データジャーニーの開始
学習の目的
Analytics データのエキスパートになる
あなたは DTC Electronics 社の Salesforce システム管理者です。ちょうど今、営業統括責任者が緊急の用件で電話をかけてきました。営業リーダーチームは情報をすぐにでも必要としています。DTC の新しい CEO が、セールスパフォーマンスを確認するためのミーティングを翌週に開くことにしたためです。営業統括責任者は、営業担当や地域ごとのパフォーマンスを示すいくつかのダッシュボードを使用してミーティングを進めたいと考えています。
つまり、あなたの仕事は、営業統括責任者が必要なデータをどこか今ある場所からデータセットに取り込むことです。

通常、このようなデータインテグレーションは面倒な作業で、データエンジニアのスキルが必要です。Analytics を使用すると、その作業がかなり簡単になり、Salesforce システム管理者は効果的な方法でデータを取得できます。
このモジュールでは、データを Analytics に取り込み、それを使用するための準備を行う主なツールについて説明します。外部データと Salesforce データの両方を Analytics に取り込む手順を説明します。また、あなたが営業リーダーに必要とされるダッシュボードを構築できるよう、データを準備する方法についても学習します。そうすれば、営業リーダーは後ほど自分でデータ探索を行うことができます。
まず、Analytics データのエキスパートになるために、理解しておく必要がある主要な概念から見てみましょう。
データセットとは?
データセットは、データの箱だと考えてください。Salesforce では、六角形の紫色の箱で表しますが、これは一般的なやり方ではないかもしれません。この箱にアクセスできる人は誰でも、箱を開いてデータを探索できます。
データセットには、商談など 1 つの Salesforce オブジェクトからのデータを含めることも、商談、取引先、ユーザなどのさまざまなオブジェクトから組み合わせられたデータを含めることも、財務データなどの外部ソースからのデータを含めることもできます。また、他のデータセットからのデータを組み合わせることによってデータセットを作成することもでき、その元になっているデータセットにも複数のソースやデータセットからのデータを含めることができます。
Salesforce を使用したことがあれば、レポートビルダーにアクセスしてレポートを作成し、すぐにそれを参照できることをご存知でしょう。データセットは必要ありません。ではなぜ Analytics ではデータセットが必要なのでしょう? それにはいくつかの理由があります。
データセットはより高速であるデータの専門家であれば Salesforce データは正規化されていると言うでしょう。これは、異なるオブジェクト内の関連するデータが 1 つに「結合」されているという意味です。Salesforce レポートを実行する場合は、レポートエンジンは、レポートをまとめるときにこれらのオブジェクトからデータを取り込む必要があります。数千行であればデータの結合は問題ありませんが、何百万の行を扱っている場合は、この処理に時間がかかります。
Analytics データセットでは、初めにデータをまとめておくため、ユーザが Analytics ダッシュボードを開いたときにはすぐにデータを使用できます。先ほどのデータの専門家であれば、Analytics データは非正規化されていると言うでしょう。これは、一部の事前処理がすでに実行済みであるという意味です。
データセットによってクエリがより高速になるAnalytics データセットでは、コンテンツが圧縮されてインデックス付けされるため、クエリは非常に高速です。
データセットは Salesforce データと外部データを組み合わせるAnalytics データセットでは、Salesforce の商談データなどと、別のシステムやソースからの財務データ、見積データ、デモグラフィックデータなどを組み合わせることができます。このようなデータの組み合わせは、Salesforce レポートでは、カスタムオブジェクトを使用した大量の作業なしでは実現できません。
データセットの作成方法
データセットの作成には 2 つの主要なフェーズがあります。抽出と準備です。抽出と聞くと、大変そうに感じられるかもしれませんが、これは単にデータを Analytics に取り込むプロセスのことです。準備は、そのデータを探索するユーザにとって意味のある形式にすることです。プロセスを料理に例えると、抽出は収納庫から材料を出すことで、準備はそれらをまとめてシチューなどを作ることです。

Analytics にデータを抽出するには、いくつかの方法があります。外部データは、CSV アップローダを使用して CSV ファイルを通じて取り込むか、コネクタまたは Analytics API を使用して取り込むことができます。Salesforce データの場合は、データフローという強力なツールを使用できます。準備にもデータフローを使用できます。または、「データプレップ」と呼ばれるデータセットレシピツールを使用することもできます。

