Agentforce について: 無制限のワークフォース
学習の目的
この単元を完了すると、次のことができるようになります。
- Agentforce とは何か、そして Salesforce のエージェントが他の AI ツールとどう違うのかを説明する。
- Agentforce が従業員を支援しつつワークフォースをどのように拡張できるのかを説明する。
- エージェントが機能するための 5 つの構成要素を挙げる。
Agentforce とは何か
タスクを支援する自律型 AI エージェントがチームと共に商談を進めてくれるデジタル労働力を想像してみてください。それを実現したのが Agentforce です。
エージェントとは、AI の力を借りて、事前に設定された安全な境界内で思考し、行動し、意思決定できる新しいタイプのソフトウェアです。デジタルアシスタントのように、いつでも人間の従業員を助けてくれます。エージェントは従業員の生産性を大きく高めるだけでなく、タスクを自律的に処理することによって、チームの能力と対応力を拡張します。
Agentforce は、カスタマイズ可能なエージェントとツールのスイートであり、それぞれの会社で従業員や顧客を 24 時間 365 日サポートする、独自の自律型エージェントを構築できるようにします。
Agentforce では次のことができます。
- 信頼できるデータでグラウンディングされた AI の力を活用し、繰り返し作業や複数ステップのタスクを、あらゆるチャネルでいつでも自律的に実行する。
- 必要に応じてタスクをスムーズに従業員に引き継ぎ、人間の判断と自動化の最適なバランスを実現する。
- 自然言語による指示と使いやすいローコードツールを使用して、エージェントを作成してカスタマイズする。
こうした機能は、従業員や顧客に対して具体的にどのような恩恵をもたらすのでしょうか? すぐに使えて簡単にカスタマイズできる Agentforce の事前構築済みスキルをいくつか紹介します。
-
Service Agent: 従来のチャットボットの後任となる AI で、応答をハードコーディングしなくても幅広いサービスの問題を処理できます。これにより、エージェントと顧客の間に動的で自然な会話を実現し、カスタマーサービスの効率を高めます。
-
Sales Development Representative (SDR): 24 時間いつでも見込み客にエンゲージし、CRM データや外部データを基に質問に答え、オブジェクションに対処し、ミーティングをスケジュールして、営業担当が確固たる顧客関係の構築に注力できるようにします。
-
Sales Coach: 営業チームにパーソナライズされたロールプレイセッションを実施します。Salesforce データと生成 AI を使用して、営業担当が特定の案件向けのセールストークやオブジェクションへの対処を練習できるようにします。
-
Merchandiser: e コマースのマーチャンダイザーのサイト設定、目標設定、パーソナライズされたプロモーション、商品説明、データドリブンのインサイトを補佐し、日常業務を簡便にします。
-
Buyer Agent: B2B 購入エクスペリエンスを改善します。バイヤーが商品を見つけて購入し、チャットやセールスポータル内で注文を追跡できるようにします。
-
Personal Shopper: e コマースサイトやメッセージングアプリケーションでデジタルコンシェルジュの役割を果たします。パーソナライズされた商品のおすすめを提示したり、検索クエリで助けたりします。
-
Campaign Optimizer: キャンペーンのライフサイクル全体を自動化します。AI を利用して、ビジネス目標を基にマーケティングキャンペーンを分析、生成、パーソナライズ、改善します。
Salesforce のエージェントと他の AI ツールとの違い
多くの企業が自社で AI を構築しようとするものの、ビジネスに役立つモデルに育てるための学習コストの高さに驚くことがよくあります。また、一般公開されている AI ツールを使用すると、機密データが漏洩するというリスクも決して小さくありません。ですが、実は AI の基盤をゼロから構築する必要はありません。なぜなら、信頼性が高く効果的なエンタープライズ向け AI を構築するためのコンポーネントは、Salesforce が Agentforce としてすべて提供しているからです。
ここでは、ビジネスのユースケースにおいて他の AI ツールよりも Agentforce が優れている 3 つの理由を紹介します。
セキュリティとコンプライアンス
Agentforce はアクセスコントロールを重視し、倫理基準を満たすよう設計されたガードレールを備え、Einstein Trust Layer と統合されています。Einstein Trust Layer は、センシティブな顧客データやビジネスデータを保護し、AI のやり取りや応答が安全かつコンプライアンスに準拠することを保証するセキュリティフレームワークです。
公開 AI ツールを使用すると、データ侵害、悪意のあるコンテンツへの接触、センシティブな情報の不正利用など、セキュリティリスクが生じる可能性があります。
会話の柔軟性とコンテキスト
Agentforce は信頼できるすべてのデータやビジネスプロセスと接続され、業種や顧客ごとのコンテキストに応じて、適切な応答やアクションを導き出すことができます。つまり、Agentforce のすべての応答とアクションは、顧客やビジネスとの関連性が高く、有用であることが保証されます。
データと連携していない他の AI ツールでは、Agentforce と同じレベルの適合性や柔軟性を提供することが難しく、ビジネスや顧客のニーズをコンテキストに基づいて理解することができません。
設定とトレーニング
Salesforce のエージェントは、最小限の設定とトレーニングしか必要としません。既存の Salesforce のベストプラクティスやプラットフォーム機能を活用し、ローコードツールによって、特定のビジネスニーズに応じて柔軟にカスタマイズして適応させることができます。一方、他の AI ツールでは、特にハードコードされたダイアログに基づくものでは、大規模な設定やトレーニングが必要になる場合があります。
エージェントのしくみ
このトレイルでは技術的な詳細には深入りしませんが、基本的な部分は押さえておきましょう。
Agentforce のエージェントは、次の 5 つの主要な要素で構成されています。
-
役割: これはチーム内でのエージェントの役割のことです。従業員を支援したり、行動前に許可を求めたり、あるいは自律的にバックグラウンドでタスクを実行したり、顧客に対応したりできます。
-
知識: エージェントが成功するために必要なデータです。このデータは、Data Cloud によって、CRM の顧客ケースやリードなど、あらゆる場所から取得できます。
-
アクション: エージェントが実行できる具体的なタスクです。職務内容のようなもので、エージェントに期待される行動を明確に定義します。
-
ガードレール: エージェントが役割や知識の範囲を逸脱しないように制御するルールです。より複雑な問題や繊細な問題の場合は、人間にタスクを引き継ぐべきタイミングも規定します。
-
チャネル: エージェントが実際に作業を行う場所です。CRM アプリケーションや Slack、WhatsApp のようなパートナーアプリケーション、あるいは Agentforce Action プラットフォーム上に構築されたカスタムアプリケーションなどです。
べんりでしょう? これらのコンポーネントが連携することで、エージェントは非常に効果的で頼れる存在となるのです。