テンプレートのしくみについて
学習の目的
この単元を完了すると、次のことができるようになります。
- CRM Analytics アプリケーションとテンプレートについて説明する。
- CRM Analytics テンプレートを構成するファイルを挙げる。
- テンプレートからアプリケーションを作成し、そのコンテンツを理解する。
アプリケーションが住宅ならば、テンプレートは設計図
テンプレートの開発の詳しい説明に入る前に、アプリケーションとテンプレートの関係がわかるように基本的な設計概念について少しお話します。
住宅の図面がどのように使われるのかはご存知ですよね? 建築家が図面を描くと、建築業者がその基本的な図面を数軒の住宅に使用しますが、それぞれの購入者の希望に合わせて特定の機能を変更します。どの住宅も基本となる図面は同じですが、台所と居間を一続きにすることもあれば、押入れを追加したり、浴室を大きくしたりすることもあります。また、大きな窓にしたり、ドアを増やしたりすることもあります。それぞれ使用する仕上げ材、つまり、屋根板、漆喰、羽目板、レンガ、木製パネルなども多少異なります。
テンプレートも図面と同じような役割を果たします。
開発チームがまず、Analytics のデータセット、ダッシュボード、レンズ、レシピ、データフローを結集したアプリケーションを作成します。Analytics テンプレートを使用して、新しいアプリケーションの設計図となるテンプレートを作成します。アプリケーションの「図面」は、テンプレートオブジェクトという形で表され、このオブジェクトは複数の JSON ファイルで構成されます。
他の組織は、その設計図を使用して、それぞれの分析ニーズに応じて Salesforce 組織からデータを使用するバージョンのアプリケーションを作成します。各組織では、Salesforce オブジェクトを追加したり、カスタムセキュリティ設定を使用したり、顧客データを絞り込んだり、作成するダッシュボードの数を減らしたり増やしたりしたい場合があります。
Salesforce では多様なテンプレートを作成しています。これらのテンプレートは、Sales Analytics や Service Analytics のアプリケーションを作成するための幅広い汎用テンプレートです。最近では、Campaign Analytics、Change Analytics、Retail Banking Analytics、Health Cloud Analytics など、用途を絞ったアプリケーションのテンプレートも追加されています。
どのテンプレートも、CRM Analytics 開発チームが作成したデータセット、ダッシュボード、レンズを搭載したアプリケーションに基づいています。これらのテンプレートを使用して、Salesforce データの分析を目的とするアプリケーションのバージョンを作成できます。これまでに CRM Analytics の業務に携わってきたのであれば、おそらくアプリケーションを作成し、現在もチームがそのアプリケーションを使用しているのではないでしょうか。
テンプレートに関するもう 1 つのポイントは、Salesforce からのデータを分析するアプリケーションで効果が高いということです。Salesforce 以外のデータを使用するアプリケーションにもテンプレートを作成できますが、Salesforce 以外のデータを CRM Analytics に取り込むほうがはるかに複雑で、多くの作業を要します。このモジュールでは、Salesforce データのみを扱うアプリケーションを使用します。
テンプレートの構造
あなたとその分析チームは、苦労して Execs Only アプリケーションを作り上げました。CRM Analytics テンプレートは、このアプリケーションを基にテンプレートを作成するもので、あなたが歩んできた険しい道のりを他の人々は回避することができます。テンプレートの作成は、アプリケーションの配布プロセスの一部に過ぎません。この単元ではテンプレートの作成方法は取り上げません。この学習プロセスにすぐ取りかかれるように、このモジュールの例で使用するテンプレートはダウンロードできるようになっています。これらのテンプレートは、前の単元の「リソース」セクションに記載されています。
テンプレートの作成対象であるアプリケーションの名前は「source app」です。この source アプリケーションは Execs Only アプリケーションです。これ以降は、すべての例でこのアプリケーションを使用します。
以下に示すとおり、各ソースアプリケーションからテンプレートを 1 つ作成できます。そして、他の人々がこのテンプレートを使用して、アプリケーションのインスタンスを複数作成できます。(念のため忠告しておきますが、テンプレートから作成されたアプリケーションに基づいて新しいテンプレートを作成することはできません。)
1 つのテンプレートから多数の変型アプリケーション
