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顧客ロイヤルティを築く

学習の目的

この単元を完了すると、次のことができるようになります。

  • 顧客ロイヤルティについて説明する。
  • 企業が顧客とのエンゲージメントと顧客ロイヤルティを築く方法を説明する。

顧客ロイヤルティとは

簡単に言うと、顧客ロイヤルティは、顧客が同じ会社と取引を続ける可能性です。調査によれば、企業は既存顧客の維持よりも新規顧客の獲得に多くの経費を使っていることが分かっています。顧客を失えば、収益も失います。企業は、顧客維持戦略にもっと目を向けるとともに、メンバーのエンゲージメントを維持できるようにプログラムを調整することが大切です。 

顧客のエンゲージメントを維持すると、顧客がブランドのロイヤルカスタマーになる可能性が高まります。このモジュールでは、顧客がブランドに期待すること、企業が顧客のエンゲージメントを維持する方法、ロイヤルティプログラムのしくみ、Salesforce Loyalty Management の便利な機能について説明します。

つながりのないエクスペリエンス

Ramon Arjunan は、シカゴのダウンタウンに住むフリージャーナリストです。週末には、大好きなハイキングに友人とよく出かけています。彼は、シカゴを拠点としてハイキング用品を販売するブランドのロイヤルティプログラムメンバーです。次回のハイキングに向け、靴を新調しようと近くの店舗を訪れました。そこで、Ramon は営業担当から「新発売のフラッグシップモデルを購入すれば、100 ボーナスポイントがもらえるだけでなく、翌日には無料 T シャツも届きますよ」と言われます。Ramon はその靴を購入し、履き心地が良いことに満足していました。 

数日後、Ramon がアカウントを確認してみると、ボーナスポイントは付いておらず、無料 T シャツの追跡情報も見当たりません。靴を購入した店舗は何らかの理由で閉店していたため、Ramon は別の店舗に電話をかけることにしました。電話をかけた Ramon は、その T シャツがここ数週間、在庫切れになっていると告げられます。おまけに、彼のポイントデータがシステムに入っていないとも。

Ramon は、このつながりのないブランドエクスペリエンスに不満を感じ、失望しました。たとえボーナスポイントをもらえたとしても、Ramon がこのブランドをひいきにし続けることはないでしょう。 

従来のロイヤルティプログラムでは、商品の購入で顧客にポイントが付与されます。取引をするとポイントがもらえ、貯まったポイントを将来の買い物に利用できるというシンプルなプログラムです。ポイント獲得・引き換え型のロイヤルティプログラムを用意するだけでは、顧客ロイヤルティや顧客との感情的なつながりを生み出すことはできません。メンバーはこのようなプログラムに今でも登録しているかもしれませんが、おそらく参加はしていません。 

変わりゆく顧客の期待

デジタル革命によって、顧客の期待は変化しました。Ramon のように、顧客には多くの選択肢があり、妥協を嫌います。では、選択の決め手となっていることは何でしょうか? 品質、価格、カスタマーサービスも重要ですが、そのブランドに戻りたいと思わせる取引体験です。顧客が求める体験は、金額に見合う価値やロイヤルティポイントだけではありません。顧客はもっと多くのことを望んでいます。顧客は、顧客を優先するブランドを信頼し、感情的なつながりがあるブランドと関係を構築する傾向にあります。今回の体験を通して、Ramon は自分がブランドから大切にされていないと感じたため、このブランドに戻ってくることはないでしょう。

企業はどのように対応できるか

シカゴを拠点とするこのメーカーは、効果的なやり取りができなかったために、Ramon のロイヤルティを失いました。それでは、顧客とのエンゲージメントと顧客ロイヤルティを築くにはどうすればよいでしょうか? 

商品の検討から購入にいたる顧客の体験には、マーケティング、営業、サービス、フロントラインスタッフにわたり複数のタッチポイントが存在します。タッチポイントとは、ブランドが現在の顧客または潜在的な顧客と関わる購入前、購入時、購入後の接点のことを言います。Ramon のブランドエクスペリエンスは、ブランドについて知ったとき、店舗を訪れたとき、商品を購入したとき、営業スタッフやサービススタッフとやり取りしたときに始まりました。このジャーニーで Ramon のエンゲージメントを完全に維持するには、すべてのタッチポイントにおいて、スムーズかつ一貫性のあるカスタマーエクスペリエンスを提供する必要があります。 

顧客ロイヤルティを築くのに最適な方法は、メンバーにとって意味があり、関連性が高いロイヤルティプログラムを用意し、メンバーを引き付けるパーソナライズされたリワードを提供することです。VIP イベントに参加できる、限定版商品を手に入れることができるといった体験型リワードは、金銭的な利益に勝り、ブランドへの支持を高めます。顧客は自分に関連があるメッセージに反応する傾向があるため、企業はパーソナライズされたコミュニケーションにも力を入れる必要があります。 

ロイヤルティプログラムのリワードの構築は、1 度検討すればいいというものではありません。顧客の好みは変わり続けるため、企業はこの変化をとらえ、適宜適応していく必要があります。企業は、AI やロイヤルティプログラムアナリティクスを活用して、顧客消費行動の傾向を確認できます。アンケートや投票を通じて、情報を顧客から直接収集することも可能です。適切なデータを入手すれば、適切なロイヤルティプログラムを容易に作成できるようになります。

次の単元では、ロイヤルティプログラムの要素と、それら要素間における情報のやり取りについて説明します。

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