登録者ライフサイクル管理の概要を学ぶ
学習の目的
この単元を完了すると、次のことができるようになります。
- 登録者ライフサイクルと顧客障害価値の関係を説明する。
- 登録者ライフサイクルの各フェーズを挙げる。
- 登録者とメディア企業にとってのカスタマージャーニーについて説明する。
- SLM ソリューションからメリットを得られるメディア企業の種別を挙げる。
- SLM ユーザーのさまざまなロールと責務について説明する。
始める前に
このモジュールを始める前に、次の推奨コンテンツを完了することを検討してください。
顧客を中心に据える
少し時間を取って考えてください。最も気に入っているメディア商品、最も頻繁に利用するメディア商品は何ですか? ストリーミングメディアサービスを利用していますか? 研究ジャーナルへのオンラインサブスクリプションはどうですか?
次は「この商品の何が私を惹きつけるのか?」と自問してください。それはパーソナライズされたおすすめですか? メディア企業が提供しているカスタマーサービスに好印象を持っていますか? コンテンツが興味深いのは多様だからですか? こうした質問への答えは、友人とも、当然、世界中の膨大な数のメディアコンテンツ利用者とも違うかもしれません。つまり、消費者にはそれぞれ異なる期待があります。
調査によると、Netflix の有料登録者数は 2023 年末に 2 億 6,000 万人となり、前年の約 2 億 3,000万人から増大しています。明らかに、同社は多くの登録者の期待を満たしています。
メディア企業として際立った成功を収めるには、顧客を収益戦略の中心に据え、変化するメディア環境と共に進化するメディアソリューションを提供しなければなりません。
Media Cloud と登録者ライフサイクル管理 (SLM) アプリケーションで、メディア企業は顧客を惹きつけ、獲得し、サービスを提供し、維持する方法を管理できます。登録者と呼ばれるメディアの顧客についておそらく聞いたことがあるはずです。メディア企業が登録者ライフサイクル全体を通じて登録者をどう管理するかを見ていきましょう。
登録者ライフサイクルと顧客生涯価値
今日の消費者は、メディアサービスの利用にあたり、従来の従量課金モデルではなくサブスクリプションを選びます。多くは、オンデマンド商品により高い料金を払うよりも、少ない月額料金で商品やサービスを利用しています。その結果、サブスクリプションベースのビジネスモデルを導入する企業が増え続けています。顧客生涯価値を最大化するには、登録者ライフサイクルを理解することが重要です。
登録者ライフサイクルでは、顧客の獲得、請求、維持、事業の成長、収益性の実現に必要なプロセス、機能、知識が規定されます。登録者ライフサイクルのすべてのフェーズで優れている企業は、成功する可能性がきわめて高くなります。
登録者ライフサイクル全体を通してビジネスの成功を測定するのに最適なのは、平均顧客生涯価値 (ACLV) を使用することです。サブスクリプションのコンテキストでは、ACLV は平均顧客期間に平均請求金額を掛けて算出できます。
次の数式を使用します。
平均顧客期間 x 平均請求金額 = ACLV
平均顧客寿命をわずか数か月増やすだけで、継続的な収益ストリームが大幅に多くなります。
登録者ライフサイクルのフェーズ
次の表では、SLM で管理できる登録者ライフサイクルの主要なフェーズを定義しています。
フェーズ |
説明 |
---|---|
Attract (訴求) |
顧客への訴求では、広告や消費者とのエンゲージメントによって商品やサービスへの関心を引き起こします。このフェーズでは、ターゲットペルソナの現在のニーズを満たすような方法でビジネスを提示し、インテリジェントなオーディエンスセグメンテーションを通じてこのペルソナを発展させていきます。顧客を惹きつけるには、需要を創出し、リードを育成して、そのエクスペリエンスをカスタマイズする必要があります。惹きつけられた消費者は見込み客になります。 |
Acquire and Onboard (獲得とオンボード) |
消費者とエンゲージして顧客としての獲得につなげる必要があります。消費者を惹きつけて購入に至ったら、顧客を獲得したことになります。ストリーミングサービスプロバイダーは、主要なコスト要因である顧客獲得のプロセスを改善する方法を常に模索しています。 Media Cloud の SLM 機能には、新規アカウントおよび登録者ジャーニーのワークフロー、デジタルコマース、カタログ閲覧、注文キャプチャ、有効化のワークフローが含まれます。このソリューションは、獲得戦略をサポートするツールも備えています。 見込み客は必要な情報をすべて入手でき、ブランドのカスタマーエクスペリエンスに満足できれば購入します。 次は、正式に顧客をオンボーディングします。Media Cloud と Service Cloud のワークフローでは、セルフヘルプツールやカスタマーサポートチーム向けの内部アプリケーションでユーザーがジャーニーを進めるようにガイドします。 |
