ID 解決ルールセットを使用する
学習の目的
このプロジェクトでは、次のことを行います。
- ID 解決ルールセットを作成する。
- 出力データを検証する。
環境の設定
このバッジは Data Cloud の概念について説明するシリーズの一部です。このプロジェクトでは、プロファイルの統合に焦点を当てて概念を構築していきます。このプロジェクトの手順を実行するには、「Data Cloud でデータストリームを作成する」バッジを先に完了する必要があります。そのプロジェクトでは、ここで作成するルールセットに必要なデータとプロセスを設定します。このプロジェクトを完了するには、そのプロジェクトと同じ Developer Edition 組織を使用します。この Developer Edition が利用できるのは 14 日間のみであるため、有効期限が切れる前に必ずプロジェクトを完了してください。
すべてのデータを一緒に提供
データは世界と仕事の基盤です。発見したり、質問に答えたり、意思決定を促進したり、可能なことを顧客のニーズに結び付けたりするのに役立ちますが、山のような情報を持っているだけでは成功は手に入りません。本当に重要なのは、そのデータを簡単、正確、迅速に分類できることです。Data Cloud は、個人や取引先について収集したすべての情報を把握し、取引を行う相手や顧客に関する情報の一元化された情報源に統合するのに役立ちます。
ID 解決について
ID 解決を使用したデータの統合は、データの断片を深いインサイトに変えるための重要なステップです。このプロジェクトでは、各顧客の統合プロファイルレコードで適切な情報が使用されるように統合を導くルールセットを設定する方法を学習します。
データは、さまざまな場所からもたらされます。ID 解決は、すべてのデータストリームから取り込まれた情報をハーモナイズし、顧客や取引先に関するすべての情報を 1 つの統合プロファイルに統合できるようにします。商談を見極めやすくなり、顧客とのつながり方を常にコントロールできます。たとえば、同一人物の John Smith に誤って 3 回メールを送ってしまったかどうかを心配する必要はありません。
ただし、ID 解決を活用するには、どのレコードが一致し、どのデータが顧客の統合プロファイルに含まれるかを決定するために Data Cloud で使用されるルールをまず定義する必要があります。統合率を最も高くするために優先順位を付ける必要がある場合でも、より保守的なアプローチを取る必要がある場合でも、ルールセットを設定するときには、統合プロファイルデータの品質に自信を持てるデータの照合方法と調整方法を選択する必要があります。
用語を確認する
Data Cloud では、ID 解決時に知っておくと役立つ用語がいくつか使用されています。ここで確認しておきましょう。
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ソースプロファイル: 一致するプロファイルを識別するために Data Cloud が ID 解決プロセス中に確認するソースデータストリームのレコードです。
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統合プロファイル: ID 解決によって処理されたプロファイルです。各統合プロファイルは、1 つ以上のソースプロファイルから作成されます。
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統合取引先オブジェクト: 個人とビジネスは、有効な住所、電話番号、またはメールアドレスを複数使用することができます。統合取引先オブジェクトには、統合プロファイルに関連する情報が保存されます。1 つの統合プロファイルレコードを、多数の統合連絡先に関連付けることができます。
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統合リンクオブジェクト: このオブジェクトは、統合プロファイルの各データの取得元を常に把握できるように、ソースデータと統合プロファイルデータの間のブリッジを提供します。
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ルールセット: ソースプロファイルの照合方法と調整方法を ID 解決に指示する一致ルールと調整ルールのセットです。
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一致ルール: 一致ルールは、複数のソースプロファイルを 1 つの統合プロファイルに統合するために一致する必要があるデータを ID 解決に指示します。ルールセットには、複数の一致ルールを含めることができます。各一致ルールは、ソースレコードを異なる条件で一致させることができます。たとえば、同じ名前とメールアドレスを使用するすべてのプロファイルを一致させることを ID 解決に指示する1 つ目の一致ルールを作成し、次に、名前と電話番号が同じすべてのソースプロファイルを一致させることを ID 解決に指示する 2 つ目の一致ルールを作成できます。そうすることで、メールアドレスまたは電話番号だけで、名前が一致するレコードが同一の個人または取引先であることを確認できます。
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一致条件: 各一致ルールには、少なくとも 2 つの一致条件が含まれている必要があります。レコードが一致するには、一致ルールのすべての条件を満たす必要があります。条件は、項目と一致方法で構成されます。たとえば、姓が完全に一致する必要がある条件や、あいまい照合方法を使用して、名を一致させることができる条件を設定できます。
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照合方法: 照合方法は、照合中にデータを処理して確認する方法です。照合方法が [Exact Normalized (完全 (標準化))] である場合、データは標準化後に完全に一致する必要があります。完全 (標準化) 照合では、Robert という名前とその一般的なニックネームである Bob は一致しません。照合方法が [Fuzzy (あいまい)] である場合、Robert という名前とその一般的なニックネームである Bob は一致するとみなされます。
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調整ルール: 名などの特定の項目について、ID 解決では出力統合プロファイルに保存されるデータを複数の一致ソースレコードから選択する必要があります。データは、値の頻度、リーセンシー、または値の取得元オブジェクトに基づいて調整できます。
次の短い動画で ID 解決のしくみを見てみましょう。
ID 解決ルールセットを作成する
では、実際にやってみましょう。次の手順に従って、Playground でルールセットを作成します。このルールセットは、個人オブジェクトのソースレコードを統合個人プロファイルに一致させ、統合個人オブジェクトとそれに関連する統合連絡先オブジェクトに保存します。
- Developer Edition 組織から、アプリケーションランチャーで [Data Cloud] を検索して選択します。
- Data Cloud から、[Identity Resolutions (ID 解決)] タブを選択し、[New (新規)] をクリックします。
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[Create New Ruleset (新規ルールセットを作成)] を選択し、[Next (次へ)] をクリックします。
- [default (デフォルト)] のデータスペースが選択された状態で、[Primary Data Model Object (プライマリデータモデルオブジェクト)] ドロップダウンから [Individual (個人)] を選択します。
- この練習組織で実行しているルールセットは 1 つしかないため、[Ruleset Id (ルールセット ID)] は空白のままにして [Next (次へ)] をクリックします。
- ルールセットに
Individual Match
