職場におけるダイバーシティとインクルージョンの重要性の理解
学習の目的
この単元を完了すると、次のことができるようになります。
- ダイバーシティ (多様性) とインクルージョン (受容) が意味するものを説明する。
- 多様な人材で構成されることの社会的およびビジネス上の価値を説明する。
はじめに
「職場における平等の啓発」を受講いただき、また、万人の平等を推進する道をお選びいただきありがとうございます。Salesforce では、ビジネスとは世界をより良い場所に変える活動であり、会社とは社会を変える強力なプラットフォームであると考えています。また、すべての人が平等の権利、賃金、教育、そして成功の機会を与えられる世界を作ることが私たちの高い目標であると考えています。私たちは、顧客、パートナー、従業員、業界など、コミュニティ全体と共に社会を前進させるべく働いています。この目標を実現するためには多くのステップがあり、すべての答えを手に入れているわけではないことはわかっていますが、それでも、これまでの過程で私たちが学んだことを皆さんと共有したいと考えています。
このトレイルでは、平等が収益と文化に与える影響、無意識の偏見の意味とそれが平等の格差をどのように広げるのか、職場で平等をどうやって推進するのか、そして職場で平等を指示することの意味について学習します。
平等を推進することは正しいだけではなく、賢いことであるということを認識するビジネスリーダーが増えています。データを見ると、顧客も従業員も企業に対して平等の推進を期待しており、収益にも確かな影響があることがわかります。1,500 人以上のビジネスプロフェッショナルを対象とした Salesforce の調査では、80% の回答者が、企業は収益を上げるだけではなく社会に影響を与える責任を持つと考えています。
McKinsey が最近行った調査によると、性別のダイバーシティが高い企業は、業績が他の企業を上回る可能性が 21% 高くなります。民族のダイバーシティが高い企業は、業績が他の企業を上回る可能性が 33% 高くなります。これは極めて顕著な恩恵です。
ダイバーシティだけではビジネスは前進しません。インクルージョンも同じくらい重要なのです。非常に多様な環境が実現しても、その中でユニークな意見が受け入れられなかったり、これらの人々が帰属意識を持てなかったりするのなら、その影響は失われてしまいます。Salesforce の最高平等責任者である Tony Prophet は、平等とはダイバーシティ + インクルージョンであると説明しています。では先に進む前に、ここでいくつかの定義を確認しておきましょう。
定義
勇気を持って、ときには困難を伴う平等についての話を始める前に、まずは用語を整理しておきましょう。このような話で使用する共通の用語について理解して、正しい、もしくは思慮深い言葉を覚えることで、言葉は効果的になり、相手を尊重するものとなるのです。
ダイバーシティとは、ありとあらゆる人のアイデンティティが共存する状態です。そして職場のダイバーシティとは、私たちが暮らすコミュニティをそのまま会社が反映するという意味です。一口にダイバーシティと言っても、人種、民族、性別、性同一性、年齢、宗教、そして性的嗜好など、さまざまな側面があります。しかし、ダイバーシティは常に数値化したり可視化したりできるものではありません。また、教育的バックグラウンドの違い、性格の違い、文化の違い、経験の違い、身体能力の違いなどもダイバーシティに含まれます。
インクルージョンとは、コミュニティのすべての人の価値が認められ、意見が聞き届けられ、存在が尊重され、支援され、真の帰属意識を持つことができる状態です。許容するのではなく、コミュニティのすべての人間を祝福し、高めることです。
組織におけるダイバーシティのビジネス価値
ダイバーシティは会社の収益にも実感できる影響を与えます。アメリカ進歩センターでは、会社に与える上位 10 件のダイバーシティの影響を次のように定めています。
- 多様な人材は経済を成長させます。
- 多様な人材により、消費者市場でより大きなシェアを獲得できます。
- 多様な応募者の中から選考すれば、能力の高い人材が増加します。
- 人材が多様でインクルーシブであれば、従業員の離職に伴うコストを回避できます。
- ダイバーシティにより、人材の創造性や革新性が促進されます。
- 経済市場で競争的優位性を確立するためには、変化する国内情勢に適応する必要があります。
- ダイバーシティは、起業家精神の鍵となる要素です。
- 多様なビジネスオーナー、特に有色人種の女性は、経済を前進させる鍵となります。
- グローバル化する世界で競争上優位な経済組織を構築するためには、職場のダイバーシティが欠かせません。
- 会社の潜在能力を最大限発揮するために、経営陣のダイバーシティは必須です。
組織におけるインクルージョンのビジネス価値
Salesforce Research のレポート「The Impact of Equality and Values- Driven Business」(平等であることの影響と価値によって推進されるビジネス) では、よりインクルーシブな企業文化を積極的に推進している企業は、より強力な顧客ロイヤルティを獲得でき、従業員のエンゲージメントと生産性も高まるという調査結果が報告されています。
注目すべき統計情報をいくつか紹介します。
- 自分の意見が聞き届けられていると感じている従業員は、そうでない従業員と比べて、最高の仕事をするための力を与えられていると感じる割合が約 5 倍 (4.6 倍)
- 会社が平等な機会を与えてくれていると考えている従業員は、そうでない従業員と比べて、会社のために働くことに誇りを持っている割合が約 4 倍 (3.8 倍)
- 職場で本来の自分でいられると考えている従業員は、そうでない従業員と比べて、会社のために働くことに誇りを持っている割合が約 3 倍 (2.8 倍)、最高の仕事をするための力を与えられていると感じる割合が約 4 倍 (4.4 倍)
詳細はレポートをダウンロードしてご覧ください: https://www.salesforce.com/contents/impact-of-equality/
男女平等を唱える論拠
Catalyst と McKinsey という 2 つのコンサルティング会社がそれぞれ、大手企業の業績を上級管理職の性別のダイバーシティの点から調査しました。両社とも、性別のダイバーシティと自己資本利益率は比例関係にあると報告しています。つまり、女性の取締役や上級管理職の存在が優れた業績に関連しているということです。McKinsey の調査では、女性の平等を推進することで、2025 年までに 全世界の GDP が 12 兆ドル増大することが判明しています。
結論
未来に目を向けた最も革新的な企業は、平等の社会的価値とビジネス価値を理解しています。ダイバーシティとインクルージョンを推進するために努力している企業は、すべての従業員のポテンシャルを最大限に引き出し、顧客のユニークなニーズを理解することで、大幅に収益を伸ばしています。
次の単元では、業界の革新と万人の機会均等を推進するために Salesforce がどのように平等を実現しようとしているのかについて学習します。
リソース
- McKinsey による研究: Delivering Through Diversity (ダイバーシティによる実現)
- アメリカ進歩センター: Top 10 Economic Facts of Diversity in the Workplace (職場のダイバーシティに隠された上位 10 件の経済的事実)
- McKinsey による調査: Women Matter— Ten years of insights on gender diversity (女性が握る鍵 — 性のダイバーシティに関する 10 年間のインサイト)
- Catalyst による研究: Financial Performance is Higher For Companies with More Women at the Top (経営に関わる女性の割合と業績の伸びは比例する)
- McKinsey による調査: How advancing women’s equality can add $12 trillion to global growth (女性の平等を推進することにより 12 兆ドル規模の世界経済の成長が見込まれる理由)
- Salesforce Equality Report (Salesforce の平等関連レポート)