サービス総計値戦略の作成
総計値ベースラインの確立
サービス総計値についての理解を深めた Sita は、その知識を活用するためにコンタクトセンターに目を向けます。Ursa Major のカスタマーサービスの効果についてより適切なインサイトを得ることができないだろうかと、カスタマーサービスマネージャーの Ryan De Lyon に連絡してみると、
Ryan もサービス総計値について考えながら寝付けない夜を過ごしていることがわかりました。Ursa Major では、しばらく少数のごく標準的な総計値に重点を置いてきました。それらの総計値を次の表に示します。
総計値 | 意味 |
平均処理時間 (AHT) | チームまたは特定のエージェントが顧客のケースを解決するためにかかった時間。 |
顧客満足度 (CSAT) | 通常は接触後のアンケートで測定される。お客様がカスタマーサービスとやり取りした後の全般的な満足度を測定します。パーセントまたは数字 (通常は 1~10) で測定できます。 |
初回解決率 (FCR) | パーセンテージで表される。カスタマーサービスとの初回接触で解決されたケースの割合を測定します。 |
初回応答時間 (FRT) | カスタマーサービスがお客様の問い合わせに初めて応答するまでにかかったた時間。 |
ケース総数 | 一定時間にコンタクトセンターに入ってきたケースの合計数。 |
ただし、Ursa Major の状況が変わりました。ビジネスは進化し、拡大したのですが、新しい範囲を反映する新しいサービス総計値を必ずしも導入したわけではありません。総計値について言えば、ビジネスが急増する前とほとんど変わっていません。Ryan は変更が必要かどうかを夜遅くまで考えていたので、
サービス総計値について話がある Sita から連絡があったときには、自分の懸念について話し合うことできると喜びました。
Ursa Major のサービスの進化
Ryan は Ursa Major とそのコンタクトセンターがこれまでどのように変化してきたのかを簡潔に描写することから始めました。2000 年代前半には、数十人の従業員を抱える地方企業でした。カスタマーサービスは、電話でさまざまな依頼に対応する少数の従業員で構成され、主要総計値として、電話件数、AHT、CSAT、FCR を使用していました。

ただし、2000年代後半にはビジネスが急に伸びだし、クリーンエネルギーの重要性を強調する人々が増え始めました。会社が大きくなり、提供する製品数が増え、テリトリーも拡大し、今では数百人の従業員を抱えています。12 人の従業員がいるカスタマーサービス部門は、2000年代初期の会社の規模とほぼ同じになりました。現在、電話、メール、チャット経由の依頼や現場からの依頼に対応していますが、総計値は変わっていません。
古い総計値では十分でない理由
Ryan は、ほぼ 10 年間変わっていない Ursa Major のサービス総計値は見直しが必要であると考えています。その理由を説明するために、一般家庭および業務用ソーラーシステムの完全請負という最も利益の多い新商品について Sita に話をします。
Ursa Major はソーラー機器の販売から始まりましたが、最近はこのような完全なシステムの販売で多くの成功を収めています。購入者が素早く設置できるようになっており、設置後は何もする必要がない優れた商品です。一方、個々の機器の場合、購入者が部品を取り付けることができるか、そして正常に機能するか、Ursa Major がもっと注意を払う必要があります。
人気のある新しい商品を導入しただけで、AHT と FCR という 2 つの主要なサービス総計値が低下したために、良いことのように見えますが、これは必ずしもカスタマーサービスが向上した結果ではなく、消費者にとって 1 つの部品よりも設置と管理がしやすい完全なシステムの売上増大によるものです。
Sita はその瞬間、Ryan が現在の総計値戦略についてそれほど懸念している理由と、自分が心配で夜も眠れない理由を理解しました。サービスレポートは、社内で他に起こっていることに対する大きな反応ではなく、カスタマーサービス業務の健全性を示す必要があります。Sita が求めているのは高い顧客満足度とロイヤルティです。それらの特性を評価できる信頼性の高い総計値を使用しなければ、その目標に向かって進んでいると、どうして確信を持てることができるでしょうか?
