Data Cloud One で複数の組織を接続する
学習の目的
この単元を完了すると、次のことができるようになります。
- Data Cloud One のメリットを特定する。
- Data Cloud One のベストプラクティスとユースケースを活用する。
- Data Cloud One を開始するための次のステップを説明する。
Data Cloud One とは
Data 360 を使用すると、外部システムに閉じ込められたデータを解放し、よりパーソナライズされたカスタマーエクスペリエンスを提供して、エンタープライズ AI を強化できます。では、Data 360 からさらに大きな価値を引き出せるとしたらどうでしょうか?
会社が成長するにつれて、ビジネスニーズも拡大します。最初は、Salesforce のデータとアプリケーションを 1 つの組織 (仮想スペース) だけで管理していたとします。時間が経つにつれて、部門、地域、ブランドごとに新しい Salesforce 組織を作成したり、買収によってほかの会社から組織を引き継いだりして、組織が増えていきます。その結果、複数の組織に同じ顧客のデータが分散してしまうことがあります。同じ顧客のデータが存在すること自体は有益ですが、ビジネスのあらゆる部門からその顧客の全体像にアクセスできれば、さらに大きな価値を引き出せます。
Data Cloud One がなくても、標準 Salesforce CRM 接続を使用すれば、多くの組織から Data 360 にデータを取り込むことはできます。ですが、接続された各組織から統合データに直接アクセスするには、Apex やフローを使用して複雑なカスタムコードソリューションを構築する必要があります。あるいは、すべての組織で Data 360 をプロビジョニングして設定し、組織ごとにメンテナンスを行わなければなりません。そうなると時間もコストもかかります。
Data Cloud One を使用すれば、複数の組織の管理エクスペリエンスを改善できます。
Data Cloud One のメリット
Data Cloud One を使用すると、複数の組織から Data 360 の単一ビューに簡単にアクセスできます。Data Cloud One では、コンパニオン組織と呼ばれる接続組織のユーザーが、Data Cloud One アプリケーションを通して、統合データや多くの Data 360 機能に簡単にアクセスできます。コンパニオン組織のユーザーは、統合プロファイルを使用して顧客の全体像を確認し、統合データに基づいてカスタムフローを構築し、計算済みインサイトに直接アクセスして、ビジネスプロセスを各ユースケースに合わせて最適化できます。
Data Cloud One を実装することで、以下が可能になります。
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複数組織アーキテクチャを効率化する: 1 つの一元的な Data 360 に複数の Salesforce 組織を簡単に接続して、Salesforce データと外部データを統合できます。
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Data 360 の実装をスピードアップする: メタデータ同期とコーディング不要のポイント & クリック設定を使用して、Data 360 データを複数の Salesforce 組織と共有できます。
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組織をまたいでコラボレーションする: Data 360 オブジェクトとインサイトを組織間で共有し、重複する作業をなくすことができます。
Data Cloud One でカスタマーエクスペリエンスを改善する
Northern Trail Outfitters (NTO) は、複数のブランドを展開し、多くの部門を持つ大手小売企業です。NTO では、最適なカスタマーエクスペリエンスの実現に取り組んでおり、外部データを Data 360 に統合しています。
また、セールス、マーケティング、オペレーションといった部門ごとに別々の Salesforce 組織を使用しているため、 NTO 全体では多くの Salesforce 組織が存在しています。各組織で扱うデータや、設定およびカスタマイズの方法は、組織ごとに異なります。そのため、異なる組織に分散している顧客データを集約してインサイトを得るのは困難です。
NTO ではすでに 1 つの組織で Data 360 を実装していますが、Data Cloud One は導入されていません。つまり、この Data 360 組織は、ほかの Salesforce 組織からデータを取り込むことはできますが、それらの組織がその統合データにアクセスするのは困難です。NTO のすべての Salesforce 組織が Data 360 のデータにアクセスできるようにするには、どうすればよいでしょうか?
NTO が求めているのは、複数組織アーキテクチャ戦略、つまり、最適に連携できるようにすべての組織を整理する方法です。では、NTO が複数組織アーキテクチャを構成する方法として、考えられる選択肢を見ていきましょう。
Data Cloud One を使用しない複数組織アーキテクチャ
Data Cloud One を使用しない場合、NTO が複数組織アーキテクチャを実現するための選択肢としては、DIY ルートと複数 Data 360 ルートの 2 つがあります。

