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通信プロバイダーについて

学習の目的

この単元を完了すると、次のことができるようになります。

  • 通信業界のさまざまなタイプの通信プロバイダーについて説明する。
  • 通信プロバイダーの例を挙げる。
  • 通信プロバイダーに対する規制の目的と影響について説明する。

通信プロバイダーのタイプ

通信業界は、通信機器プロバイダー、無線通信プロバイダー、通信サービスプロバイダー (CSP) で構成されています。次は、それぞれのプロバイダーについて詳しく説明し、それぞれのカテゴリに該当する通信プロバイダーを特定します。

通信機器サプライヤー

最大のセクター。ネットワークで必要な基本的なハードウェアとソフトウェアを供給します。通信機器には、携帯電話、ラジオ、留守番電話から、伝送ケーブル、ルーター、通信衛星、通信塔、機器の実行に必要なすべてのソフトウェアに至るまで、幅広いテクノロジーが含まれます。 

インフラストラクチャを供給する通信機器サプライヤーは、一般的に大手通信プロバイダー (次に説明する無線通信プロバイダーなど) を顧客としてサービスを提供しています。ただし、携帯電話、ルーター、モデムなどの通信機器は、消費者市場やビジネス市場へ直接供給されることもあります。 

通信機器市場は巨大な市場であり、2021 年の世界のスマートフォン出荷台数は 13.8 億台と推定されています (Statista)。

無線通信プロバイダー

通信業界の 2 番目に大きなセクター。無線通信プロバイダーは、移動体通信事業者とも呼ばれ、電波スペクトルを使用してアナログ信号とデジタル信号を無線で伝送します。Wi-Fi、携帯電話サービス、メッセージングサービス、GPRS (汎用パケット無線サービス) などの製品を提供していますが、必要に応じて、無線通信を有線ネットワークに変換するためのインフラストラクチャも提供することも多々あります。 

無線通信プロバイダーの中には、独自のネットワークインフラストラクチャを保有しているプロバイダーもありますが、ネットワークをリースしたり、リース設備と保有設備を組み合わせたりしているプロバイダーもあります。オーストラリアの無線通信プロバイダーである Optus は、自社でネットワークインフラストラクチャを所有していますが、他の無線通信プロバイダーに対して卸売業者としての役割も果たしています。無線通信プロバイダーに必要なリソース (無線周波数など) は限られているため、無線通信プロバイダーは厳しく規制される傾向にあります。

顧客は、他の電気通信サービスプロバイダー、B2B の顧客、または消費者である場合があります。顧客は無線サービスに加入し、サービスを利用するためにネットワーク上でデバイスを認証する必要があります。

通信サービスプロバイダー (CSP)

CSP は、無線、衛星、ケーブル、固定電話サービスなどのネットワークを介して、情報とメディアサービスを組み合わせて提供しています。CSP には、電気通信事業者、コンテンツとアプリケーションのサービスプロバイダー、ケーブルと機器の設置工事請負業者、クラウド通信サービスプロバイダーなどが含まれます。 

テクノロジーの進化に伴い、CSP のカテゴリは拡大しています。ケーブルテレビと衛星テレビのサービスには一般的に双方向通信設備が含まれるようになっているため、このカテゴリに含まれる可能性があります。

学んだことを応用する

通信プロバイダーとそのセクターを一致させてください。多くの大手通信プロバイダーの事業は複数のセクターにまたがっていることに注意してください。油断は禁物です。

プロバイダーのサブタイプ

3 つの主要セクターは、さらにサブタイプに分類することができます。一般的なサブタイプには次のタイプがあります。

  • 地理的な地域
    • AT&T、T-Mobile、Vodafone などの世界的なサービスプロバイダー。
    • フランスの Bouygues Telecom、インドネシアの Telkomsel などの国内サービスプロバイダー。
    • 米国ペンシルバニア州でサービスを提供する Indigo Wireless などの地域サービスプロバイダー。
  • 製品の専門化
    • ノルウェーの Telenor Satellite は、通信サービスプロバイダー向けに衛星サービスの卸売りを専門としている無線通信プロバイダーです。
    • Global Marine は海底通信ケーブルの敷設と保守を専門に行っています。
  • 顧客種別
    • 軍事、政府、または消費者市場向けの専門プロバイダー。航空機産業向けの電気通信に特化した EuroControl や SITA などがあります。

