ジャーニーマップを作成する
学習の目的
この単元を完了すると、次のことができるようになります。
- ジャーニーマップを使用してストーリーを伝える。
- ジャーニーマップに適切なビジュアルを追加する。
- Consequence Scanning を実行する。
ストーリーを伝える
最終的なジャーニーマップからストーリーが語られます。この時点で、お客様に関するリサーチ、フェーズやアクティビティのドラフト、同僚からの鋭いインサイトなど、すべての要素が揃っています。全部をまとめるのは大変な作業のように思えるかもしれませんが、やってみましょう!
どのようなストーリーにまとめるか?
あたかもストーリーを伝えるかのごとく、ドラフトを最初から最後まで書き上げます。ストーリーを始める簡単な方法は、次の 3 つの質問に答えることです。
- 導入部を 1 文で書き表すにはどうすればよいか?
- 概要をどのようにまとめるか?
- あなたが提示する内容に基づいて、まず実行すべき最善策をどのような視点でとらえているか?
どのジャーニーマップもお客様にストーリーを伝えることを目的としますが、どのように視覚化するかはそれぞれ異なります。ジャーニーマップはエクスペリエンス、組織、視点に応じたものになります。
どのように視覚化するか?
プロ級のデザインスキルを備えている人もいれば、そうしたスキルを持ち合わせていない人もいます。この部分を読み飛ばしたくなるかもしれませんが、読み続けることを強くお勧めします。マップの見た目については、美的かどうかより、読みやすく、効果的かどうかのほうがはるかに大切です。
情報をどうやって視覚的に伝えるか検討し、人々がマップをどのように使うか考慮します。
- 人々がマップから何を読み取る必要があるか?
- あなたが説明できない状況で、人々がマップを見た場合はどうか?
- 人々が数分しか時間をかけられない場合はどうか?
次のようなジャーニーマップの抜粋を検討します。
上の画像は、モジュールの前半で説明したジャーニーマップとよく似ていますが、上部にお客様の写真とストーリーが追加されています (「Jack Parker のご紹介: Jack は 32 歳の男性で、現在...に住んでいます」)。更に、ペルソナの主なファクトの欄に、Jack が希望する連絡方法はメールで、利便性を重視し、携帯電話からの閲覧を好むことが示されています。もう 1 つ注目すべきセクションは「感情」で、ジャーニーにおける感情の高低が絵文字で表されています。
ストーリーの要素が上部に追加されたことから、このジャーニーマップを目にした人がすぐに個人的なストーリーを把握できるようになりました。このマップから、ビジネスに関するグラフを見るよりも的確な情報が得られます。マップはソリューションの基盤です。
Consequence Scanning を実行する
すべてがうまくいったところで切り上げて、プロジェクトの次の段階に進みたいと思うかもしれません。けれども、本当にお客様のことを第一に考えているか今一度確認するために、Consequence Scanning を実行することにします。
Consequence Scanning については「倫理バイデザイン」で詳述しますが、このツールは一旦立ち止まり、ソリューションによってもたらされるかもしれない予期せぬ結果を検討し、それを軽減する方法を明らかにするものです。
ジャーニーマッピングワークショップの参加者にも協力を求めます。ジャーニーマップの改良版を共有して、次の点を質問することが考えられます。
- このアイデアがお客様にとってどのような意味をもつ可能性があるか? セキュリティ、信頼性、サポートと監視、アクセシビリティへの影響を考慮します。
- このアイデアがウェルビーイングやリレーションシップにどのような意味をもつ可能性があるか? お客様のエクスペリエンスによって他の誰にインパクトがあるか?
- 世界の誰もがそのアイデアを活用したら、どうなるか? 広範なコミュニティや社会にインパクトがあると思うか?
- このアイデアによって権力構造や特権が移行する、あるいは深化する可能性があるか?
検討の結果に基づいて、自分のアイデアを修正や変更する心積もりをしておきます。責任あるイノベーションによってお客様やコミュニティとの強力なリレーションシップが築かれ、このどちらもビジネスの成功の基盤であることを忘れてはなりません。
まとめ
このモジュールでは、ジャーニーマップとは何か、なぜ重要なのかについて説明しました。ジャーニーマップの構成を確認し、ジャーニーマッピングワークショップを実施して、カスタマーエクスペリエンスにインパクトを与える重要なチームからインサイトを得る方法を学びました。続いて、ジャーニーマップを基盤にストーリーを描き出す方法や、結果を検証して、ソリューションをあらゆる角度から検討する方法のベストプラクティスも習得しました。
リソース