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OmniStudio の概要

学習の目的

この単元を完了すると、次のことができるようになります。

  • OmniStudio を使用してオムニチャネル型の営業やサービスにおける顧客の要望に応える方法を説明する。
  • OmniStudio デジタルエンゲージメントスイートのレイヤーと機能について説明する。
  • OmniStudio のツールを連携させる方法を要約する。

オムニチャネル型のサービスに対する要望

今日では消費者の大半が、いつでも、どこでも企業にアクセスできることを求めています。自分が誰で、どの商品を所有し、どのような経緯をたどってきたかを企業が把握していることを期待します。さらに、オンラインのショッピングやサービスにあらゆるデバイスから 24 時間いつでもアクセスできることを望んでいます。 

他方、大半の IT 組織は次のような問題により、こうした要望にうまく対応できずにいます。

  • テクノロジーが特定のチャネルでしか機能しない。
  • 商品やプロモーションが絶えず進化している。
  • トランザクションが大量で変動しやすい。
  • 複雑な規則などユーザビリティを妨げるものがある。
  • 多種のレガシーシステムが混在している。

従業員や顧客の新たなニーズに後れを取らないようにとリーダーがテクノロジーの刷新を積極的に進める中で、デジタルトランスフォーメーションが欠かせないものになっています。

Salesforce を利用する業界でも、特に顧客に直接対応する時間や頻度が限られている場合には、ありとあらゆる要望に応じきれないことがあります。限られた時間の中で最大限の成果を挙げる (つまり、顧客を満足させる) ためには、こうした対応の効率性や正確性を高め、パーソナライズされたものにする必要があります。また、顧客が選んだチャネルで最後まで対応可能であることも求められます。 

前向きな会話をしているコールセンターのエージェントと顧客

Salesforce では Sales、Service、Marketing、Commerce など部門別のクラウドのほか、Financial Services、Health、Education、Nonprofit、Public Sector Solutions、Manufacturing、Consumer Goods、Communications、Media、Energy & Utilities といった業界別のクラウドも取り揃え、スピードと俊敏性をもって対応できるようにしています。これらのクラウドソリューションには、Salesforce クラウドと、業界固有のベストプラクティスに合わせてカスタマイズされた業種別のモデル、プロセス、ソリューションが結集されています。

Salesforce では、お客様中心のトランスフォーメーションやデジタルエンゲージメントを一層推進するために、Salesforce のすべてのユーザーがガイド付きユーザーエクスペリエンスを活用できるようにする一連の設定ツールやリソースをリリースしています。  

はじめての OmniStudio

OmniStudio デジタルエンゲージメントスイートを使用すると、デジタルトランスフォーメーションが簡素化されて加速するため、お客様の柔軟性や俊敏性、そして需要の急増への対応力が向上します。 

OmniStudio のドラッグアンドドロップ設定機能を使用すれば、お客様がカスタムコードではなくクリック操作で、業界固有のガイド付きブランドエクスペリエンスを創出できます。複数のデバイスやチャネルにまたがるやり取りを可能にして随時更新し、ユーザーの生産性を向上させ、従業員、消費者、パートナーが自ら実施できることを増大させるという方法を採れば、オムニチャネル型のサービスに対する需要に簡単に対処できます。OmniStudio にはエンタープライズの他のアプリケーションやデータと統合するためのツールも搭載されています。 

Platform、Einstein、MuleSoft、Industries、AppExchange にまたがる自動化機能が OmniStudio によって統合され、効率的なエンドツーエンドのワークフロープラットフォームを実現しています。

では、OmniStudio のいくつかのレイヤーに搭載されているコンポーネントを順番に見ていきましょう。

  • デジタルエクスペリエンス
  • サービス管理
  • 開発者エクスペリエンス

OmniStudio 内のデジタルエクスペリエンス、サービス管理、開発者エクスペリエンスという個別のレイヤー。

OmniStudio の各レイヤーの独自の特長をみていきましょう。

デジタルエクスペリエンスレイヤー

デジタルエクスペリエンスレイヤーには、2 つの基本的なユーザーインターフェース (UI) コンポーネントが存在します。 

  • OmniStudio FlexCard: 顧客の取引先データのコンテキスト情報とアクションを一目で確認できる形で表示するカード
  • OmniScript: ビジネスプロセスを完了させるためのガイド付きパス

これらの宣言型ツールにより、ユーザーがわかりやすい UI を操作して充実したエクスペリエンスを実現できます。どちらも Salesforce Lightning Web コンポーネント (LWC) 上に構築されていることから、Salesforce 内で実行され、UI のパフォーマンスが向上します。 

