エージェントの作業の概要を定める
学習の目的
この単元を完了すると、次のことができるようになります。
- ビジネスプロセスマッピングとは何かを説明する。
- AI エージェントを設計するときにプロセスマッピングが有用なツールである理由を説明する。
- Agentforce のユースケースの影響を受ける各ビジネスプロセスに関する質問を挙げる。
ユースケースを AI エージェントに変換する
Coral Cloud のチームは AI エージェントの取り組みで大きく前進しています。Agentforce のユースケースを定義し、プロジェクトの技術要件を検討し、リスク緩和策をまとめました。ところで、チームが自律型 AI の夢を実現するにはどうすればよいのでしょうか?
「Agentblazer Champion になる」トレイルのいずれかのハンズオン Challenge に取り組んだことがあれば、AI エージェントをどこで構築するのかご存知かと思います。Agentforce Builder です。
Nora とそのプロジェクトチームは Agentforce Builder を試行し、Sandbox でソリューションのプロトタイプを作成します。AI エージェントが実行する作業と、エージェントにその作業を信頼性をもって正確かつ安全に遂行させる方法を入念に検討します。Coral Cloud が事前にオンボーディングを実施せずに従業員を採用することがないのと同様に、ビジネスプロセスに従うことができない AI エージェントを導入すべきではありません。
基盤となる作業
Coral Cloud のプロジェクトチームは、自律型 AI のユースケースを定義したときに、その主要な「成すべきジョブ」に予約管理を指定しました。さらに、その作業に関連するタスクとプロセスもリストしました。
- 予約の詳細の検索
- 旅程または確認書の再送
- 予約とその変更
- 定刻より早いチェックインやベビーベッドの追加など、特別な依頼事項の追加
- 予約のキャンセル
- キャンセルに伴う返金の処理
Coral Cloud のチームが上記の作業を AI エージェントに任せる場合は、そのプロセスが明確に定義されている必要があります。ご想像のとおり、組織がその作業の進め方を説明できなければ、その作業を実行するように AI エージェントを設定することはほぼ不可能です。Coral Cloud がこの作業を定義する 1 つの方法は、予約管理に関連するすべてのビジネスプロセスをマッピングすることです。
プロセスマッピングとは?
プロセスマッピングはビジネスプロセスの手順の視覚表現で、開始から終了までの流れを示します。通常は、各ステップの順序がフローチャートやスイムレーンなどのダイアグラムで視覚化されます。さらに、ステップの開始方法や終了方法、必要な入力やデータなど、プロセスの主な要素もマップに示されます。
組織は、継続的な改善の実現、透明性やコミュニケーションの促進、監査規制や標準への準拠などの目的でプロセスマッピングを使用します。他方、AI エージェントの動作の設計においてもプロセスマップは有用なツールです。
AI エージェントのプロセスマッピング
エージェントに任せるビジネスプロセスの概要を伝えるときは、以下の点を検討します。
- ユーザーはどのような目標を達成しようとしているか?
- ユーザーがその目標やインテントをどのように表現すると思われるか? ユーザーが質問やリクエストをどのように述べると思うか?
- 目標の達成にどのようなプロセスが関与するか?
- 各プロセスの開始時点と終了時点はどこか? どのステップを実行する必要があるか? どのような順序か?
- プロセスに会社のどのポリシー、ルール、ガイドラインが適用されるか? 各ステップに適したガードレールはどのようなものか?
- プロセスのどの時点で、どのように判断が下されるか?
- 明確化やフォローアップの目的で、エージェントがどのような質問をする必要があると思われるか?
- 次のステップに進む前に、ユーザーが何かを確認する必要があるのはどの時点か?
- 必須のデータはどれか? 省略可能なデータはどれか?
- ユーザーからどのような入力を収集する必要があるか? その入力を特定の形式や構文にする必要はあるか?
- 各ステップまたはプロセスの成果はどのようなものか? 出力はどのように使用されるか? 成功はどのように測定されるか?
- ユーザーとやり取りする際に特定の言葉を使用すべき状況はあるか?
- 絶対に避けるべき質問や会話の流れはどのようなものか?
- どのような状況で会話を人間のサービス担当にエスカレーションすべきか?
Coral Cloud のチームは、ビジネスプロセスごとに正式なダイアグラムを作成しないことにします。その代わり、エージェントのプロトタイプの作成時に上記の質問の答えを検討し、プロジェクトチームがソリューションの設計と反復処理に必要な情報を得られるようにします。
Agentforce の実装によって影響を受けるビジネスプロセスの視覚化についてサポートが必要な場合は、こちらの動画 (4 分 4 秒) をご覧ください。
エージェントのビルディングブロック
Coral Cloud は Agentforce のユースケースに関連するビジネスプロセスについて十分理解することができました。続いて、Nora とそのチームは Agentforce Builder で AI エージェントのビルディングブロック、つまりトピック、アクション、指示に反復処理を行うことができます。こうしたビルディングブロックを使用して、Coral Cloud はビジネスプロセスをエージェントの設定に変換できます。
エージェントのしくみ
Coral Cloud がプロトタイプの作成プロセスに取り組む前に、エージェントがどのように機能するか簡単に復習します。エージェントはトピックで構成され、トピックはエージェントが実行可能なさまざまなジョブを定義します。トピックには、エージェントが判断を下す方法や、すべきことやすべきでないことを伝える自然言語の指示がまとめられています。
また、エージェントがジョブを実行するために使用可能なツールである一連のアクションも含まれます。たとえば、「注文管理」トピックに次のようなアクションが含まれていることがあります。
- 注文 ID で注文を取得
- メールアドレスで注文を取得
- 返品状況を検索
- 返送ラベルを作成
ところで、AI エージェントとの会話時に、これらのビルディングブロックがどのように連携するのでしょうか? ユーザーが質問やリクエストを入力すると、エージェントが関連性の最も高いトピックを選択し、そのトピック内の 1 つ以上のアクションを起動します。このため、エージェントが現在の会話と関連性が最も高いタスクやデータから逸脱することがありません。
エージェントのビルディングブロックがよくわからない場合は、こちらの動画 (4 分 38 秒) を視聴するか、「リソース」セクションのドキュメントを参照してください。
標準とカスタムの違い
Salesforce には、Agentforce の標準のトピックやアクションが用意されているため、エージェントをすぐに立ち上げて実行することができます。他方、カスタムのトピックやアクションを作成して、AI エージェントに機能を追加し、各自のビジネスに固有のタスクを実行させることも可能です。
Nora は標準トピックやアクションのライブラリで、Coral Cloud の予約管理ユースケースにすぐに使用できる機能がないか確認します。期待したものが見つからなかったため、チームは自律型 AI プロジェクトでカスタムの道を進む必要があります。
次の単元では、Coral Cloud がカスタムアクションやトピックを設計して反復処理するところを見ていきます。