Contributor
(KCS 寄稿者)、KCS Publisher
(KCS 公開者)、KCS Coach
(KCS コーチ) の各選択リスト値を 1 行に 1 つずつ入力します。
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[値セットで定義された値に選択リストを制限する] を選択します。
- 説明:
Each item is a KCS role to assign to the user
(各項目がユーザーに割り当てる KCS ロールです) - ヘルプ:
Select the KCS role.
(KCS ロールを選択してください。)
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[Next (次へ)] をクリックします。
- 項目レベルセキュリティを指定して、この項目を参照できるユーザーを決定します。
Maria はエージェントプロファイル (Maria が Ursa Major のサポートエージェント用に以前に作成したもの) とシステム管理者プロファイルの横にある [参照可能] を選択します。
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[Next (次へ)] をクリックします。
- この項目を適切なページレイアウトに追加します。Maria は [ユーザーレイアウト] を選択します。
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[Save (保存)] をクリックします。
このプロセスを繰り返して、[KCS Coach (KCS コーチ)] 項目も作成します。この選択リスト値には、チームの KCS コーチである「Zhang Wei」の名前と「None」(なし) を入力します。今後 Ursa Major がチームに新しいコーチを任命したときに、ここにその名前を追加できます(Zhang と、コーチのロールについては後続の単元で学習します)。
項目が設定されたら、ユーザーページレイアウトの適切なセクションに追加します。
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をクリックし、[Setup (設定)] を選択します。
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[オブジェクトマネージャー] をクリックし、[ユーザー] を選択します。
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[ユーザーページレイアウト] をクリックします。
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[ユーザーレイアウト] をクリックします。
- KCS 項目用のセクションを作成します。Maria は新しいセクションを [追加情報] セクションの下にドラッグします。
- セクションに名前を付けて、レイアウトを選択します。Maria は
KCS
という名前を付け、レイアウトに [1-column (1-列)] を選択します。
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[OK] をクリックします。
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[KCS Role (KCS ロール)] と [KCS Coach (KCS コーチ)] を [KCS] セクションにドラッグします。
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[Save (保存)] をクリックします。
Maria は Ada Balewa のユーザーレコードにアクセスして、その KCS ロール (KCS 公開者) と KCS コーチ (Zhang Wei) を選択します。続けて、Ada のリストの他のエージェントについても設定を行います。
Lightning Knowledge を使ってみる
このモジュールでは、Lightning Knowledge にカスタム項目を作成し、入力規則を定義する手順を示します。このモジュールにハンズオン Challenge はありません。練習のためにこのモジュールの手順を試してみたい場合は、無料の Service Cloud トライアルに登録すれば、サンプルデータを使ってみることができます。Trailhead Playground でも Lightning Knowledge を使用できますが、トライアル組織にはモジュールと同じデータが搭載されているため、手順に従いやすくなります。無料のトライアル Edition を取得する手順は次のとおりです。
- 30 日間の無料 Service Cloud トライアルに登録します。
- フォームに漏れなく記入します。
- [メール] 項目には、まだ Salesforce に認識されていない有効なメールアドレスを入力します。指定したメールアドレスがこの新しいトライアル組織のユーザー名になります。ユーザー名は Salesforce のすべてのインスタンスでグローバルに一意でなければなりません。そのため、Salesforce に認識されていないメールアカウントを使用する必要があります。それ以外はインストールに失敗します。
- フォームに入力したら [Start My Free Trial (無料トライアルを開始)] をクリックします。確認メッセージが表示されます。
- アクティベーションメールを受信したら (数分かかる場合があります)、そのメールを開いて [Verify Account (アカウントを確認)] をクリックします。
- パスワードと確認用の質問を設定して、登録を完了します。
トライアル組織にログインした状態になります。
入力規則の定義
Maria は以前に、記事の状況を管理するための項目を作成しました。こうした項目の値を変更できるのは、適切な KCS ロールがあるユーザーのみです。たとえば、KCS 候補者が記事の検証状況を「検証済み」に変更することはできませんが、KCS コーチは変更できます。
Maria は、記事に選択されている状況に応じて記事を保存または公開できるユーザーを決定する入力規則を作成します。まず Ada に、各設定を使用できるユーザーについて質問します。
最初に、記事の確信度の規則を作成します。