DIY ルートでは、組織間アクションとクエリを使用します。具体的には、カスタム Apex コード、データアクション、フローを使用して、Data 360 組織から各 Salesforce 組織にデータを送信します。ですが、この方法では時間もコストもかかります。NTO では、このアーキテクチャの運用を支える専任のフルタイムチームが必要になりそうです。さらに悪いことに、拡張性にも優れていません。NTO のような成長している企業では、ニーズが年ごとに大きく変わる可能性があるため、カスタム開発した仕組みを継続的に大幅に見直す必要があります。あるいは、対応しきれない変更が積み重なって技術的負債となり、生産性や俊敏性を低下させるおそれがあります。
複数 Data 360 ルートでは、ビジネスの目的ごとに Data 360 を実装します。この方法では、NTO は各部門で個別の Data 360 を実装することになります。NTO でデータレジデンシーを重視している場合は、データを保存している地域ごとに個別の Data 360 を用意したほうが安全かもしれません。ですが、この方法も運用が複雑でコストがかかり、データサイロも生まれます。その結果、信頼できる唯一の情報源を確立することがさらに難しくなります。
幸い、NTO には Data Cloud One があります。
Data Cloud One によって複数組織アーキテクチャを効率化する

Data Cloud One を使用すると、Data 360 と Salesforce 組織を簡単に接続できます。
しかも、この接続は双方向です。そのため、以前は Data 360 にデータを送信するだけだった Salesforce 組織からも、統合データに簡単にアクセスできるうえ、一部の Data 360 機能も使用できるようになります。
Data Cloud One について知っておくべき重要な用語は次のとおりです。
標準 Salesforce CRM コネクタ
Data 360 を Salesforce 組織に接続し、Data 360 がデータを取り込んでデータアクションを送り返せるようにします。標準接続では、接続された組織とはメタデータが同期されず、接続された組織は Data 360 の機能やデータにアクセスできません。組織が標準接続のみで Data 360 に接続されている場合、Data 360 の機能を設定することはできません。
Data 360 ホーム組織
Data 360 がプロビジョニングされている Salesforce 組織です。すべてのデータが取り込まれて保存される中心的なハブであり、統合 Customer 360 ビューの信頼できる唯一の情報源として機能します。
データスペース
データスペースは、プロファイル統合、インサイト、マーケティング活動などの目的でデータを整理する、Data 360 内の論理パーティションです。コンパニオン組織と共有するデータスペースを選択できます。接続された組織間で共有されるのは、共有対象のデータスペースに含まれるオブジェクトのメタデータのみです。データスペースの詳細は、「Data 360 のデータスペース: クイックルック」モジュール、または「Data 360 Video Series: Data Spaces (Data 360 動画シリーズ: データスペース)」の動画で確認してください。
コンパニオン接続
コンパニオン組織をホーム組織にリンクし、共有対象として選択したデータスペースのメタデータを共有できるようにします。
コンパニオン組織
コンパニオン接続を通してホーム組織に接続された組織は、すべてコンパニオン組織となります。コンパニオン組織のユーザーは、Data Cloud One アプリケーションで Data 360 機能の一部にアクセスできます。Data 360 データはコンパニオン組織で利用でき、フローやデータ強化などのプラットフォーム機能で利用されます。
Data Cloud One アプリケーション
Data Cloud One アプリケーションは、どのコンパニオン組織でも使用できます。Data Cloud One アプリケーションを使用すると、コンパニオン組織のユーザーは一部の Data 360 機能にアクセスできます。Data Cloud One では、すべての Data 360 機能にアクセスできるわけではありません。

Data Cloud One を設定する
次の単元では、Northern Trail Outfitters が Data Cloud One をどのように利用し、実際の導入を開始するのかを確認します。