臨床業務を強化する
学習の目的
この単元を完了すると、次のことができるようになります。
- Agentforce によって Life Sciences Cloud の臨床試験業務がどのように強化されるか説明する。
- サイトの選定、候補者の適合性評価、参加者のエンゲージメントにおける Agentforce の主なスキルを挙げる。
- デジタル労働力によって募集業務がどのように加速され、サイトのパフォーマンスが向上するか説明する。
臨床試験: タイムラインと信頼性
臨床試験は厳密なスケジュールに従って実施されます。臨床業務チームにとっては、常に時間との戦いであり、スピードと、正確性とコンプライアンスに対する揺るぎないコミットメントの両方が求められます。
これまでは、時間に追われながら、スプレッドシート、手作業のサマリー、分断されたツールなどを寄せ集めて業務が行われてきました。こうした断片的なアプローチでは、締め切りに遅れる、参加者が足りない、チーム間の可視性が慢性的に欠如しているなど、あらゆる場面でリスクが生じます。
Agentforce は、この時間との戦いに対する戦略的パートナーです。Life Sciences Cloud に直接インテリジェントなアシスタントを組み込んで、日常業務を自動化し、重要なインサイトを表示して、実務を加速させますが、臨床研究の基盤となるデータの整合性を損なうことや、規制上のガードレールに反することはありません。
この単元では、Agentforce が臨床試験の設定における 2 つの根幹的なフェーズをどのようにサポートするかを詳しく見ていきます。
-
サイトの計画と立ち上げ: 広範に及ぶサイトの候補を、高パフォーマンスで稼働しているパートナーに絞り込みます。
-
参加者の適合性評価: リアクティブなスクリーニングから、AI ドリブンのプロアクティブなコホート作成に移行します。
研究チームがこうした機能を組み合わせれば、スマートな判断を下して、手作業を減らし、プロセスの早い段階でサイト計画と参加者計画を連携させることができます。
コンテキストに応じた検索で絞り込む
Diego は、近々開始される腫瘍学の臨床試験のサイト実施可能性責任者です。最初の任務は、サイトの候補を見つけることです。従来はデータマイニング方式で、スプレッドシート、ブラウザーのタブ、静的なレポートなどの古いデータを、限られた検索条件を使って手作業で丹念に調べていました。
現在の Diego のワークフローは会話形式です。まず、臨床試験レコードを開いて、Agentforce を起動します。この臨床研究のコンテキストをすでに把握しているエージェントが、腫瘍学の治験に合わせて調整された一連のスマートな検索条件を瞬時に提案します。Diego は、過去の登録パフォーマンスなどのパラメーターを追加して、手早く条件を絞り込みます。

エージェントは単に検索を実行するのではありません。的を絞った高度な情報収集を行います。調査研究レコードから直接コンテキストを抽出し、不要な詳細を排除して、適合したサイトと治験責任医師のみを示すクリーンなリストを提示します。
![適切なパフォーマンスメトリクスに基づいて絞り込まれたクリニックと医師のリストが表示されている [Search Results (検索結果)] ページ。](https://res.cloudinary.com/hy4kyit2a/f_auto,fl_lossy,q_70/learn/modules/agentforce-for-life-sciences-cloud/power-up-clinical-operations/images/ja-JP/4730f59c77a7e768cca426404d51bc89_kix.jo575v7n11nv.png)
Diego は断片的なシステムで何時間もかけて探し回る代わりに、研究目的に適した候補のリストを数秒で取得します。そのため、数を満たすだけでなく、質の評価に時間をかけることができます。
サイトを評価して選定する
Diego の次の課題は、リストに示されたサイト候補を評価することです。これまでは、プロファイルを手作業で確認して、断片的なレコードを操作し、見つけた情報をメモして比較する必要がありました。
Agentforce は、この手作業を飛ばして、瞬時にブリーフィングを生成します。Diego は結果ページから、リスト上の任意のサイトや治験責任医師のサマリーの作成を指示するだけです。
![Agentforce の [Summarise Site (サイトを要約)] と [Summarise Investigator (調査員を要約)] を使用した検索結果。](https://res.cloudinary.com/hy4kyit2a/f_auto,fl_lossy,q_70/learn/modules/agentforce-for-life-sciences-cloud/power-up-clinical-operations/images/ja-JP/434d4b22e64ccfb31add09cc0e7fd718_kix.2ks7c7g0xkp0.png)
エージェントは数秒のうちに、対象ごとに体系的な資料を作成します。サイトのサマリーには治験の実施能力と過去の登録実績の詳細が示され、治験責任医師のサマリーには資格情報と治療経験が示されます。
以下はサイトのサマリーの一例です。

