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フィーリングと共にストーリーを伝える

学習の目的

この単元を完了すると、次のことができるようになります。

  • 共感を得るようなストーリーを伝えるためにオーディエンスを特定する。
  • ストーリーを伝えるための枠組みを使用する。
  • 変化を引き起こすようなストーリーの伝え方を使用する。

昔々あるところに ...

いよいよこのモジュールの最後の単元です。これまでの総決算。ストーリーの時間です。

すでにユーザーから重要な発見点を獲得しました。これで全部完了だったらいいんですけどね。発見した内容を関係者にメールで送信すると、皆が発見点の意味を理解して行動を起こす。いいね。そうであったらどんなにいいことでしょう。 さて、現実に戻りますか。

支持を集めたければそれ以上のものを用意することです。たとえば、次のようなことがしたいと考えるでしょう。

  • 予算や何が実装できるかできないかについての権限を持つ人達の感情に訴える。
  • 変化と成功 (あるいは製品の立ち上げ) への改革のストーリーを話す。
  • これまでの大変な仕事についてあれこれと説明する。

この単元を終える頃には、これらのことができるようになります。

説得力のあるストーリーの伝え方

記憶に残るエクスペリエンスとは変化から生まれます。ポケットの中でごそごそするようなちっぽけな変化ではありません。考え方や行動を変えるような、革新的な変化です。面白かった映画、逆にものすごく嫌だった映画を記憶しているのは、感情的な反応を引き起こしたからです。調査で得られた発見点も同じです。記憶に残り、変化をもたらし、感情的な反応を引き起こすようでなければなりません。

よく作られたストーリーは、次の要素を持ちます。

  •  オーディエンス: 関係者全員 (およびそれぞれのニーズや動機) です。
  •  チャンピオン、問題、ミッション、そして目標: ユーザーは克服すべき問題を抱えています。ユーザー (そしてあなた) は、目標を達成してミッションを完了するとご褒美がもらえます。
  •  3 つの段階: 導入、中盤、そして結末 (ただしこの順序でなくても構いません)。

3 つのステージにはフェーズ (変革とフィーリングの山と谷) があります。

  •  変革: メインユーザー (ストーリーの焦点) が以前の状況から別の物に変わります (善から悪へ、悪から善へ、善から悪へ、そして善へ)。
  •  フィーリング: 説得力のあるストーリーにはもう 1 つルールがあります。感情を呼び起こし、エンゲージメントを促進することです。納得させるためにすべての感情を戦略的に活用しましょう。

3 つのステージとは変革とフィーリングの山と谷のフェーズである

オーディエンスを知る

ユーザーを知るのと同じようにオーディエンスを知ることで、オーディエンスにとって最も意味のあるレンズを通して調査のストーリーを作ることができます。

次の 5 つの質問を自問してください。

  • 何を作るか、あるいは何を変えるかを決めるのは誰か?
  • 予算を握っているのは誰か?
  • デザインを決めるのは誰か?
  • 開発、テスト、およびリリースを監督するのは誰か?
  • 変化の内容を文書にしてユーザーを訓練するのは誰か?

オーディエンスとはこれらのすべての人間です。彼らはすべて成果に関与します。関係者とも呼ばれます。オーディエンスを知ったら、今度はニーズを知りましょう。調査のデータを集めるのとよく似ており、これも同様に大切です。

関係者が推奨された変化の実現に向けた会話を始めてくれるには、あるいはこれらの変化を促進するために関係者を説得するには、何を伝えたらよいでしょうか。あなたの訴えに説得力があると思わせるためには、正しいレバーを引かなければなりません。

ユーザーを知る

最も代表的な動機 (レバー) は次の通りです。

  • お金を節約するため
  • お金を儲けるため
  • 仕事を減らすため
  • タスクにかける時間を増やすため
  • 価値を証明するため
  • 偉く見せるため

動機がわからないときは、ユーザー調査の別のスーパーテクニックで探し当てましょう。

チャンピオン、問題、ミッション

オーディエンスを特定できたら、ストーリーの鍵となるチャンピオン、問題、そしてミッションを明らかにします。

チャンピオン

これは簡単です。ストーリーの中心はユーザーです。データを集めるために面談した人達、起こそうとしている変化の恩恵を直接受ける人達です。ユーザーの典型であるペルソナをチャンピオンと考えることもできます。何も変わらなかった場合に最も影響を受けるユーザーを重視するほど、ストーリーの持つインパクトも大きくなります。

問題、ミッション、そして目標

ミッションのない問題は、試練のないチャンピオンのようなものです。問題とは、このモジュールの最初の単元で定義したものと同じです。ここでは問題をオーディエンスの動機に関連付け、そしてそれをあなたが解決すべきであることを示すのです。これがミッションです。

