将来のカスタマーエクスペリエンスを検討する
学習の目的
この単元を完了すると、次のことができるようになります。
- 将来予測とそれを行う理由を説明する。
- 3 つの将来予測戦術を挙げる。
- 将来予測をプロセスに統合する方法を説明する。
今、将来を探究する
組織は「現状」つまり現在の状態は理解できましたが、課題を理解したので解決を開始したいという誘惑を抑えているのではないでしょうか? いよいよ、将来のコンテキストでイノベーションを探究するときが来ました。
イノベーターは常に、5 年、10 年、15 年、さらには 20 年先までのトレンドやテクノロジー、私たちの生活を変えるその他の力を追い求め、感じ取っています。これを将来予測と呼びます。それは、市場を破壊し、もののしくみに対する期待をリセットし、競争優位を掴む画期的なソリューションを見分ける方法です。将来予測を使用して、イノベーションと組織が将来も耐えられるようにします。
まやかしのようだと思っても、我慢してお付き合いください。将来予測は緊張感や変化への切迫感をもたらすため、プロセスの重要な一部です。
将来予測とは?
将来予測とは、変化への説得力ある議論または主張を展開するためにトレンド、現象、および予測を組み合わせたものです。たとえば、次のような要素が含まれます。
- グローバルな社会の変化 — 世界で起きている、社会や人口全体に影響を及ぼしかねないこととは? たとえば、「2020 年までにスマートフォンユーザー数は 61 億人に達する」や「2020 年までに世界の人口は 77 億人に達する」などです。
- 文化的なトレンドとその影響 — こうした外からの力によってどのように文化的な態度と行動の変化が始まっているか? 新しいものや変化したものの兆候を探します。カーシェア企業が最初に事業を開始したときのことを覚えていますか? 多くの人が「共有する人なんていない」と考えましたが、いまや共有文化は、ホームシェア、ライドシェア、タスクシェアなどへと爆発的に広がっています。
- 業界のトレンド、証拠、影響 — Aqua Blue は、サービス業やその他の水平産業での新しいトレンドについて考えています。たとえば、「ユニバーサルキー」では、ホテルのすべてのサービスを利用できます。各自がルームキー、財布、チケットを携帯する必要はありません。1 つのキーで、ホテルの客室だけでなく、夢のようなエクスペリエンス、移動手段、食事へのドアが開きます。それ以外にユニバーサルキーで何を開けるでしょうか?
将来予測では、こうしたさまざまなトレンドの点と点を結び、説得力のあるビジョンまたは予測をまとめる必要があります。Aqua Blue では「サービス業の将来とは?」と問いかけます。これをテクノロジー、一流ホテルのエクスペリエンス、およびカスタマーサービスのイノベーションのトレンドに基づいて論じることができます。いつサービスが始まるかについての線引きはあいまいになります。カスタマーエクスペリエンスは、ゲストがホテルのドアから入ってきたときに始まるのではありません。部屋を予約したときでさえありません。特定のブランドに忠実だということは、毎日自分をもてなすコンシェルジュやゲストサービスがあるということです。卓越したホテルエクスペリエンスは、施設だけに結び付けられるものではなくなったのかもしれません。
将来予測の能力を強化するには、次のような未来主義者の習慣をいくつか取り入れましょう。
- 多様なメディアを利用する — 多種多様な情報源からさまざまなトピックについて多くを学ぶことで、好奇心や創造性を培います。テクノロジー、科学、ビジネス、アート、ポップアップカルチャーのニュースを取り混ぜてニュースフィードに刺激を与えましょう。
- 現場でエクスペリエンスを収集する — 興味深いことをしましょう! 将来を Excel や PowerPoint でデザインしたり、検索エンジンで見つけたりしないでください。世界に飛び出して、感覚を研ぎ澄ませます。冒険の機会を追求し、決して拒絶しないようにします。
- いつもとは違う人たちと話す — 誰でも同僚、友人、家族の輪の中では安心できるものです。手を広げて異なる意見や専門知識を持つ人たちの話に耳を傾けましょう。ジャーナリスト、作家、教授、オピニオンリーダー、発明家、その他の興味深い人々を探して関係を築きます。
- 記録する — メディアやエクスペリエンスを利用するときには、観察したこと、反応、予測を記録したり、ブログに書いたりします。今は大して意味がないように思えるものでも、後でデータが増えるとアイデアに発展することがあります。そして多くの場合、将来、発明として実現するのはこうしたアイデアや自分の意欲なのです 。(あなたができなくても、他の誰かが発明してくれます!)
今日から明日への橋渡し
現状と将来を把握できたので、集めた洞察と展望を使用して元の課題を再設定します。
ステップ 1: 元の「私たちに実施可能な方法」形式の質問を参照する
今日のビジネスとユーザーについて現在わかっていることと、その将来への軌道を考慮すると、この「私たちに実施可能な方法」はまだ適切でしょうか? 次のことを心がけましょう。
- 「私たちに実施可能な方法」形式の質問を何回か書き直して他の可能性を探ります。
- 「私たちに実施可能な方法」形式の質問を逆にして否定的に書いてみます。絶対にしたくないことを想像してみましょう。たとえば「ホテルでチェックインできなくするために私たちに実施可能な方法は?」などです。このアプローチがより肯定的な「私たちに実施可能な方法」への刺激になることがあります。
- もう 1 回「私たちに実施可能な方法」形式の質問を肯定的に書いてみましょう。チームでいくつ作成できましたか?
- チームにひらめきを与えた「私たちに実施可能な方法」形式の質問について話し合い、優先度を付けます。
ステップ 2: 新しい「私たちに実施可能な方法」形式の質問のコンテキストで V2MOM を再検討する
- 元のビジョンにはどの程度関連性がありますか? 洞察や展望が深くなったことによって追跡すべきビジョンはありますか?
- 価値は変化しましたか、それとも同じままですか?
- 新しい方法や異なる方法が現れましたか?
- 新しい障害はありますか?
- どの測定基準を進行状況の追跡に使用できますか?
V2MOM を変更したあと、関係者に回覧して検証します。意思統一をして期待しましょう! ここまでに、デザイン上の課題とビジョンができて関係者とイノベーションチームを組織し、洞察をアクションに移す準備ができました。
おめでとうございます。これで発見フェーズは完了です。この時点で、発見事項をステアリングコミッティに報告することをお勧めします。
- アーキタイプの人物像とその開発方法
- 現在、解決すべき課題
- 将来、アーキタイプをサポートする方法
- 将来にビジネスを待ち受けているものと検討すべき予測事項