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現実の世界を変えるテクノロジーについて学習します。

学習の目的

この単元を完了すると、次のことができるようになります。

  • 第 4 次産業革命の主要な現実世界のテクノロジーを挙げる。
  • これらのテクノロジーによって、私たちの生活や仕事の仕方がどのように変化したのかを説明する。
  • これらのテクノロジーを用いた現在の研究によって、私たちの今後の生活や仕事がどのように変化する可能性があるのかを説明する。

携帯電話について

今日の世界では、注文、請求書の支払い、音楽鑑賞、車に乗せてもらう、道案内、自分の健康の観察など、これらすべてをスマートフォンを使って、自分の手の平の上で行うことができます。モバイルの進歩により、人々の生活と仕事の仕方が変化しましたが、

携帯電話の背景にあるテクノロジーについて考えたことはありますか?

物理的なケーブルがなくてもインターネットに接続できるワイヤレステクノロジーがあります。携帯電話で動作するよう特別に設計されたモバイル対応アプリケーションや Web サイトがあります。金融情報や健康情報にアクセスできる安全な伝送プロトコルがあります。そして、スマートフォンというデバイス自体があります。携帯電話の使用は、これらすべてのテクノロジーによって可能になります。

第 4 次産業革命にも同じことが言えます。携帯電話を機能させるテクノロジーと同様に、この革命を推進する 10 の最新テクノロジーがあります。

第 4 次産業革命の 10 大テクノロジー

このモジュールでは、第 4 次産業革命を推進するテクノロジーについて説明します。これらは、2 つのカテゴリに分けられます。

現実の世界を変えるテクノロジー

  • バイオテクノロジー
  • ロボット工学
  • 3D プリンティング
  • 新材料
  • モノのインターネット (IoT)
  • エネルギーの獲得、貯蔵、移動

デジタル世界を変えるテクノロジー

  • 人工知能 (AI)
  • ブロックチェーンアプリケーション
  • 新しい計算技術
  • 仮想現実と拡張現実

最初に、現実の世界を変えるテクノロジーについて説明します。次の単元で、何がデジタル世界を変えているのかを説明します。

それでは始めましょう。

バイオテクノロジー

バイオテクノロジーについて考えるとき、臓器移植、義肢、遺伝子組み換え作物を思い浮かべるかもしれません。または、ある時、科学者が研究室で恐竜を育てる方法を見つけ、その結果がティラノサウルス・レックスだったことを思い出すかもしれません。あれは実際の出来事なのか、それとも映画の中だけの出来事なのか、わからなくなっていませんか? このあたりの話を追求しようとすると、映画で観た架空のストーリーに見解が依拠してしまうことがあるので、何とも胡散臭くなりがちです。

事実とフィクションを切り離してみましょう。すでにバイオテクノロジーは、医学、農業、バイオ燃料生産、環境汚染の緩和に非常に大きな影響を与えています。世界中のバイオテクノロジー研究所で、研究者は次のことを実現しています。

  • 遺伝性疾患の原因となる欠陥遺伝子を改変する
  • 人への移植に適した臓器を育てる目的で豚のゲノムを改良する
  • 感覚のある義肢を提供する
  • 目の不自由な人が機能的な視力を取り戻す

バイオテクノロジーと、ロボット工学、コンピューターインターフェース、および新材料との組み合わせが将来のイノベーションにつながります。

バイオテクノロジーの進歩により、遺伝子組み換え作物や動物、ヒトゲノムの変更、環境に与える未知の影響に関して、多くの倫理的問題が引き起こされるのは事実です。これらの問題は、進歩自体とまったく同じように重要です。

ロボット工学

ロボット工学の急速な進歩が大きな変化につながっています。ロボットが次のことをすべてこなせると知っていますか?

  • 作物の収穫
  • 車の組み立て
  • 倉庫の在庫の移動
  • 手術の支援
  • 掃除機をかけながら猫を遊ばせる

最後の項目には、馴染みがありそうですね。ただし、リストはこれで終わりではありません。考えてみれば、自動走行車は車輪が付いた一種のロボットです。写真撮影や入国用の書類情報の処理に、今や多くの空港でロボットが使用されています。 

テクノロジーの進歩により、ロボットはますますインテリジェントになり、適応性と柔軟性が向上してきています。研究者は、失った運動能力を回復させ、さらには新しい能力を提供するために、人体とより緊密に結合する人口装具と、改良によって増強された人工頭脳を開発しています。

バイオテクノロジーの進歩と同様にロボット工学のイノベーションにおいても、特に人体の増強に関して、倫理上および日常の懸念が提起されています。また、ロボットが労働者に取って代わることで雇用の喪失につながるのではないかという心配の声が上がっています。 

3D プリンティング

3D プリンターで虹色のユニコーンに乗る自分自身の小像を作ることができますが、3D プリンターを使用してバイオプリンティングと呼ばれるプロセスで移植可能な臓器を出力することもできます。