(個人照合) という名前を付けます。
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[Run jobs automatically (ジョブを自動的に実行)] が有効になっていることを確認します。
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[Save (保存)] をクリックします。
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[Ruleset Properties (ルールセットのプロパティ)] パネルの [Match Rules (一致ルール)] で [Configure (設定)] をクリックします
- 手順を確認し、[Next (次へ)] をクリックします。
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[Configure (設定)] をクリックして、1 つ目の一致ルールを選択します。
- 事前設定済みの [Fuzzy Name and Normalized Email (あいまいな名前と標準化されたメール)] を選択し、[Next (次へ)] をクリックします。
- デフォルト設定をそのままにして、[Next (次へ)] をクリックします。
- ルールをさらに追加するために、[Add Match Rule (一致ルールを追加)] をクリックします。
- この手順を繰り返して、以下の 2 つの事前設定済みルールを追加します (一致ルールのいずれかが無効になっている場合は、「Data Cloud でデータストリームを作成する」バッジですべてが正しくマッピングされていることを確認してください)。
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Fuzzy Name and Normalized Phone (あいまいな名前と標準化された電話)
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Fuzzy Name and Normalized Address (あいまいな名前と標準化された住所)
- 3 つすべてを追加したら、[Save (保存)] をクリックします。
調整ルール
項目に ID などの類似したデータがある場合は、統合プロファイルに使用するソースを選択するように警告が表示されます。データは、値の頻度、リーセンシー、または値の取得元オブジェクトに基づいて調整できます。
- ページの右側にある [Warnings (警告)] タブをクリックして、Individual.Individual Id の調整ルールに関する警告に対処します。
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[Individual.Individual Id] をクリックして、調整ルールを変更します。
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[Individual ID (個人 ID)] のチェックボックスをオンにして、[Update Selected (選択した項目を更新)] をクリックします。
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[Default Reconciliation Rule (デフォルトの調整ルール)] を無効にしてから、[Field Reconciliation Rule (項目調整ルール)] を [Source Priority (ソースの優先度)] に設定します。
- 上矢印を使用して、Contact (取引先責任者) オブジェクトの優先度が最も高く、次に Lead (リード) オブジェクトになるようにします。
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[Save (保存)] をクリックします。
これは重要な概念です。データが 1 つだけ入力される項目 (個人の名など) で複数の一致が検出される場合は、調整ルールで統合プロファイルの [First Name (名)] 項目に値を提供するレコードが決定されます。
たとえば、ソースデータに同じメールアドレスと Liz Berkeley、Elizabeth Berkeley、Eliza Berkeley という類似する名前を使用する 3 つのレコードが含まれているとします。どのレコードでも eberkeley@example.com というメールアドレスが使用されています。これらのレコードは、[Fuzzy Name and Normalized Email (あいまいな名前と標準化されたメール)] 一致ルールで照合されます。Data Cloud では、一致するレコードのデータを保存するために 1 つの統合プロファイルが作成されますが、どの名を含めるかを決定する必要があります。調整ルールは、使用する名を Data Cloud に指示します。
ソースレコードのデータは変更されないため、統合リンクオブジェクトによって統合プロファイルが 3 つの名すべてにリンクされますが、統合プロファイルでの名として使用できるのは 1 つだけです。調整ルールが [Most Recent (最新)] に設定されている場合、ID 解決では最後に更新されたソースレコードの名前が使用されます。ID 項目の例では、ID の取得元オブジェクトに基づいて ID 値に優先順位を付けると、統合プロファイルの ID を標準化するのに役立つ場合があります。
作業を確認する
ルールセットを作成し、調整ルールを更新したところで、このページの下部にある [Verify step to earn 100 points (ステップを確認して 100 ポイントを獲得)] をクリックして作業を確認してください。この演習では、ルールが正しく設定されたことを確認するだけですので、作業を確認する前に ID 解決でルールセットが実行されるのを待つ必要はありません。
統合プロファイルがどのように表示されるかを確認したい場合は、ID 解決ルールセットが実行されるのを待つこともできます。ID 解決は自動的に実行されます。ルールセットに関する情報は、Data Cloud で最初のルールセットの実行が完了した後に [Resolution Summary (解決の概要)] に表示されます。統合率は、ID 解決によってプロファイルがどの程度統合されたかを示します。
次のステップ
すべてのデータを統合するためにルールセットを設定する方法を理解したところで、次は Data Cloud について詳しく学習しましょう。統合プロファイルデータに基づいて顧客に関するインサイトを作成する方法を学び、引き続きスキルアップを図ってください。
この他に何ができるでしょうか?
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ハンズオンプロジェクトに挑戦する。次のプロジェクト「クイックスタート: インサイトによってデータを拡張する」で、Data Cloud のスキルを引き続き練習してください。
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詳細を確認する。ヘルプページの「Data Cloud リソース」を参照して、Data Cloud の動画、Trailhead モジュール、ブログなどを確認してください。
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Data Cloud を詳しく調べる。Developer Edition 組織を使用して、Data Cloud のインターフェースと製品機能を詳しく確認します。
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リソース
- Salesforce ヘルプ: ソースプロファイルの統合
- Trailhead: Data Cloud のデータと ID
- Salesforce: Data Cloud Trailhead Feedback Survey (Data Cloud Trailhead フィードバックアンケート)