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多様性に富むプロジェクトチームを編成する

学習の目的

この単元を完了すると、次のことができるようになります。

  • デザインチームの役割を定義する。
  • 課題を解決する適切なプロジェクトチームを編成する方法を説明する。
  • 多角的な視点を活用するチームがどのようにして課題を効果的に解決するか説明する。
  • ストラテジーデザインプロセスで、チームが最大のサポートを必要とする主な時点を特定する。
  • 課題の解決に向けてチームの力学を強化するストラテジーについて説明する。

ストラテジーデザインはチームワーク

私たちが直面している昨今の課題は複雑なため、デザイン上の課題を自力で解決できる人はいません。ストラテジーデザイナーには、フレーミングされた課題を解決する適切な資質を備え、有意義な影響をもたらすストラテジーの設定に役立つ組織の目的と信頼を共有し、お客様とそのニーズを重視するプロジェクトチームを編成する権限が必要です。 

適切なプロジェクトチームを編成する方法

ストラテジーデザインプロセスを始動させるためには、多分野の混成チームが欠かせません。多分野の専門知識や人生経験を備えたチームのみが、曖昧さに巧みに対処し、「何をすればよいのか?」から「何をすべきか?」へと進んでいくストラテジーデザインプロセスで問題を解決できます。 

以下の質問をして、チームの編成プロセスを開始します。

  • この課題を解決するにはどのようなハードスキルが必要か?
  • この課題を解決するにはどのようなソフトスキルが必要か?
  • コアチームにはどのような視点が重要で、拡張チームにはどのような視点が重要か?
  • 必要な能力や視点で、現在利用できないものがあるか?
  • ストラテジーデザインプロセスの特定の時点でのみ必要になると思われるスキルや能力があるか?
  • 編成しているチームには、それぞれ思考力、実行力、想像力、戦術力に長けている人々がバランスよく混在しているか?
  • プロジェクトのタイムラインはどのようなものか?
  • 各人がいつ対応可能か?

Cloud Kicks のプロジェクトチーム

Cloud Kicks のストラテジーデザイナーは、プロジェクトチームの編成時に次の点を考慮しました。

  • 「私たちがサプライチェーンの混乱の中でお客様をファンに変えることが可能な方法は?」という課題の問い
  • ストラテジーデザインと UX デザインのスキルに対するニーズ (この課題には複雑なシステムが関与し、解決法に顧客向けのエクスペリエンスとリサーチしてプロトタイプを作成することの両方を伴う可能性が高いためです。)
  • 特にビジネスプロセスと製造の観点から、シューズをお客様に届けるバリューチェーン全体に関する専門知識に対するニーズ
  • この課題にフルタイムで取り組む専門チームが解決案を見出して検証するための時間 (この場合は少なくとも 8 週間確保する必要がある)
  • カスタマーサービス、サステナビリティ、テクノロジー/商品開発/システムアーキテクチャの各分野の専門知識
  • 特にパンデミックで新たな業務に携わる余裕が無くなっているため、コアチームに上記のスキルを有するフルタイムの人材が揃う可能性は低いという現実

そこで、ストラテジーデザイナー、UX デザイナー、ビジネスプロセス/製造チームメンバーの各人からなる少人数のコアチームを提案しました。バリューチェーン全体でインサイトが得られるように、カスタマーサービス、ブランド、サステナビリティ、プロジェクト管理、商品開発などの専門職に、リサーチ、プロトタイピング、商品ロードマップの計画において、その専門知識が特に重要となる主な時点で参加してもらうというスコープが定められました。 

多様性の高いチームが課題を効果的に解決できる理由

ストラテジーデザインプロセスでは、お客様のニーズを理解して、市場の成長を促進するソリューションを作成するために、チームがエンゲージし、共感的になり、自らのバイアスを認識する必要があります。さまざまな視点を取り入れるチームは、万人向けのイノベーションを想起する傾向にあります。チームを編成するときは、リーチするお客様を反映する専門知識や人生経験が含まれるように条件を拡大します。次のような要素を考慮します。 

  • 関係者のロール/分野/レベル/部門
  • ソフトスキルとハードスキル
  • 経験
  • 専門知識
  • 性格
  • 文化
  • 背景
  • 性別
  • 人種
  • 年齢
  • 神経多様性

さまざまな才能と体験をもつ人々でチームを構成すれば、帰属意識を培う文化を築き、チームが常日頃からバイアスや世界観に疑問を呈し、他者を会話に引き込めるようになります。誰にとっても公平で歓迎されていると感じられるチーム文化を育むために、以下の推奨事項を検討します。