このサマリーには、サイトの概要とその実施能力、過去の実績、遂行面やロジスティクス面の能力が示されます。
こうしたサマリーは、複数のレコードから抽出した構造化データと、今回の治験に固有のコンテキストを組み合わせたフローで生成されます。レコードをあちこち探し回らなくても、一貫性のあるアクション可能なプロファイルを一目で確認できるため、誰を優先すべきかについて、データに基づく迅速な判断を下すことができます。
サイトを立ち上げて、実現可能性を判断する
Diego は候補から少数のサイトを絞り込みました。この勢いに乗ったまま、先に進みます。
結果リストから、選択した施設ごとに [Add Site to Study (研究するサイトを追加)] を選択します。Agentforce が必要なレコードを作成して治験にリンクし、チーム全体の信頼できる一元的な情報源を構築します。最終候補が決まったところで、エージェントは論理的な次のステップを予測して、実現可能性評価を開始するよう促します。

エージェントとの会話に基づいて、アンケートを送信する追加のサイトを選択します。
次に、治験のコンテキストに基づいて適切な評価テンプレートを選択し、[Create Questionnaire (アンケートを作成)] をクリックします。![「Site Feasibility Survey (サイト実現可能性アンケート)」が選択されている [Create Form (フォームを作成)] タブ。](https://res.cloudinary.com/hy4kyit2a/f_auto,fl_lossy,q_70/learn/modules/agentforce-for-life-sciences-cloud/power-up-clinical-operations/images/ja-JP/52cf04cf27936ce60d84e0c73c6e361f_kix.u2dffans0p10.png)
最終確認を行うと、事前入力された評価がセキュアなポータル経由で各治験責任医師に配信され、自動的に追跡されます。
アンケートが戻ってきたら、Agentforce を使用して、入力された回答を分析し、サマリーを提示できます。

サマリーに、アンケートの最高スコア、最低スコア、平均スコアと、各スコアの回答の分布が示されます。以前は、複数のシステムにまたがるロジスティクス上の課題に何日も要していましたが、今ではシームレスなワークフローによって数分で完了します。
候補者の適合性を評価してコホートを作成する
サイトが選定されたら、次の重要なフェーズである参加者の特定に注力します。適格な患者を見つけることは、臨床試験の最も時間のかかる作業の 1 つです。従来、このプロセスはサイトを立ち上げた後に開始されていたため、期限に遅れることや、目標人数に達しないことが少なくありませんでした。
Agentforce は、候補者の適合性評価をライフサイクルの早期に移行して、この状況を根本的に変えています。インテリジェントなエージェントを活用して、参加者候補を治験の具体的な包含/除外条件に照らして評価し、募集を開始する以前に適格な候補者からなるコホートを作成します。
インテリジェントな大規模評価
Agentforce は、シンプルなデータの絞り込みをはるかにしのぐ、インテリジェントな評価プロセスをサポートします。たとえば、サイト実施可能性責任者である Diego は、患者が臨床試験の有力な候補者であるかどうかを評価したいと考えています。患者のレコードから評価を開始すると、Agentforce がすぐさまアクションを実行します。
エージェントは、事前設定されたプロンプトテンプレートを使用して、診断、投薬、デモグラフィックなどの構造化データと、臨床メモや診断サマリーなどの非構造化コンテンツからなる患者レコード全体を処理します。続いて、ロジックを適用して複雑な条件を高い精度で評価します。たとえば、次の処理を実行できます。
- 患者の生年月日に基づいて年齢を計算する。
-
時間的な制約があるデータを評価して、病状が解消され、特定の適格基準に該当しなくなった時点を特定する。
-
サマリーのテキストを解析して、メモから直接特定の臨床値を抽出して、適合していることを確定する。
- 明確な判断を下すための十分な詳細がレコードにない場合は、情報不足フラグを設定する。
手作業でレコードを精査する代わりに、Diego は数秒のうちに条件ごとに構造化された内訳を取得します。各項目に「適合」「不適合」「データ不足」のいずれかの状況が表示され、患者のレコードを基に結果を裏付ける証拠と説明も示されます。
個々の評価からプロアクティブなコホートへ
この強力な評価は、1 人の候補者に対して実行することも、サイトの電子カルテ (EMR)、提供者の紹介、治験依頼者の患者レジストリなどのソースから得られた参加者候補のリスト全体に対して実行することも可能です。このため、臨床チームがリアクティブなスクリーニングから、プロアクティブなコホート作成に移行できます。プロセスの早い段階で適格となる人々がどこに存在するかを把握すれば、以下のことが可能になります。
- 選定した各サイトで何人ぐらい募集できそうか予測する。
- 適合性の高い参加者をプロアクティブに特定して、優先的に連絡する。
- 憶測ではなく、実際の適格性データに基づいてサイト計画を細かく調整する。
Agentforce は、候補者の適合性評価を早期に実行することで、サイトの選定と登録計画の連携を強め、臨床試験の効率性と候補者の参加率を向上させます。
臨床試験の新たな標準を確立する
この単元では、Agentforce が臨床試験の設定において、適切なサイトの選定と候補者の適合性評価という 2 つの重要なステップをどのようにサポートするかを見てきました。Agentforce はこの 2 つのワークフローをワークスペースにまとめて、チームの作業効率を高め、手作業を減らし、自信をもって判断できるようにします。
次は、患者サービスプログラムに目を向け、Agentforce が治療の開始、給付確認、プログラムの成果をどのようにサポートするか見ていきます。