ソリューションツールボックスにジャーニーマッピングを追加する
学習の目的
この単元を完了すると、次のことができるようになります。
- リレーションシップデザインとジャーニーマッピングの関連について説明する。
- ジャーニーマップとは何かを説明する。
- ジャーニーマッピングのメリットを説明する。
お客様とのリレーションシップを強化する
構築しているソフトウェアの目的が生産性の向上であれ、楽しいショッピング体験の実現であれ、どのソリューションもその中核にあるのはお客様の暮らしを良くしようという意図です。これがリレーションシップデザインの核心であり、つまり、継続的なエンゲージメントを促進し、人々、企業、コミュニティのつながりを強化するエクスペリエンスを創出しようということです。
これはかなり野心的な理想です。こうしたつながりを実現するためにはどうすればよいかを突き止めるのにも時間と労力を要します。そこで役立つのがジャーニーマッピングです。
ジャーニーマップとは?
ジャーニーマップは、お客様がビジネスや組織と関わりながらたどるエクスペリエンスを視覚化したドキュメントです。ジャーニーマップには特定の事項が示されます。
- お客様やユーザーが目標を達成するために実行するステップやアクティビティ
- 目標を達成する過程で直面する課題
- 1 つの組織または複数の組織からなるエコシステムでお客様に対応する人々
- 目標達成に向けてお客様が通過するタッチポイントやチャネル (デバイスやアプリケーションなど)
- ジャーニーの過程でお客様が抱く感情、思考、反応
カスタマージャーニーはご想像のとおり、山あり谷ありの道のりです。さまざまなことがうまくいったり、うまくいかなかったりする中で、カスタマーエクスペリエンスが向上したり悪化したりします。
お客様の経過をたどる
以下は、ジャーニーマップを示すイラストです。このモジュールの後半で、各自のニーズに合わせたマップの作成について詳しく説明します。ここで重要な点は、ジャーニーマップには以下のようなステップがお客様やユーザーの視点で示されることです。
この例のジャーニーマップは、会社のサービス部門とやりとりするお客様の経過をたどっています。サブスクリプションサービスに登録したお客様が、その後すぐ要望を伝えることにします。ジャーニーマップに、お客様がこの要望を満たすためにたどったステップややりとりの概要が示されています。
登録後 (1)、お客様が電話で問い合わせます (2)。サービス担当がサービスリクエストを受け付け、確認メールを送信します。同時に担当者がお客様のサービス履歴を確認したうえで (3)、お客様に対応します (4)。その後、お客様のレコードが更新され、オンラインポータルに反映されます (5)。お客様もこの内容を確認できます。
こうしたプロセス全体で、お客様とサービス担当の間に多数のタッチポイントが存在することがあります。また、担当者が営業部門の同僚に連絡して以前このお客様と交わした会話の詳細を確認したり、オペレーションに連絡して特別価格の承認を取り付けたりしていることもあります。ジャーニーマップにはこうしたすべてが記録されます。何らかのことがお客様に影響し、それによって快適なエクスペリエンスになるか不快なエクスペリエンスになるか分かれる可能性があるため、些細なことでも記録しておくことが重要です。
そのため、カスタマージャーニーのマッピングに多くの人々が記載されていることがあります。
チームを招集する
私たちは個々のロールとそのロールがお客様にどのような影響を与えるかに着目しがちです。時として、自分たちが行ったことにさほどインパクトはないだろうと思い込むことがあります。ジャーニーマップがあれば、お客様が体験したあらゆることを把握できます。また、社内の各ロールが特定の時点でお客様にどのような影響を及ぼすかや、コラボレーションがなぜ重要なのかが明確になります。
Salesforce を基盤とするソリューションでは、システム管理者、アーキテクト、デザイナー、開発者、マーケティング担当者などが、新機能のカスタマージャーニーのマッピングに関与します。そのため、部門横断的なチームを対象とするワークショップを開催して、各人の観点をとりまとめることをお勧めします。ワークショップのロジスティックについては、このモジュールで後述します。
ジャーニーマッピングのメリットを知る
カスタマージャーニーをマッピングするときに、効果的なソリューションの構築を目的とするチームを編成します。チームを組むことで次のようなメリットがあります。
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チームの連携が向上する: 営業とサービス、デザインとコミュニティなど、異なるチームがどのように連携するかが明らかになります。また、異なるチームがお客様について共通の言語で話し合えるようになります。
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戦略的に考える: インパクトを最大にするために会社のリソースや戦力をどこに投入すべきかについての戦略的な話し合いが促進されます。
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お客様の問題点への理解を深める: ギャップ、フローがスムーズに進行していない箇所、お客様の脆弱性や不満が生じやすい時点を明らかにします。
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共感を高める: ジャーニーを進行するお客様の期待や感情を評価して、対象者のエクスペリエンスに対する共感を高めます。
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イノベーションの必要性を訴える: 取り組むべきイノベーションを明らかにし、お客様にとって一番重要なものは何かを見極めます。
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インパクトの測定を主導する: 現在のカスタマーエクスペリエンスの変化をモデル化し、それぞれの変化による潜在的なインパクトを分析して、新しいエクスペリエンスをモデル化したうえで正式にデザインします。
最終的には、ジャーニーマップを基にお客様のビジョンを描き出し、組織全体でサポートできるようになります。その結果、ビジネス目標をカスタマーエクスペリエンスに結び付けることができます。
次の単元では、ソリューションの目的と目標を特定し、ジャーニーマップをどのように構成するか検討して、カスタマージャーニーのマッピングに着手します。