はじめての保証ライフサイクル管理
学習の目的
この単元を完了すると、次のことができるようになります。
- 保証のエンドツーエンドのライフサイクルを説明する。
 - 保証管理と請求管理に関与するペルソナを特定する。
 - メーカーの典型的な保証管理チームの課題を説明する。
 - Manufacturing Cloud の保証ライフサイクル管理の機能を簡潔に説明する。
 
信頼できる保証で関係を育む
お客様は、企業自体ではなく、商品が提供する長期的な価値にロイヤルティを抱きます。ただし、商品は時間の経過と共に摩耗して壊れるものです。自社商品が長期的に価値を提供し続けるために、企業はどのようなことをしているのでしょうか?
保証は、企業が自社商品の長期的な価値を確約するための重要な方法です。保証とは、商品の品質の保証書を指します。特定の条件下で欠陥商品を修理または交換するという企業の責任が記されています。

通常、保証では固定期間と補償タイプが定められています。また、欠陥商品に対して企業が顧客に提供するサポートとして、交換、修理、返金といった保証のエンタイトルメントも定義されています。保証は、商品に含まれている場合、任意のアドオンとして購入する場合、または後日追加される場合があります。
多くの企業や個人が保証のライフサイクルで役割を果たしています。典型的な保証のライフサイクルのステップは次のとおりです。
保証ライフサイクルのすべてのステップに独自の特殊なプロセス、当事者、目的があります。コラボレーション、効率、信頼は、各ステップで成功するために絶対不可欠です。
メーカーの立場になって考える
保証ライフサイクルの要であるメーカーの保証プロセスについて詳しく見てみましょう。このプロセスには、保証サービス標準管理、保証管理、保証請求の取得、保証請求の裁定といったフェーズが含まれます。

今日、保証プロセスの作成は、メーカーにとって単にビジネス上不可欠というだけではありません。パートナーとの関係を深め、競争市場で優位に立ち、ブランドを育てる手段でもあります。さらに、より包括的なパートナーエクスペリエンスを提供し、効率的で影響力が強い保証プロセスでサービタイゼーションを推進することができます。
ただし、そう簡単にはいかないかもしれません。堅牢な保証プロセスの作成は、メーカーにとってかなり困難な場合があります。新進気鋭の建設機械メーカー Rayler Parts がまさに直面している課題です。
Rayler の現在の保証プロセスは時間がかかり、柔軟性に欠けています。時代遅れのシステムを使用し、手動のワークフローや事務処理が多くあるためです。Salesforce システム管理者の Cindy Jones は、プロセスを刷新するときだと考えています。問題点を把握するために、彼女は主要な関係者に連絡を取ります。
- Abhijeet Thaler は、Rayler Parts の保証管理者です。
 - Kendrick Miranda は、Rayler Parts の保証請求裁定担当者です。
 - Ore Ngozi は、Danubelle Distributors の保証請求担当者で、Rayler Parts と緊密に連携しています。
 
Cindy は、彼らの課題を評価し、ソリューションを見つけるは大変だろうと予想します。それでも、Cindy が強い意志をもって取り組めば、道は開けるはずです。
強力な保証管理機能の概要
「Manufacturing Cloud の基本」モジュールで学習したように、Rayler Parts は Manufacturing Cloud を使用して商業業務の管理、サービスエクスペリエンスのオーケストレーション、パートナーとの緊密な連携を図っています。Cindy は Rayler Parts の Salesforce アカウントエグゼクティブに問い合わせて、Manufacturing Cloud に保証プロセスを全面的に見直すための機能があるかどうかを確認しました。
幸運なことに、アカウントエグゼクティブは、Manufacturing Cloud には保証ライフサイクル管理という機能があることを教えてくれました。これは、メーカーが汎用性の高いエンドツーエンドの保証プロセス (保証管理から請求の収集や裁定まで) を作成できるソリューションです。メーカーは、保証ルールとエンタイトルメントの包括的なフレームワークを作成し、請求処理の効率を高め、保証チームの生産性を大幅に向上させることができます。
Cindy は、保証ライフサイクル管理について詳しく知りたいと考えます。アカウントエグゼクティブは、保証ライフサイクルの各フェーズで Rayler が課題に対処するのにどのように役立つかを説明していきます。
保証サービス標準管理
Abhijeet のような保証管理者は、商品の不具合、作業サービス、経費、その他のサービス業務を記述する標準コードを作成します。たとえば、特定の作業サービスの定義を標準化するために作業コードを作成します。
メーカーが保証サービス標準の定義と管理で直面する主な問題は次のとおりです。
| 課題 | 保証ライフサイクル管理ソリューション | 
|---|---|
| 
           包括的なサービス標準の欠如が、支払の不一致とあいまいな保証ガイドラインにつながる。  | 
        
           保証管理者は、サービス業務のコードセットを定義し、コードセットを一貫して業務に適用できる。  | 
      
| 
           商品やサービスの数が多く、さまざまな商品に対して実行できるすべてのサービスを追跡するのが複雑である。  | 
        
           保証管理者は、欠陥商品の修正に必要なサービスを対応付けるために商品不具合コードを商品作業コードに関連付けることができる。  | 
      
保証管理
保証管理者は、保証条件のエンタイトルメント、対象資格条件、期間を定義します。商品に保証を割り当て、対象範囲の拡張、制限、無効条件を指定します。
メーカーが保証の管理で直面する主な問題は次のとおりです。
| 課題 | 保証ライフサイクル管理ソリューション | 
|---|---|
| 
           保証管理者は、さまざまな商品や商品ファミリーに分化した保証条件を定義するのに苦労している。  | 
        
