機能の採用と発見を促進する
学習の目的
この単元を完了すると、次のことができるようになります。
- プロンプトとウォークスルーを使用する状況を判断する。
- 3 つのプロンプト種別 (フロート表示、対象、ドッキング) について説明する。
プロンプトとウォークスルーを使用する状況の識別
前の単元では、オンボーディング、機能の採用と発見、深化学習のシナリオには、プロンプトとウォークスルーという 2 種類のアプリケーション内ガイダンスが役立つことを説明しました。それでは、機能の採用と発見のシナリオをもう少し掘り下げてみましょう。「機能」という用語は、さまざまなレベルの複雑さ、アクセシビリティ、存続期間をまとめて表す大きなバケツです。
適切なユースケース
プロンプトとウォークスルーは、役に立つ情報を簡潔に伝える場合や、新規項目、興味深い情報、重要事項に直ちに注意を向けさせたい場合に最適です。プロンプトとウォークスルーを使用することで、ユーザーは情報をすばやく吸収して理解した上で、業務フローを継続できます。以下のユースケースは、プロンプトやウォークスルーの使用に適しています。
- 学習しやすく、すぐに使用できる機能
- 設定やパーソナライズなしで利用可能な機能
- 既存機能の拡張が要求される機能
- あまり採用されていない機能へのオンボーディングに対するリマインダーや簡単な手順
- アプリケーション内で生産性を高めるためのヒント
不適切なユースケース
プロンプトとウォークスルーは、共有する情報、説明すべき前提条件、確立すべきコンテキストが多数ある場合には、あまり効果的ではありません。以下のユースケースは、プロンプトやウォークスルーの使用に適していません。
- 複雑で、ワークフローが覚えにくい機能
- 学習が難しい機能
- ユーザーが大幅にパーソナライズできる機能
利用者を考慮する
主題だけでなく、プロンプトやウォークスルーの対象利用者も考慮してください。機能と同じように、ユーザーも一様に扱うことはできません。経験レベル、学歴、前提条件、担当業務もさまざまです。それでも、大半のユーザーについて次の点に留意することで、多くの種別のユーザーを一度に効果的にサポートするプロンプトとウォークスルーを作成できます。
- 基本は理解しているが、妥当な理由なくワークフローを中断されたくない。
- 頻繁に使用する機能の更新、生産性向上に効果がありそうな新機能に関する、実用的で関連性の高い情報を求めている。
- 明らかにニーズに合わせて調整された提案でない限り、売り込みはされたくない。
上記の考慮事項を念頭に置くと、プロンプトとウォークスルーであらゆる種別のユーザーに価値が提供される適切なシナリオをより慎重に選択することができます。
目的と利用者を確認したので、次はプロンプトとウォークスルーの違いについて説明しましょう。
プロンプトとウォークスルーの比較
プロンプトは 1 つの小さなウィンドウで、ユーザーに機能、更新、行動要請への注意を促します。プロンプトが表示されたユーザーは、その情報を参照したり、アクションを実行したりしたうえで、各自の作業を続行します。
ウォークスルーは一連のプロンプトで、コンテキスト内学習の 1 つ以上のページでユーザーに段階的なガイドを示します。ユーザーにとってはウォークスルーのほうが、時間も、注意力も、アクションもより必要になります。ただし、ウォークスルー独自の実体験は、ユーザーが時間をかけてすべての手順をきちんと完了するように促すように設計されています。
短いメッセージの単独のプロンプトを使用して、ある機能がどのようなものなのかユーザーにすぐわかるようにします。ユーザーに機能の採用を促すために複数のステップを誘導する場合や、関連する複数の機能がどのようなものかユーザーにわかるようにする場合は、ウォークスルーを使用します。
また、ウォークスルーは次の活動にとっても非常に便利なリソースとなります。
- 新規採用者に対するワークスペースのオンボーディング
- ナビゲーションまたは機能の概要の提示
- 複数ステップの手順によるユーザーの誘導
プロンプトの種別
プロンプトがシナリオに適したアプリケーション内ガイダンスである場合、次に行う決定は、作成するプロンプトの種別を選択することです。プロンプトには、フロート表示、対象、ドッキングの 3 つの種別があります。各自のユースケースに適したプロンプト種別を選択します。
ユースケース
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フロート表示プロンプト
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対象プロンプト
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ドッキングプロンプト
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目標は、読者をリソース (トレーニングの PDF や Web サイトなど) に誘導すること。 |
