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マスターデータマネジメントの機能を理解する

学習の目的

この単元を完了すると、次のことができるようになります。

  • Informatica Master Data Management SaaS がデータを統合、クレンジング、照合、エンリッチ化して、信頼できるゴールデンレコードを生成するしくみについて説明する。
  • プラットフォームのコア機能を特定する。
  • AI と機械学習によってデータスチュワードシップが自動化され、インテリジェントなインサイトが得られるしくみについて説明する。
  • Informatica Master Data Management SaaS が、業務アプリケーションや分析アプリケーションに信頼できるデータを提供するしくみについて説明する。

未加工データからゴールデンレコードへ

グローバル小売企業に勤務していると想像してみてください。顧客データは、CRM、E コマースプラットフォーム、カスタマーサポートツール、ロイヤルティプログラムデータベースという 4 つの異なるシステムに存在しています。どのシステムにも Sarah Jones という同じ顧客のレコードがありますが、2 つとして完全に一致するレコードはありません。CRM では、名前のスペルが「Sara Jones」となっています。 E コマースプラットフォームには、古い住所が登録されています。ロイヤルティシステムには、重複したエントリがあります。サポートツールでは、現在使用されているものとは異なるメールアドレスが使用されています。

Informatica MDM SaaS は、まさにこうしたデータの課題を解決するために設計されています。その中心にあるのは、Sarah の分散したレコードのような未加工の断片化したデータを、単一の信頼できるゴールデンレコードへと変換するプロセスです。このプロセスは、互いにつながった 4 つの段階で構成されます。

データを集約する

最初の段階で、ソースシステムを接続します。Informatica MDM SaaS は、事前構築されたコネクタを使用して、CRM、E コマースプラットフォーム、サポートツール、ロイヤルティデータベースに接続します。カスタム開発を必要とせずに、4 つのシステムすべてから Sarah のレコードをリアルタイムまたはスケジュールされたバッチで取り込みます。これで、Sarah のデータのすべてのバージョンが MDM 環境内に揃い、処理できる状態になります。

データ品質をチェックして改善する

レコードが取り込まれると、プラットフォームは問題がないかを確認します。名前のスペルの違い、古い住所、一致しないメールアドレスを特定し、重複エントリには要確認のフラグを付けます。続いて、組み込みのクレンジングルールが実行されます。名前を「Sarah Jones」に標準化し、住所の形式を修正して、レコードを次の段階に引き渡せる状態に整えます。データ品質を担当するデータスチュワードは、何が検出され、何が修正されたかを明確に把握できます。

照合して 1 つのレコードにマージする

次に、プラットフォームは、これら 4 つのシステムのレコードが同一人物のものであることを確認する必要があります。一致アルゴリズムを使用して、名前、住所、メールアドレス、電話番号といった共通の属性でレコードを比較します。完全に一致するものもありますが、 それ以外は確率的に判定されます。つまり、複数のシグナルの組み合わせに基づいて、2 つのレコードが同一の実在する人物を表す可能性がプラットフォームによって算出されます。Sarah の場合、これらのレコードがすべて同一の顧客を表していると高い確度で判定されます。断片化していたレコードは 1 つにマージされます。

レコードをエンリッチ化する

最後の段階では、社内システムにはない情報を追加します。Sarah の住所は、郵便当局のデータと照合して検証および標準化されます。また、業種分類コードやその他の外部参照データでレコードをエンリッチ化し、プロファイルの完全性を高められます。これにより、社内データだけでは埋められないギャップを解消し、ゴールデンレコードを利用するすべてのチームにとっての有用性が向上します。

プラットフォームのコア機能

ゴールデンレコードの作成プロセスに加えて、Informatica MDM SaaS は、組織が長期にわたり大規模にマスターデータを管理できるよう、豊富なプラットフォーム機能を提供します。

データスチュワードシップワークフロー

データスチュワードは、マスターデータを確認、承認、維持します。Informatica MDM SaaS には、スチュワード向けの専用ワークスペースが用意されており、フラグ付きレコードの確認、データの競合の解消、マージの承認、修正といったすべての作業をガイド付きのワークフロー駆動型インターフェースで行えます。タスクは定義したルールに基づいて自動的に割り当てられるため、常に適切な担当者が適切な問題を処理できます。スチュワードがこの機能を使用するのに、技術的なスキルは必要ありません。インターフェースはビジネスユーザー向けに設計されており、明確なコンテキスト、シンプルなアクション、そして下されたすべての判断についての完全な監査履歴が用意されています。

Cloud Kicks の Jamal は、毎週何時間もかけてシステム間で矛盾するレコードを手作業で特定しているデータスチュワードと協力しています。Informatica MDM SaaS のスチュワードシップワークフローのインターフェースを見せると、彼らはどれだけの時間を節約できるかをすぐに理解します。タスクには明確に優先順位が付けられ、各判断に必要なコンテキストが画面上に表示され、すべてのアクションが自動的に記録されます。

新しいレコードを確認するタスクのワークフロー状況。

階層管理

マスターデータが単独で存在することは、ほとんどありません。組織は親会社に属しています。商品は商品ファミリーにまとめられます。コストセンターはビジネスユニット内に位置付けられます。こうした階層リレーションは、レポート、計画、業務において非常に重要です。また、組織再編、新規事業の買収、新しい商品ラインの発売などによって、絶えず変化することもあります。