           複数の商品レベルで包括的で詳細な保証条件のフレームワークを作成して管理することができる。  | 
      
| 
           あいまいで一貫性のない保証のエンタイトルメントは、収益漏損や請求裁定の主観性につながる。  | 
        
           対象労働、対象部品、対象経費、交換オプション、除外を明確に定義できる。  | 
      
| 
           特定の商品の保証の拡張や制限が覚書や購入領収書に記録されている。  | 
        
           商品保証の拡張、制限、無効条件を体系的に取得できる。  | 
      
保証請求の送信
パートナーまたは流通業者は、商品の問題を修正した後に、作業サービス、部品交換、その他の費用で発生した経費の払い戻しを受けるために、メーカーに請求を送信します。パートナーや流通業者の請求担当者は、修正された商品の確認、保証条件の精査、保証請求の送信、待機中の請求のフォローアップを行います。
Ore のような請求担当者は、請求の送信時にいくつかの問題に直面することがよくあります。
| 課題 | 保証ライフサイクル管理ソリューション | 
|---|---|
| 
           パートナーは、請求を送信するときに保証ガイドラインを簡単に確認できない。  | 
        
           オンラインポータルを使用して保証ルールと対象範囲情報を参照できる。  | 
      
| 
           パートナーは、保証請求の状況を簡単に追跡できない。  | 
        
           オンラインポータルで請求と承認済み金額を綿密に追跡できる。  | 
      
| 
           不十分または不正確な請求情報が、パートナーによる不必要なフォローアップや、請求が誤って裁定されることにつながる。  | 
        
           パートナーは、欠陥商品、既存の対象範囲、発生した経費などの詳細を含む請求を送信できる。  | 
      
保証請求の裁定
メーカーがパートナーから保証請求を受信すると、Kendrick や他の保証請求裁定担当者は、請求を精査し、請求された経費を確認し、承認された支払を決定する必要があります。保証の対象範囲を確認し、パートナーからの説明を求め、請求を裁定する必要があります。
請求裁定での課題について詳しく見てみましょう。
| 課題 | 保証ライフサイクル管理ソリューション | 
|---|---|
| 
           保証請求の量が多く複雑になると処理時間が長くなる。  | 
        
           システム管理者は、プロセス自動化ツールを使用して、請求裁定プロセスをすばやく作成できる。  | 
      
| 
           変化するビジネスニーズに基づいて既存の裁定プロセスを変更または拡張するのが大変である。  | 
        
           ビジネスユーザーは、ノーコードまたはローコードのプロセス自動化ツールを使用して、請求裁定ルールを定義したり変更したりできる。  | 
      
| 
           異種システムから必要な請求情報を統合するのは長い時間と労力を要する。  | 
        
           請求裁定担当者は、不具合のある納入商品、既存の対象範囲、発生した経費などの請求情報を一元的に把握できる。  | 
      
Cindy は驚嘆しました。保証ライフサイクル管理を使用すれば、Rayler Parts は素晴らしい保証プロセスを作成できることでしょう。
立ち上げて稼働させる
Cindy はワクワクしています。彼女はまず、Rayler Parts の組織で保証ライフサイクル管理を有効にします。[Setup (設定)] の [Warranty Lifecycle Management (保証ライフサイクル管理)] 設定ページを次に示します。
![[Setup (設定)] の [Warranty Lifecycle Management (保証ライフサイクル管理)] 設定ページ。](https://res.cloudinary.com/hy4kyit2a/f_auto,fl_lossy,q_70/learn/modules/warranty-administration-and-claims-management-in-manufacturing-cloud/get-started-with-warranty-lifecycle-management/images/ja-JP/b661efde049680671401e1bab9374ebe_b-5-c-19-bd-1-2-da-2-4106-8-ced-b-83979314009.png)
次に、Cindy は適切な権限セットを関係者に割り当てます。
| Assigned To (割り当て先) | 権限セット | 
|---|---|
| 
           Abhijeet Thaler  | 
        
          
  | 
      
| 
           Kendrick Miranda  | 
        
          
  | 
      
| 
           Ore Ngozi  | 
        
          
  | 
      
[Setup (設定)] で権限セットを確認します。
![[Setup (設定)] の [Permission Sets (権限セット)] ページに表示されている Warranty Lifecycle Management (保証ライフサイクル管理) の権限セット。](https://res.cloudinary.com/hy4kyit2a/f_auto,fl_lossy,q_70/learn/modules/warranty-administration-and-claims-management-in-manufacturing-cloud/get-started-with-warranty-lifecycle-management/images/ja-JP/8527bf89c075996166c35f50dc8c8fe8_49-e-1-a-7-a-5-f-89-f-4-c-13-b-5-a-9-66-a-4-ad-5733-d-1.png)
うまくスタートを切れました! 次の単元では、Abhijeet が商品保証を管理する手順を見ていきます。