データエクスプローラーになるには
学習の目的
この単元を完了すると、次のことができるようになります。
- データ探索の 4 つの基本アクションであるグルーピング、集計、絞り込み、視覚化について説明する。
- 基準とディメンションとは何か、またそれらをどのように探索に使用するかを説明する。
探索の目標: トップセールスパーソンは?
あなたはラップトップ、タブレット、その他のハードウェアデバイスの大手プロバイダーである DTC Electronics 社の営業マネージャーです。分析を習得しようとしています。
ビジネスに関して疑問を抱いていることと思いますが、その答えはデータの中にあります。したがって、これからは探索者、つまり CRM Analytics を使用したデータの探索者になることが求められます。このモジュールのバッジ獲得に向けて、今後のあらゆる探索の指標となる具体的な目標を定めることから始めましよう。ここで学習する基本概念は、このモジュールを終了するために役立つだけでなく、実際の会社でも適用できます。ですから、早速最初のユースケースから見ていきましょう。
この単元では、新しい四半期が始まり、1 つの商品ファミリーの販売を伸ばすために社内のトップセールスパーソンにボーナスを支給するコンテストを実施することを目標にします。どの商品ファミリーにするかはまだわかりませんが、その答えはビジネスデータの中にあります。コンテストの対象商品を選ぶためには、商品別の販売状況を把握する必要があります。CRM Analytics のデータ探索では、1 つの答えから自然と次の答えが導かれ、新たに生じた質問の答えが見つかることもあります。
注意! 「CRM Analytics の基本」モジュールを終了していない場合は、まずこのモジュールに取り組んでください。このモジュールを受講する場合は、事前に特別な Developer Edition 組織にサインアップする必要があります。
クエリの使用開始
CRM Analytics にログインしていることと、[My DTC Sales (私の DTC 売上)] というアプリケーションを開いていることを確認します。アプリケーションランチャー () をクリックして [Analytics Studio] を見つけて選択する必要がある場合があります。次に、[My DTC Sales (私の DTC 売上)] を検索してアプリケーションを参照します。
[Datasets (データセット)] セクションに、[DTC Opportunity (DTC 商談)] というデータセットが表示されます。クリックして開きます。
[新規レンズ] というタブが開きます。データ探索の初期状態とデータベースの行数が表示されます。横棒にマウスポインターを置くと、ボックスの中に正確な数字が示されます。[Count of Rows (行数)] 表示ラベルの名前を変更する場合は、[DTC Opportunity (DTC 商談)] の横にあるドロップダウンメニューから [Show Fields Panel (項目パネルを表示)] をクリックします。続いて、 をクリックします。ダイアログボックスで、新しい表示ラベル名を入力し、[Done (完了)] をクリックして変更を保存します。
探索では、データに関する質問をします。この質問をすることを「クエリを実行する」と言います。クエリを少しずつ変更して探索の目標に近づけていくことで、このシンプルな横棒が高度なグラフに変化していきます。
左パネル ([Bar Langth (棒の長さ)]、[Bars (棒)]、[Trellis] がある場所) に探索の詳細が表示され、レンズの 2 つの主要部分であるクエリと視覚化を変更できます。視覚化部分については、後ほど説明します。クエリは 3 つの基本アクションに分割できます。
- 集計 — いくつかの基準でデータを集計します。たとえば、基準には探索の初期状態のデータの行数などがあります。別の一般的な基準として、金額の合計があります。
- グルーピング — 特定のディメンションによってデータをグループ化します (ディメンションの詳細は後述)。たとえば、商品名や取引先によってグループ化します。
- 絞り込み — データに条件を設定して結果を絞り込みます。たとえば、会計年度内の商談のみを表示します。
現在のクエリは、グルーピングしていますか? 条件で絞り込んでいますか? 集計していますか?
