通信関連の製品と活動を確認する
学習の目的
この単元を完了すると、次のことができるようになります。
- 通信業界特有の一般的な製品とサービスを挙げる。
- CSP によって実行される一般的なタスクについて説明する。
- 通信企業が使用する一般的なシステムの種類について説明する。
通信サービスプロバイダーが販売しているものとは?
携帯電話機、ルーター、ケーブルなどの通信機器を最後に購入したときのことを考えてみましょう。これは、お金と有形財の交換です。ですが、携帯電話のプランやテレビの受信契約などの通信サービスはどうでしょうか? お金を払って、そこにあることはわかり、使用しているわけですが、見たり触れたりできることはあまりありません。
このような無形の通信サービスは、通常、サブスクリプションモデルを使用して販売されています。その一例が、動画ストリーミングサービスです。サブスクリプションの一部として含まれているテレビ番組や映画が多数視聴できますが、最新の映画をオンデマンドで 1 回限りの追加料金でレンタルすることもできます。
通常、サブスクリプションは次の 3 つのカテゴリに分類されます。
- 通信: 携帯電話プランなどのデータ通信、音声通話、テキスト通信。
- エンターテイメント: Netflix や Amazon などのコンテンツプロバイダーが提供するサービスのバンドル。
- デジタルライフ: Alexa アプリケーション、スマート電球、ホームセキュリティなど、インターネットへのアクセスに使用するデバイスの接続。
サブスクリプションプランは、前払いまたは後払いにすることが可能です。
- 一般的に、前払いプランは後払いプランより安価です。顧客は、製品やサービスを利用する前に料金を支払います。前払いした金額を超えるとサービスが停止するため、顧客は追加の支払いを行います。
- 後払いの場合、顧客は使用量に応じて月末に料金を支払います。
通信製品とサービス
CSP の製品とサービス関連には、独特の業界用語や専門用語があり、理解するのに時間がかかる場合があるため、以下に、顧客向けのサービスを説明する際によく使用される用語を紹介します。
製品とサービス
製品 (商品) とサービスは顧客に販売される物であり、この用語はしばしば同じ意味で使われます。ただし、微妙な違いがあります。
製品はほとんどが有形のアイテム、つまり携帯電話機やルーターのような触れることができる物です。製品は、製造、保管、輸送、広告、販売されます。市場によっては、ドライヤーや IoT 対応家電など、従来は通信製品として考えられていなかったアイテムが製品に含まれる場合もあります。
サービスは通常、無形です。多くの場合、顧客はサービスを購入する前に試用したり見たりすることはできません。クラウドストレージ、動画ストリーミング、通話などは、すべてサービスです。また、セキュリティ監視サービスやネットワーク安定性テストサービスのように、顧客がサービスを利用していることに気付かない場合もあります。
ほとんどの製品には、その機能の一部として多様なサービスが使用されています。たとえば、携帯電話の機能には、動画ストリーミング、インターネットサービス、音声通話、SMS、MMS サービスなどがあります。
CSP は一般に、自社の製品とサービスをその用途に応じて製品ファミリーに分類しています。固定回線、モバイル、インターネット、テレビ、セキュリティ、クラウド、エンタープライズソリューションは、すべて製品ファミリーです。
製品とサービスには属性がある場合があり、この属性は顧客ごとに異なる具体的な特性です。属性には、SIM カード識別子、IP アドレス、製品の色などが含まれます。CSP は製品またはサービスに属性を組み込みますが、属性値は顧客が選択するか、または見積と注文プロセスで自動的に設定されます。
パッケージとバンドル
製品とサービスの関係は複雑ですが、心配いりません。パッケージとバンドルについて学習すれば、ここから先はより簡単になります。
パッケージは、顧客に単一のオファーとして販売される製品とサービスのグループです。これには、そのオファーにのみ適用される特別価格や割引が含まれます。例としては、携帯電話機、充電ケーブル、通話サービス、SMS と MMS サービス、インターネット、月々の支払プランなどが含まれる携帯電話のオファーが挙げられます。
バンドルは、顧客に対して単一のオファーとして販売されるパッケージのグループです。バンドルは B2C 市場でよく使用されます。B2C 市場では、顧客は通信製品とサービスのほとんどを 1 社のサプライヤーから単一の定額料金で購入することを好むことがあります。通信市場に特有のバンドルには、次の 2 つのタイプがあります。
- トリプルプレーバンドル: ブロードバンドインターネット接続、テレビ、電話の 3 つのパッケージが含まれています。
- クアドルプルプレー (クアッドプレー) バンドル: トリプルプレーバンドルの拡張版であり、無線サービスの提供が追加されています。
まとめ
製品、サービス、パッケージ、バンドルは、顧客の要件に合わせて設計されています。また、多くの場合、共有カタログに掲載されており、セールスとフルフィルメントプロセスで閲覧できます。
各アイテムには、どの顧客がそのアイテムを購入できるかや、どのような他の製品やサービスと一緒に購入できるかを決定するためのルールを関連付けることができます。アイテムはその状況に合わせて価格設定される場合や (学生割引など)、見積プロセスの一環として営業担当が手動で調整する場合もあります。製品カタログとそれに関連付けられている価格設定の管理は製品提供の重要な部分ですが、他にどのようなプロセスが関係しているのか見てみましょう。
通信会社の日常的な活動
ここまで、通信関連の製品、サービス、パッケージ、バンドルについて学習してきました。では、CSP はオファーを常に効果的に実施するためにどのような活動をしているのでしょうか?