テンプレートには設定ウィザードを追加できます。このウィザードを追加するかどうかは任意ですが、システム管理者がアプリケーションをカスタマイズできる、極めて有用な追加機能です。ウィザードは、データを Salesforce にどのような方法で保存し、データをアプリケーションにどのように表示したいかといった質問をしながら、アプリケーションの作成を誘導します。システム管理者は選択を行いながら、元のアプリケーションとはどの点が異なるかを決定していきます。Sales Analytics など、Salesforce のテンプレートの多くはウィザードが設定されています。おそらくすべての顧客は異なるバージョンの Sales Analytics を作成するでしょう。ですが、Sales Analytics のどの顧客も同じアプリケーションテンプレートからスタートします。
あなたもまた、パートナーがウィザードを使用して、CRM Analytics に求めるそれぞれのニーズを満たす Execs Only アプリケーションを設定できるようにしたいと思っていることでしょう。このためには、テンプレートを定義する JSON ファイルを変更します。JSON ファイルによってテンプレート作成における柔軟性と可能性が格段に広がります。JSON ファイルには、CRM Analytics プラットフォームを使用したアプリケーションの作成指示が記述されています。Sales Analytics アプリケーションの作成では、CRM Analytics が JSON ファイルの指示 (ウィザードの選択肢など) を参照しながらアプリケーションを作成します。
JSON ファイルの詳細は、以降の単元で取り上げます。(こうした説明を飛ばして先に進みたい場合は、『Analytics Templates Developer Guide (Analytics テンプレート開発者ガイド)』にテンプレート開発と JSON ファイルの詳しい説明が記載されています。「リソース」セクションを参照してください)。この後の説明で、JSON を編集してテンプレートを作成する方法の例を紹介します。ここではファイルは作成しません。別の機会に学習してください。このモジュールでは、目的に向かって迅速に進めるように、DTC の Execs Only アプリケーションに基づくテンプレートをすでに作成してあります。このテンプレートから、Sales Performance ダッシュボードと Pipeline Performance ダッシュボードのみを搭載したアプリケーションを作成します。
基本テンプレートからのアプリケーションの作成
テンプレートの詳細を見るには、前の単元で設定した特別な Developer Edition 組織にログインし、アプリケーションピッカーから [Analytics Studio] を選択します。
ヒント: Analytics Studio を初めて開くと、ようこそ画面が表示され、使用を開始するのに参考となるリソースが紹介されます。この画面は閉じてもかまいません。右上にある疑問符をクリックしてヘルプメニューを開き、[Welcome to CRM Analytics (CRM Analytics へようこそ)] をクリックすれば、いつでも開くことができます。
これで、テンプレートから Execs Only アプリケーションを作成する準備が整いました。
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[Create (作成)] をクリックして、[アプリケーション] を選択します。
- ここで、選択できる CRM Analytics テンプレートを見てみましょう。リストをスクロールし、[Execs Only Template 1 (Execs Only テンプレート 1)] を見つけて選択し、[続行] をクリックします。必ず [Template 1 (テンプレート 1)] を選択します。
- アプリケーションに名前を付ける画面が表示されるまで [Continue (続行)] をクリックします。名前に「Exec App 1」 (Exec アプリケーション 1) と入力して、[Create (作成)] をクリックします。アプリケーションの作成進行状況画面が表示されます。この画面には、アプリケーションの作成中にバックグラウンドで CRM Analytics がどのような処理を行っているのかが示されます。
アプリケーションが作成されるまで待つ間に (1 ~ 2 分かかりますが、自分でアプリケーションを開発するよりははるかに早く仕上がります)、ちょっと横道に逸れます。Execs Only Part 1 にウィザードがないことに気付いたでしょうか。この理由は、質問や変数などを追加するために必要なコードが JSON ファイルに追加されていないためです。JSON ファイルを編集してウィザードを追加する方法については、次の単元で説明します。
また通常は、同じ組織にテンプレートの 2 つのバージョンを設定することはありません。ですが Developer Edition 組織には、テンプレートの素晴らしさを示す目的で、Execs Only アプリケーションテンプレートの 2 つのバージョンを用意しています。Execs Only テンプレート 2 でどのようなことを行うのかについては、後の単元で説明します。
Execs Only の基本アプリケーション
アプリケーションの作成手順の最後に [アプリケーション完了] というメッセージが表示されたら、ページを更新してアプリケーションにアクセスします。表示は次のようになります。
