カスタマーサービスの変化
学習の目的
この単元を完了すると、次のことができるようになります。
- 産業革命とは何かを説明する。
- 第 4 次産業革命によるコンタクトセンターへの影響を説明する。
- 新しいテクノロジーが顧客の期待をどのように変えるかについて説明する。
ブロックバスタービデオ (アメリカのレンタルビデオチェーン) を覚えていますか? ビデオをレンタルするときにはそこに行きました。多くの街で、それは唯一の気晴らしでした。やがて何の前触れもなくストリーミング動画が現れ、ブロックバスタービデオは突如として消えたのです。ブロックバスターの何千人もの従業員は職を失いましたが、数百万人ものアメリカ人は突然、容赦ない延滞料金から解放され、ついに店まで行かずに映画を見ることができるようになったのです。簡単に言うと、それが産業革命のしくみです。
歴史上、急激なテクノロジーの進歩が他の領域に大きな変化を起こす時代がありました。そして今まさに、私たちはそのような時代を生きています。第 4 次産業革命は、社会、政府、ビジネスの働きに影響を与えています。新しいテクノロジーによって、顧客は他の顧客、商品、ブランドとますますつながるようになっています。こうした変化はコンタクトセンターに影響を与え、この状況からいわゆる「顧客に関わる危機」が起きています。
顧客が主導権を握るようになったのです。いつどのように連絡してサービスを受けるか、まったく無視するかは顧客が決めます。どのチャネルで苦情を言うかを顧客がコントロールして、ソーシャルメディアでブランドにとって困った状況が起きることもあります。顧客はまた、新しいテクノロジーで可能になった高いレベルのサービスについても敏感に意識していて、進化する標準についていけない企業を許しません。この単元では、テクノロジーを使い慣れた顧客の要求がコンタクトセンターにとって課題と機会の両方を生み出している状況について学習します。
第 4 次産業革命と顧客の期待
第 1 次産業革命については、おそらく高校の歴史の授業で習ったでしょう。蒸気動力によるエンジンが鉄道と織物工場の急速な拡大を促し、地方から都市に大量の人口が流入しました。第 2 次産業革命は 20 世紀初頭に電気、自動車、電話の発展によって始まりました。第 3 次産業革命は、コンピューティングやインターネットと共にやってきました (ビデオテープの終わりと、巻き戻さずに返却したときの料金で思い出すかもしれません)。そして今、私たちの周りで起きている第 4 次産業革命は、人工知能 (AI)、ロボット工学、モノのインターネット (IoT) の結果です。
人々は互いに、また周囲の世界とまったく新しい方法でつながることができるようになりました。この相互のつながりが、デジタルの世界と物理的な世界の境界を曖昧にしています。今では、スマートフォンでロボット掃除機を動かしたり、家の照明を消したりするのはありふれたことになりました。自宅から数キロ離れていてもそれは同じです。デジタルインターフェースから物体をコントロールできるようになり、テクノロジーとそれが提供できる便利さに関する認識が変わっています。こうした世界で顧客は生活しており、その期待は日々新しくなっています。顧客に関する危機は、この新しい産業革命の背後で起きています。
顧客は、どこにいてもつながるパーソナライズされたエクスペリエンスを求めています。テクノロジーが進歩したため、顧客は、電話、郵送、E メールなど従来のチャネルに加え、テキスト、動画、ソーシャルメディアなどさまざまな方法から自分の選んだ方法でコンタクトセンターに連絡できるようになりました。そのため、ある企業には先進的なカスタマーサービス部門があり、別の企業ではまだ電話が主なコミュニケーションチャネルである場合、顧客にその差がわかるようになりました。顧客は自分が選んだチャネルを使いたいため、より多くのチャネルで顧客にサービスを提供する企業が有利です。こうした企業は顧客が望む場所で対応でき、顧客に望まないチャネルの使用を強いることはありません。顧客が求めるシームレスでデジタルなパーソナライズされたエクスペリエンスをまだ用意できていない企業は不利になります。
「顧客の時代」のコンタクトセンター
第 4 次産業革命によって、カスタマーサービステクノロジーは急成長しています。コールセンターはソーシャルカスタマーサービス、SMS、アプリケーション内チャット、チャットボット、IoT などを使用して顧客とつながることができるようになりました。こうしたチャネルの選択肢があるため、顧客は自分にとって最も快適で便利な方法で優れたサービスを受けることができます。ほとんどの企業はこうしたチャネルを展開していませんが、多くは、顧客の満足を維持するために選択肢を用意する必要性を認識し始めています。
チャネルの選択肢を増やすのは、カスタマーサービスにおける新たな力の影響によるものです。企業はもう「問題がある場合はこの電話番号にお問い合わせください。」とは言えなくなりました。顧客の時代において企業に求められるのは、顧客が求めるコミュニケーションチャネルとサポートメカニズムをより積極的に提供することです。そうしないと、エージェントが電話を受ける前にもう不快に感じる顧客もいます。彼らはそもそも電話をかけて待たされるのが嫌なのです。
将来のカスタマーサービス
テクノロジーが変化したからといってカスタマーサービスがなくなるわけではありません。それどころか重要性は増しています。世界ではこれまで何回も急激なテクノロジーの進歩があり、産業革命が起きるたびに大きな機会がもたらされます。こうした時代に成功する企業は、新しいテクノロジーを利用して顧客にとってよりよいエクスペリエンスを作りだしています。第 4 次産業革命では、デジタルチャネルを取り入れて顧客との間にあるコミュニケーションの障壁を打ち破る企業が勝利を収めます。
次の単元では、第 4 次産業革命とは別の要因がチャネルの好みにどう影響するかを学習します。世代交代が起きつつあり、それがコンタクトセンターに対する従来の認識を一変させようとしています。
リソース