マルチセクターのプロバイダー

ほとんどの大手電気通信プロバイダーは、少なくとも 2 つのセクターにまたがって事業を行っています。世界最大かつ最古の電気通信会社の 1 つである AT&T について詳しく見てみましょう。この会社は、世界的な規模で電気通信、メディア、テクノロジーサービスを提供しています。AT&T は、その通信部門内でさまざまなセクターにまたがって業務を展開しています。

  • Mobility: 無線通信サービスと機器を提供しています。
  • Video: 動画サービスとマルチプラットフォーム広告を提供しています。
  • Broadband: インターネットと昔ながらの電話サービスを提供しています。
  • Business Wireline: 音声とデータサービス、IP ベースのサービスを提供しています。

このような専門的なサブ部門によるアプローチは、Verizon Communications、日本電信電話株式会社 (NTT)、Deutsche Telekom などの大手 CSP でよく使用されるモデルです。

規制と競争

通信製品とサービスは、現在、ほとんどの国にとって不可欠なインフラストラクチャとなっています。このため、通信プロバイダー者は、競争、イノベーション、消費者選択、消費者価格の観点から規制される傾向にあります。

規制のレベルは、政治体制や市場原理と密接に関係しています。世界的な傾向として、業界において規制緩和と競争激化が進んでおり、OECD (経済協力開発機構) の 96% を超える市場が競争にさらされています (Telecommunication Regulation Handbook (電気通信規制ハンドブック))。ただし、規制が緩和された競争の激しい市場は、決して自由な市場ではありません。 

ほとんどの市場には、市場を厳重に監視する規制当局があります。次にそのいくつかを紹介します。

  • 電子通信フレームワーク/欧州電子通信コード (欧州)
  • 連邦通信委員会 (米国)
  • インド電気通信規制庁

規制当局はそれぞれ独自の優先順位を設けていますが、ほとんどの場合、顧客に対する公正な取引の提供とリソースの配分に重点を置いています。かつて、電気通信会社には一般に競合他社がほとんどなく、多くは国営企業でした。British Telecommunications や AT&T のような大企業は、垂直統合型の企業でした。つまり、電話サービスと、そのサービスを提供するために必要なハードウェアインフラストラクチャの両方を提供していました。このため、潜在的な競合他社に対して不当な優位性を得ていたのです。20 世紀後半になると、多くの国営電気通信会社が民営化され、大企業は解体されました。 

規制の厳しい市場による影響

規制の厳しい市場には、一般的に競合他社が (あったとしても) ごくわずかしかなく、高い参入障壁があります。多くの場合、同じ会社がインフラストラクチャとサービスを所有して提供しています。政府は企業を所有することができます。国有の電気通信会社には China Telecommunications Corporation や Telecom Egypt などがあります。

規制当局は、顧客が購入の意思決定を行う際に選択肢がほとんどなくなるように価格を設定することもあります。ですが、規制の厳しい市場には、サービス品質や無線帯域幅などのリソースの使用に対して厳格な規則が定められるというも利点もあります。規制当局は通常、業界のより収益の高い部分から得た利益を、インフラストラクチャやより費用のかかるサービス地域の顧客への供給に再投資します。

規制緩和/競争市場による影響

規制が緩和された電気通信市場では、複数のサプライヤーが限られた顧客ベースをめぐって競争するようになります。前述のとおり、規制当局はこうした市場の大半を監視しており、サプライヤーと顧客の公平性を維持するのに役立っています。また、当局は独占状態を打破して価格競争を促進することができ、政府は公正な取引を確保するために介入することができます。

競争市場においては、競合他社の参入や撤退はよくあることであり、合併や買収も同様です。たとえば、顧客、事業部門、IT システムを統合する場合などには、それに伴う課題が発生します。

競争市場においては、顧客は自分のニーズやライフスタイルに合った競争力のある料金やオファーを求めて買い物をするため、消費者離れはよくあることです。CSP は、顧客により適したものにするように製品とサービスを革新、改善する必要があります。ただし、規制が緩和された市場は、顧客にとって利用しにくいものになってしまう可能性もあります。電気通信インフラストラクチャプロバイダーがサービスプロバイダーとは別の会社であることがあります。つまり、サービスに障害が発生した場合、責任の所在を明らかにすることが難しく、消費者は解決されるまで放置されることもあるということです。

簡潔に言うと、規制には長所と短所があります。選択肢があることはすばらしいことですが、顧客とプロバイダーの双方に複雑な状況が生じる可能性があります。

この単元では、通信業界における 3 つの主要なプロバイダーについて学びました。次の単元では、サプライヤーから顧客へと焦点を移します。

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