Salesforce の「Sustainability Exhibit (持続可能性に関する別紙)」について
学習の目的
この単元を完了すると、次のことができるようになります。
- 「Sustainability Exhibit (持続可能性に関する別紙)」の趣旨を説明する。
- 「Sustainability Exhibit (持続可能性に関する別紙)」の主要条項を説明する。
Salesforce では、気候変動の最悪の影響を回避する 1.5°C 目標を追求して、バリューチェーン全体の排出量を削減し、相殺するという野心的な目標を掲げています。この目標をサポートするため、サプライヤー契約に「Sustainability Exhibit (持続可能性に関する別紙)」という気候に関連する一連の拘束力のある契約条項を含めるよう取り組んでいます。
「Sustainability Exhibit (持続可能性に関する別紙)」では、サプライヤーに対して以下が義務付けられています。
- 科学的根拠に基づく目標 (SBT) を設定し、総排出量を削減することにより、目標達成に向けて誠実に取り組む。単元 1 で説明したように、SBT はサプライヤーと共に進むネットゼロジャーニーの指針となります。これには、地球温暖化を 1.5°C に抑制するという目標に沿って、各企業が脱炭素化への独自の道筋を描くための世界的に認められているフレームワークが用意されています。
- Salesforce に提供される商品/サービスに起因する GHG 排出量を報告する。Salesforce は、2030 年までに GHG 排出量を 50% 削減し、2040 年までにほぼゼロにすることを優先事項としています。影響を効果的に測定および管理するため、サプライヤーには Salesforce と GHG 排出量データを共有することが義務付けられています。また、本別紙では、サプライヤーに対してスコープ 1、スコープ 2、およびスコープ 3 の企業排出量の公開を開始することが義務付けられています。
- カーボンニュートラルベースで商品/サービスを提供する。Salesforce は、企業は総排出量の削減を優先する必要があると考えていますが、気候ソリューションのリリースを加速させるためにも、企業が今すぐ行動するべきだと考えています。このような行動を促進するため、この条項では、Salesforce に提供する商品またはサービスから生じる残余排出を高品質のカーボンクレジットで相殺することがサプライヤーに義務付けられています。
- サードパーティによる持続可能性スコアカードを毎年共有する。サードパーティによる評価は、サプライヤーの持続可能性パフォーマンスを評価し、サプライチェーン内の潜在的なリスクを特定するのに役立ちます。EcoVadis は推奨される持続可能性スコアカードプロバイダーです。
- 気候ポジティブな救済措置に同意する。本別紙の趣旨は、より持続可能な未来の創造をサポートすることです。サプライヤーが合意した条件を満たせない場合、気候ポジティブな救済措置により、再生可能エネルギープロジェクトや植林など、大気中の排出ガスを除去または回避する活動に資金を提供することがサプライヤーに義務付けられます。こうすることで、目標に達しない場合でも、通常どおりビジネスを行った場合よりも地球にとってより前向きな結果を得られます。
「Sustainability Exhibit (持続可能性に関する別紙)」の実装に関しては、計画的なサプライヤーエンゲージメント、リーダーシップからのサポート、チームの強化がスケーラブルな成功に不可欠であることがわかりました。
本別紙は、完全性と高い志を維持しながらも柔軟に対応できるように設計されています。これにより、サプライヤーと連携する際に協力的なアプローチを取ることができます。また、各条項の背景にある意図が十分に考慮されているため、遵守されていない場合でも、通常のビジネスを行った場合よりも持続可能な未来を確保するという目的に沿うようになっています。
Salesforce のリーダーは、気候変動対策コミットメントを達成し、サプライチェーンのレジリエンスを高め、増加するステークホルダーの要求に応え、リーダーシップを発揮する上で、本別紙が重要な役割を果たすことを認識しています。2023 年度、Salesforce は、「Sustainability Exhibit (持続可能性に関する別紙)」の実装を含め、役員報酬を持続可能性目標に連動させました。こうすることで、より一層説明責任が果たされ、持続可能性とネットゼロがビジネス関係における優先事項であるというメッセージが社内とサプライヤーの両方で強化されます。
大規模な実装をサポートするため、この別紙のトレーニングとプレイブックを提供することで調達チームと法務チームの能力向上が図られています。また、本別紙は標準的な契約テンプレートに追加されています。つまり、日常的な契約プロセスの一部になっているということです。新規契約や契約更新に本別紙を含めるだけでなく、本別紙を既存の契約に対する修正条項として追加するために、最も影響力のある多くのサプライヤーと積極的なやり取りも行われています。Salesforce が目指しているのは、サプライヤー契約において気候に関する条項が標準となることです。そのため、本別紙とアプローチは公開されています。
契約で気候変動対策を義務付け、購入における持続可能性を高め、サプライヤーの能力を向上させることで、サプライヤー持続可能性プログラムによって持続可能性の進展が加速されています。サプライヤーからは、Salesforce の明確な顧客行動喚起が気候計画のビジネスケースを構築する上で重要な役割を果たし、SBT の設定など影響の大きいイニシアチブを推進する要因となっているとの声が寄せられています。Salesforce は、持続可能性へのコミットメントを共有し、すべての人に炭素排出の少ない未来をもたらすために協力し合いたいと考えるサプライヤーと今後も積極的に連携していきます。
リソース
- Salesforce.com PDF: Accelerating Climate Action with our Sustainability Exhibit (持続可能性に関する別紙による気候変動対策の加速)
- Salesforce.com PDF: Integrating Sustainability into Salesforce’s Supply Chain Contracts (Salesforce のサプライチェーン契約への持続可能性の組み込み)
- Salesforce.com PDF: Sustainability Terms from Scratch (持続可能性に関する条項: 入門)
- Salesforce.com PDF: Sustainability Stakeholders: Third-Party Assurance Providers (持続可能性ステークホルダー: サードパーティ保証プロバイダー)
- Salesforce.com: Driving Greater Accountability with New ESG Measures (新しい ESG 基準を使用したより一層の説明責任の推進)
- Salesforce.com: Salesforce’s Net Zero Toolkit for Suppliers (Salesforce のサプライヤー向け Net Zero ツールキット)