Execs Only の基本バージョンには 2 つのダッシュボードといくつかのデータセットがあります。右上の [アプリケーションを実行] をクリックします。DTC の CEO やパートナーが絶賛した内容が表示されます。上部の Pipeline Performance と Sales Performance というダッシュボードウィジェットに、選択した期間における DTC の売上高の推移の概要が示されます。下部には詳細が示されます。このすべてがスクロール可能な 1 つのビューにまとめられています。
ダッシュボードのしくみを確認するために、上部の日付検索条件を [当四半期] から [今年] に変更します。次に、[Top Deals (最も重要な商談)] の下にある [Pipeline Generated (生成されたパイプライン)] をクリックします。選択した内容に基づいて、ウィジェットが自動的に更新されます。なぜみんながこのアプリケーションを気に入るのかがあなたにもわかるでしょう。2 ~ 3 の視覚化で多数の分析が行われ、さまざまなビューを簡単に取得できるためです。
次の単元では、テンプレートのファイル自体について詳しく説明します。その次に、テンプレートとそれを基に作成したアプリケーションの機能性を高めます。この後、用意された基本テンプレートに、シンプルながら強力な変更をいくつか行い、DTC のパートナーがアプリケーションの各自のバージョンをカスタマイズできるようにする、設定ウィザードの質問を追加します。
ではここで、以下の質問に解答して新たなバッジの獲得に取り組みましょう。
省略可能: Trailhead Data Manager を使用して CRM Analytics データを更新する
アプリケーションを作成できました。アプリケーションのダッシュボードの重要な部分はすべて表示できますが、データが欠落しているところがあるかもしれません。まだ Developer Edition 組織を作成していない場合は、Trailhead Data Manager を実行して、すべてのデータが正しい場所に表示されていることを確認してください。バッジを獲得する目的においては必須ではありませんが、ダッシュボードの見た目が良くなります。現実の世界でアプリケーションを作成するときは、このようなことをする必要はありません。
重要: Trailhead Data Manager を実行する前に、アプリケーションのダッシュボードが表示されることを確認します。Data Manager を実行する必要があるのは Trailhead でのみです。各自の組織でアプリケーションを設定する場合は、Data Manager を使用する必要がありません。
このプロセスでは、データを更新してから、アプリケーションのデータフローを実行します。
- Analytics Studio で、右上のアプリケーションランチャーに移動して、[Trailhead Data Manager] を選択します。見つからない場合は、スクロールしてください。
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[Trailhead Data Manager] タブを選択して、[Refresh DTC Data (DTC データを更新)] をクリックします。更新が完了したら、次はアプリケーションのデータフローを実行します。
- アプリケーションランチャー () で、[Data Manager (データマネージャー)] を開きます。(データマネージャーが開きます。Trailhead Data Manager と混同しないでください)。
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[Manage Dataflows (データフローを管理)] をクリックします。
- [接続] タブをクリックし、SFDC_LOCAL の右にあるドロップダウンをクリックして [今すぐ実行] をクリックします。この操作によって、最新の Salesforce データを CRM Analytics に取り込むデータ同期ジョブが開始され、データフローで使用できるようになります。
- 同期ジョブを監視するには、[監視] をクリックし、[ジョブ] サブタブをクリックします。現在実行中の同期が表示されます。
- すべての同期ジョブの状況が [Running (実行中)] から [Successful (成功)] に変わるまで、[Refresh Jobs (ジョブを更新)] ボタン () をクリックします。
- すべての同期ジョブが完了したら、[Dataflows (データフロー)] タブの [Dataflows & Recipes (データフローとレシピ)] オプションをクリックします。
- Exec App 1 eltDataflow データフローの右にあるドロップダウンをクリックし、[今すぐ実行] を選択します。このデータフローによって、データセットに Exec Only ダッシュボードに必要なデータが入力されます。
- データフローを監視するには、[Monitor (監視)] をクリックし、[Dataflows (データフロー)] タブをクリックします。データフローが実行されていることが表示されます。
- データフローの状況が「実行中」から「成功」に変わるまで、[ジョブを更新] ボタンをクリックします。(警告メッセージが表示されても無視して続行します。アプリケーションのデータが破損することはありません。)
リソース