Engage (エンゲージ) |
今日、登録者とエンゲージして強固な関係を築き、維持することが非常に重要です。 SLM には、顧客の過去の行動に基づく有意義なエクスペリエンスでジャーニーを作成し、顧客とエンゲージするためのワークフローと機能が揃っています。 直感的で使いやすいインターフェースと機能により強化されたユーザーエクスペリエンスで、サービスをすぐ簡単に利用できます。 |
Retain (維持) |
維持で重要なのは、顧客との関係を深め、再購入の可能性を高めることです。顧客の話に耳を傾け、関連するコンテンツやサービスを提供します。アップセルやクロスセルでさらに関係を強化し、顧客生涯価値を増やします。 維持とはまた、ロイヤルカスタマーに報い、チャーンの可能性が高い顧客を特定し、その需要や懸念に対処して顧客を留めることでもあります。 |
カスタマージャーニー
登録者ライフサイクルと同様に、カスタマージャーニーにも主要なフェーズである Discover (発見)、Buy (購入)、Enjoy (利用)、Leave (離脱)、Rejoin (復帰) があります。
最初のフェーズでは、顧客が自分のニーズに合うメディアの商品やサービスを発見します。次に、商品またはサービスを購入して登録者になります。3 つ目のフェーズは最良の部分です。顧客はサブスクリプションを利用します。場合によっては、顧客はメディアプロバイダーから離脱し、プロバイダーは顧客に復帰を勧めます。
SLM アプリケーションは標準のワークフローでカスタマージャーニーの各フェーズをサポートします。
Discover (発見)
このフェーズでは、登録者と見込み登録者が SLM ワークフローを使用してパッケージやオファーを閲覧します。
Web ストアで商品オファーを閲覧したものの、まだアカウントを作成していない匿名ユーザーも、ワークフローを使用できます。
Buy (購入)
SLM には、見込み登録者がパッケージやオファーを購入したり、セルフオンボーディングを通じてサービスに直接登録したりできるワークフローが含まれます。
ジャーニーのこのフェーズでは、メディア企業が見込み登録者を惹きつけ、シームレスにオンボーディングして有料登録者に変換します。
Enjoy (利用)
SLM はオムニチャネル登録者が手助けを必要としているときにケアを提供します。これには、Experience Cloud や Einstein チャットボットによるデジタルサービスと、Service Cloud を使用したサポートサービスの両方が含まれます。
このフェーズで、登録者と CSR は SLM を使用して次のタスクを実行できます。
- 登録者の詳細を更新する。
- パッケージを変更する。
- アドオンサービスまたは商品を購入したり、購入をキャンセルしたりする。
- 進行中の注文と有効化済みの注文の両方を表示する。
- デバイスを表示する。
- 請求情報を表示および更新する。
Retain (維持)
Retain (維持) はカスタマージャーニーのステップではありませんが、メディア企業にとって Enjoy (利用) フェーズで顧客を維持することは重要です。SLM はメディア企業が登録者を維持するためにどう役立つでしょうか?
Einstein 予測ビルダーと Einstein Data Discovery は、顧客が離脱する可能性に加え、顧客がサービスを購入したり、特定のタイプのコンテンツを利用したりする可能性も予測できます。それを受け、メディア企業は Marketing Cloud を使用してプロアクティブな維持ジャーニーを促進できます。
Leave (離脱) と Rejoin (復帰)
SLM は主要なワークフローで Leave (離脱) フェーズと Rejoin (復帰) フェーズも最適化します。
登録者と CSR はサブスクリプションをキャンセルしたり、サブスクリプションのキャンセルを取り消したりできます。これにより、登録者はサービスの離脱や、その後の復帰がしやすくなります。
SLM を使用するメディア企業の種別
メディア企業は SLM アプリケーションを使用して商品やサービスをパーソナライズし、インテリジェントな統合メディアエクスペリエンスを登録者に提供できます。
では、メリットを得られるのはどの種別の企業でしょうか? 詳しく見てみましょう。
SLM のユーザー
SLM アプリケーションの使用方法は、ユーザーのロールと必要な作業に応じて異なります。たとえば、登録者は商品とサービスの閲覧やサブスクリプションの作成または変更、CSR は登録者アカウントに対するアクションの実行、メディア企業のスーパーバイザーはエージェントの追加や削除、システム管理者はアプリケーションのカスタマイズや商品モデルの更新などを行う必要があるかもしれません。
では、SLM の主要なユーザーを詳しく見てみましょう。
次の単元では、SLM アプリケーションのメリットとソリューションマップ、コンポーネント、インテグレーションについて学習します。