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データの収集

学習の目的

この単元を完了すると、次のことができるようになります。

  • バイアスを回避してデータを収集する
  • 重要なユーザー行動を観察する
  • 行動とニーズについて面談でユーザーに質問する

面談と観察のスキルを磨く

これまでの単元では、ユーザーを調査するための事前準備の方法を学習しました。この単元では、観察と面談の基本を取り上げます。

面談で何を話し、何をするか、そして何を話さず、何をしないかは、面談に大きく影響します。その結果、原稿どおりに面談を進め、必要な内容をすべてカバーし、同時に的確なメモを取ることは、最初はストレスに感じるかも知れません。しかし、練習を積めば、自然にできるようになります。Carla は、チェックリストを使用して UX 調査のために準備した事柄を忘れないようにしています。

チェックリスト
  • 観察すべきこと
  • 質問のリスト/原稿
  • 録音または録画機材
  • ペンとメモ用紙
  • 粗品

面談場所での作法

自己紹介をして調査の目的を説明したら、セッションの導入部で面談相手と良い関係を築きます。いつでもそちらの都合で面談を終わらせても構わないと告げることを忘れずに。決して強制的に付き合わせてはいけません。

クリップボードを手にする調査者のイラスト

Carla は、参加者の Dana の気分がよくなればそれだけ多くの情報を引き出せることを知っています。彼女はまず、Dana を評価することが面談の目的ではなく、Dana の仕事を楽にするために情報を集めることが目的であることを説明します。最初のいくつかの質問は、Dana と彼女の仕事に関するものです。たとえば、次のような質問です。

  • 現在のお仕事を続けてどのくらいになりますか?
  • 典型的なお仕事の内容はどのようなものになりますか?
  • 日々のお仕事の中で最も大きな課題は何ですか?
  • お仕事について変えたいものは何かありますか?

参加者と良い関係を築くことができたら、調査活動の核心である観察と質問に移ります。

UX 調査を実施する際のヒント

UX 調査を実施する際のヒント

  •  愛想よく、前向きに — 笑顔を忘れずに! 参加者は緊張していて、面談で自分が評価されるのではないかと心配している場合もありますので、中立的な立場を維持しつつ、励ますような相づちも入れましょう (例:「これはとても役に立つことを聞きました」)。
  •  質問をする — 思い込みは禁物。少しでも不明瞭な点があったら必ず質問しましょう。
  •  集中 — 参加者と良い関係が築かれていくと、共通の話題が見つかりやすくなりますが、時間は限られていますので、有効に使いましょう。参加者が本題から外れてきたら、丁重に軌道修正してください。常に残り時間と残りの質問に注意してください。
  •  あなたが主役ではありません — この面談はユーザーのために行うもので、あなたのためではありません。調査しているのは参加者のエクスペリエンスですから、自分の意見やエクスペリエンスを話すのはやめましょう。当然、参加者からあなたの意見を聞いてくることもありますが、まずは参加者の意見を聞きたいということを告げ、参加者からの質問に答えるのはセッションの最後にしてください。
  •  指導したい気持ちを抑える — 参加者の意見や要求に賛同できなくても、その気持ちは隠してください。参加者が何か「間違った」ことをしていることを発見しても、今はそれを修正するときではありません。参加者への提案があっても、それは調査の最後に、絶対に必要な場合にのみ行ってください。この人は結局は自分を評価していたのだ、という誤解を参加者に与えたくはないでしょう?
  •  参加者の身振りを観察する — 参加者の身振り手振り、態度、そして声のトーンに注意してください。ある種の質問が相手にとって不快であったり、観察中のタスクが非常にストレスを与えるものであったり、あるいは参加者が調査に飽きてしまったりした場合には、質問を変えるか、またはセッションを終了しましょう。そのときのトピックやタスクが非常に重要であったとしても、強制的な継続は有意義な結果をもたらしません。
  •  柔軟に — 何事も計画どおりに行くとは限りません。(#何か一言!)参加者が遅刻したり、ビデオカメラの充電が切れたり、観察したい状況 (たとえば、Dana が掛かってきた営業の電話にどう対処するか) が起きなかったりするものです。考えられる事態を想定して、代替案を用意しておきましょう。予備のバッテリーを用意したり、期待していたできごとが起きなかった場合の代わりの質問や活動の一覧を作っておいたりしてください。

厄介なホーソン効果に注意

他人に見られながら仕事をしなければならないときの感覚は誰でも知っています。良い気持ちではなく、仕事の質にも影響することがあります。

ノート PC で仕事をしている参加者の後ろに立って観察している調査者のイラスト

仕事の質が製品、プロセス、サービスなどの今後の方向性にどのように影響するかを考えてください。他人に観察されているときの挙動とそうでないときの挙動は違う場合があるのです。これはホーソン効果 (Landsberger が 1958 年に発見) と呼ばれるもので、作業者と観察者の間の力関係が大きいほど顕著になります。しかし、この効果は時間と共に、特に参加者との間に良好な関係が築かれると消えます。このためにも、セッションの最初に良好な関係を築くように心掛けましょう。

