はじめての Web3
学習の目的
この単元を完了すると、次のことができるようになります。
- Web3 を定義する。
- インターネットの進化の遷移を説明する。
- Web3 が将来的に重要である理由を説明する。
World Wide Web へようこそ
1990 年代初頭にインターネットが登場して以来、さまざまな変化がありましたが、インターネットは健在です。インターネットは常に変化し続けるテクノロジーであり、デフォルトのコンテキストとなっています。また、インターネットが進化するにつれ、ドキュメントをアクセス可能な情報システムにリンクする方法から、毎日何百万人もの有効ユーザーがいる相互接続されたソーシャルネットワークにリンクする方法にいたるまで、私たちがお互いや私たちを取り巻く世界と関わる方法は変化してきました。
その登場以来、インターネットによって世界中の何十億ものユーザーが無料で学び、共有し、グローバルにつながることが可能になりました。ただ、これと同時に、何百万人もの人々がそこにあるすべての情報を共有して操作することができます。このため、今日のインターネットのエコシステム環境では、透明性、プライバシー、セキュリティに大きなギャップが生じています。この問題は、次世代のインターネットである Web 3.0 (Web3 と呼ばれることが多い) で理論的に解決することができます。
友人、家族、同僚とのつながり方は、1990 年代初頭から劇的に変化し、対面からバーチャルへと移行することで、デジタルの世界は日常生活においてますます中心的役割を果たすものになりました。現在、ユーザーを中心とした新しいデジタル経済が生まれつつあります。多くの人が、次の時代に突入し、今日私たちが目にする新たなテクノロジーやユースケースは何十年もかけて進化し続け、展開されていくだろうと考えています。
説明すべきことが山ほどあります。そのため、私たちはこれまでどのような状況にあり、次にどこへ向かうのか、それがどのような意味が持つのかを理解できるように、このモジュールを作成しました。
Web3 の詳細に入る前に、いくつか基本情報を確認しましょう。基本の「キ」から始めましょう。
インターネットの進化
多くの場合、Web の進化は Web 1.0、Web 2.0、Web 3.0 の 3 つのフェーズに分けられます。
まず、Web1 (1990 年~ 2000 年) によって誰もが情報にアクセスできるようになりました。これが World Wide Web の最初のバージョンであり、私たちのほとんどはコンテンツの消費者でした。また、作成者は、主にテキスト形式や画像形式の情報を含む Web サイトを構築する開発者であることが一般的でした。データやコンテンツはデータベースではなく、静的なファイルシステムから提供され、サイトには双方向性はほとんどなく、「参照の Web」でした。
大抵の人は、Web2 (2000 年~ 2021 年) と呼ばれる現在の形の Web のすばらしさを体験しています。このフェーズのインターネットでは、接続と取引が身近になり、Web1 がさらに進化しました。この時代、インターフェースやアプリケーションに組み込まれたシンプルさにより、誰もが作成者になることが可能になりました。これは「参照と更新の Web」です。
Web3 時代の始まり (2021 年以降) が到来し、今後はアプリケーションが中央機関の所有する単一のサーバー上で実行されることも、アプリケーションによってデータが中央機関の所有する単一のデータベースに保存されることもなくなります。代わりに、Web3 アプリケーションはブロックチェーンおよび多数のピアツーピアサーバー (ノード) からなる分散型ネットワークのいずれか、またはその 2 つの組み合わせで実行されるようになります。Web3 は、誰もが自由にインターネットに参加して、自分のデータとデジタル ID の両方を参照、更新、所有できるようになる可能性を秘めています。
Web 1.0 | Web 2.0 | Web 3.0 |
---|---|---|
参照 |
参照 更新 |
参照 更新 所有 |
利用者 |
利用者 |
コミュニティ |
AOL、Amazon |
TikTok、Instagram |
OpenSea、Discord |
Web3 が重要である理由
Web3 は、これまでの運用を超えて進化を遂げる段階となります。Web2 の拡張機能であり、今日実を結びつつある先進的なテクノロジーが取り入れられています。Web3 のアイデアは、メタバースの形成や暗号通貨の拡大を促進するためだけでなく、グローバルに相互接続された世界における他の主要産業にも及んでいます。Web3 の最終的な目標は、よりつながったオープンなデジタル世界を構築することです。
Web3 では「権限」は必要ありません。つまり、中央機関が誰がどのサービスを使用するのかを決定することはないということです。また、当事者間の仮想取引を促進するための仲介者も必要ありません。Web3 では理論上、ある意味でユーザーのプライバシー保護が強化されます。Web2 ではデータ収集のほとんどをこういった中央機関や仲介者が行っているためです。
Web3 が持つ可能性によってもたらされる利点には、次のようなものがあります。
- 分散化: 仲介者は方程式から排除され、ブロックチェーンによって、ルールが破られることがなく、データが公に記録される透明性の高いプラットフォームが提供されます。
- データの所有権: エンドユーザーは、ブロックチェーン上に自分のすべての活動について公開レコードを作成することで、データ制御の主導権を取り戻せるようになります。情報も、個々の場合に応じて、許可を得た上で共有することができます。
- ハッキングやデータ侵害が減少する可能性: より多くのビジネスや企業がこの分野に参入するにつれ、セキュリティ強化に対するニーズは高まっていきます。この新しいテクノロジーではデータが非中央集権化されて分散されるため、セキュリティを強化することができます。ルールや規制がさらに整備されれば、ハッカーが情報にアクセスするためにサーバーのネットワーク全体を無効にして、ブロックチェーン上のすべての取引を記録する必要があるような大規模なハッキングやデータ漏洩を減らせる可能性があります。
- パーミッションレスブロックチェーン: 誰でもアドレスを作成し、ネットワークを利用できます。ユーザーは、地理、所得、性別、指向、またはその他多くの社会学的、人口統計学的な要因を理由に締め出されることはありません。
Web3 はまだ黎明期にありますが、その背後にある使命は、新しいタイプの所有権を形成し、信頼とコラボレーションの新しい構築方法を確立して、新しい可能性への扉を開く分散型 Web を作成することです。Web3 には、今後数十年の間に私たちの Web との関わり方を変える可能性があります。Web3 は、ユーザーデータの検証、取引の透明性の創出、より安全な支払オプションの提供を行うブロックチェーンテクノロジーを基盤にして構築されています。
次にどこへ向かうのか?
未来にあるのは分散化されたグローバルな市場です。次の単元では、Web3 がどのように業界を変革し、企業、社会、さらに個人にも同様に影響を与えるかについて説明します。