- 顧客の要件を満たし、適切なテクノロジーを組み込んだ製品とサービスを製造する。
- 顧客に、製品とサービスが顧客の用途に適していることを知ってもらう。
- 効果的な製品とサービスを効率的に提供する。
このような目標を達成するために、すべての通信会社には共通する日常的な活動があります。
顧客とコミュニケーションする
数多くのさまざまなコミュニケーションチャネルが利用できる中で、優秀なカスタマーサービスは、顧客の希望に合わせてコミュニケーション方法を調整します。コミュニケーションが受信または発信のいずれであっても、CSP は顧客が必要なものを便利な方法で入手できるように顧客との連絡を管理します。これには、サービスの有効化と無効化、更新、顧客がフィードバックを提供する機会に関する通知が含まれます。
製品とサービスの見積を提供し、注文を実行する
顧客セグメントが異なると、製品とサービスの注文方法も異なる傾向があります。
- 消費者は、製品を注文する前に、多くの事業者に製品価格を確認することが多々あります。これは、オンラインポータルを介して、または営業エージェントとの間で行われます。
- 企業顧客は、少数の CSP と関係を築き、購入完了までの交渉プロセスに時間をかける傾向があります。
いずれにしても、発注前の段階で、顧客に対する見積が適切で、正しく価格設定されていることが重要です。また、注文が正確に顧客に届けられるように、ルールとプロセスを整備する必要があります。
新しい製品とサービスを開発して提供する
企業では、商業チームと技術チームが連携して、革新的な製品やサービスを生み出しています。チームは、関心がありそうな顧客のために、製品を迅速に市場に投入することを目指しています。
顧客からの問い合わせに回答する
顧客は、請求書、注文、サービスの提供について質問するためにコンタクトセンターに電話をかけてきますが、これで会話が終わりというわけではありません。適切なツールを使用すれば、サービスエージェントはこの時間を利用して、顧客関係を構築したり、製品やサービスを切り替えてコストを削減する方法などを提案したりすることができます。
顧客の移動とサービスの変更を管理する
すべてのものは変化します。たとえば、人や企業は移転したり、サービスの利用方法を変更したりします。サービスエージェントは、引っ越しでサービスを変更する必要がある顧客をサポートします。また、ビジネスオーナーを担当しているサービスエージェントは、そのスタッフのために製品やサービスをアップグレードしたり、新しいオフィスネットワークを設定したりします。
代金を回収し、支払に関するサポートを提供する
サービスエージェントは、顧客と支払について話をすることも多くあります。その結果、滞納、支払に関するサポート、回収に関する会話につながることがあります。
サービスに関する問題とコールアウトに対応する
サービス停止の通知には、企業とその顧客との双方向のコミュニケーションが必要です。顧客はサービスの停止を報告することができ、企業はさまざまなチャネルを通じて他の顧客にサービスの停止を伝えることができます。また、顧客は設置や散発的に発生する問題に対して、コールアウトを要求することもできます。
オファーと価格の変更を伝えて実施する
製品、サービス、価格は随時変更されます。製品が使用されなくなったり、コストの増加で料金が上がったりすることもあります。企業は、このような変更を顧客に伝え、アップグレードや追加製品について話し合う機会を設けます。
プロセスをサポートするシステム
複雑なビジネス活動を管理するために、多くの CSP はビジネスシステムを 2 つのグループに分けています。
- オペレーションサポートシステム (OSS): ネットワークをサポートし、顧客のサービスを維持するソフトウェアとインフラストラクチャが含まれます。
- ビジネスサポートシステム (BSS): 見積、請求、注文管理などのフロントエンドのシステムであり、業務を促進します。
定評のある CSP の多くは、長年の運用や合併と買収を経験しているため、多数の OSS と BSS グループを設置しています。
存在意義を維持するには、CSP は人々の共感を呼び、卓越したサービスを提供し、市場シェアを獲得するブランドを構築する必要があります。このような目標を達成することは、現在の扱いにくく複雑なテクノロジーにおける大きな課題です。
データとプロセスの業界標準
CSP の経営は複雑なビジネスです。幸いなことに、この業界の多くの人々が学んだ教訓やベストプラクティスを積極的に共有しています。TM Forum は、850 社を超えるグローバル企業の団体であり、製品モデリング、プロセス設計、システムインテグレーション、その他通信業界が直面する日常的なビジネス上の課題に関するベストプラクティスを確立するために連携しています。
TM Forum は、トレーニングと認定プログラムを提供しており、以下のような業界標準を確立するリーダーです。
- eTOM: ビジネスプロセスフレームワーク
- SID: 製品モデルを含む情報フレームワーク
- TAM: アプリケーションフレームワーク
また、TM Forum は、REST ベースのオープン API を多数提供し、インテグレーションもサポートしています。