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顧客に共感する

学習の目的

この単元を完了すると、次のことができるようになります。

  • 共感的調査の利点を説明する。
  • 3 種類の共感的調査について説明する。
  • どのような場合に共感的手法を使用するかを理解する。

骨が折れる現地調査を開始する!

顧客中心のイノベーションの核となるのは、顧客、つまりその力、潜在的な危険性、情熱、可能性を完全に理解することです。これに対して「自分の顧客のことや、どういうソリューションを作ればいいかはもうわかっているから、さっさと作ろう」と思った人もいるのではないでしょうか?

顧客の生活に違いをもたらすソリューションかどうかを最終的に判断するのは顧客です。したがって、顧客と協力してソリューションが実際に違いをもたらすかどうかを確認することが重要です。では、どうやって変えているのでしょうか?

顧客を理解するのに調査の専門家や専門家を雇うための予算は必要ありません。ただ、顧客の立場になって考え、顧客と話し、顧客の話に耳を傾ければよいのです。チームは、いわゆる共感的調査を実施できます。これは、人類学者のように、対象と直接知り合いになり、理解するプロセスです。

この単元では、その方法を説明します。完璧な科学的調査である必要はありません。発見に適切な量はありません。適切な種類のみがあります。ここでできる最良のガイダンスは、決められた期間内にできるだけ共感することです。わずか数週間で多くのことが可能です。最も重要なのは、発見に終わりはないということです。イノベーションプロセス全体を通して継続的に顧客に質問し、顧客の話に耳を傾け、顧客から学びます。

対象の顧客を定義する

次は、組織の課題に関して最も有益な情報と洞察を得られる顧客セグメントについて深く考えます。

再び Aqua Blue とその目標 (貪欲な旅行者の心を掴む、より楽しくストレスフリーのエクスペリエンスを目指す) に目を向けます。同社では、複数のグループに絞って共感的調査を実施することにしました。

  • Aqua Blue に 10 泊以上滞在したことがあるロイヤルゲスト
  • かつてロイヤルゲストであったが過去 1 年予約がないゲスト、戻ってこない理由を発見する
  • 類似のロイヤルティプログラムではプラチナレベルのロイヤルゲストであり、Aqua Blue で 1 泊以上滞在したことがある顧客

上記には Aqua Blue のホテルを利用したことがある顧客を挙げていますが、Aqua Blue イノベーションチームでは「顧客」の第 2 集団として、ゲストへの楽しさ、驚き、サービスの提供に関わる Aqua Blue 従業員を識別しました。コールセンター担当者は予約を受け付けます。フロントデスクスタッフは、チェックイン/チェックアウトのために行列している 20 人ものゲストを管理します。ハウスキーピングスタッフは、毎日ゲストと直接やり取りします。こうしたスタッフすべての立場に立って、それぞれがどのようにサービスを提供しているか、その葛藤、救済、感情を理解することが重要です。

3 つの発見方法

数多くの共感的調査手法があり、日々新しい手法が生まれています。最初は、次の簡単な手法のいずれかまたはすべてを使用することをお勧めします。

  • エンボディ
  • シャドウイング
  • インタビュー

それぞれについてもう少し詳細に説明しましょう。

エンボディ

廊下を歩いて行く脚の写真

顧客にこう言うと非常に効果的です。「お客様のご不満点を伺い、納得いたしました。私たちも現場に行ってみたのです。」エクスペリエンスを理解する唯一の方法が、その追体験である場合もあります。

Aqua Blue では、イノベーションチームが世界中のいくつかのホテルで予約室から次のエクスペリエンスを直接調査しようとしています。

  • 顧客がストレスを感じるのはどのような場合か?
  • 顧客が楽しめたはずなのに実際には失望したのはどのような場合か?
  • 顧客が楽しそうに驚き、感動したのはどのような場合か?

あなたと仲間の調査メンバーは、さまざまなエクスペリエンスを直接体験する必要があります。それはどのようなエクスペリエンスでしょうか?

シャドウイング

シャドウイングは、顧客を実際にそばで観察し、その行動やコメントについて質問することで顧客がそうした行動を取る理由を深く掘り下げます。エクスペリエンスのデザイナーの多くは顧客と同じ特性を共有していないため、この手法には有益です。