  • 真価を称賛するチームの基本的価値を構築する。
  • 各自の関心をタスクや開発計画に対応付ける。
  • コラボレーションワークスペースを構築する。
  • マイクロモーメントをとらえて、チームメンバーの関心やモチベーションを把握する。

万人のイクオリティ (平等) を優先事項に掲げる Cloud Kicks

万人のイクオリティ (平等) は Cloud Kicks のコアバリューです。そのお客様、中でも西海岸のインフルエンサーには、文化的にも社会的にも幅広いアイデンティティが反映されています。ですから、ストラテジーデザイナーにとって重要な点は、さまざまなアイデンティティにアピールすることを念頭にプロジェクトをデザインすることです。 

人口構成が的確に反映されたチームにするために、ストラテジーデザイナーは、チームにどのような視点がもたらされるかを思案して、UX デザイナーとビジネスプロセス/製造チームのメンバーはさまざまな人生経験を有する人々にすることにしました。また、拡張チームのメンバーについても同様に広い視点を優先し、プロセスの随所でその見解を示してもらえるようにしました。

更に、ストラテジーデザインプロセスを公平なものにするために、リサーチやプロトタイピングでも人口構成が反映されるように考慮しました。つまり、背景が異なるユーザーを巻き込んで、そのインサイトを求めたり、一緒にコンセプトを考案したりするようにします。 

チームが最大のサポートを必要とする主な時点

前述のとおり、課題のフレーミングプロセスには曖昧な点が多々あります。ですから、ストラテジーデザインプロセスの随所で、チームに更なるサポートが必要になるとしても驚くことではありません。 

  • キックオフ: プロジェクトやキックオフミーティングへの参加を呼びかけ、プロジェクトのトーンやチームの力学を定めます。目的と役割と責任の明確なバランスを取ることで、信頼が生まれ、チームが一緒に取り組む学習ジャーニーが始まります。
  • リサーチする時点: 何らかの知見が、チームメンバーの経験や専門知識と異なることがあります。1 対 1 またはチームでこの相違に対処する時間を設ければ理解が深まります。
  • すり合わせる時点: 課題のフレーミング中、リサーチ後、プロトタイピングの段階など、主要なインサイトをデザインの機会に変えるときに、意見の相違が生じることがあります。これは判断を下す重要な瞬間であるため、課題の当初のフレーミングやユーザーから学んだことを認識し続けることが重要です。
  • レビューする時点: 主な関係者とデザインのレビューを実施するときは、フィードバックを学びと検証の機会にします。レビューがユーザーのフィードバックと一致しないときは、関係者の視点に立って重要な要素に対する理解を深める機会になります。

プロのヒント: 曖昧な点が生じるであろうことを想定しておき、ストラテジーデザインプロセスが学習であるという概念を心に留めておきます。そうすれば、サポートを求める時点が生じたときに、客観的にとらえ、ユーザーから学ぶ機会または相互に学ぶ機会として活用することができます。 

チームの力学を強化するストラテジー

メンバーを厳選したプロジェクトチームからさまざまな視点が得られるため、デザイン上の課題に効率的に対処することができます。ストラテジーデザインプロセスの全体で、チームを強化する次のベストプラクティスに従います。 

  • プロジェクトの特定のフェーズで、新しいチームメンバーを引き込む必要があるか判断します。たとえば、サステナビリティのコンテンツをソリューションストラテジーの重要な部分にすることにした場合は、サステナビリティのエキスパートと連携するライターを追加します。
  • 各人からチームにどのようなスキルや視点がもたらされるかを検討し、異なる視点で不足部分を補完する方法を考えます。
  • チームを調べ、チームメンバーが偏っていないか確認します。コアチーム内で幅広い視点を得られない場合は、共創や意思決定の時点でさまざまな意見を取り入れる別の方法を計画します。
  • デザインチームのメンバーが安心して率直な議論を交わせるようにします。帰属感を培う環境の構築に取り組んでいることを言葉や行動で示します。
  • チームメンバーがもたらす他の視点を素直に受け入れます。
  • 建設的な対立も前向きに受け止めます。こうした対立から、後々商品が市場にでた後で成功を妨げるおそれがある障害や問題が明るみに出る可能性があるためです。
  • グループの幅広い視点を認識します。ダイバーシティを軽視しないでください。
  • チームに属さない外部の人物の知識や視点を取り入れる必要がある状況を認識します。
  • 帰属感を培う環境の構築、難しい会話の実施、軋轢への対処などでサポートが必要な場合は、助けを求めます。

幅広い背景やスキルを備えたチームを結成することは、プロジェクトを成功に導く効果的な手段です。ところで、この成功はどうやって測定するのでしょうか? 次の単元で説明します。

リソース

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