サービス管理レイヤー

サービス管理レイヤーには、Salesforce 内外のデータの読み取り、書き込み、変換、計算、追跡を行うデータサービスが存在します。 

  • OmniStudio Data Mapper: データの取得、変換、更新を行う設定可能なサービス
  • OmniStudio Integration Procedure: 1 回のサーバーコールで複数のアクションを実行する宣言型のサーバー側プロセス

Data Mapper と Integration Procedure は、UI コンポーネントとデータのやり取りを行うものです。つまり、APEX クラス、計算エンジン、外部のアプリケーションプログラミングインターフェース (API) へのコールを統制して、プロセスで必要となるビジネスロジックを実行します。

開発者エクスペリエンスレイヤー

開発者エクスペリエンスレイヤーは、開発者が OmniStudio のコンポーネントの変更を管理したり、他の環境に移行したりするツールのアプリケーションライフサイクルレイヤーです。次の開発者ツールがあります。

  • IDX Build Tool: OmniStudio DataPack をソース管理に適した形式でパッケージ化して移行するコマンドライン自動化ツール
  • IDX Workbench: 開発者が DataPack や Salesforce メタデータを他の組織に移行したり、組織から Git リポジトリに移行したりできるデスクトップアプリケーション

簡単な移行では、開発者がコンポーネントを DataPack としてエクスポートやインポートできます。DataPack とは、エクスポートやインポートの目的で 1 つにパッケージ化された OmniStudio コンポーネントのコレクションです。たとえば、開発者が FlexCard を特定の Integration Procedure とともにエクスポートやインポートできます。  

大規模な移行や複雑な移行では、開発者が IDX Build Tool か IDX Workbench のいずれかを使用します。 

IDX Build Tool は連動関係を保持してデータを検証し、移行が成功したかどうかを確認します。 

IDX Workbench には、ユーザーが Test Procedure を実行し、各ステップのパフォーマンスをガントチャートで表示できる Test Console があります。Test Procedure は Integration Procedure の一種で、Data Mapper、Calculation Matrix、Apex クラス、さらには別の Integration Procedure など、Integration Procedure が呼び出すことができるほぼすべてに単体テストを実行します。

続いて、これらのレイヤー、コンポーネント、サービスのすべてが見事に連携するところを実際に見ていきましょう。

OmniStudio ツールを連携させる

たとえば、住所の詳細を更新する必要があり、ついでに取引先の他の詳細も確認したいという顧客がコールセンターに電話をかけてきたとします。

コールセンターのエージェントは CTI (コンピューターテレフォニーインテグレーション) 画面でコンソールページを起動し、通話者とその取引先に関する情報を表示します。ページに一連の FlexCard が示され、そこに特定のコンテキストに関連する情報とアクションが表示され、複数のソースから受信したデータも示されます。このデータには Salesforce データベースから取り込まれた内部のものもあれば、請求システムなどの外部システムから取り込まれたものもあります。 

FlexCard に接続された Integration Procedure (以下の画面では「IP」) が請求システムに API コールを実行し、取得したデータを [Billing Data (請求データ)] FlexCard に表示します。同時に、別の Integration Procedure が気象 Web サイトに API コールを実行して、顧客の所在地の現在の気温 (華氏 54 度/摂氏 11 度) を表示します。 

請求データ、天気、取引先情報の FlexCard を表示するコンソールページ。Integration Procedure は各 FlexCard に表示する内部または外部のデータを取得して保存します。

各 FlexCard にはそのデータに関連するさまざまなアクションが設定されています。この例のアクションの 1 つに、[1234 Main St. Any City, State 01234] という顧客の現在の住所を更新するプロセスを起動するものがあります。このアクションをクリックすると、住所を変更する手順とガイドラインを示すモーダルページが開きます。これが OmniScript です。Data Mapper Extract によって Salesforce の取引先オブジェクトから住所の詳細が取得されるため、このデータのほとんどは事前入力されます。エージェントが住所を「456 Second Street, Any City, State 01236」に変更し、ガイド付きプロセスを完了すると、Data Mapper Load によって変更済みのデータが元の取引先オブジェクトに保存されます。 

[Account Info (取引先情報)] FlexCard で、エージェントが Update Address OmniScript を使用して顧客の住所を変更します。

アドレスが変更されると、FlexCard に新しい住所が表示され、天気予報情報も通話者の新しい所在地に合わせて調整されます。通話者の所在地の温度が華氏 59 度 (摂氏 15 度) になりました。

コンソールの [Account Info (取引先情報)] FlexCard に通話者の更新済み住所が示され、[Weather (天気)] FlexCard にも通話者の新しい所在地に基づく異なる温度が表示されます。

すごいですよね? 

ここでは OmniStudio の全体的なアーキテクチャについて概説しました。このモジュールの他の単元では、OmniStudio のデジタルエクスペリエンスレイヤーとサービス管理レイヤーについて詳しく説明します。最初にデジタルエクスペリエンスレイヤーを見ていきます。  

リソース

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