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ビジネスモデルと課題について説明する

学習の目的

この単元を完了すると、次のことができるようになります。

  • 事業運営の指針となるメディア業界の一般的な収益モデルを示す。
  • メディア領域の課題を挙げる。
  • メディア業界がどのように変わることができるかを説明する。

メディア業界のグローバル収益モデル

メディア企業が常識を覆す新時代に適応し、イノベーションを積極的に受け入れているという報道をちょくちょく目にしているのではないでしょうか。たいていの企業は、顧客生涯価値とそれに伴う収益を最大化する独創的な手法を模索しています。YouTube や Spotify の広告はこの好例です。ただし、驚くかもしれませんが、登録者を収益化する手段は広告だけではありません。実際のところ、今日のメディア企業は、あらゆるメディアに対応するために 4 種類の収益モデルを採り入れています。

サブスクリプションサービス 

メディア企業は、多様なコンテンツやエクスペリエンスを消費者に届ける週間、月間、年間、その他のサブスクリプションサービスを用意しています。たとえば、オーディオ、動画、ニュース、記事のサブスクリプションが挙げられます。  

登録ボタンにマウスポインターが置かれているアイコンのイラスト

企業が登録者のインタラクションや嗜好に基づいて、サービスをパーソナライズし、登録者とのエンゲージメントを高めれば、商品のアップセルやクロスセルが可能になります。

たとえば、Disney というメディア企業は、Disney+ というストリーミングサービスのサブスクリプションを販売しています。このサービスのサブスクリプションと併せて、次の事業分野のエクスペリエンスもパーソナライズすることができます。

  • Disney のテーマパークの割引チケットや無料チケットを配布する。
  • Disney ショーなどのライブイベントを Web サイトで宣伝する。
  • 店舗や Web サイトで Disney 模様の T シャツを販売する。

広告販売

広告をデザインして、ターゲットとなるお客様に届けるためには、入念な計画が欠かせません。メディア企業は広告主にインベントリを販売して、ブランドがターゲットオーディエンスにリーチできるようにします。

各種のメディアにパブリッシュされている広告を示すイラスト

メディア企業は、利用可能な広告スペースに対する需要、関連性、リーチに応じて広告価格を変動して収益を回収します。

たとえば、オンラインメディア企業と小売企業の両者から委託を受けた代理店が、Facebook からバス停、スーパーの通路脇の陳列棚まで、さまざまな収益源の広告販売を仲介することがあります。

メディアコマース

メディア企業は、お客様が物理的な商品やデジタル商品、コンテンツ、エクスペリエンスを購入できるプラットフォームを用意しています。

携帯電話の広告を店舗と結び付けるイラスト

メディア企業は、お客様が商品やサービスに簡単にアクセスし、シームレスなトランザクションで購入できるようにして、お客様のライフサイクル全体の収益源を結び付けます。

この代表例が Amazon で、自社と他社の物理的な商品を販売しています。さらに、Amazon Prime でホストする独自のデジタルコンテンツを製作して販売しています。

ライセンス供与

メディアの知的財産 (IP) を所有または管理する企業は、グローバルなライセンス供与や契約によって収益を得ると共に、コンテンツのシンジケートや配信による追加収益を積極的に模索することもできます。

企業のロゴのライセンスを取得しているスポーツ用品を示すイラスト

ライセンスを供与しているメディア企業の例として、FIFA のようなスポーツ団体や、Disney のような伝統的な企業が挙げられます。こうした企業は、物理的な商品、コンテンツの権利、デジタル肖像権 (ゲームのアバターなど) にブランドのライセンスを供与しています。

これまでメディアについて、洞窟の壁画から印刷機、業界の完全なるトランスフォーメーションに至るまでたくさんのことを学びました。メディア業界が常識を覆す技術に適応し、収益面だけでなく、顧客ロイヤルティの面でも成功を収めるレジリエンスを見てきました。 

ここで伝えたいことは、ありふれた言い方ながら、唯一不変なものは「常に変化する」ということです。変化と共に、新たな課題も持ち上がります。メディア企業が課題を克服する唯一の手段がイノベーションです。

では、どのような課題があるのか詳しく見てみましょう。

メディア業界の課題

変化し続けるビジネス環境により常識を覆す技術が度々出現し、メディア企業はその都度業務の改革を迫られています。

では、各種のメディア企業が劇的な技術革新に直面し、その課題を克服した事例を見てみましょう。

メディア業界のトランスフォーメーション

「選択のパラドックス」という言葉を聞いたことがありますか? 同名の書籍を読んだことがあるかもしれません。簡単に言うと、与えらえた選択肢が多すぎるとストレスになり、選べなくなるということです。

たとえば、現在では、ストリーミングサービス、音楽やポッドキャストを手軽に聴けるアプリケーション、動画やブログや記事を無料で配信する Web サイトなど、メディアを消費するオプションに事欠きません。企業が提案する選択肢が多すぎる一方で、お客様の時間が限られている場合には、製作するコンテンツの内容を巡って 2 つのメディア企業が競争するというだけでは済まなくなり、お客様の限られた関心と時間の奪い合いに発展します。2020 ~ 2021 年の COVID-19 パンデミックとその外出禁止令により、世界全域で消費者への直接販売サービスを介したメディアの消費が右肩上がりで増大しました。

選択肢が溢れる中で極めて大切な点は、優れたエクスペリエンスと多様なコンテンツでユーザーを満足させ続けることです。サービスに少しでも失望すれば、ユーザーはすぐ競合他社に乗り換えます。この問題にはどう対処すればよいのでしょうか? 一言でいうと、パーソナライズです。

メディア企業には、どのイノベーションでも常にお客様を中心に考え、多くの人々を引き付けるユーザー中心のソリューションを届けることが求められます。そのためには、お客様それぞれの情報を 1 つにまとめた包括的な 360 度ビューが必要です。企業にはこうしたビューに基づいて関連性やエンゲージメントを高めることが求められますが、その見返りとして顧客維持率が向上します。 

エンターテイメントについては、物理的なエクスペリエンスから仮想的なエクスペリエンスに移行しています。デジタルメディアの消費へのこうした移行が、メディア業界のトランスフォーメーションを加速する原動力になっています。次の単元に進んで、この点を詳しく見てみましょう。

リソース 

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