公益事業会社、エネルギー会社、廃棄物処理会社の種類を学ぶ
学習の目的
この単元を完了すると、次のことができるようになります。
- さまざまな公益事業者の種類を挙げる。
- 公益事業会社、エネルギー会社、廃棄物処理会社の種類を説明する。
公益事業の基本
公益事業の 3 種類の商品と、公益事業者が商品を生産して顧客に届ける仕組みを見ていきます。
電気
電気は発電から始まります。従来の発電事業者は、石炭燃料、原子力、再生可能エネルギー源から電力を生産する公益事業会社です。
以下の画像は、電力の生産から配電までのプロセスを示しています。
発電された電力は多くの場合、低電圧から高電圧に変換されるため、送電線で長距離にわたって効率的に送電することができます。電力が最終目的地に近づくと、配電変圧器によって高圧電力から低圧電力に再び変換され、最終使用地点の顧客に届けられます。大口の商工業用顧客は、送電線から直接電力を引くこともあります。
一部の市場では、顧客が分散型エネルギー資源 (DER) システムを使用して自家発電を行います。DER は、住宅やビジネスなど、電気が使用される場所の近くに設置される小規模な発電または貯蔵システムです。
市場によっては垂直統合公益事業者とも呼ばれるエネルギー小売事業者が顧客に電力を販売します。太陽光発電 (PV) ソーラーパネル、電気自動車 (EV)、マイクログリッドを使用して、オンサイトで発電し、貯蔵する顧客もいます。また、このような顧客は電力を電力会社に売り戻すことも可能です。
ガス
天然ガスは、暖房、調理、発電のエネルギー源として使用される再生不可能な炭化水素ガスで、天然ガスは複雑な段階を経て生産されます。最初に化石燃料とバイオ燃料が抽出されます。続いて、燃料を臭気化、圧縮、計量、液化の順で処理します。最後に処理済みのガスが商品市場に販売されます。
以下の画像は、天然ガスの生産から供給までのプロセスを示しています。
送出ネットワークで高圧ガスを大口の工業用顧客、ガス発電事業者、または貯蔵施設に移動します。貯蔵施設にガスが備蓄されます。
供給会社が送出会社からガスを受け取り、顧客に供給します。供給会社は市場によって、独占企業である場合と、競争市場で小売企業として運営される場合があります。競争の激しいガス市場では、小売事業者やガス供給事業者が導管事業者からガスを購入し、顧客の建物への供給を委託することもあります。
水
以下の画像は、水の調達と顧客への供給がどのように行われるかを示しています。また、顧客から廃水を集め、処理施設に送る仕組みも示されています。
公益事業者は、取水と処理によって、河川や貯水池、水処理プラント、サービス貯水槽から水を調達します。処理水は、顧客に配水する前に貯水施設に貯蔵されます。
ガスと同様に、規制緩和された水道市場では、小売事業者または公益事業会社が配水事業者から水を購入し、家庭用または商業用の上水道ネットワークを介して配水を委託することがあります。小売事業者は顧客と契約を結んでおり、水の消費量と廃水排出量に対して請求を行います。廃水は、下水または汚泥処理施設での処理と貯蔵のために、下水道ネットワークを介してシステムに送り返されます。
公益事業会社、エネルギー会社、廃棄物処理会社の種類
公益事業の機能についての理解が深まったところで、次は顧客の公益事業サービスのニーズに応える事業者について検討します。このセクションでは電力業界について説明しますが、ガス業界と水道業界にも同様の事業者があります。
発電会社、送電会社、配電会社
発電会社、送電会社、配電会社はそれぞれ、エネルギーの生成、送電、配電を専門としています。
発電会社は、太陽光、風力、原子力、石炭、石油、天然ガスなどの主要なエネルギー源から電力を生み出します。電力業界で発電は、貯蔵前、または送電や配電などを通じて顧客に供給される前の段階を言います。
送電会社は、発電所から変電所へ電気エネルギーを大量に移動することを専門とします。この時点で、配電会社が配電ネットワークと呼ばれる相互接続された電線を使用して電力を引き継ぎます。送電と配電を組み合わせたネットワークは、北米では Grid、英国、インド、タンザニア、ミャンマー、マレーシア、ニュージーランドでは National Grid として一般に知られています。送電会社は、配電会社と一緒になっている場合や、配電会社として機能する場合があります。