優秀な観察者になろう

虫眼鏡を持つ調査者のイラスト

多くの場合、簡単な面談だけでは、ユーザーの仕事のやり方、ユーザーが必要としている物、問題点、回避策などを理解するために十分な情報は得られません。製品やサービスの対象となる人物をよりよく理解するための情報を得るには、ユーザーの立場に立つことが必要です。この代表的な手法は「コンテキストインタビュー」と呼ばれます。Beyer と Holtzblatt が 1998 年にコンテキストインタビュー (CI) とコンテキストデザインについて書いた本では、コンテキストインタビューの 4 つの主要な部分を説明しています。

  •  コンテキスト: ユーザーの環境に出向いて、ユーザーの行動のコンテキストを理解します。この場合は、自分のオフィスや会議室にユーザーを招くのではなく、ユーザーの職場に行くのがよいでしょう。
  •  パートナーシップ: ユーザーを師として師弟関係を結ぶことで、ユーザー、ユーザーの仕事、そしてユーザーの職場環境をよりよく理解することができます。ユーザーの仕事をユーザーがやるとおりに実際にやってみることで、ユーザーの仕事にどっぷり浸りましょう。たとえば、顧客からの電話に出たり、サポートチケットを解決したり、といった仕事です。
  •  解釈: 観察結果を参加者と共に解釈します。想定と結論が正しいことを確認してください。
  •  焦点: 観察ガイド (行動、タスク、および観察や質問の領域のリスト) を作成し、関心や質問の主題から焦点をずらさないようにしましょう。

インタビュワーとしてもう一歩を踏み出す

一歩踏み出す調査者のイラスト

ユーザーの職場での観察ができない場合、あるいは Carla のようにすでに観察は済んでいる場合は、面談のみを単独で行います。次の点に留意してください。

  •  静かな場所を探す: 観察をしないのであれば、邪魔や中断の入らない静かなオフィスや会議室で面談を行いましょう。質問への回答に資料などを参照する必要がある場合に備えて、ユーザーがすぐに机に向かえる場所を選んでください。
  •  原稿に忠実に: すでに質問は完成し、バイアス (誘導的なフレーズなど) は除去してありますね? 面談では、うっかり原稿から外れて質問にバイアスが掛かってしまうことがよくあります。熟練した調査者でもよくあることなので、これを避けるために原稿に忠実に質問してください。
  •  解決策ではなく結果に主眼を: 面談中ユーザーは、自分が直面している課題への解決策を伝えようとします。その解決策は最適ではないこともあり、場合によっては技術的に実行不可能なこともあります。しかし、解決策を見つけるのはユーザーではなくあなたの仕事なのです。したがって、結果に主眼を置きましょう。ユーザーが達成したい目標を突き止めるのです。
  •  沈黙も我慢: 沈黙は時に気まずさをもたらすため、ほとんどの人は提案したり参加者の言葉を補ったりといった「助け船」を出してしまいます。それだと自分が参加者となってしまい、調査に自分自身のバイアスがかかってしまいます。沈黙は、あなたが参加者の言葉を真剣に聴きたがっていることを示すサインとして使ってください。メモを取っているのであれば、手を止めて相手の目を見ることで、参加者はあなたがきちんと話を聴いていることを理解します。「ええ」や「はい」といった肯定的な相づちも忘れずに。
  •  一般論に注意: 通常はこうだとか「ほとんどの人」はこうだとか、一般論が役に立つと考えがちです。このような一般論は、ユーザーが実際に遭遇している状況を聞き出すためにはむしろマイナスです。「通常」の実際の頻度を知ることはできないし、ユーザーが「通常」起こると評価することが、正確な裏付けを伴うものなのかどうか、あるいはそもそも他の人々が実際にすることについてユーザーがどれだけ明確なイメージを持っているのかどうか、知るよしはありません。ですから、より詳細な情報や実際の例を聞き出すようにしましょう。
  •  「答えなし」を許容する: あるトピックについてユーザーが本当に何の意見も持たなかったり、質問への答えを本当に知らなかったりすることがあります。それでも問題ありません。無理に答えを推測させる必要はないのです。そのまま次の質問へ進んでください。

メモのとり方について

手書きにしろノート PC にしろ、面談中にはメモを取りたいと考えるでしょう。この場合に注意しなければならない問題は、メモを取ることに集中してしまい、面談が疎かになってしまったり、参加者へのフォローアップを忘れてしまったりすることです。メモを取るのが遅くて重要なコメントを聞き逃すことだけは避けなければなりません。

Carla はタイプが遅いので、速記術を身につけ、主要な情報をすばやくメモできるようにしました。また、すべてのコメントを一字一句メモしようとはしません。要約の方が速く、ほとんどの目的では十分であることを知っています。一字一句の記録が重要な場合は、録画したり録音したりしています。そして重要な観察イベントやコメントが発生した時刻をメモしておくことで、録画や録音の中身を簡単に見つけ出すことができます。

座ってノート PC で仕事をしている調査者と床でくつろぐ犬のイラスト

参加者への感謝

どんな会話でも気分良く終わりたいものです。Carla は、Dana の観察と面談が終わると、彼女に感謝の気持ちを伝えます。Dana が貴重な観察の時間を割いてくれたことに、Carla は心から感謝しています。Dana の元を去る前に、Carla は何か質問がないか尋ねます。

また、次のステップについて簡単に説明します。最後に、感謝の気持ちとして粗品 (会社のロゴ入りコーヒーマグ) を Dana に渡します。

これでデータの収集は完了で、次の単元に進むことができます。次は、記録したデータを照合することで、面談したユーザーに見られるトレンド、共通点、相違点などを発見します。

リソース

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