商品パッケージの設定

学習の目的

この単元を完了すると、次のことができるようになります。

• Revenue Cloud の全体的なアーキテクチャについて説明する。
  
• 商品カタログのコンポーネントについて説明する。
  
• [Qualification Rules (適格性ルール)] を使用して、商品の表示を制御する。
  

Revenue Cloud のアーキテクチャ

Revenue Cloud は、オムニチャネルを通した売買のための統一された商品-to-キャッシュスイートです。Revenue Cloud は、セールスサイクルのすべてのフェーズをサポートする複数のコンポーネントで構成されています。

Salesforce Platform 上で動作する Revenue Cloud のコンポーネントを次の図に示します。

ご覧のように、Revenue Cloud では複数のコンポーネントが連携して、さまざまなタイプのエンドユーザー向けにエンドツーエンドの収益管理エクスペリエンスを提供します。商品マネージャー、マーケティングマネージャー、価格設定管理者、営業チーム、サービスチーム、そして顧客など、誰もが Revenue Cloud を使用してセールスプロセスに関わることができます。

優れたセールスエクスペリエンスは、堅固な基盤から始まります。それは、商品カタログを設定し、価格を定義することです。カタログが整備されていれば、顧客や営業担当は簡単に見積を作成および送信できるようになります。見積は契約や注文へと発展し、顧客納入商品が形成されます。最後のステップで、すべてがつながります。それが請求書の生成です。Revenue Cloud はこのプロセス全体を効率化し、関係者全員がスムーズなエクスペリエンスを享受できるようにします。

このモジュールでは、Revenue Cloud アプリケーションのアーキテクチャをはじめ、さまざまなコンテキスト定義、決定表、価格設定手順、フローを学びます。また、コンポーネントの設定方法についても学びます。

共有カタログ、API、アクション

具体的な機能を学ぶ前に、Revenue Cloud がモジュール型かつスケーラブルな収益管理ソリューションとなっている特長を理解しましょう。

共有カタログ

商品カタログ管理は、商品情報を保存するための共有カタログを定義するための Revenue Cloud のコンポーネントです。カタログを作成したら、Salesforce 価格設定を使用して商品の価格を設定します。複雑な商品については、商品コンフィグレーターを使用して、商品選択時に設定できるようにします。たとえばスマートフォン商品の場合、顧客が商品選択時に色やストレージ容量を選べるように設定できます。Revenue Cloud の他のすべてのコンポーネントは、この共有カタログの商品および価格設定データを使用します。

エンドユーザーは通常、顧客または営業担当であり、商品カタログを閲覧して商品を選択し、見積を作成します。また、複雑な商品を設定することもできます。契約が締結されると、自動化されたプロセスによって見積が注文に変換され、注文が納入商品として履行されます。さらに、ビジネスニーズが常に変化する中で、共有カタログは見積、注文、契約の改訂、更新、キャンセルのプロセスをサポートします。請求管理は、顧客に提供された商品やサービスに対して税金を含めた請求書を生成し、売上を収益化します。これらすべての Revenue Cloud コンポーネントは、商品カタログの同じ商品データを使用します。

拡張可能な API

拡張可能なプラットフォームとして構築された Revenue Cloud は、API ファーストのアプローチに基づいています。直感的で設定可能なユーザーインターフェースに加え、商品から収益化までのプロセス全体にわたって拡張可能でヘッドレスな API ファーストのビジネスコンポーネントを提供します。API を使用すると、複雑な商品バンドルや商品構成などのビジネスプロセスを自動化できます。他のクラウドサービスも、これらのコンポーザブル API を使用して Revenue Cloud の機能にアクセスできます。

呼び出し可能なアクション

Salesforce Platform の呼び出し可能なアクションは、再利用可能なアクションを作成するための強力なツールです。アクションはプロセスをカプセル化することで、Salesforce 環境のさまざまなアプリケーションや外部アプリケーションから呼び出せるようにします。Revenue Cloud のコンポーネントは、これらの呼び出し可能アクションを使用してプロセスを自動化し、他の Salesforce アプリケーションや外部アプリケーションでも利用できるようにします。

商品カタログのビルディングブロック

まずは、商品カタログと商品の表示設定を理解することが重要です。商品カタログ管理では、共有カタログの設定プロセスは主に 4 つのフェーズで構成されます。

• 商品とその属性を定義する。
  
• 商品を分類するために再利用可能な商品カテゴリを作成する。
  
• バンドルおよび商品パッケージを構築する。
  
• 商品の表示、パッケージ化、属性設定を制御するルールを設定する。
  

Salesforce 価格設定、取引管理、Dynamic Revenue Orchestrator、請求管理などの Revenue Cloud コンポーネントも、この共有カタログを使用します。商品カタログの主なパーツは次のとおりです。

まず、すべてのオブジェクトを格納するコンテナとなる商品カタログを作成します。次に、商品属性を作成します。その後、商品バリエーションを作成するためのテンプレート (商品分類と呼ばれます) を作成します。商品は、単独の商品としても、バンドル商品としても設定でき、柔軟でスケーラブルな市場参入 (GTM) オプションを提供します。

見積を作成する際、顧客や営業担当は、商品画像、説明、商品属性、価格、購入オプションを含む商品および商品バンドルを 1 つの包括的なビューで確認できます。この整理された商品閲覧エクスペリエンスにより、営業担当と顧客は最適な商品を効率よく探し出すことができます。