このモジュールの後の方で、データの抽出と準備を行い、これらのツールについて詳しく説明します。
データジャーニーの計画
主要な概念について理解したところで、データを Analytics に取り込む前に行う計画について説明します。計画には 2 つのステップがあります。データ要件の特定と、Analytics でのデータジャーニーのマップ作成です。
ステップ 1: データ要件を特定する
データ要件を特定するときには、どのデータが必要か、そのデータはどこにあるか、他のデータと組み合わせる必要があるかどうかを考えます。幸いにも営業統括責任者は、営業リーダーたちが Analytics で商談を探索するときに参照したい項目のリストを提供してくれました。
名前 | 取引先名 | 業種 |
作成日 | 市区郡(請求先) | 商談所有者名 |
完了予定日 | 国(請求先) | 商談所有者の役職 |
Amount (金額) | 産業コード | |
フェーズ | 産業区分の説明 |
あなたは勤勉なシステム管理者なので、少し時間を費やして Salesforce 内を見て回りました。すぐにあなたは、これらの項目がすべて 1 つのオブジェクトからのものではないことに気づきました。商談項目もありますが、取引先オブジェクトやユーザオブジェクトからも項目を取得する必要があります。そして、産業区分の説明は Salesforce 内にはありません。どこか他の場所から取り込む必要がありそうです。営業統括責任者に尋ねてみると、営業担当チームに連絡することを勧められました。折よく、産業区分の説明が記載された CSV ファイルを営業担当チームから入手できました。
商談 | 取引先 | ユーザ | CSV ファイル |
---|---|---|---|
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名前 | 名前 | 氏名 | 産業区分の説明 |
作成日 | 業種 | 役職 | |
完了予定日 | 産業コード | ||
Amount (金額) | 市区郡(請求先) | ||
フェーズ | 国(請求先) | ||
ステップ 2: データジャーニーのマップを作成する
データの各ソースを特定したら、次はジャーニーについて考え始めます。データはどの経路を通って、いつ開始するのでしょう? さまざまなソースから取得するデータを組み合わせる必要があるため、ここではタイミングが重要です。適切なタイミングでデータが存在しなければ、それを組み合わせることはできません。そのために、Analytics では抽出と準備をスケジュールして、データが最新のときに抽出し、準備に必要なときにはデータが存在するようにできます。データジャーニーのマップ作成プロセスも、一連のいくつかの手順に分かれています。
抽出と準備のツールについてまだ説明していないため、この例では、データジャーニーのマップを用意してあります。マップにはこのモジュールで実行していくステップが記載されています。
産業区分の説明は CSV ファイルにあるため、CSV アップローダを使用して抽出します。残りのデータはすべて Salesforce にあるため、それらにはデータフローを使用します。準備フェーズの前にすべてのデータが抽出されていれば、これはどのような順序で行ってもかまいません。
データフローでは、準備の一部も行われます。それは、3 つの Salesforce オブジェクトからの項目が結合されることです。最後に、データセットレシピを使用して、産業区分の説明を追加します。
データジャーニーのマップは次のようになります。

自分で Analytics でデータインテグレーションを行う場合は、同じようなデータジャーニーのマップを作成することをお勧めします。
それでは始めましょう。まず、手順を実行するための組織を設定します。そして、外部データを抽出するプロセスを実行します。
Developer Edition 組織で Analytics を試す
無料の Developer Edition 組織は、学習中のスキルを練習できる安全な環境です。Trailhead の Challenge に取り組むにはこの組織が必要です。
- developer.salesforce.com/promotions/orgs/analytics-de に移動します。
- 有効なメールアドレスを使用して、フォームに入力します。ユーザ名も一意でメールアドレスに似た形式にする必要がありますが、有効なメールアカウントである必要はありません。たとえば、ユーザ名を yourname@waverocks.de とすることも、会社名を挿入することもできます。
- フォームに入力したら [サインアップ] をクリックします。確認メッセージが表示されます。
- アクティベーションメールを受信したら、そのメールを開いて [Verify Account (アカウントを確認)] をクリックします。
- 登録を完了し、パスワードと確認用の質問を設定します。
- ログイン情報を書き留めるか覚えておきます。ログインして操作してみる場合は、login.salesforce.com にアクセスします。
- [パスワードを変更] をクリックします。これで Analytics Developer Edition 組織に新たにログインできるはずです。[Lightning Experience にようこそ] ウィンドウが表示されたら、それを閉じます。
これで準備完了です。Salesforce 組織に DTC Electronics 社の販売データが取り込まれました。