ユーザーエンゲージメントジャーニーを設計する
学習の目的
この単元を完了すると、次のことができるようになります。
- アハ体験について説明する。
- メッセージ、利用者、目的を使用して、効果的なユーザーエンゲージメントコンテンツを作成する。
- ユーザーエンゲージメントジャーニーのストーリーボードを作成する。
アハ体験
「わかった!」や「電球がひらめく」瞬間としても知られていますが、ユーザーエンゲージメント分野では、どのガイダンスでも最終的な目標は目からうろこが落ちる体験をもたらすことです。これは、ユーザーが製品またはソリューションの価値を初めて認知する瞬間です。
ユーザーには、ユーザー自身とその仕事にとって新しい情報にどのような価値があるかをすぐ完全かつ明確に理解してもらう必要があります。アハ体験によって情報がしっかり記憶に残ると、ユーザーはすぐにその情報を使い始めます。これはかなり高いハードルですが、ユーザーが何を求めているかを思い出してください。
- 実用的で関連性のある情報が欲しい。
- 妥当な理由なくワークフローを中断されたくない。
- 売り込みはされたくない。
アハ体験をもたらすには、わざわざ時間を割いても読む価値があると感じられるような実用的で関連性の高い情報を提供します。たとえば、ユーザーのエクスペリエンスと効率の最大化に繋がる情報や、業務の簡略化に役立つような情報、ハッと閃きを感じさせられるような情報です。
最初のアハ体験はオンボーディングで起こることが多いのですが、次第にユーザーの熟練度が増すにつれて再び起こることもあります。というか、起こるべきです。ただし、そのためには少し計画が必要です。では、始めましょう。
ユーザーエンゲージメントジャーニーの作成
ユーザーエンゲージメントジャーニーは 4 つのフェーズで考えます。
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オンボーディング: ユーザーに歓迎が伝わるような挨拶をして温かく迎え入れる。
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機能の採用と発見: 最新の優れた機能を紹介してユーザーに期待感を持ってもらう。
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ヘルプとトラブルシューティング: 中断は最小限に抑えつつ、関連性の高いコンテンツでユーザーをサポートする。
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深化学習: 複雑な概念やタスクについてユーザーが理解を深められるように手助けする。
何だか見覚えがありますね。これらはユーザーエンゲージメントシナリオです。ユーザーエンゲージメントジャーニーではフェーズとして表されます。Salesforce や皆さんの会社では常にイノベーションが進んでいますから、このフェーズは直線的ではありません。各フェーズは、タイムラインではなく、ユーザーが仕事を進めていく中で何度も遭遇する一連のイベントとして考えてみてください。
シナリオとフェーズのことがわかってくると、各フェーズでユーザーに何が必要かが見えてきます。次のような質問を自問してみてください。
- このフェーズで提案できる最も役に立つ情報は何か? 最も多い使用事例とそのアハ体験に注目します。
- ユーザーに影響を与えるのはどのような変更か? ユーザーが常に最新情報を得られるように、該当する変更をピックアップします。
- ユーザーごとに求める情報は異なるか? 製品や業種に対する習熟度、モチベーションレベル、製品の複雑さを考慮します。その後で、ユーザーのロールと目標に合わせてヘルプを調整します。
やがて、取り上げるべきすべてのトピックをリストしたドキュメント (またはドキュメントのセット) ができます。たとえば、新しいセールスユーザーのオンボーディング戦略では、次のトピックを取り上げる必要があるかもしれません。
- 最近使ったデータを見つけるためのヒントとコツ (検索やお気に入りなど)
- アプリケーションランチャーでアプリケーションを変更する手順
- ナビゲーションバーとリストビューをパーソナライズする手順
- 生産性機能 (メモ、ToDo、カレンダーなど) とレポート (ダッシュボードを含む) のクイックガイド
必要なトピックが絞られたところで、個々の要素の作成を始めます。まず、計画から始めましょう。
メッセージ、利用者、目標を定義する
コンテンツのメッセージ、利用者、目的を識別します。
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メッセージはユーザーに伝える内容。
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利用者は対象となるユーザー。
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目的はメッセージを伝える理由。
次の例を考えてみます。
メッセージ (何を)