このクエリは、グルーピングや絞り込みではありませんが、行数を集計しています。これはデフォルトです。グループと条件は省略可能ですが、集計は必須です。使用するクエリにかかわらず、視覚化するには少なくとも 1 つの基準が必要です。
データのグループ化
関心があるのは、商品間の売上の分布ですが、今はまだグループ化されていないため、表示される数字はすべての商品に関連したものです。この探索の最初の部分では、どの商品ファミリーが最も大きな収益をもたらしているかを調べます。そのために、データを商品ファミリーごとにグループ化し、集計を変更し、結果を並び替えます。
まずは、商品ファミリーによるグルーピングを追加しましょう。[Bars (棒)] の下にあるプラス記号 (+) をクリックすると、ドロップダウンメニューが開き、グループ化単位のディメンションを選択できます。
ディメンションとは何でしょうか? ディメンションは、地域、商品名、モデル番号など、定性的な値です。つまり、グループ化の単位に使用できるものです。
ここでは、[Product Family (商品ファミリー)] 別にグループ化します。ディメンションの名前を入力して、リストから選択すると、ディメンションにすばやくアクセスできます。
[行数] の集計がグループごとに計算されています。ただし、知りたいのは各商品ファミリーによる収益ですから、集計を変更する必要があります。集計は通常、基準に対して実行されます。
基準とは何でしょうか? 基準は、収益や換算レートなど、定量的な値です。つまり、総収益や最小換算レートの計算などの算術処理ができる数値です。
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[棒の長さ] で [行数] をクリックして集計を変更します。ドロップダウンメニューが開き、[合計] や [平均] などの基準を使用して実行できる計算が表示されます。
- 各商品ファミリーによる収益を知りたいため、[合計] をクリックします。右側のリストに使用できる基準が示されます。
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[金額] を選択します。
グラフが更新され、各横棒上の値が変更されました。
結果を並び替えて、合計金額が最大 (収益が最大) の商品ファミリーが上になるようにすると、わかりやすくなります。グラフ軸の表示ラベルの [金額合計] をクリックすると、商品ファミリー別の売上が降順で表示されます。
これで、商品ファミリーごとの販売数について興味深い結果が得られました。ラップトップが好調で、デジタルメディアを抜いて 2 位になっていることがわかります。DTC では軽量ラップトップファミリー商品にも力を入れており、在庫チェックやマーケティング活動を強化して、家庭および教育市場のシェア拡大を図っています。ラップトップはアクセサリに追いつけるでしょうか? 軽量ラップトップの売上を伸ばすことは可能でしょうか? これで終わりです。ラップトップの販売コンテストを実施して、DTC 軽量ラップトップを中心にこの商品ファミリーの販売を営業担当に奨励する必要があります。
データにドリルインする
データにはまだまだ多くの貴重な情報が埋まっているので、掘り続けましょう。販売ボーナスコンテストのためのベストプラクティスを共有できるように、トップクラスの営業担当がラップトップの販売促進をどのように行っているかを知りたいとします。誰がランキング表の上位にいるかを見てみましょう。
[Laptops (ラップトップ)] の青い横棒をクリックするだけで、ラップトップの販売データにドリルインできます。棒を 1 回クリックして選択し、右クリックしてドロップダウンメニューを開きます。または、[Drill-down (ドリルダウン)] ボタン () をクリックします。[Opportunity Owner (商談所有者)] を選択すると、表示が変化します。
1 回のクリックだけで、グローバル販売の 1 つの横棒がラップトップの営業担当ランキング表に変化しました。クエリでどこが変更されたかを見てみましょう。
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[棒] で、グループ化が商品ファミリーから商談所有者に変更されています。
- 商品ファミリーをラップトップのみに絞り込んでいます。
これで、ランキング表の質問に対する回答が得られました。ここで注意が必要です。これが本当の答えでしょうか?
データの絞り込み
クエリ結果を得て結論に飛びつく前に、質問が完全であることを確認します。この場合、すべての完了した商談が表示されています。完了した商談には、商談が成立したものと不成立のものがあります。したがって、どの営業担当が、会社に最も大きな収益をもたらしているかを調べるには、成立した商談のみに絞り込む必要があります。
基準、集計された基準、データ、ディメンションで絞り込むことができます。ほかの条件については後ほど詳しく解説します。ここでは、成立商談以外のすべてを除外します。
- [検索条件] タブで、[検索条件] の下にあるプラス記号 (+) をクリックします。
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[成立] を検索し、クリックします。
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[true] の値を選択します。
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[Apply (適用)] をクリックします。
条件を追加したときのアニメーションに気づきましたか? 結果がどのように変化するかを視覚的に理解できます。成立した商談のみに注目したときは、トップの営業担当が異なります。順位が上がる営業担当と下がる営業担当がいます。成立した商談に注目する場合は、どのように順位が変化するかを知ることが重要です。
探索の続行: 次の質問
ランキング表ができたので、さらに詳細に分析しましょう。ラップトップファミリーのどの商品が最も売れているでしょうか? 従来のビジネスインテリジェンスツールでは、この新しい質問を IT 担当者に尋ねて、要求が処理されるまで待つ必要がありました。CRM Analytics を使用すれば、数回のクリックだけで答えが得られます。セルフサービスというわけです。
最初のステップは、商品名による新しいグルーピングを追加することです。おそらく覚えておられると思いますが、念のために説明すると、[データ] タブに切り替えます。[Bars (棒)] の下で、プラス記号 (+) をクリックし、[Product Name (商品名)] を選択します。グラフが次のように変化します。
- 棒グラフの左側にある [棒] の下に、[商談所有者] と [商品名] という 2 つのディメンションが表示されています。
- この時点ではグラフの 2 つ目のグループ (商品名) が色付きで強調表示されています。グラフの右側には、色と商品の関係を示す凡例があります。
