CRM Analytics アプリケーションを作成する
学習の目的
アプリケーションのライフサイクル
CRM Analytics が有効になっている特別な Developer Edition 組織で、事前作成済みの CRM Analytics アプリケーションを設定、作成できる状態になりました。今回は Sales Analytics を使用しますが、ここで学ぶ原則と手法は他の事前作成済み CRM Analytics アプリケーションにも適用できます。
世界規模でセールスを担当する営業マネージャー Laura Garza は、ぜひアプリケーションを使いたいと思っています。上司である DTC Electronics 社 CEO との大事な会議の準備をしなければならないからです。CEO は来週の飛行機で到着し、Laura とチーム一同を、前四半期の目標達成を祝う昼食会に招いてくれる予定です。ただ、CEO は食事の前に今四半期の状況を知りたいと言っています。CEO の力になりたい貸したですね。さあ、楽しい作業の時間です。CRM Analytics アプリケーションを実際に作成してみましょう。
あなたにとって最初のアプリケーション作成ですが、これが最後とはならないはずです。それは、アプリケーション作成の過程が簡単だからです。通常、事前設定済みアプリケーションには便利な設定ウィザードが含まれます。ベーシック作成オプションを使用すると、Sales Analytics は手順を一歩先へ進めます。つまり、ウィザードをスキップし、1 回のクリックでアプリケーションを作成します。
ウィザードを使用する場合、データに関する一連の質問が表示されます。CRM Analytics はそれに対する回答から判断し、あなたのアプリケーション用に作成するダッシュボードに、どのようにデータを表示するかを決めます。つまり、アプリケーションが望みどおりに動作するまで、アプリケーションを異なる設定で何度もすばやく作成できす。
アプリケーションは、データサイエンティストではなく、ビジネスユーザーのために設計されています。アプリケーションを使うと、探す対象が不明なまま検索を始めても、簡単にデータ検索を実行できます。Salesforce のビジネスインテリジェンスツールがあれば、必要なインサイトを与えてくれるデータに難なくたどり着くことができるのです。ビジネスの主要な側面に関する答えを示すダッシュボードを作成すれば、あとは CRM Analytics アプリケーションにほとんどの作業を任せられます。
私たちがアプリケーションを簡単に、しかも何度も作成できるものにしたのはそのためです。様々な設定を試すうちに、どうすればデータに関して最も有益なビューを得られるかがわかってきます。初めてアプリケーションを作成する方でも、有用な結果が得られるはずです。Salesforce を標準実装している場合は特にそうです。時間の経過とともに、必要なものがわかってくるため、結果の精度も次第に上がってきます。こうして毎回、短い時間でアプリケーションを作成できるようになり、高額な手数料を取られる開発業者やデータサイエンティストに依頼する必要はなくなります。
アプリケーションの持つ利点を十分に活用するため、大半の方は次のような経過をたどります:
- 概観をつかむために、ウィザードのデフォルトの回答を使用してアプリケーションを作成する。Sales Analytics のベーシック作成オプションを使用すると、これが更に簡単になります。Salesforce のアプリケーションは、Salesforce を標準実装したお客様がデフォルト設定で成果を得られるように設計されています。アプリケーションによっては、デフォルトの回答が用意されていない質問に答えなければならないことがあります。その場合もできるだけ簡単な質問を設定しています。
- アプリケーションをチェックし、高性能ぶりを確認する一方で、改良の余地があることに気づく。
- ウィザードの質問に、前回より慎重に回答しながら再度作成する。Sales Analytics でカスタム作成オプションを選択してウィザードを使用する。
- 関係者にアプリケーションを見てもらい、改善のためのアイデアを集めた後で、ウィザードを使って新バージョンのアプリケーションを作成する。
- 短時間で簡単にアプリケーションを作成できるため、納得できるまでステップ 3 と 4 を繰り返す。
- アプリケーションを子細に確認する。異なる検索条件オプションを選択すればダッシュボードを変更できることにすぐに気がつくでしょう。CRM Analytics プラットフォームの機能を使用して、定期的に発生するデータセキュリティのカスタマイズを少し加えることで、ダッシュボードをパーソナライズできます。アクションを追加したり、ダッシュボードの表示ラベルの名前や色を変更したりして、ダッシュボードを改良することもできます。
