通信市場におけるデジタルトランスフォーメーションを検討する
学習の目的
この単元を完了すると、次のことができるようになります。
- デジタルトランスフォーメーションを定義する。
- CSP が現在抱えている 3 つの課題の概要を説明する。
次のようなことを耳にしたことはないでしょうか?
- 「営業チームは販売よりも手動で行うバックオフィスタスクや管理タスクの管理に多くの時間を費やしている。」
- 「社内の承認プロセスが B2B ビジネスのボトルネックになっている。」
- 「未解決のサービス問題がお客様を失う原因となっている。」
- 「お客様の全履歴を表示できないため、お客様は社内の他の従業員に相談した内容を私に繰り返さなければならないことがある。」
- 「製品情報をあちこち探し回って時間を無駄にしている。」
- 「自社システムが複雑なため、必要な情報を見つけて発注するために、次から次へとシステムを切り替えることに時間を浪費している。」
- 「お客様や営業担当から無効な発注が行われることが原因で、競合他社に比べて注文の取りこぼしが多い。」
バラバラなプロセスは、混乱と顧客の不満を招くことになります。今こそ、ビジネスのデジタルトランスフォーメーションに踏み切りましょう。
デジタルトランスフォーメーションを促進する要素
通信市場の変化、急速なイノベーション、接続性に対する顧客需要の増加、新しいテクノロジーは、CSP に業務の実行方法の変革を促すものです。デジタルトランスフォーメーションを促進する主な要因について、さらに詳しく見てみましょう。
規制緩和
通信業界では、多様な業種が通信市場に参入するなど、規制緩和へと向かう国際的なトレンドが見られます。規制緩和された通信市場は、規制された市場よりも競争が激しく、参入障壁も低くなっています。現在、従来の CSP は他の業界の CSP と競合するようになっています。このような他業界の企業は、確立された顧客ベースを持っていることが多く、これが競争上の強みとなっています。そのため、CSP が競争に勝つためには、より俊敏で革新的である必要があります。
顧客の期待
このように、顧客の期待は変化しているため、デジタルトランスフォーメーションの必要性が一層高まっています。
顧客は、最新の製品とサービスに信頼性とパーソナライズの両方を期待しています。情報収集から、注文、カスタマーサービスへのアクセスに至るまで、複数のチャネルも使用しています。さらに、時間や場所を問わず、情報とサービスにアクセスできることも期待しています。つまり、このような常に接続している顧客に対応するということは、一貫性のある有意義なエクスペリエンスを提供するということです。デジタルファーストのアプローチには、分析とオムニチャネルのリアルタイムの対話機能を使用し、顧客に迅速で信頼性の高い、パーソナライズされたサービスを提供することが含まれます。
急速に進化する規制とテクノロジー
急速に進む技術的な変化とその変化に対応するための法律の制定は、電気通信業界にとってしばしば課題となっており、その変化のスピードはますます速くなっています。在宅勤務、在宅学習、リモートでの相互コミュニケーションをサポートする、高速で安全かつ信頼性の高いネットワーク、アプリケーション、ハードウェア、サービスへの需要が高まっています。また、5G やサービスとしてのネットワーク (NaaS) などの新しいテクノロジーによるさらなる大きな変化も目前に控えています。
デジタル化された優れた CSP は、より優位な位置に立って急激な変化に対応しています。このため、他の企業もデジタル化によってプロセスを改善する方法をより詳しく調べるようになってきました。
製品の複雑さ
50 年前、通信製品のサイクルタイムは年単位で議論されていました。現在では、このサイクルは数か月や数週間であることもあります。逆に、製品の開発、製造、実装のプロセスはますます複雑になり、サプライヤーと消費者を保護するために多くの法律や規制が制定されています。
急速かつ複雑な変化に従業員が後れを取らないようにしたり、CSP の事業が確実に法律の範囲内であるようにしたりすることは、時間のかかる作業です。会社が営業担当やカスタマーサービスチームに新しい製品やプロセスのトレーニングを行う時間は、顧客との関係が構築されない時間です。誤った情報を持った従業員がミスを犯すと、訴訟、従業員の離職、ビジネス上の損失により、大きな犠牲を払うことになりかねません。
デジタルトランスフォーメーションが成功すると、トレーニングの必要性と複雑さが軽減されます。データを統合し、顧客と従業員の両方に一貫性のあるガイド付きサポートを提供することで、手痛いエラーを最小限に抑えることができます。これには、見積の収集、発注、顧客からの問い合わせへの対応、製品の開発と実装などの一般的な活動のナビゲートも含まれます。また、デジタルトランスフォーメーションでは、データに関するインサイトを提供し、成長分野をより適切にターゲットにすることで、ビジネスをサポートすることも可能です。
通信業界のトランスフォーメーション 101
ここまで、デジタルトランスフォーメーションに取り組む CSP は、そうでない CSP に比べてカスタマーエクスペリエンスを向上させ、競争力を高めることを学習してきました。ですが、デジタルトランスフォーメーションとは何でしょうか?
