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スクラムについて

この単元を完了すると、次のことができるようになります。

  • スクラムの主要な特性を説明する。
  • スクラムの価値を挙げる。
  • Salesforce でのスクラムの役割を説明する。

Salesforce では 2 種類のワークフローを使用しています。それがスクラムと Kanban です。これらについては、「Salesforce のアジャイルの基礎」モジュールで説明しましたが、ここでは、両方のプロジェクト管理プロセスについて詳しく掘り下げ、どのようにこれらが Salesforce での成功の要因になっているかを説明します。

Salesforce 方式のスクラムを使用した成功

「Salesforce のアジャイルの基礎」モジュールで見たとおり、スクラムプロセスは Salesforce で使用している特に人気のあるアジャイルフレームワークの 1 つです。2006 年に実装され、現在も Salesforce の 70% のチームがよく使用するフレームワークです。 

Salesforce でのスクラムの使用方法について手順を追って説明する前に、スクラムが何であるかについて簡単におさらいしましょう。スクラムは、役割、ミーティング、成果物が明確に定義されているワークフローで、このプロセスではチームは継続的に製品とプロセスのテストと改良を行うことができます。 

スクラムの主要な特性は次のとおりです。

  • 顧客に高品質な価値を提供するフレームワークです。
  • すべての人が小規模な部門横断チームに編成されています。
  • チームは短い反復 (スプリントと呼びます) によって作業します。

スクラムの価値

スクラムには 5 つの基本的価値があります。それらを見ていきましょう。

1. 重点的に取り組む 

「Salesforce のアジャイルの基礎」モジュールでは、Salesforce での業務は複雑で未知の要素が多いことを説明しました。時間どおりに価値のある成果を出すには、プロセスの全体を通じて集中し続けることが重要です。Salesforce にとって、それはどのようなものでしょうか?

  • 人々が個別に異なる作業項目に取り組む代わりに、Salesforce では、すべてのことについてコラボレーションします。チームは協力して 1 つの作業を完了してから、次の作業へと移ります。
  • チームが取り組むべき最も重要な項目に集中できるように明確な優先順位を設定します。
  • すべてのチームがスプリント計画に同意します。責任を共有することで、チームは、個人の進行状況ではなく成果に集中するようになります。
  • 製品の明確なビジョンを作成し、チームの 1 日の予定を知らせます。

2. 勇気

リスクを負うことは、イノベーションの必須要素です。そして、リスクを負うには勇気が必要です。この種類の勇気を促進するために、Salesforce ではチームに次のことを求めています。

  • 進行状況について透明性を保ち、支援が必要なときには発言します。
  • 想定が間違っていた場合、または間違いや新しくわかったことがある場合には報告します。

チームとしてプロジェクトに取り組むと、新しいことに挑戦しリスクを負う勇気を持つことができます。 

3. 率直さ 

透明性は、コラボレーションと成功を促進するための鍵です。Salesforce では次のような方法で率直さを維持しています。

  • 1 つのチームとして作業するときには、常にそのときの状況を言葉で表し、障害にフラグを付け、懸念を声に出して長引かないようにします。
  • チームは、お互いに助けを求めたり与えたりすることで支援し合うことができます。
  • チームメンバーは、タイミング、計画、障害、取り組み方法、何に取り組んでいるかについて、正直に明確にします。これによって、望ましくないことに驚いたり、完了直前に大慌てしたりすることがなくなります。
  • チームが率直であれば、自分たちが間違っているときにそれを認め、間違いを正すことで、改善して前進できます。

4. コミットメント

チームがプロセスに責任を持つと、成果について主導権を握ることができます。コミットメントは、特定のマイルストーンまでに一定の範囲を提供する約束として定義されるのではありません。Salesforce ではコミットメントを次のように定義しています。

  • 信頼: 各チームメンバーは、個人の業績ではなくチーム全体としての成功に取り組みます。
  • スクラムのようなプロセスを選択することはコミットメントです。それがチームの意思決定であり、全員がなぜそれを使用するかを理解していれば、チームはそのプロセスを継続して使用する可能性が高まります。
  • 継続的な改善が目標であれば、チームは常に新しい情報や経験的データに基づいて新しいことを試すことに前向きです。
  • チームは作業項目、作業契約、完了定義、役割について一緒に決定します。そして、全員がそれらの決定を尊重します。

5. 敬意 

一緒に働き、成功や失敗を共にすると、お互いを尊重し、全員の貢献を尊重するようになります。

  • これには、多様な経歴や経験を尊重することも含まれます。
  • 誰もが誠意をもって行動していることを前提にすれば、より生産的な会話を行い、衝突を迅速に解決できます。
  • すべての意見や視点を尊重し、すべての声に耳を傾ければ、より堅牢な製品やチームを作ることができます。