最初のアプリケーションの作成
- Developer Edition 組織で CRM Analytics を開きます。アプリケーションランチャー () で、[Analytics Studio] を見つけて選択します。このステップを覚えておいてください。CRM Analytics トレイルでは、CRM Analytics および CRM Analytics アプリケーションに移動する必要があり、これがデスクトップでの移動方法です。Analytics Studio を初めて開くと、ようこそ画面が表示され、使用を開始するのに参考となるリソースが紹介されます。この画面は閉じてもかまいません。いつでもヘルプメニューから再び開くことができます。メニューを開くには、右上にある疑問符をクリックします。[Analytics へようこそ!] を選択します。
- CRM Analytics ホームページで、[作成] ボタンをクリックし、[アプリケーション] を選択します。
- テンプレートのリストを最後までスクロールします。候補となるテンプレートが沢山あります。すべてに目を通して、作成できるアプリケーションを確認します。おそらく自分のビジネスにとても役立つものがあるでしょう。ここでは、Sales Analytics の詳細を知ることが目的であるため、そのテンプレートを選択します。
- [続行] をクリックします。これにより、アプリケーションのプレビューページが開き、作成するアプリケーションで何ができるかを把握できます。最後までスクロールして、完成したアプリケーションに何が含まれるかを確認します。これには、すべてのダッシュボードのプレビュー画像も含まれます。必要なら、少し時間を取って他のテンプレートをいくつか調べてみることもできます。[Back (戻る)] をクリックして他のテンプレートを選択します。終わったら、再度 [Sales Analytics] を選択します。
- [続行] をクリックして、[新規アプリケーションを作成] を選択します。
- [続行] をクリックします。互換チェックが実行され、アプリケーションの作成に必要なすべてのデータが組織に含まれていることが確認されます。この特別な Developer Edition 組織は適切なデータをすべて含むように設定されています。(独自の組織で Sales Analytics を作成した場合、エラーメッセージが表示され、問題の解決方法が示される場合があります)。[次へ] をクリックして次に進みます。
- 2 つのオプションが表示されます。デフォルト設定を使用してアプリケーションを作成するには、[ベーシック] を選択し、デフォルト以外の独自の設定を選択するには、[カスタム] を選択します。ここでは、最初のアプリケーションを作成してその方法を確認することが目的のため、[ベーシック] を選択します。「Sales Analytics アプリケーション」 Trailhead モジュールの後半で、[カスタム] オプションを使用してアプリケーションを再度作成し、設定ウィザードを試します。先走りしないようにしてください。
- [次へ] をクリックして、アプリケーションに名前を付けます。「My First Analytics App」 (私の最初の Analytics アプリケーション) と名付けましょう。次に [作成] をクリックすると作成がスタートします。これにより、バックグラウンドで別のチェックが開始されます。Developer Edition 組織はチェックにやすやすと合格し、アプリケーションの作成を開始します。これには数分かかることがあります。(独自の組織では、エラーメッセージが表示され、問題の解決方法が示される場合があります)。
簡単ですよね? 数回クリックするだけで、その後の作業は Sales Analytics が行います。CRM Analytics では設定の修正も簡単です。次回のアプリケーション作成時、CRM Analytics では新しいアプリケーションを作成するか、既存のアプリケーションの設定を使用するか選択できるようになっています。既存のアプリケーションを選択すると、その設定を含む設定ウィザードが開きます。前回アプリケーションを作成した時の選択内容を簡単に確認することができます。
アプリケーションの作成が完了すると、アプリケーションが正常に作成されたことを知らせるメールが届きます。
省略可能: Trailhead Data Manager を使用して CRM Analytics データを更新する