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目標は、特にアクションを実行しなくても読者が情報を確認できるようにすること。 |
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メッセージが短い (1 文程度)。 |
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ユーザーが作業しながら参照できる情報を含める。 |
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動画をドッキングプロンプトに組み込む。 |
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メッセージが 1 文より長い。 |
フロート表示プロンプト
フロート表示プロンプトは、ごく自然にユーザーを機能や機会に誘導できる方法です。余計なものは一切省いて、短く適切なメッセージや任意の画像、そしてクリックすると指定された URL が開くボタンなどの何らかの行動を誘引する機能だけです。メッセージはリッチテキストエディターを使用して書式設定することも、シンプルなプレーンテキストのままにすることもできます。フロート表示プロンプトはウォークスルーのほとんどのステップにも適しています。フロート表示プロンプトは、ページ上の 9 つの位置のいずれかに配置できます。
- 左上
- 中央上
- 右上
- 左中央
- 中央
- 右中央
- 左下
- 中央下
- 右下
たとえば、お気に入りのリストビューを固定すれば、生産性が向上することをユーザーに伝えたいとします。フロート表示プロンプトを使うと、その固定方法とユーザーにとってのメリットを要約できます。
対象プロンプト
対象プロンプトはフロート表示プロンプトと同じ長所を備えているうえ、9 つの配置位置の制限がありません。対象プロンプトを特定のページ要素に紐付ければ、何について説明しているかを明確に示すことができます。
ドッキングプロンプト
何かの機能を探している途中でユーザーがコンテンツを参照する必要が生じた場合に役立つのが、ドッキングプロンプトです。フローティング表示プロンプトや対象プロンプトとは異なり、ドッキングプロンプトはユーザーがアプリケーションを移動する間、一定の場所にずっと残ります。ユーザーが業務フロー内で従うことができるように、段階的な手順説明や画像、短い動画などのコンテンツを画面に常に残しておきたい場合には、ドッキングプロンプトを使用します。ウォークスルーの次のステップや最後のステップの要点の表示にも、ドッキングプロンプトを使用することを考えてみてください。
たとえば、取引先レコードの詳細ページの新しいレイアウトをユーザーに紹介するとします。重要な変更であることを示すヘッダーを追加します。さらに、注意を引くタイトルを付け、わかりやすく説明する動画を埋め込んで、重要な更新 (「すぐに参照できるようにパスと主要な項目をレコードの上部に表示」など) をリストにして表示します。ドッキングプロンプトには、この情報をすべて記載できます。
その他のプロンプトの例
Lightning Experience に表示可能なその他のプロンプトの例を確認するには、Salesforce から「In-App Guidance: Boost Sales User Productivity in Lightning Experience (アプリケーション内ガイダンス: Lightning Experience でのセールスユーザーの生産性向上)」または「In-App Guidance: Boost Service User Productivity in Lightning Experience (アプリケーション内ガイダンス: Lightning Experience でのサービスユーザーの生産性向上)」管理パッケージをインストールすることを検討します。このような管理パッケージは、独自のプロンプトを作成するための出発点として役立ちます。このパッケージをインストールするには、組織にセールスまたはサービスコンソールアプリケーションがインストールされている必要があります。
次の単元では、アプリケーション内ガイダンスビルダーを実際に使用して Lightning Experience にプロンプトを作成してみます。
リソース
- Salesforce ヘルプ: アプリケーション内ガイダンス
- 動画: Create Prompts in Lightning Experience (Lightning Experience でのプロンプトの作成)
- 動画: Create Walkthroughs in Lightning Experience (Lightning Experience でのウォークスルーの作成)