Ryan がこのことについて検討したのは明らかなので、Sita はこれを特別プロジェクトとして扱うように指示します。Ryan は既存の総計値の監査を行い、欠点を特定して修正案を報告することになります。
重要な総計値の特定
これはまさに Ryan が望んでいたような自由です。Sita の賛同を得て、Ryan はさっそくいくつかの領域を取り上げます。
まず最初に、Ryan はコンタクトセンターでの自分の経験から、総計値が行動を促す場合があることを知っています。つまり、平均処理時間を測定すると、短時間のやり取りを奨励していることになります。お客様はカスタマーサービスと何時間も電話していたくはないので、表面上はお客様にとって良いことです。ただし、早く電話を切るというプレッシャーをエージェントに与えることにもなります。お客様の問題を本当に解決する前に電話を切ってしまうことがあり、これは Ursa Major が設定した顧客中心の目標に反します。
次に、Ryan はお客様の評価を行います。完全なソーラーシステムの導入により、B2B 販売および精通したソーラー顧客と比較して、消費者基盤における新規小売客の割合が高くなりました。
さらに、Ryan は Ursa Major の会社の目標とカスタマーサービスの目標を考慮します。Sita は最も重要なのは、お客様、そしてお客様が満足することであると明言しました。満足している顧客は忠実な顧客を意味し、忠実な顧客はソーラーパネルの増加を意味し、ソーラーパネルの増加は環境意識の向上を意味します。
最後に、現在 Ursa Major では前の単元で説明したような内部に重点を置く総計値が使用されていません。すべての総計値の重点はお客様にあり、コンタクトセンター内部に目を向けるものがありません。Ryan はサービス全体をもっとよく把握するために、それを変えたいと考えています。
サービス総計値戦略の決定
Ryan はじっくりと検討した徹底的な計画を Sita に提出します。彼は基本的な総計値のグループを特定し、それらの総計値が Ursa Major のカスタマーサービス目標の達成にどのように役立つかをまとめました。
提案する総計値 | ビジネスにどのように役立つか |
顧客満足度 (CSAT) | これは Ursa Major のカスタマーサービスの優れたベンチマークであり、収益の総計値です。また、CSAT は全般的な効果を測定する優れた基準ですが、Ryan は CSAT がコンタクトセンターと Ursa Major で行われる他の種類の活動による影響を受けることを知っています。 |
エージェント満足度 | お客様は Ursa Major にとって大切なものですが、従業員も大切です。Ryan は、コンタクトセンターの従業員を対象に、全般的な満足度と会社に対する感情を評価するために、四半期ごとの満足度アンケートの実施を開始したいと考えています。 |
ケース総数とバックログ率 | ケース量を追跡することにより、Ryan はスタッフのワークロード (ケースの合計数) とお客様の問題が解決されているかどうか (バックログにあるケースの割合) の 2 つを把握することができます。 |
ネットプロモータースコア | Ryan は CSAT と共に、エージェントの指針となる総計値として NPS を使用したいと考えています。エージェントが顧客を最優先するよう、AHT や FCR などよりも、これらの統計に基づいてエージェントを評価します。NPS の高いエージェントは、お客様を喜ばせているだけではなく、ブランドイメージも向上させています。 |
解決時間 | これは、Ryan に多くの潜在的な問題を示唆する危険信号です。解決時間が長くなれば、エージェントの仕事量が多すぎるか、仕事が複雑すぎることがわかります。また、お客様のケースが迅速にクローズされていなければ、顧客満足度の低下につながる可能性があります。 |
エージェントの離職 | Ursa Major には成長計画があります。つまり、エージェントの数が増えるということです。それは良いことです。ただし、採用は退職者の穴埋めをするためではなく、増員のためである必要があります。エージェントの離職は、この点を考慮するのに役立ちます。 |
Ryan は以上が基本的な総計値となるが、これらのみに重点を置くわけではないことを Sita に説明します。Sita は、新戦略に内部総計値と外部総計値の両方が含まれていることを気に入り、Ursa Major Solar には最適だろうと同意します。総計値を Maria に引き渡し、それらの実装方法を考えるときがついにやって来ました。