ダッシュボードのいずれかでデータが欠落している場合は、データを更新する必要があります。あなたの組織に、商談、取引先、活動などの豊富なデータが取り込まれることになります。この手順を実行すると、古いデータは削除され、直近の日付で更新された最新データ一式が作成されます。Sales Analytics は「当四半期」や「先月」など相対的な日付範囲を判断するため、この手順を実行しないとダッシュボードは空になります。Trailhead をしばらく使用していなかった場合はこの手順を実行してください。
方法は次のとおりです。
- Salesforce で左上のアプリケーションランチャーを選択し、[Analytics Studio] タイルをクリックして、Analytics Studio に移動します。
- [あなたにおすすめ] パネルに、Analytics のアセット (アプリケーション、ダッシュボード、データセット、レンズ) が表示されます。
- 作成を開始したアプリケーション、[My First Analytics App (私の最初の Analytics アプリケーション)] をクリックします。アプリケーションを作成中は、まだ Trailhead Data Manager を使用できません。このメッセージが消え、ウィンドウにダッシュボードが表示されるまで、数分おきにブラウザーを更新します。ダッシュボードとデータセットが表示されたら、Trailhead Data Manager を実行することができます。
あとは Trailhead で Trailhead Data Manager を使用するだけです。独自の組織で Sales Analytics を設定する場合、Trailhead Data Manager を使用する必要はありません。
- Analytics Studio を開いていることを確認します。右上のアプリケーションピッカーから、[Trailhead Data Manager] を選択します。すぐに見つからない場合は、さらにスクロールダウンします。
- [Refresh DTC Data (DTC データの更新)] ボタンをクリックします。
更新のためにアプリケーションをスケジュールする
方法は次のとおりです。
- [設定] の [クイック検索] ボックスに「アプリケーションインストール履歴」と入力し、[アプリケーションインストール履歴] を選択します。
- [My First Analytics App (私の最初の Analytics アプリケーション)] を検索します。
- アプリケーションの右側にある をクリックします。このメニューを使用して、アプリケーションをすぐに更新したり、日次更新をスケジュールしたりできます。
- アプリケーションの更新をスケジュールするには、[スケジュール] をクリックします。[Schedule App (アプリケーションをスケジュール)] ウィンドウが開きます。実際のあなたの組織では、誰も組織を使用していない営業時間外にアプリケーションの実行をスケジュールするのがよいかもしれません。
- アプリケーションを実行する曜日と時刻を選択して [保存] をクリックします。
アプリケーションの準備完了
これで準備完了です。最初の CRM Analytics アプリケーションが完成しました。それではこのアプリケーションの優れた点を見てみましょう。
- アプリケーションランチャー () を開いて、Analytics Studio に戻ります。
- さて、待ちに待った瞬間です。[My First Analytics App (私の最初の Analytics アプリケーション)] を見つけてクリックし、アプリケーションのすべてのアセット (ダッシュボード、レンズ、データセットなど) を表示するページに移動します。このページを覚えておいてください。あなたやチームがエクスペリエンスをカスタマイズする場合、通常はこのページから開始します。
- ここでは、アプリケーションを表示することを優先して先に進みます。右上にある [アプリケーションを実行] をクリックすると、アプリケーションのホームダッシュボードが表示されます。ここで上位の KPI を確認できます。下にスクロールして他のすべてのダッシュボードのリストと説明を確認します。Sales Analytics ダッシュボードについては Sales Analytics モジュールでさらに詳しく学びますので、ここでは時間を割きません。ダッシュボードを 1 つ見てみることにしましょう。
- スクロールして [Team Benchmark (チームのベンチマーク)] ダッシュボードを見つけ、クリックして開きます。
- 名前が示すとおり、このダッシュボードでは、一定期間における営業チームの状況を見ることができます。ダッシュボードの動作を確認するために、右上部の [期間] 検索条件を [当四半期] から [今期 (会計年度)] に変えてみます。