配電会社は、送電系統から個々の顧客に電気を送ることによって電力を供給します。配電変電所は高圧送電系統に接続し、変圧器を使用して送電電圧を 2kV ~ 35kV の範囲内の中電圧まで下げます。
電気事業者と小売電気事業者
電気事業者と小売電気事業者は、商品市場から電力を購入して顧客に販売する会社です。電力供給の自由競争を推進するために、多くの国で電力市場が規制緩和されています。今日の競争の激しい電力市場において、電力小売の役割は統合公益事業の管理から収益創出と危機管理へと変わりました。
現在、小売電気事業者は、電力を固定価格または変動価格で顧客に提供し、スポット市場または電力プールからの電力購入に伴うリスクを管理しています。競争市場または自由化されたエネルギー市場と呼ばれる規制緩和市場で、顧客は次のことができます。
- 競合する数種の電気事業者の中から選ぶ。
- 風力や太陽光などの再生可能エネルギー源から発電された電力を購入する。
- 他の関連商品やサービスを購入する。
電気協同組合
電気協同組合 (co-op) は、サービスの提供を受ける顧客が所有する民間の非営利公益事業です。協同組合は有料で電気サービスを提供し、選出された理事会によって運営されています。協同組合には、配電協同組合と発送電 (G&T) 協同組合の 2 種類があります。
- 配電協同組合は、組合員 (所有者) に電力を供給します。
- G&T は、自家発電を通じて、または配電組合員のために電力を購入して、卸売電力を配電協同組合に提供します。
協同組合は通常、電力を供給するための投資家所有または地方自治体の公益事業が近くにない地方に設立されます。電気協同組合の例として、ミシガン州の Great Lakes Energy Cooperative やユタ州の Dixie Power があります。
エネルギーサービス会社
エネルギーサービス会社 (ESCO) は、顧客施設のエネルギーの節約、エネルギー費の削減、運営メンテナンス費の削減を目的としたプロジェクトの考案、開発、構築、資金調達を行います。一般に ESCO は、広範囲にわたる省エネ対策 (ECM) のプロジェクト開発者の役割を担い、プロジェクトに関連する技術的リスクとパフォーマンスリスクを負います。
投資家所有の公益事業
投資家所有の公益事業 (IOU) は、投資家に利益をもたらすことを目的とした民間の電気・天然ガス事業者です。IOU は、利益を株主に分配するか、再投資します。公益事業委員会は、一部の顧客の参加を得て、料金を規制し、設定します。IOU は契約を通じて電力を購入します。また独自の発電設備も持っています。最も大きな種類の電気事業者であり、顧客層も複雑です。IOU の例として、オハイオ州の FirstEnergy やカリフォルニア州の Pacific Gas & Electric があります。
公益事業
公益事業または地方自治体が所有する公益事業は、非営利の地方政府機関です。費用を回収し、利益が生じるサービスを地域社会に提供します。この利益は新しい施設への投資に回されます。公益事業の管理は地元の選挙で選ばれた議員や公務員によって行われます。
公益事業は、料金の引き下げ、地域貢献、業務効率の改善を通じて、余剰資金を顧客に還元することができます。料金は公益事業の運営組織または市議会によって設定されます。公益事業は独自の発電施設を運営するか、契約を通じて電力を購入します。公益事業の例として、ミネソタ州の Breckenridge Public Utilities やバーモント州の Burlington Electric Department などが挙げられます。
まとめ
この単元では、公益事業の各種の商品と、公益事業会社が商品を生産して供給する仕組みについて学習しました。また、投資家所有、地方自治体所有、協同組合など、さまざまな種類の公益事業会社が世界中で運営されていることを確認しました。こうした企業は、地域社会のエネルギー、ガス、水道、廃棄物のニーズを満たすように努めています。
次の単元では、企業が市場内でどのように運営されているかを学習します。