商品画像、説明、その他のソリューション機能を使用した商品カタログの例を示します。

カテゴリは、ラップトップ、デスクトップ、付属品など、関連する商品を整理してグループ化します。

適格性ルールと商品の表示設定

世界各地では、さまざまな種類の電源プラグが使用されています。顧客がカタログで電源プラグを検索する際、最適な購入エクスペリエンスを実現するには、その地域に関連するプラグのみが表示される必要があります。適格性ルールは、さまざまな顧客要件に基づいて、商品や商品カテゴリを「適格」または「非適格」と判断します。これらのルールを設定しておくことで、顧客に常に適切な商品が表示されることが保証されます。

商品の適格性ルールは、地域、取引先属性、顧客タイプなど、さまざまな条件に基づいて、どのユーザーにどの商品や商品カテゴリを表示して選択できるようにするかを制御します。適格性ルールを使用すると、特定の商品や商品カテゴリ全体を、条件に応じて表示または非表示に設定できます。これらのルールは、オブジェクト、決定表、適格性ルール手順、コンテキスト定義など、複数の要素に基づいて構築されます。

オブジェクト

商品カタログ管理では、適格性ルールを定義するために次のオブジェクトが用意されています。

Revenue Cloud のデータモデルは拡張可能であるため、さまざまな業種や固有のビジネスニーズに対応できます。たとえば、通信、製造、メディア、金融など特定の業種で事業を行う取引先に対して商品の利用可否を定義する場合は、ProductQualification オブジェクトを修正して、カスタム項目を追加します。このシナリオでは、データ型を [Picklist (選択リスト)] とした [Operating_Industry (業種)] 項目を追加できます。この情報は、適格性ルールの設定に関与する他のコンポーネントによって使用されます。

決定表

Salesforce では、決定表を使用してビジネスルールの結果を実装します。たとえば、決定表を使用して、特定の商品属性に基づいて割引を計算できます。

商品カタログ管理では、決定表を使用して、商品および商品カテゴリの適格および非適格の基準を定義します。

あらかじめ定義されたテンプレートを使用して、商品やカテゴリの適格、非適格を判定する決定表をすばやく作成できます。これらのテーブルでは、オブジェクト項目に基づいてルールを定義し、条件を設定して結果が「適格」または「非適格」のどちらであるかを指定できます。

適格性ルール手順

適格性ルール手順には一連のステップが含まれ、入力と出力が論理的なフローで定義されています。各ステップでは、決定表で定義されたルールを評価し、手順によって「適格」または「非適格」と判断された商品のリストを返します。

例に示されている画面では、[Evaluate Qualification (適格を評価)] ルールが表示されており、ProductQualificationDT 参照テーブルを使用しています。

このルールは [ProductID] を入力パラメーターとして取り、[IsQualified] 項目を出力として使用します。[Reason (理由)] 項目には、ルールの判断内容に関する詳細が表示されます。適格性ルール手順が期待どおりに動作していることを確認するために、シミュレーションテストを実行して結果を検証します。最後に、適格性ルール手順を有効化します。

コンテキスト定義

[Qualification Rule Procedure (適格性ルール手順)] には、データを取得するためのコンテキスト定義が必要です。この場合、対象となるのは「適格」または「非適格」を判定する商品リストです。コンテキスト定義には、属性、コンテキストタグ、マッピングに基づいた、コンテキスト構造とソースデータオブジェクトの関係が含まれます。

コンテキスト定義は、オブジェクトと適格性ルール手順の間をつなぐ中間層と考えることができます。オブジェクトのデータはコンテキスト定義にマッピングされ、コンテキスト定義の属性は手順で使用されます。この仕組みにより、手順は基盤となるオブジェクトに依存しなくなります。

任意のオブジェクトをコンテキスト定義にマッピングでき、そのオブジェクトのデータが手順を通して実行されます。

コンテキスト定義は、商品またはカテゴリのデータを適格性ルール手順に渡し、それを評価して「適格」または「非適格」として結果を返します。

Revenue Cloud には、商品の適格および非適格の判定に使用できる [ProductDiscoveryContext] コンテキスト定義が標準で用意されています。Salesforce 価格設定で定義された価格設定手順でも、このコンテキスト定義を使用して適格商品の価格を計算します。

[ProductDiscoveryContext] コンテキスト定義の構造と、その中に含まれるノードを示します。ここでノード (この例では [Account (取引先)]) を選択すると、そのノードの属性、データ型、その他の詳細が表示されます。

決定表、適格性ルール手順、コンテキスト定義を作成したら、組織の [Product Discovery (商品ディスカバリー)] 設定で、正しいコンテキスト定義が選択されていることを確認します。適切な値が選択された [Product Discovery Settings (商品ディスカバリー設定)] ページ。

ユーザーに返されるリストには、適格性ルールと手順によって特定された商品が含まれます。このように、顧客が商品カタログを閲覧する場合や、営業担当が見積に項目を追加する場合、取引先の属性に基づいて適切な商品と正しい価格が表示されます。

商品を設定し、ビジネスルールを定義したら、次は商品オプションを設定しましょう。

次の単元では、商品に設定オプションを設定し、顧客、営業担当、その他のユーザーが見積や注文に商品を追加するときに商品属性を変更できるようにする方法を学びます。

リソース

• Salesforce ヘルプ: アクションの概要
• Salesforce ヘルプ: 適格性ルールのコンテキスト定義の設定
• Salesforce ヘルプ: 適格性ルールの決定表
• Salesforce ヘルプ: Revenue Cloud での商品の適格性ルールの管理
• Salesforce ヘルプ: 商品検出設定の定義
• Trailhead: Revenue Cloud の基本事項
• Trailhead: Product Catalog Management: Quick Look (商品カタログ管理: クイックルック)