医療専門家は 3D バイオプリンティングを利用して患者を治療する

3D プリンター技術により、3 次元のデジタル製図またはモデルを使用して何層も重ねて出力し、物理的実体を作り出すことができます。この技術では、体の部位からエンジン部品にいたるまで、あらゆるものを作り出すことができます。靴、車、家なども出力できます。

また、3D プリンティングに用いる材料はもともとプラスチックなどのシンプルな材料でしたが、これも進歩していくことでしょう。アルミニウム、ステンレススチール、セラミック、さらには生物組織を使った 3D プリンティングを想像してみてください。もしかすると、これらのプリンターを使用して、今よりもはるかに費用効率が高く、カスタマイズの自由度が高い方法で商品を製造できるかもしれません。畜産および養鶏業が激減した世界を想像できますか? 

ほどんどの 3D プリンティングは日常的に使用する物の作成や、飛行機、建築物などの大きな物の部品の設計に役立ちますが、研究者は 3D プリントされた極小の「スマートダスト」デバイスの開発にも取り組んでいます。砂粒よりも小さく、計算能力、センサー、ワイヤレス通信機能、長い電池寿命を持つ極小のデバイスで、医療画像に革命をもたらしたり、闘病のための薬剤ペイロードを供給したり、上空で気象システムを監視したりできる可能性があります。スマートダストは掃除機ロボット (と猫) には近づけないようにしてください。

新材料

グラフェンとは何かご存知ですか? 小さなグラフではありません。HB 鉛筆とも関係ありません。グラフェンには次の特長があります。

  • 鋼鉄の 200 倍の強度
  • 人間の毛髪の 100 万倍の薄さ
  • 熱および電気の効率的な伝導体

グラフェンは、新材料と呼ばれるものの一例です。新材料は、現在私たちが使い慣れた材料よりも軽量かつ高強度であり、容易に再利用が可能な、適応性のある人工素材です。 

新材料のなかには、自浄または自己修復能力などのスマート特性を持つものが開発されています。元の形状に戻ることができる形状記憶メタル、または圧力を電気エネルギーに変換するセラミックやクリスタルを想像してください。 

さらによく理解するために、新材料のスマート特性の例をいくつか示します。

  • 不活性時は折り畳まれた状態で、熱によって活性化されると動作用の形状に変形する形状記憶材料で作られたロボット。
  • 低速度での衝突後に自己修復して元の形状に戻る柔軟なポリマー製フェンダー。
  • より効果的に摩耗に対応する塗料。

モノのインターネット (IoT)

小包の配達を追跡したことはありますか? 一日の終わりにオフィスが自動的に消灯されるのに気付いたことはありますか? 心拍数を監視するデバイスを着けたことはありますか? これらの質問に「はい」と答えた方は、IoT が身の回りの現実世界をどのように変えているのかをすでに体験済みです。

このしくみは次のとおりです。数十億ものデバイスがインターネットにつながり、数兆個のセンサーとこれらのデバイスとの間で通信が交わされます。また、センサー同士でも通信が行われています。接続されたデバイスは、センサーと連動してビルのエレベーターを監視し、現在の状況と潜在的な問題の有無を確認します。さらに人工知能 (AI) を使用して事前に故障を予測します。 

製造業のサプライチェーンの管理、個人の健康状態の遠隔監視、自律車両の安全運転、高品質の作物を産出する土壌特性の測定を行う IoT ベースのシステムが現在開発中です。新しい高帯域幅のインフラストラクチャにより、世界中のほとんどの場所で、ほとんどいつでも、センサーデータが使用可能になります。

第 4 次産業革命では、身の回りの現実世界に新しいテクノロジーを積み重ねることにより、生活のありとあらゆる側面にこれらのテクノロジーを浸透させることができるでしょう。 

エネルギーの獲得、貯蔵、移動

これまですべての産業革命には、エネルギー生産および利用の変化が関わっていました。第 4 次産業革命も例外ではありません。クリーンで経済的なエネルギーを利用できることは、地球とその市民の未来にとって重要です。再生可能エネルギー、燃料効率、エネルギー貯蔵にまつわる技術進歩は、すでに気候変動の緩和に役立ち、私たちをカーボンフリーな未来へと近づけています。

テクノロジーのあらゆる変化のうち、世界にとっておそらく最も重要なのは、エネルギー技術です。先の三度の産業革命では化石燃料への依存が高まりましたが、第 4 次産業革命ではクリーンで持続可能なエネルギーに移行する機会が訪れます。

次の単元: 何がデジタル世界を変えているのか

バイオテクノロジー、ロボット工学、3D プリンティング、新素材、IoT、エネルギー技術が、どのように現実世界を変革し、第 4 次産業革命の動力となっているのかについて説明しました。次の単元では、デジタル世界を変革しているテクノロジーについて説明します。

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