カスタマージャーニーで実験する
学習の目的
この単元を完了すると、次のことができるようになります。
- Journey Builder のパスオプティマイザーの使用方法を説明する。
- ジャーニーをテストして改善する方法を検討する。
- パスオプティマイザーのユースケースを見つける。
Journey Builder の実験
著名な科学者であるマリー・キュリーは放射能の研究によって女性で初めてノーベル賞を受賞しました。彼女は理論を打ち立て、多数の研究によって放射線の存在を証明しました。マリーを含むすべての科学者は、仮説を立てて、研究や実験によってその仮説を確かめることで私たちの世界についての知識を広げています。
デジタルマーケターも同じです。ふとした気付きを仮説に変えて、さらにそれを試すための方法を探します。ただし、科学者と同じように、仮説を試すには適切なツールが必要です。いいえ、顕微鏡や試験管ではありません。ここでのツールは Journey Builder のパスオプティマイザーです。これは、キャンペーンの目標を達成するためのさまざまなジャーニーパスをテストすることができるツールです。さっそく、科学者精神を発揮して、この新しいツールを使ってこれまでにないやり方でカスタマージャーニーの実験を行ってみましょう。
パスオプティマイザーについて
パスオプティマイザーは 2 つの変数を使用する A/B テストの枠を超えて、Journey Builder で最大 10 個のパスをテストすることができます。パスとは、ジャーニー内の一連のイベントのことです。Journey Builder でパスがどのように表示されるかを見てみましょう。
この Welcome ジャーニーの例では、マーケターが 4 つの Welcome メールをテストしたいと考えています。各 Welcome メールは同じジャーニー内の異なるのパスです。4 つのパスのうちの 1 つにはメールの 1 日後の SMS 通知も含まれています。パスオプティマイザーを使用すれば、マーケターは 4 つすべてのパスを同時にテストできます。結果がどのようなものなのか見てみましょう。
7 日間のテストの後、テスト勝者のパスが選択されました。パス 3 (フォローアップ SMS のない Welcome メールバリエーション) が開封率が最も高く、自動的にテスト勝者として選択されました。たった 7 日間でマーケターは通常であれば収集に数週間かかったであろうインサイトを得ることができました。
入念なテスト
パスバリエーションは小さなもの (件名行) にも大きなもの (異なるチャネル種別など) にもできます。可能性のあるジャーニーパスについて検討するために、テストに関するいくつかのアイデアを確認しましょう。
テストの種別 | テスト方法のヒント |
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件名行とプリヘッダー |
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パーソナライズ |
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コンテンツ |
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待機時間 |
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送信時刻 |
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チャネル |
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さまざまな業種でのユースケース
パスオプティマイザーでは、特定のエンゲージメント評価指標に基づいて自動的にテスト勝者を決定したり、独自の条件に基づいて手動で決定したりと柔軟に対応できます。これは実際の例で説明するのがわかりやすいと思います。非営利団体から消費財まで、パスオプティマイザーはさまざまな業種のユースケースに使用できます。
非営利団体
ある大規模な非営利の動物保護施設が、パスオプティマイザーを使用して年末メールキャンペーンの 3 つのパスをテストします。引き取りが成功したストーリーに焦点を当てるか (パス 1)、かわいい動物の写真を載せるか (パス 2)、引き取りが必要な年老いた動物のストーリーを取り上げるか (パス 3) が議論されています。この議論を解決するために、保護施設のメールマーケターは Journey Builder を使用して、どのメールが最も多くの支援者をエンゲージさせ、最も多くの支援につながるかをテストします。各バージョンのメールを 3 日間テストした後、マーケターは各パスの開封率と、保護施設の支援者データベースでの支援金額を分析します。開封率はパス 2 が最も高かったものの、テストによると最も多くの支援につながったのはパス 3 です。マーケターはパス 3 をテスト勝者として選択し、残りのオーディエンス (抑制オーディエンスとも呼ばれます。次の単元で詳しく説明します。) に送信します。
保険
ある保険会社が、顧客が更新のメールに加えてエージェントからの電話を受けた場合に更新の確率が上がるかどうかをテストしたいと考えています。これをエージェントに義務付ける前に、マーケティングチームはパスオプティマイザーでテストすることにします。1 つのパスは既存のメールパスを使用し、2 つ目のパスにはメール送信の翌日にエージェントが電話をかける Salesforce タスクアクティビティを含めます。保険エージェントは Salesforce を使用して日常業務を管理しているため、このタスクアクティビティによって、顧客に電話するという ToDo が Sales Cloud 内に作成されます。このプロセスを 1 か月間テストしたところ、マーケティングチームは電話は効果的であるという仮説が正しかったことを確認できました。マーケターは Journey Builder で今後のテスト勝者として 2 つ目のパスを選択しました。
消費財
ある消費財コングロマリットのマーケティング担当役員が、Einstein を利用した機械学習の潜在的な投資収益率 (ROI) をテストしたいと考えています。そこでマーケティングチームに依頼して、1 つのパスでは Einstein 送信時間最適化アクティビティを使用し、もう 1 つのパスでは固定期間の待機を使用して、どちらのタイミングがより高い開封率につながるかをテストします。開封率が高かった方のパスがテスト勝者として自動的に選択されます。テストが完了すると、開封率が高かったのは機械学習のパスでした。これでチームは確信を持って、今後のすべてのメール送信に送信時間最適化アクティビティを追加できます。
財務
ある銀行には、新しい住宅ローン申請者用に作成された既存のジャーニーがあり、その期間は数か月にわたります。銀行のマーケティングマネージャーは、申請者のエンゲージメントを高め、ローン顧客へのコンバージョンを増やすために、ジャーニーの 1 つの部分のみをテストするのではなく、3 つの部分をテストすることにします。そこで、ローンジャーニーの 3 つのテストを計画します。
- テスト1: 最初のメールに 3 つのパスのテストを設定して、メール件名行のどのバリエーションによって [詳細はこちら] リンクへのクリック数が最大になるかを調べます。
- テスト 2: 数週間後に送信する 2 つ目のメールには、別のパスオプティマイザーテストを含めます。このテストではオーディエンスを 3 つのパスに分けて、待機間隔とメッセージコンテンツブロックの両方について開封率が最も高くなるのはどれかをテストします。
- テスト 3: 最後のパスオプティマイザーテストではジャーニーを 2 つのパスに分けます。1 つのパスでは申請者が最終的な住宅ローン承認メールを受信する前に、「ローンの最終手続きを行う」という CTA を含む SMS メッセージリマインダーを追加します。この最後のテストでは、より多くのローンが承認されたパスを手動で勝者として選択します。
銀行のメールマーケターは結果に満足しています。各種テスト方法を追加してからわずか 6 か月後にはローンの承認が 2% 増加したのです。
いろいろなことを試す
実験したり新しいことを試したりすることは、科学から芸術やマーケティングまで、人生のあらゆる面での成功への鍵です。ですから、恐れずにいろいろ試してみましょう。次の単元では、ジャーニーにパスオプティマイザーを追加して、テストを準備します。