興味深い結果が表示されました。選択した期間中におけるチームメンバー各自の業績が一目でわかります。このダッシュボードは、チャートと、特定の条件で絞り込まれたデータテーブルを利用して、充実したデータが即座に得られることを示す絶好の例です。ここから即時に、より詳細な内容を見ることも可能です。または、右上にあるホームボタン をクリックしてホームページに戻ります。盛りだくさんでしたが、やり遂げました。Laura もきっと気に入ってくれるでしょう。
誕生したばかりのアプリケーションですが、すでにたくさんの機能があることがわかりました。アプリケーション作成過程を再び経験し、アプリケーションのライフサイクルについて深く知る中で、どんなことが起こるか想像してみてください。次にウィザードの質問への答え方について少し考えてみましょう。
ウィザード利用のヒント
- Analytics Studio に移動して [作成] をクリックし、[アプリケーション] を選択します。
- [Sales Analytics] を選択して [次へ] をクリックし、もう一度 [次へ] をクリックします。
- [新規アプリケーションを作成] を選択して、[続行] をクリックします。互換チェックが実行された後、[次へ] をクリックします。
- [次へ] をクリックすると、ウィザードの最初のページが表示されます。
- ここからの数画面で [次へ] (または必要に応じて [戻る]) ボタンを押して、ウィザードを簡単に確認してください。アプリケーションに名前を付けることができる画面に到達したら、右上の [X] をクリックして画面を閉じます。別のアプリケーションをまだ作成しないでください。
- 質問にすべて目を通してから回答を始めましょう。そうすればどんな情報が求められているか落ち着いて考えることができます。メニューにも目を通して、当てはまる回答や説明を探します。ウィザードでは質問の順番に関係なく進んだり戻ったりすることができます。
- 判断がつかない場合はデフォルトのままにする。短時間で価値を提供できるように、ウィザードの質問に対する回答があらかじめ選択されている便利なアプリケーションです。アプリケーションによっては、質問に選択済みの回答が用意されていないものがあることがあります。その場合、選択を促すメッセージが CRM Analytics に表示されます。
- ウィザードで可能なのは分析環境の微調整のみです。ウィザードの設定で、絞り込みや、KPI を計算するための項目など、ダッシュボードの一部を変更することができます。ただし、レイアウトやアプリケーションコンテンツの大部分は制御不可です。標準のまま便利にお使いいただけるように、ほとんどのアプリケーション要素は事前定義されています。
- 1 回だけ項目を選択できる。ウィザードの質問に答えて Salesforce の標準オブジェクトから項目を選択します。それぞれのオブジェクトで 1 回だけ項目を選択できます。Salesforce の標準項目や、オブジェクトで設定したカスタム項目が表示されます。
- 質問のコンテキストに適合するのは、一部の回答のみです。ウィザードの質問では複数の項目から選ぶよう促されますが、お使いのアプリケーションで有効なものはそのうちの一部に限られます。たとえば、写真の URL 順に取引先を並び替えることはできません。
上記のルールについてすべての実例を紹介できませんが、実際にアプリケーションを作成する際には覚えておいてください。慣れるまでは慎重に進んでください。初めは、回答の変更は 1 つか 2 つにしておくとよいかもしれません。そうすると変更の結果どうなるかよくわかるでしょう。
お疲れさまでした。
順調に多くのことを身につけてきました。事前作成済み CRM Analytics アプリケーションを簡単に作成できることを見てきました。これまで事前作成済みのダッシュボードをいくつか見て、常にデータを最新の状態に保つためにアプリケーションをスケジュールする方法も学んできました。また、設定ウィザードについて学びました。Sales Analytics で使った方法は、どの事前作成済みアプリケーションにも応用できます。
最小限の設定で、既成の対話型ダッシュボードにデータの概要が視覚的に表示されることがわかりました。CRM Analytics の事前作成済みアプリケーションでは、Salesforce にすでに保存されたデータを使用し、ビジネスの状態を表示します。
学ぶべきことは他にもありますが、事前作成済み CRM Analytics アプリケーションを自力で手早く作成するため知識は十分に身に付きましたし、今後は自分でいろいろ試してみることもできるはずです。進み方が早いと思われるかも知れませんが、もし失敗してもすぐに修正が可能です。次の単元では、管理タスクの処理とアプリケーションの共有について学びます。