カスタマーサービスの問題を解決するための手法の学習
学習の目的
この単元を完了すると、次のことができるようになります。
- コンタクトセンターでのアクティブリスニング、批判的思考、心の知能の価値を説明する。
- 顧客とのエンゲージメント中にアクティブリスニング、批判的思考、心の知能を使用する実用的な方法を特定する。
カスタマーサービス術の習得
カスタマーサービスでは、すべての事実を同時に評価しつつ、顧客の感情にも対応するという微妙なバランスが必要です。事実と感情という会話の両面に耳を傾けるには、少しばかりのメンタル柔術が必要ですが、練習すれば誰でもそれができるようになります。この単元では、カスタマーサービス術を習得するために、アクティブリスニングスキルを身につけ、批判的思考と心の知能を適用する方法を学習します。
すべてはアクティブリスニングから
毎日の会話の中で、私たちは相手が今何を言っているかよりも、自分が次に何を言うかについて考えがちです。アクティブリスニングは違います。アクティブリスニングを行っているときは、返事をするために聞いているのではなく、理解するために聞いています。
コンタクトセンターでの業務でのアクティブリスニングとは、顧客が言っていることを辛抱強く聞き、顧客が言った内容を復唱するということです。
これはやりとりを伴うプロセスで、次のように行われます。
- 判断は置いておく。初めから先入観を持たないようにします。顧客の話をすべて聞くまでは、結論や信念を形成しません。全体像を把握するために、「そして、どうなりましたか?」などのオープンエンド型の質問をします。
- 感情に耳を傾ける。顧客が怒っていたり、がっかりしていたり、苛立っていたりするときには、それに気づき、顧客がそれを言葉にできるようにします。感情を表現できないと、その感情は発散されずに増大しやすくなります。「それは、さぞかしイライラされたことでしょう。」などと、相手の感情のトーンを認めることで、話を理解したことを示します。
- 問題と影響に耳を傾ける。そもそも顧客が何に腹を立てているかを正確に突き止めて、対応できるようにすることが重要です。 同様に、顧客や顧客のビジネスへの影響についても知る必要があります。「この問題が困難な状況を引き起こしているのですね。」といったように、顧客の懸念を直接的に認識します。
- 顧客が言ったことを復唱する。注意深く最後まで聞いた後に、聞いた内容を落ち着いた客観的な言葉で言い直します。「おっしゃっていることを正しく理解できたか確認させてください。」のように始め、次に顧客が言った内容を言い換え、最後に「ということで正しいでしょうか?」のように尋ねます。
- 同意を得る。まとめた内容が正しいかを顧客に尋ねたときに、顧客が同意しなくてもかまいません。もう一度、繰り返したり、言い換えたり、詳しく説明したりしてもらい、変更した理解内容を伝えます。もう一度、正しいかを尋ねます。内容が一致するまでこのステップを繰り返し、可能性のある解決策を特定できるようにします。
以上がカスタマーサービスでのアクティブリスニングの概要です。さらにプロになるためのヒントを次に示します。
- 顧客の話を中断しない。同意や説明のためであっても、顧客の話を中断すると、苛立ちや怒りがさらに募ることになります。
- 焦りは禁物です。最後まで話を聞きましょう。おそらく、辛抱強さはカスタマーサービスエージェントが身につけるべき最も重要なスキルです。
- 可能な限り、顧客が会話をリードするのに任せる。顧客にとってその会話は、状況を完全に説明する機会です。
批判的思考による状況の評価
カスタマーサービスへの電話の多くは、事実と感情がごちゃ混ぜになっています。コンタクトセンターのエージェントが直面する最も一般的な課題の 1 つが、顧客の苦情のどの側面に最初に対応するべきかを知ることです。ここで登場するのが批判的思考です。
批判的思考を使用するときには、判断を形成する前に、問題を客観的に評価、分析します。批判的思考を行うことで、冷静さを保ち、自信を持って問題を感情的なものと事実に分類して、応答するときに適切に優先順位を付けることができます。次に、コンタクトセンターで批判的思考によって状況を評価できる例を 2 つ挙げます。
例 1: あなたが電話に応答すると、顧客はビジネスに不可欠なコンポーネントのサービスが停止していると言いました。顧客は明らかに不満を持っていますが、問題を迅速に修復するために効果的に情報を伝えてくれました。この場合、事実的側面はサービス停止で、苦情の感情的側面よりも優先する必要があります。そのため、あなたは簡単に謝った後に、緊急フィールド技術者が支援に向かっていることを伝えます。
例 2: ペットフード会社で働いていて、顧客からの電話に応答したと想像してください。相手は、明らかに泣いていて、言葉につかえながら、犬が死んだので最近の注文をキャンセルする必要があると説明しました。この場合は、明らかに顧客の注文キャンセルよりも感情が優先されます。注文の状況に関わらず、要求された処理のために注文の詳細を尋ねるより前に、顧客の感情を認識して、共感の言葉をかける必要があります。
最初の例では、顧客は腹を立てていますが、本当に必要としているのは解決策であるため、感情的な部分に対応することはそれほど重要ではありません。2 つ目の例では、顧客の問題を解決する必要もありますが、感情を先に認識する必要があります。
心の知能によるダメージの修復
ブランドの評価がすべてという世界では、商品やサービスの問題をただ解決するだけでは不十分です。顧客のブランドに対する印象へのダメージを修復するには、1 対 1 の好ましいインタラクションが必要です。
批判的思考が顧客の問題を解決するのに役立つ一方で、心の知能は体験に対する顧客の全体的な印象や会社との関係を修復するのに役立ちます。心の知能は 5 つの重要な要素で構成されます。
- 自己認識: 自分の感情、強み、弱み、価値と、それらが人にどのように影響するかを認識する能力
- 自己規制: 感情を制御する能力
- 共感: 人がどのように感じているかを察知して理解する能力
- 社会的技術: 関係を管理し、ネットワークを構築する能力
- 動機づけ: 感情的エネルギーを使って目標を達成し、障害を克服する能力
表現されない問題 (表現されない感情など) は、信頼の回復を妨げる原因となります。状況の感情的な側面に対応するには、共感と社会的技術を使って、次のことに重点を置きます。
- あなたの状況評価についての顧客の印象
- 解決策に関する顧客の満足度
- この体験の後に顧客が会社に対して抱く全体的な印象
頭の中のチェックリストで、上記の内容をカバーしたことを確認し、会社が顧客と良い関係を維持できるようにしましょう。
問題解決は、コンタクトセンターが常に重点を置くことですが、受け取った情報を理解し、分析し、適切に対応する能力はスキルであり、それも非常に重要なものです。アクティブリスニングから始めて、批判的思考と心の知能を加えれば、すぐにカスタマーサービス術を身につけることができるでしょう。