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利用者 (誰に)
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目的 (なぜ)
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数回のクリック操作だけでリストビューを固定、切り替え、カスタマイズする方法を学習する。 |
すべてのユーザー |
リストビューの基本的スキルを教える。 |
パスと Kanban で商談を進める。 |
すべてのセールスユーザー |
パスと Kanban の使用を奨励する。 |
最も使用されるレコードをお気に入りにブックマークする。 |
すべてのユーザー |
お気に入りの使用を奨励する。 |
利用者を定義するときには、社内の個人のロールだけではなく、もっと具体的な定義ができるかどうか調べるてみることをお勧めします。対象利用者は初心者、上級者、またはその中間ですか? 既存のユーザーには新機能のフローが必要です。あまり活動が多くないユーザーには、製品にまた慣れていくためのフローが必要になります。
目的は、時間をかけてコンテンツを作成するための理由付けです。ガイダンスで何が達成されますか? 利用者と同じ目的があっても、メッセージには目的を提示しないでください。目的を書くときは、フェーズ (オンボーディング、機能の採用、トラブルシューティング、深化学習) を明記します。こうすることで、目的を定義して、メッセージを適切に伝える方法を選びやすくなります。使用に最適なユーザーエンゲージメントコンポーネントを選択したら、形式に合わせてメッセージを調整できます。
次のステップでは、対象ユーザーに学習、理解、達成してほしいことを記述します。この目的に焦点を合わせてメッセージを作成します。読んだ瞬間にインパクトを感じてもらえるように、ヘッダーまたはタイトルでどんなメリットがあるのかを明確に伝えます。プロンプトとウォークスルーについては、後でアプリケーション内ガイダンスを参照しなくても覚えていられるようなコンテンツを書いてください。
次の FACE 原則を意識すると、効果的なコンテンツを作成できます。
- Friendly (友好的) で、明るく人を惹きつける
- Accurate (正確) で読者との信頼を築く
- Concise (簡潔)
- Educational (教育的) で、効率と生産性を高める方法を教える
通常、メッセージの最後には CTA (行動要請) を含めます。行動要請が「確認」という操作になることもあります。たとえば、近日中にアプリケーションに変更が行われることを知らせる場合、ユーザーは [了解] や [OK] をクリックしてそのメッセージを読んだことを伝えるだけで、他に何かを実行する必要はありません。
これはむしろ少ないほうで、アプリケーション内ガイダンスではユーザーに何かを実行するように求めることが多いのが普通です。
- wiki や PDF ファイルを開く。
- 新機能や機能強化を試す。
- いくつかのステップを実行して何かを設定する。
- 動画を見て詳細を学習する。
行動を選ぶときにはよく考えてください。ワークフローが中断されるのを嫌がる人が多いため、その瞬間に必要とされる情報を提供できるようなリソースを選ぶようにします。後でその情報を参照する必要が生じた場合も考慮して、可能であれば、その時点では参照している時間がなくても後で参照できる二次的な情報源があることを知らせるようにしてください。
以下は、パスと Kanban の認知度促進プロンプトの例です。
以下は、初めて Lightning Experience を使用するユーザー向けの歓迎メッセージの例です。
ストーリーボードは、各自のユーザーエンゲージメントストーリーを視覚化して、すべての要素がうまくまとまっていることを確認するためのローテクで簡単な方法です。学習ジャーニーの状況や要素は、プロが描くようなイラストにする必要はありません。正方形と矢印が描ければ、いつでもユーザーエンゲージメントストーリーボードを作成できます。紙とペン以外の方法として、Salesforce では、一般的な記号のスケッチキットをダウンロードして使用できます。「リソース」セクションの Lightning Design System リンクを参照してください。
まず、各コンポーネントの基本的なワイヤーフレームを描きます。たとえば、ウォークスルーのすべてのステップのワイヤーフレームを作成しておけば、アプリケーション内ガイダンスビルダーでウォークスルーを作成する作業が楽になります。ユーザーがどのような状況でステップを行うことになるかに基づいて、ステップを特定して結び付けます。機能をあちこちに分離するのではなく、一連の瞬間が時間とともにどう展開していくかに注目します。
一般的なユーザーエンゲージメントと、具体的な Salesforce ユーザーエンゲージメントコンポーネントについて少し理解が深まりました。これでいつでも、ユーザーエンゲージメント戦略を開始 (または再評価) し、Salesforce がシステム管理者およびユーザー向けに提供するすべての機能を利用できます。
リソース