デジタルトランスフォーメーションのジャーニーでは、皆さんは会社の構造と文化の両方を変えていきます。また、デジタルテクノロジーをビジネスのあらゆる側面に取り入れ、卓越した顧客満足度の創出と価値の提供に重点的に取り組みます。
デジタルトランスフォーメーションが完了すると、会社はデジタルネイティブになります。次に、デジタルネイティブな企業とはどのようなものかを示す例を紹介します。
デジタルネイティブであるということは、テクノロジーによる混乱、市場投入までの時間に対するプレッシャー、顧客の期待により巧みで俊敏に適応できるということです。
デジタルトランスフォーメーションによる影響
デジタルトランスフォーメーションは、ビジネスのあらゆる部分で実行される漸進的なプロセスです。おそらく、部分によっては他の部分よりもすでにその道筋を進んでいるところもあるでしょう。TM Forum の Digital Maturity Model (デジタル成熟度モデル) は、特にデジタルトランスフォーメーションに取り組む CSP を対象に設計されています。このモデルでは、デジタル成熟度を達成するためのステップが 6 つのディメンションで概説されています。
- カスタマーエクスペリエンス: 顧客エンゲージメント、インサイトと行動、組織に対する信頼と認知。
- ビジネス手法: ブランド管理、財務と投資、市場インテリジェンス、ポートフォリオイノベーション。
- テクノロジー: 接続性、セキュリティ、テクノロジーアーキテクチャ、新興のテクノロジー。
- 運用: 迅速な変更管理、分析、プロセス管理。
- 企業文化: リーダーシップ、標準とガバナンス、従業員イネーブルメント。
- データ利用: ガバナンス、エンジニアリング、価値の実現。
デジタルトランスフォーメーションの障害
次の一般的な障壁によって、デジタルトランスフォーメーションジャーニーの進行が遅くなる可能性があります。
- 新しいビジネス要件に合わせて変更または拡張することが困難なレガシーシステム
- コラボレーションを妨げる組織的なデータサイロ
- 業務チームとビジネスチーム間のコミュニケーション不足
- 組織のリスクを嫌う文化
- デジタルトランスフォーメーションの道筋と目標に関する企業ビジョンの欠如
- トランスフォーメーションを実装するための管理能力や社内人材の不足
- プロジェクトの資金不足
上記の障壁を留意してください。Salesforce 実装チームは、このような問題に対処する経験を豊富に積んでおり、トランスフォーメーションプロジェクトの成功に及ぼすリスクを低減するためのサポートを提供します。
成功の促進要因
次の重要な活動により、デジタルトランスフォーメーションの成功率を高めることができます。
- 100% のカスタマーサクセスを重視する。
- 無駄のないガバナンスモデルを推進する。
- ビジネス成果を強化し、トランスフォーメーションプログラムを順調に進める。
- プラットフォームエコシステムを使用して、コードではなくクリックに重点を置いたアジャイル業務モデルを設定する。
- 実行可能なビジネス成果重視型のトランスフォーメーションプランを構築し、このプランをプロジェクト全体を通して検証して適応させる。
- 手法、人材、プロセス、文化、テクノロジーを使用した、ビジネス全体のアプローチを行う。
これで、電気通信市場におけるサプライヤー、顧客、製品の種別について学習できました。また、サプライヤーが直面する課題と、デジタルトランスフォーメーションが重要な理由についても学ぶことができました。
Trailhead の「Get to Know Communications Cloud (Communications Cloud について知る)」の一部として、Communications Cloud を使用して特定の目標を達成するために実行するさまざまなアプローチなど、デジタルトランスフォーメーションを学習してください。