Informatica MDM SaaS では、これらの階層をプラットフォーム上でモデル化および可視化して管理できます。同じドメインに複数の階層種別を定義したり、業務目的別に代替階層 (財務階層と営業テリトリー階層など) を管理したり、基盤となるマスターデータに影響を与えずに更新したりできます。各チームは自分たちの業務に関連する階層のバージョンを利用でき、すべてのバージョンは同じ信頼できるゴールデンレコードにたどり着きます。

MDM の [Hierarchies (階層)] ページのサンプル。

リレーション管理

階層以外にも、マスターデータのエンティティは互いに複雑なリレーションを持っています。1 つの顧客が、複数の取引先責任者、複数の場所、複数の関連取引先を持つ場合があります。Informatica MDM SaaS では、これらのリレーションを明示的にモデル化して管理できるため、チームはエンティティそのものと、その周囲に広がるつながりの全体像を把握できます。

MDM のリレーショングラフのサンプル。

エンリッチ化と検証のオーケストレーター

データのエンリッチ化と検証に複雑な要件がある場合、Informatica MDM SaaS には Enrichment and Validation Orchestrator が用意されています。検証ルールとクレンジングルールを個別に実行するのではなく、複数のルールの関連付けを組み合わせて、順番に実行するようオーケストレーションできます。

AI と機械学習によってインテリジェンスを大規模に自動化する

Informatica MDM SaaS では、プラットフォーム全体に人工知能と機械学習が組み込まれています。AI は照合、スチュワードシップ、品質といったマスターデータマネジメントのコアプロセスに組み込まれており、プラットフォームは時間とともに賢く効率的になっていきます。これは、別個のアドオン機能ではありません。

AI を活用した照合

重複レコードの検出は一見簡単なようで、実はデータ管理で最も難しい課題の 1 つです。ルールベースの照合では明らかな重複は検出できますが、判別しにくいものは見落とします。

Informatica MDM SaaS では、機械学習モデルを使用してさらに踏み込んだ照合を行います。複数の属性のパターンを同時に分析し、各シグナルの相対的な重要度を評価して、候補ごとに一致の確率スコアを算出します。重要な判断を人間が制御できるように、重複候補と判定されたレコードは自動的にマージせず、スチュワードの確認対象としてフラグを付けます。

インテリジェントなスチュワードシップの推奨

データスチュワードは、毎日大量のレコードを処理しています。指針がなければ、データの確認、ソースシステムのチェック、判断のすべてを、問題ごとに一から行わなければなりません。Informatica MDM SaaS は、AI を活用してスチュワードをあらゆる段階でサポートします。

Jamal は、チームのデータスチュワードが時間の 60% 近くを定型の反復的な判断に費やしていると推定します。過去の判断に基づいて推奨アクションを提示するインテリジェントな推奨機能の動作を見て、その時間を大幅に削減できると気付きます。スチュワードは本当に人間の知見が必要な複雑なケースに集中できるようになります。

自動化されたデータ品質

Informatica MDM SaaS のデータ品質ルールは、単純な形式チェックにとどまりません。コンテキストを理解するインテリジェントな品質ルールを適用し、郵便番号が欠けているという理由だけでなく、番地が郵便当局の参照データにある市区町村や都道府県と一致しないという理由でも、住所に無効のフラグを付けます。このように自動化されたインテリジェントなデータ品質のアプローチにより、不正なデータは、それを利用する下流のシステムに届くはるか前に検出されます。

企業全体に信頼できるデータを提供する

MDM システムの中に閉じ込められたゴールデンレコードからビジネス価値が創出されることはありません。Informatica MDM SaaS は、データを必要とするシステムと人に、信頼できるマスターデータをリアルタイムかつ確実に提供します。

このプラットフォームでは、複数の配信方式がサポートされています。

  • リアルタイム API: RESTful API により、CRM、ERP、カスタマーポータル、モバイルアプリなどの業務アプリケーションから、信頼できるマスターデータをリアルタイムで照会できます。カスタマーサービス担当者が CRM で顧客を検索すると、MDM システムから直接ゴールデンレコードが取得されるため、常に正確で完全な情報が表示されます。
  • イベント駆動型の更新: ゴールデンレコードが変更されると、プラットフォームから下流のシステムに自動的にイベント通知が発行され、一括処理ジョブを手動で実行しなくても、Agentforce とすべての接続アプリの同期が維持されます。
  • バッチ統合: 定期的な一括更新が必要なシステム向けに、Informatica MDM SaaS は IDMC 統合コネクタのフルスイートを使用してスケジュールバッチ配信をサポートしています。
  • 分析とレポート: 信頼できるマスターデータをデータウェアハウス、データレイク、Data 360 などの分析プラットフォームに配信し、ビジネスインテリジェンスとレポートを信頼性の高い一貫した基盤の上に構築できるようにします。

強力な AI 駆動の照合と組織全体へのリアルタイム配信により、Informatica MDM SaaS は、接続されたアプリケーションが常に信頼できるデータを使用できるようにします。次は、MDM 戦略を実装すべき時期を示すビジネス上のシグナルを特定する方法を学びます。

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