問題とミッションはストーリーのシーンを設定し、調査の最終目標を描きます。ミッションステートメントは問題ステートメントとは少し異なり、問題の根っこにたどり着くまでに行った実際の作業を定義します。ミッションは、効果的な行動喚起と組み合わせましょう。Carla は、ミッションステートメントにはチャンピオン、つまり彼女のケースでは営業チームとジュニアセールスアシスタントのペルソナを含めた方がよいことを理解しています。

「昨年、営業チームのコアイネーブルメントアプリケーションである当社の製品アプリケーションの利用率が大幅に下がりました。営業担当における私達のコアミッションは、営業チームが収益を増やすために効果的なツールを提供することです。利用率の低下原因を調べるため、私達は営業マネージャーと営業担当者と面談し、日々の仕事を観察しました。そして、アプリケーションを改善し、営業担当者の効率を高める方法を探したのです。」

成功です。彼女は問題を明確に説明し、強力な感情を喚起し、調査のミッションを的確に説明しました。

問題、ミッションステートメント、そして目標を揃えた Carla は、製品、ユーザー、そして会社を一丸となって改善できることをオーディエンスに納得させることができました。

ストーリーを伝えるための 3 つのステージ

ミッションステートメントと問題ステートメントが準備できましたので、3 つのステージでストーリーを伝えましょう。1 つずつ詳しく見ていきましょう。

ステージ 1 — 導入部

自己紹介、自分のペルソナまたはユーザーの説明に続いて、データを収集した方法を説明します。少し過去を振り返って、何故今回の調査に至ったかの経緯を簡単に説明するのもよいでしょう。ストーリーに深みを与えるユーザーのデータ (フィールドの使用状況や使用状況のトレンドなど) が手元にあれば、それを登場人物の背景に織り込んでいきます。

ステージ 2 — 課題と解決のサイクル

ストーリーの中核では、一連の落とし穴と増分的な解決について説明します。

落とし穴とは、テーマとなった発見点や課題で、説得力のあるイメージを使ったり参加者の言葉を引用したりすることで活き活きと説明しましょう。ユーザーが問題、課題、困難などを切実に話している動画を使うのもよいでしょう (「戦略的に感情を使う」場面はここです)。そして常に、どうやって情報を集めたかを述べることで調査作業に言及しましょう (オーディエンスから尋ねてくるかも知れません)。

それぞれの発見点と提案した解決策のバランスを取りながら、積み上げるようにして話しましょう。現時点で達成可能な解決策 (できれば事前に調べておきます) を説明します。推奨事項は、ユーザー自身あるいはオーディエンスから出されると特に共感を呼びます。

課題と解決策、発見点と推奨事項を行ったり来たりしながら段階的にストーリーを伝えることで、肯定的な反応が得やすくなります。すべての課題でチャンスを見つけることは、小規模の改革に繋がります。このような小規模な改革は、悲観論を寄せ付けないためには不可欠です。また、ストーリーも伝わりやすく、理想的な成果につながります。

3 つのステージとフェーズ

ステージ 3 — 前向きな結論

ストーリーの中核である課題と解決策のサイクルをすべて乗り切ったら、まとめに入ります。問題をもう一度明確に説明します。

可能なら、可能な未来のビジョンを簡単に描いてみましょう。素敵なグラフィックデザインプログラムがなければ、プレゼンテーションソフトウェアを利用しましょう。これまでのすべての作業に軽く触れてから、盛大なフィナーレです。将来像を伝えてください。

これまでの長い道のりを振り返り、発見点を活用することで、新しいより良いユーザーエクスペリエンスが実現することを伝える最後のチャンスです。(あなたの苦労もやっと報われます。)

繰り返し (何度も何度も) 伝える

お疲れさまでした。すべての課題に解決策がもたらされ、ユーザーが無事に克服し、夢あふれる幸せな未来の姿を描くことができました。

あなたの素晴らしいストーリーはすぐに実現に移されます。しかしそれはおとぎ話の世界だけの話。実際にはストーリーが実現に移されるように何度も何度も繰り返し伝える必要があるのです。細かい点を何度も修正して、繰り返し伝えながら少しでも多くの共感を得るようにしましょう。

異なる動機を持つオーディエンスの共感を得るためには、新しいレンズを作る必要があります。ストーリーのバージョンがどんどん増えても構いません。伝えたいメッセージが薄まらなければいいのです。

ある日、そのときが来れば、ストーリーは現実となり、問題が克服されて、事態が改善されるでしょう。そのときは、ユーザーの新しいニーズを見つけるために新しい調査を開始しましょう。ですが、もう UX 調査ツールを手に入れたあなたにとって、次の調査は容易になるでしょう。

さあ、クリップボードを手に、新しい調査の冒険を楽しんでください!

リソース

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