エージェントをデータでグラウンディングするためのオプションを確認する
学習の目的
この単元を完了すると、次のことができるようになります。
- Agentforce にデータを組み込むために使用できる 4 つのメカニズムを説明する。
- Agentforce がデータに接続するために使用する複数の方法を学ぶ。
では、Agentforce はグラウンディング用のデータにどのようにアクセスするのでしょうか? それを理解するために、一歩下がって、AI エージェントのビルディングブロックについて説明します。
エージェントのビルディングブロック
エージェントは、3 つの主要要素で構成されています。
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トピックは、エージェントが実行できるジョブの種別を定義します。
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指示は、エージェントがどのように意思決定するかを定義する明確な境界を設定します。
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アクションは、エージェントが実行できる具体的なタスクやアクティビティです。
Salesforce には、Agentforce の標準のトピックやアクションが用意されているため、エージェントをすぐに立ち上げて実行することができます。他方、カスタムトピックやカスタムアクションを作成して、AI エージェントに機能を追加し、各自のビジネスに固有のタスクを実行させることも可能です。
4 つのメカニズムを使用してアクションをデータに接続する
エージェントアクションを構築するときは、何もないところから作成する必要はありません。アクションは、Agentforce で使用したい既存のプラットフォーム機能 (呼び出し可能 Apex クラス、自動起動フロー、プロンプトテンプレート、MuleSoft API) を基盤に構築します。
Agentforce ではこの基盤となる機能を参照アクションといい、これは Salesforce Platform の機能を有効活用する優れた手法です。参照アクションは、エージェントがデータに接続してジョブを遂行するメカニズムです。では、参照アクションの種別を 1 つずつ見ていきましょう。

Apex でエージェントアクションを駆動する
開発者は、Apex を使用してエージェントアクションを構築したり、Apex クラスから Agentforce エージェントを呼び出したりすることができます。詳細は、「Apex を使用したエージェントのカスタマイズ」を参照してください。
フローでエージェントアクションを駆動する
エージェントアクションにローコードやノーコードアプローチを使用したい場合は、Flow Builder を使用してエージェントアクションを構築できます。フローを使用するエージェントアクションを作成して設定する方法については、「フローを使用したエージェントのカスタマイズ」モジュールを参照してください。
プロンプトテンプレートでエージェントアクションを駆動する
Agentforce でプロンプトテンプレートを使用すると、特定のデータやビジネスニーズのコンテキストに沿って構造化された形式を提供することで AI の応答が確実にグラウンディングされます。構造や形式をあらかじめ定義しておくと、AI エージェントが応答を生成したり、アクションを実行したりするときのガイドとなります。出力を生成するために LLM と組み合わせると、プロンプトテンプレート駆動のアクションは、エージェントがナレッジ検索、要約、翻訳、分類、コンテンツ作成などのクエリを処理するのに役立ちます。プロンプトテンプレートの使用を開始するには、「プロンプトビルダーを使用したサービスエージェントのカスタマイズ」モジュールを参照してください。
MuleSoft API でエージェントアクションを駆動する
MuleSoft は API やコネクタを介して AI エージェントをサードパーティシステムに接続します。Data Cloud が外部データソースに接続するのと同じように、MuleSoft API は個別規模で接続を提供します。Agentforce では、API をエージェントのトピックやアクションとして公開できます。これには埋め込みの指示やメタデータが含まれます。つまり、Salesforce 組織やその他のエンタープライズシステム (エンタープライズリソースプランニング、Saas アプリケーションなど) の外部にあるデータに基づいてエージェントをグラウンディングできるということです。
エージェントアクションを構築するときに、どの参照アクション種別を使用すべきかわからない場合は、「Agentforce: エージェントプランニング」バッジでエージェントの設計方法についての詳細を参照してください。
Salesforce データモデルのリソースを利用する
Salesforce 内の既存のデータを最大限に活用し、すでに使用しているほぼすべての項目の情報を使ってエージェントをグラウンディングします。既存の CRM データを使用して、シームレスな連携とリアルタイムの正確性を実現します。
使用可能なデータの種類は次のとおりです。
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標準オブジェクト: エージェントアクションは、取引先、取引先責任者、ケース、商談などの標準 Salesforce オブジェクトの構造化データにアクセスできます。
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カスタムオブジェクト: ビジネスに合わせたカスタムオブジェクトがある場合は、エージェントアクションはそのオブジェクトのデータにもアクセスできます。
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外部オブジェクト: リアルタイムのデータインテグレーションには、Salesforce Connect を使用して個々の外部データソースを Salesforce 環境に直接リンクし、エージェントが常に最新情報にアクセスできるようにします。
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データ抽出: Salesforce データエクスポートサービスやデータローダーを使用して必要なデータを抽出します。このデータを LLM プロンプト用に書式設定できます。
ただし、エージェントのグラウンディングに Salesforce データを使うことが唯一の方法ではありません。企業の多くは複数のソフトウェアサービスを使用しています。つまり、データはおそらくさまざまなソースや形式で保存されています。Data Cloud でそのデータを統合し、Agentforce でグラウンディングできるようにします。詳細は、Salesforce VP の Erika Ehrli によるブログ記事「The Force Behind Agentforce: How Data Cloud Fuels Agent-First Enterprises (Agentforce を支える力: Data Cloud でエージェント中心の企業を加速させる)」を参照してください。次に、Trailhead の「Data Cloud を Agentforce に接続する」を参照してください。
データライブラリとの統合を合理化する
Agentforce データライブラリ (ADL) は、特に非構造化データセットのグラウンディングの設定とメンテナンスを簡素化します。データライブラリを作成すると、Data Cloud へのデータストリームのプッシュ、データオブジェクトの対応付け、検索インデックスとレトリーバーの作成など、Data Cloud とプロンプトビルダーにまたがる設定ステップが自動化されます。これらのステップが完了したら、簡単にエージェントをデータにリンクできます。ADL 設定または Agentforce Builder からライブラリを作成して設定します。詳細は、ヘルプトピック「データライブラリとは?」を参照してください。
まとめ
グラウンディングにより、AI エージェントはビジネスに合わせた正確でコンテキストに関連する応答を提供できるようになります。構造化と非構造化というデータの種類を確認し、グラウンディングと RAG を比較し、カスタムアクションをグラウンディングする複数の方法を要約しました。AI エージェントがデータをどのように活用できるかについて、さらに詳しく学ぶか、実際に試してみてください。
リソース
- Trailhead: 検索拡張生成
- Trailhead: Data Cloud を Agentforce に接続する
- Trailhead: Build Custom Agent Actions Using Apex (Apex を使用したカスタムエージェントアクションの構築)
- Trailhead: プロンプトビルダーについて知る
- Trailhead: プロンプトの基本事項
- 動画: Build Connected Agents with Agentforce and MuleSoft (Agentforce と MuleSoft を使用した接続エージェントの構築)
- MuleSoft ヘルプ: Enabling an API Project for Topics and Agent Actions (トピックとエージェントアクションの API プロジェクトの有効化)
- ブログ: How Agents Can Take Smarter Actions with Prompt Builder (プロンプトビルダーを使ってエージェントがより賢くアクションを実行する方法)
- ブログ: Invoke Agentforce Agents with Apex and Flow (Apex とフローを使って Agentforce エージェントを呼び出す)