Salesforce でのスクラムプロセスの実例

前のモジュールでは、スクラムプロセスによって、リスクを負うことによって発生する可能性のある損害を修正するのに十分な情報をリアルタイムで得られることを学習しました。これによって、製品とプロセスを改善しながら継続的にイノベーションを行うことができます。

つまり、スクラムによって次のことが促進されます。

  1. 各スプリントでは何らかの成果物またはデモを実現し、チームが成果物についてのフィードバックを頻繁に収集できるようになります。(これによって、継続的にイノベーションを行うことができます。)
  2. すべてのスプリントで毎日継続的に自分自身、チーム、成果を改善できます。
  3. 有能なチームを編成し、チームがすべての意思決定を行います。
  4. 障壁を追跡し、確実に排除する担当者を 1 人任命します。
  5. チームの作業予定とプロジェクトの優先順位を設定するために 1 人を任命し、チームが重要な事項に集中できるようにします。

スクラムの役割: 誰が何をするか

Salesforce でのスクラムの役割は役職ではなく、チームメンバーが負う責務のリストです。これらの役割の概要を次に示します。

スクラムリーダー

スクラムリーダーはチームの鏡のような存在です。この人は、各メンバーが各自のコミットメントに責任を持つようにし、それが行われていないときには指摘します。プロセスとプロジェクトの検査と適応の方法など、チームの実施プロセスを管理します。それと共に、チームが優れた能力を発揮するためのコーチングも行います。

さらに、チームのコミュニティ構築に取り組み、チームが成長し互いに信頼するのを支援し、より良いコラボレーションが可能になるようにします。

Salesforce のスクラムリーダーは次のことを行います。

  • 阻害要因を排除する。
  • 細かすぎる管理は行わない。
  • チームの悪い習慣や非効率なプロセスを修正する。
  • チームが協力して高いパフォーマンスを達成できるようにする。

従来、スクラムリーダーはエンジニアリングマネージャーでしたが、今は変わりました。多くの場合、スクラムリーダーは一般従業員でもあります。Salesforce では、スクラムリーダーであることはフルタイムの仕事というよりも追加された責務であり、誰もが新しいリーダーシップスキルを開発するチャンスです。

製品所有者

製品所有者はプロセスの内容と理由に責任を持ちます。この人は、お客様と緊密に連携して、お客様が Salesforce への投資に対して大きな効果を得られるようにします。そのために、製品のバックログに優先順位を付け、価値が最も高い作業を伝えます。また、優先順位の付いた作業リストを提供することによって、ビジョンを社内チームに伝えることにも責任を持ちます。このリストを製品バックログと呼びます。

Salesforce では、製品所有者は次のことを行います。

  • ステークホルダー、チームメンバー、スクラムリーダーの間のコミュニケーションを促進する。
  • チームの作業を定義、優先順位付け、承認する。
  • お客様と連携して、希望する機能を定義する。

スクラムリーダーと同様、Salesforce のほぼ全員が製品所有者になることができます。この役割を果たしているマネージャー、技術リーダー、製品マネージャーがいます。

チーム

チームは小規模で俊敏 (アジャイルと呼ばれる所以です) に保つために 3 ~ 9 人にします。Salesforce では、すべてのスプリントの終了時にプロジェクトを完了できるように、多様な専門知識を持ったメンバーでチームを構成しています。多様な専門知識があるということは、適切な人材が揃っているということです。そのため、スプリントごとにプロジェクトのゴールラインに到着できます。つまり、ほかのチームに支援を求める必要がありません。

Salesforce では、チームには次の特徴があります。

  • 自己組織化され権限を持っている。
  • 学んだ教訓に基づいてプロセスと製品を継続的に調整および更新する。
  • 自律的である。
  • 個別に責任を負う。
  • 各スプリントのコミットメントについてコラボレーションを行う。

共有サービスの専門分野エキスパート (SME)

Salesforce のような大規模な会社では、製品とサービスの提供について、専門分野のエキスパート (テクニカルライターやデザイナーなど) からの支援を受けます。専門分野のエキスパートは、多くの実施チームに協力してプロジェクトに必要な最新の情報やデータを提供します。

テクニカルプログラムマネージャー (TPM)

TPM は各クラウド (Service、Sales、Marketing、Platform) のリーダーシップレベルで作業し、多くの場合、概要レベルでのクラウドの連動関係の追跡やその他のロジスティクスの問題に取り組みます。対象はすべてのクラウドのプログラムに及ぶため、TPM は多忙です。

部門マネージャー

マトリックス組織において、部門マネージャー (エンジニアリングマネージャーなど) がスクラムチームに参加することができます。その場合、部門マネージャーはスクラムリーダーまたは製品所有者としての役割を果たすことがよくあります。どの役割を担う場合でも、Employee Success のすべての人材および組織の問題について責任を持ちます。

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