- 記事の検証状況を「検証済み」に設定できるのは誰か? KCS 寄稿者、公開者、コーチは設定できるが、KCS 候補者は設定できない。
次に、記事ガバナンスの規則について質問します。
- 記事ガバナンスをコンプライアンスベースに設定できるのは誰か? KCS 公開者とコーチは設定できるが、KCS 候補者と寄稿者は設定できない。
- 記事ガバナンスをエクスペリエンスベースに設定できるのは誰か? 全員が設定できる。
最後に、記事の表示について質問します。
- 記事の表示を外部に設定できるのは誰か? Ursa Major の場合、KCS 公開者が設定できるが、条件がある。KCS 候補者と寄稿者はどのような場合も設定できない。この設定は組織によって異なる可能性があります。
- KCS 公開者が表示を外部に設定できるのはどのような状況か? 検証状況が「検証済み」に設定されている場合。
Maria が設定した入力規則はさながら謎解きパズルのルールのようです。そこで、上記の質問に対する回答を基に、入力規則を作成するために必要な情報を表にまとめました。
規則名 |
Error Message (エラーメッセージ) |
エラー条件式 |
---|---|---|
KCS_Candidate_ Article_Confidence |
KCS 候補者は検証状況を「検証済み」に設定できない。 |
AND( ISPICKVAL($User.KCS_Role__c, "KCS Candidate"), ISPICKVAL(ValidationStatus, "Validated") ) |
KCS_Candidate_ Article_Governance |
KCS 候補者は KCS 記事ガバナンスを「エクスペリエンスベース」に設定できるが、「コンプライアンスベース」には設定できない。 |
AND( ISPICKVAL($User.KCS_Role__c, "KCS Candidate"), ISPICKVAL(Article_Governance__c, "Compliance Based") ) |
KCS_Contributor_ Article_Governance |
KCS 寄稿者は KCS 記事ガバナンスを「エクスペリエンスベース」に設定できるが、「コンプライアンスベース」には設定できない。 |
AND( ISPICKVAL($User.KCS_Role__c, "KCS Contributor"), ISPICKVAL(Article_Governance__c, "Compliance Based") ) |
KCS_Candidate_ Internal_Sharing_Only |
KCS 候補者は記事の表示を「内部のみ」に設定できるが、顧客、パートナー、一般利用者が参照できるようにすることはできない。 |
AND( ISPICKVAL($User.KCS_Role__c, "KCS Candidate"), OR((IsVisibleInCsp = true), (IsVisibleInPrm = true) , (IsVisibleInPkb = true) ) ) |
KCS_Contributr_ Internal_Sharing_Only |
KCS 寄稿者は記事の表示を「内部のみ」に設定できるが、顧客、パートナー、一般利用者が参照できるようにすることはできない。 |
AND( ISPICKVAL($User.KCS_Role__c, "KCS Contributor"), OR((IsVisibleInCsp = true), (IsVisibleInPrm = true) , (IsVisibleInPkb = true) ) ) |
Article_visibility_ External_for_KCS_Pub |
KCS 公開者は、記事の確信度が高い (つまり、検証状況 = 「検証済み」) 場合に限り、記事の表示を顧客、パートナー、一般に設定することができる。 |
AND( ISPICKVAL($User.KCS_Role__c, "KCS Publisher"), OR( AND( ISPICKVAL(ValidationStatus, "Work in Progress"), ( IsVisibleInCsp = true)), AND(ISPICKVAL(ValidationStatus, "Work in Progress"), ( IsVisibleInPrm = true)), AND(ISPICKVAL(ValidationStatus, "Work in Progress"), ( IsVisibleInPkb = true)), AND(ISPICKVAL(ValidationStatus, "Not Validated"), ( IsVisibleInCsp = true)), AND(ISPICKVAL(ValidationStatus, "Not Validated"), ( IsVisibleInPrm = true)), AND(ISPICKVAL(ValidationStatus, "Not Validated"), ( IsVisibleInPkb = true)) ) ) |
Maria が 1 つ目の入力規則を作成します。
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をクリックし、[Setup (設定)] を選択します。
-
[オブジェクトマネージャー] をクリックし、[ナレッジ] を選択します。
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[入力規則] をクリックします。
-
[New (新規)] をクリックします。
- 入力規則のプロパティを入力します。Maria は上記の表の値を使用します。
- エラーがないか数式をチェックするには、[構文を確認] をクリックします。
-
[Save (保存)] をクリックします。
Maria は、Ursa Major で KCS 手法をサポートする自身のジャーニーをさらに一歩進めることができました。全員に正しい KCS ロールが割り当てられるようにしました。そして、各自の KCS ロールによって、記事の状況を変更するために実行できるアクションが決定されるようにしました。
リソース
- Trailhead プロジェクト: Salesforce ナレッジの設定
- Salesforce ヘルプ: Lightning Knowledge ユーザーのアクセス権
- Salesforce ヘルプ: プロファイル
- Salesforce ヘルプ: 入力規則の定義
- Salesforce ヘルプ: 入力規則