この視覚化によって、どの商品が最も大きな収益をもたらしているかがわかります。期待どおり、軽量ラップトップは堅調です。この情報と営業担当ランキング表の情報を組み合わせるために、視覚化を変更しましょう。
最適な視覚化の選択
探索には、クエリと視覚化という 2 つの主要な部分があります。クエリは結果を返します。つまり、質問をして答えを取得する手段です。質問への答え方がさまざまであるように、結果の表示方法も視覚化に応じて異なります。棒グラフという視覚化では、棒がクエリの結果を示します。さまざまな視覚化と、それぞれをどのような場合に使用するかについて、ほかの単元を進めながら学習していきます。
ラップトップの売上が最多の営業担当を調べる場合は、所有者名ごとに 1 本の棒を表示しつつ、商品名によるグループ化も維持します。では、営業担当ごとに値を「積み上げ」られるとしたらどうしますか。
グラフのオプションを表示するために、グラフギャラリーアイコン () をクリックします。[Stacked Bar (積み上げ横棒グラフ)] を見つけてクリックし、どうなるか見てみましょう。
を再度クリックしてグラフパネルを閉じます。
視覚化ごとに、複数のグループ化または基準を処理する方法が異なります。グラフアイコン () をもう一度クリックして [Donut (ドーナツ)] を選択します。この場合、1 つ目のグループ化 (商談所有者) ごとにドーナツが作成され、その上に 2 つ目のグループ化 (商品名) が表示されます。
最初に行ったように、区分の上にカーソルを置くと、値に関する詳細情報が表示されます。複数のグループ化を伴うグラフは、たとえば 2 つ目のディメンション値ごとの割合が表示され、より有益な情報を得ることができます。
ドーナツグラフでは、データの構成をすばやく把握できます。次の図は、求めているインサイトに基づいてどのグラフを使用すれば最適かを示す要約です。
ではまず、商品名別にグループ化してみましょう。
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[Trellis] で、[商談所有者] を削除します。
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[セグメント] を [商談所有者] に変更します。
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[Trellis] で、+ をクリックして [商品名] を追加します。
視覚化に、商品別のドーナツが表示されます。ドーナツごとに、商談所有者別の 2 つ目のグループ化も行われています。
探索履歴内の移動
探索を続ける中で、前の視覚化に戻る必要がある場合があります。たとえば、このデータを視覚化する方法としてドーナツグラフは適切でなかったと考えたとします。実際のところ、少し前のステップで使用していた積み上げグラフが、チームに共有するには最適でした。前の探索に戻ることができれば良いのに、と思いますよね。それができるのです! 上部にある矢印で、探索を戻ったり進んだり自由に移動できます。
をクリックすると、1 ステップ戻ります。[More (さらに表示)] メニューの
をクリックすると、最初の状態に戻ります。目的の積み上げ横棒グラフに戻りましょう。
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をクリックすると、探索ステップの完全なリストが表示されます。
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[Updated chart to: Stacked Bar (グラフが積み上げ横棒グラフに更新されました)] をクリックします。
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を再度クリックして [History (履歴)] パネルを閉じます。
凡例のせいでグラフが煩雑に見えます。レイアウトを調整しましょう。
- プロパティアイコン (
) をクリックして、[Formatting (書式設定)] パネルを開きます。
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[凡例] の横にある [v] をクリックします。
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[グラフ領域内に凡例を表示] を選択します。
- [位置] で [中央下] を選択します。
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を再度クリックして、[Formatting (書式設定)] パネルを閉じます。
レンズに作業内容を保存する
データから興味深い答えが得られましたが、この答えが必要になるたびに探索を繰り返したくはありません。そこで、レンズと呼ばれるものに探索した内容を保存できるようになっています。レンズはアプリケーションの一部になるため、ユーザーグループと共有したり、後でアクセスするために保存したりできます。さらに、レンズはモバイルデバイスでも使用できます。
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[Save (保存)] をクリックします。
- タイトルに「D01 - Laptops Salespeople - Wall of Fame (D01 - ラップトップ営業担当ランキング)」と入力します。
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[私の非公開アプリケーション] をクリックして [私の探索] を選択することにより、アプリケーションを変更します。
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[保存] をクリックします。
探索を敢行中
簡単な探索を行い、その内容を保存して同僚と共有するという目標が達成されました。かなりの出来栄えです。
ここで、覚えておく主な概念を挙げておきます。
- ディメンションは説明的な値で、基準は計算可能な値です。
- 視覚化は特定のユースケースごとに有効性が異なります。主としてどのようなインサイトを得たいかに基づいて視覚化を選択します。
- 探索を恐れることはありません。過去の探索過程の各ステップを確認し、ステップ間に簡単に移動できます。
- 探索した内容はレンズに保存できます。
- データを探索するときは、集計、グルーピング、絞り込み、意味ある視覚化の作成の 4 つの基本的なアクションを組み合わせていきます。
次の単元では少し時間をかけて、グループや条件、視覚化を使用した、データに基づく探索について説明します。準備ができたら、さらなる学習に進みます。
リソース
- グラフによるデータの視覚化
- CRM Analytics 用語集
- Chart Suggestion—A Thought-Starter (推奨グラフ — 考え方のヒント)
- Extended Metadata (XMD) Reference (拡張メタデータ (XMD) リファレンス)