休暇旅行の荷物に入れるものの写真

シャドウイングをするときには次のベストプラクティスをお勧めします。

  • パターンを探す — あらゆることに注目します。コーヒーを注文したり、紙に何かをメモしたりするような日常的な行為は興味深く思えないかもしれません。ただし、その人物がいつ、なぜ、どのようにそれを行ったかを観察すると、改善の機会が明らかになることがあります。
  • その場を支配する環境的な力学を考慮する — 社内の従業員を観察する場合: その組織にどのような力関係があり、それが従業員の日々の仕事にどう影響しているか? 顧客をシャドウイングする場合: 顧客はどこにいて、誰が責任者か? 顧客は学校の規則に従わなければならない学生か? 厳しい病院および医療ポリシーに従わなければならない患者か? あるいは、王族のようにもてなされているホテルのゲストか?
  • プロセス全体を観察する — プロセスをより深く理解しようとするときには、そのプロセスのコンテキスト全体を含めるようにします。運転免許の取得を簡単にしようとするなら、交通局で 1 日を過ごします。プロセスの 1 つか 2 つの部分ではなく、あらゆる側面を観察するように努めます。チェックインプロセスを理解しようとするなら、そのプロセスが実際にはいつ開始してどこで終了するのか自問します。
  • メモを取る — 当然、紙とペンを持って誰かについてまわるのは気まずいものです。観察事項や本人の発言を収集するために別のシステムを考えます。電話端末のカメラ、スケッチパッドアプリケーション、音声メモアプリケーションはとても便利です。もしくは、筆記者を連れていきましょう。
  • 技術的な問題に備える — 電話が充電されていることを確認しましょう! 予備のカメラや充電器を持っていきます。

インタビュー

最も重要な人々とシンプルな会話を交わすことは非常に重要です。直接インタビューすることは、顧客の現在のエクスペリエンスと、将来期待するエクスペリエンスについて顧客自身の言葉で聞ける最良の方法です。発見フェーズでは、主要な関係者と顧客の両方にインタビューを実施します。

カフェで寄り添って座っている 2 人の人物

関係者のインタビュー

最初のモジュール「イノベーションの基本」で説明した、イノベーションプロジェクトの関係者マップを思い出してください。こうした重要な人物を支持者にするプロセスの一環として、1 対 1 のインタビューでその人の見解を把握します。インタビューは、率直な考え、懸念、アイデアを共有するチャンスです。関係者には、その役割、イノベーションの目標に対する個人的な見解、期待する変化についてのアイデア、その他感じていることなど、知っておくべきことについて聞きます。

顧客のインタビュー

顧客のインタビューでは、エンドユーザーの行動の裏に潜む感情的および心理的な要因を明らかにすることに注意を集中します。また、顧客には従業員も含まれます。

最初に、どのタイプの顧客に会うかを考えます。この条件を事前に設定しておくことが重要です。

たとえば、Aqua Blue は次の人物と話すことを決定しました。

  • ビジネスまたは観光のいずれかで旅行するロイヤルゲスト
  • かつてロイヤルゲストだったが過去 1 年予約がないゲスト
  • 頻繁に旅行しているが決して Aqua Blue を選ばない人々
  • Aqua Blue の各施設と競合他社のホテルのフロントデスクおよびコンシェルジュスタッフ。

これらすべてのグループに渡って、Aqua Blue は性別、民族、地域の多様性が考慮されていることを確認します。

シャドウイングとインタビューの黄金律

インタビューはたしかに最も単純なタイプの調査ですが、次のベストプラクティスを考慮します。

  • 録音/録画の許可を得る — 会話を録音または録画する場合、まずインタビューに答える相手から許可を得ます。
  • 形式張らず人間味を維持する — 友好的な隣人に対するように回答者に接します。相手が独自の観点を持つ世界的なエキスパートであると想像します。何がその原動力か、どのように目標を思い付くのかを理解することに集中します。
  • 自由形式の質問をする — 自分の思い込みに基づく「はい」または「いいえ」の質問をするのは避けます。自由形式の質問をして回答者に話をさせます。ニュートンの第 1 法則で予測されるように、人はひとたび話し始めれば、後は話し続ける傾向にあります。
  • アクティブリスニングを実践する — インタビュー中は、分析しようとせずに、その瞬間に集中します。分析は後で時間を取って録音を聞いたり、録画を見たりしながら行うことができます。
  • 理由を尋ねる — あいまいな答えや一般化した答えがないかじっくりと耳を傾け、すぐに回答者に詳しく説明するように依頼してフォローします。
  • 1 人で行わない — 筆記者や録音/録画係を連れていきます。自分で入力や書き取りをして会話のスピードに追いつけず、重要な点を聞き逃さないようにします。

どれだけやれば十分なのか?

いつ調査を止めればいいかどうすればわかるでしょうか? 「もう新しい話は出てこない」と感じたら、おそらく次に進むべきときです。

次は、ストーリーの共有を開始して他の人が顧客を理解できるようにします。チーム全体が 1 つか 2 つのインタビューや発見活動に参加している可能性がありますが、全員がすべての調査にわたって発見事項の理解を共有する必要があります。イノベーションのストーリーとソリューションの主役は誰でしょうか?

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