デジタルトランスフォーメーションを推進する
学習の目的
この単元を完了すると、次のことができるようになります。
- メディア企業が成功に向けて事業を適応させる方法を説明する。
- メディア企業が目標を達成するために実行できるステップを挙げる。
概要
メディア業界は劇的な成長を遂げており、10 年前に重要とされていたサービスの多くが今や影を潜めています。この業界ではさまざまなことが起こっています。
- サブスクリプションサービスにより、人々の選択肢がかつてないほど広がっている。
- 広告キャンペーンにより、市場に出回っているすべての新商品やサービスをコミュニティが認識している。
- メディア企業は比類のないメディアエクスペリエンスを実現するために、IoT、AI、データマイニング、機械学習などの優れた最新テクノロジーに投資している。
- 企業はサービスの利用率と顧客維持率を最適化するために、お客様のオンボーディングを合理化している。
メディア企業にとってこうした取り組みが重要なのはなぜでしょうか? 業界の変化に適応し、ブランドを中心とした効率的なメディアソリューションを構築する必要があるためです。一体どのように構築するのでしょうか?
すべてのイノベーションで常にお客様を中心に考える
1990 年代初頭、テクノロジーの分野に新たな概念が出現しました。Apple の認知心理学者である Donald Norman がその概念にユーザーエクスペリエンスという名前を付けました。「お客様の声に耳を傾け、お客様の問題を解決する商品やサービスを作り出す」というシンプルな概念です。この概念は爆発的に広まり、多くの方法論やベストプラクティスに取り入れられていますが、核となる考え方の価値は今でも変わっていません。
当たり前のことですが、メディア企業の存続と成功はお客様との関係に大きく依存します。お客様が何を好み、何に喜びを感じ、どのような問題を抱えているのか把握する必要があります。
たとえば、ストリーミングプラットフォームの登録者で、Ken Burns が製作したドキュメンタリーを欠かさず見ている Leslie が、21 世紀最大の傑作とされる日常系アニメを勧められても、ありがたみを感じないものと思われます。メディア企業が Leslie のすべてを把握しているわけではないため、可能性はゼロではありません。だとしても、歴史番組で構成されるバンドルパッケージに対する割引の方が喜ばれる可能性が高いことが予想されます。Leslie の好き嫌いを知り、そのエクスペリエンスをパーソナライズすることで価値が創出されます。その見返りとして、Leslie の中で企業に対するロイヤルティが高まります。
どの企業のサクセスストーリーでもその核にあるのは、個人的なエクスペリエンスを生み出し、ビジネス中心のマインドセットからお客様中心のアプローチに移行するということです。メディア企業がさらに一歩進めて収益源を一本化すれば、顧客生涯価値を最大限に高めることができます。つまり、サブスクリプション、広告、コマース、ライセンス供与を 1 つの統合された収益源にまとめるということです。
メディア/エンターテイメント業界がお客様のことを知り、パーソナライズされた方法でエンゲージすれば、顧客生涯価値を効率的に収益化することができます。具体的には、次の点を実施することを検討します。
- コンテンツ消費のサブスクリプションを用意する。
- 有料サブスクリプションパッケージの代わりに、広告付きコンテンツを配信する。
- ディストリビューターやマーチャンダイザーなどのサードパーティのパートナーを介して消費者にリーチするコンテンツを販売またはライセンス供与する。
- インベントリベースの広告からターゲットを絞った広告に切り替える。
- ゲームのダウンロードなどのコンテンツ型商品や、テーマパークのチケット販売などのエクスペリエンス型商品を手がける。
メディア企業のトランスフォーメーション
進化するこの業界への期待に、メディア企業が応えるにはどうすればよいのでしょうか? まず、Salesforce Media Cloud を使用すれば、メディアエクスペリエンスをすばやく設計して創出し、収益化することができます。
このトランスフォーメーションは、次のようなシフトによって可能になります。
- メディア企業は、消費者が求める商品や広告を製作して配信するという事業のコアコンピテンシーに専念します。Media Cloud のような適切なツールは、企業がお客様中心のビジネスに迅速に移行するためのプラットフォームを備えています。そのため、1 つの信頼できるビューを確立し、サブスクリプション、広告、コマース、ライセンス供与を統合したハイブリッド型の収益源を創出するという方法で、顧客生涯価値を最大限に高めることができます。
- メディア企業は、広告販売を 1 つのエンドツーエンドのプラットフォームに集約して、インベントリファーストのアプローチからオーディエンスファーストのアプローチに移行します。こうすれば、お客様の情報が 1 つのビューに一元化され、ファーストパーティデータを使用できるようになります。ユーザーの囲い込みを狙う Google、Facebook、Amazon などの巨大企業が支配する Cookieless の時代には、こうしたシフトが大きな効果を発揮します。巨大企業は充実したファーストパーティデータ (企業がその顧客から直接収集して所有する情報) を有しているためです。
- メディア企業は、新興のメディアバリューチェーン全体で、バーチャルエクスペリエンス、強力なコラボレーション、新たなエクスペリエンスを検討する必要があります。たとえば、バーチャルプロダクションや、デジタルコマースやデジタル広告を駆使したバーチャルイベントなどが挙げられます。
- メディア企業、特に従来型の企業は、運営モデルの方向性を再考します。競争力を維持するためには、収益性と業務効率を向上させなければなりません。自動化、デジタル化、顧客に関するデータ主導のインサイトの収集などにより、製作から消費まで至るところに新たな機会が生まれています。
- 地域あるいは全国を対象にマーケティング活動すればよかった時代が過ぎ去った今、メディア企業は登録者の増大をグローバルに加速させることを検討します。その 1 つのやり方が、拡張性と柔軟性に優れたモジュール式のメディア専用ソリューションを利用できるプラットフォームベースのアプローチです。一体どのようなプラットフォームなのでしょうか? もうおわかりですよね。Salesforce Media Cloud です。