リーダーとしてのデータ利用
学習の目的
この単元を完了すると、次のことができるようになります。
- コンタクトセンターに適した KPI を確定する。
- 顧客努力指標の価値を説明する。
- コンタクトセンターのデータの新しい使い方を導入する。
コンタクトセンターでの役割がどのようなものかに関係なく、あなたには有意義なカスタマーエクスペリエンスを創出することが求められます。組織で出世するにつれ、こうしたエクスペリエンスをどのように創出するかの考え方が変わってきます。この単元では、次のことを行います。
- オペレーショナルエクセレンスと、顧客の課題を効率的に伝える方法を学習する。
- 素晴らしいカスタマーエクスペリエンスを定義する KPI を確定する。
- 難しいケースに対して新しい見方をする。
適切な KPI の確定
オペレーショナルエクセレンスとは大まかに言うと、変化に対応して、継続的な改善に取り組めるということです。コンタクトセンターのパフォーマンスを評価する KPI をどのように組み合わせれば一番よいのかを決めるときは、生産性と品質が両立し得ることを念頭に置きます。あなたが測定するもの、あるいは測定しないものから、組織のミッションステートメントやキャッチフレーズよりも多くのことがわかります。
測定値に、あなたが伝えたい成果が反映されるようにします。カスタマーエクスペリエンスが重要と言いながら、パフォーマンス評価の 80% が平均処理時間に基づいていれば、望ましい成果と、その成果を達成するために使用する KPI の間にギャップがあるものと思われます。あなたに必要なのは、何が機能して何が機能していないかの判断に役立つ KPI です。そして、その情報を基に事業を前進させる戦略を立てます。
KPI を確定するときは、コンタクトセンターで実験できるようにします。許容度の広い KPI を使用します。指標が示す数値によって新しいことに挑戦できなくなるようなことはしたくありません。セグメント化された KPI があれば、大きな変化が生じたときに基準との差を説明できます。継続的な改善を目指す企業は、新しいプロセスが導入されたときに予想される KPI の変動を考慮する必要があります。
外部の観点を得る
組織として優れた企業は、常に外からの観点で見ています。他の経営幹部にあなたのチームのことをどう思っているか聞いたり、エージェントと各自の意見について話し合ったりすることが考えられます (ただし、エージェントの見解が偏ることがあります)。組織外の人々の観点がなければ、顧客にどのような影響を及ぼしているか正確に知ることができず、オペレーショナルエクセレンスを達成することが難しくなります。
あなたの取り組みが現実の世界で機能しているかどうかを知るために、フォーカスグループを編成して、顧客に対応する立場にある人々の話を聞きます。コールセンターのピーク時と標準時間外を選んで、カスタマーエクスペリエンスをテストします。忙しい時間帯にはどのようにストレスに対処しているのか、そして午前 2 時にきちんと対応しているかを確認します。バリューチェーン全体や、サービスのさまざまな部分に組み込まれているサードパーティについても検討します。バリューチェーンの業務を可視化し、会社の業務がきちんと代行されていることを確認します。
データに基づくカスタマーエクスペリエンスの改善
経営幹部に好印象を与えるために使用できるのは、あなたの機知や直観だけではありません。コンタクトセンターのデータ分析も活用します。分析で得られたインサイトを基に賢明かつ実行可能な判断を下し、カスタマーエクスペリエンスを向上させます。コンタクトセンターは、購買習慣、人口統計情報、所在地などデータの宝庫です。カスタマーサービスエージェントはこのすべてを利用してコンタクトセンターの業務を向上させる必要があります。
以下は、コンタクトセンターのデータの使い方の数例です。
• インセンティブ、昇級、パフォーマンス評価の目標値を設定する。
• 従業員に偏りのないコーチングを実施する。
• 予測分析を使用して購買パターンを分析し、顧客のニーズを予想する。
また、顧客努力指標を作成することもできます。顧客へのアンケートで、各人の目標を達成するためにあなたのビジネスと何度やりとりしなければならなかったか質問します。何種類のチャネルでやりとりし、コンタクトセンターの担当者と何回話す必要があったか尋ねます。こうした回答を指標に入力してスコアを算出します。このスコアをエージェントと結び付け、パフォーマンスを測定できるようにします。顧客努力指標を他の指標と関連付けて、データから詳しいインサイトを得ることもできます。
オペレーショナルエクセレンスとは、人々があなたの組織でどのようなエクスペリエンスをしたのかを理解すること、そして KPI を組織の目標と連携させることです。次の単元では、こうした目標を掲げ、将来を見据えたコンタクトセンターを構築する方法を学習します。