シームレスなオンボーディングエクスペリエンスの実現
学習の目的
- Salesforce コミュニティを新入生の交流の場にし、サポートする方法を説明する。
- Salesforce Advisor Link を使用してオンボーディングを効率的に実施する方法を説明する。
入学許可を得た学生が授業開始までスムーズに移行するための秘訣の 1 つは、帰属意識を抱くことです。学生が学校コミュニティに歓迎され、入学という転機を通してサポートされていると感じれば、大学生活に溶け込んで継続する可能性が高くなります。
現在、多くの学校がこうした移行期のアプローチを再考しています。教育機関では長年の間、オリエンテーションプログラムが定番とされてきました。オリエンテーションは通常短期的なもので、1 日あるいは 1 週間で詰め込み式に行い、終了後のフォローアップはありませんでした。オリエンテーションプログラムを実施するだけでは、新入生がまさにサポートを必要とするときに対応することにはなりません。オンボーディングは、ビジネス界に端を発する概念です。企業は従業員の定着率を高め、採用コストを削減することを究極の目標としてオンボーディングを実施し、従業員のエンゲージメントを高め、コア能力を早々に教え込み、従業員が企業文化に馴染めるようにします。オンボーディングはカスタマイズ可能なジャーニーで、従業員がコミュニティに溶け込んだ時点で終了となります。上記の説明から、オンボーディングというものが新入生のエクスペリエンスにも有益であろうことは明らかです。Salesforce は、学校が現行のオリエンテーションの内容を統合して拡張し、学生に真のオンボーディングエクスペリエンスをもたらすことが可能なソリューションを用意しています。
人々の接点となるコミュニティ
Cloudy College は学生向けの単なるオリエンテーションから、充実したオンボーディングに移行させたいと考えていました。揺るぎないキャンパスコミュニティを構築することがいかに大切であるかはすでに認識しています。Cloudy が独自の文化を築いてきたその取り組みを、Salesforce コミュニティでオンラインにも拡大していきます。Salesforce コミュニティはブランド設定された没入型エクスペリエンスで、新入生が 24 時間いつでもアクセスできます。デザインを自在にカスタマイズでき、学校の Web サイトとシームレスに連携させることも可能です。
新入生はどのような方法でコミュニティを利用し、人々とつながるのでしょうか? よい質問です。学校はコミュニティを使用して、学生に情報を届けたり、エンゲージしたりするコンテンツやリソースを管理することができます。次の表は、Salesforce コミュニティを学生向けに活用するいくつかの方法を示しています。
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グループ |
履修科目、趣味、在籍状況 (転校生、卒業予定年度など) が同じ学生同士のバーチャル交流会 |
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知識ベース |
よくある質問に回答するためにエキスパート (教員陣、スタッフ、学生) が作成した記事 |
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トピック |
関連コンテンツをまとめるために使用するツール |
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オンボーディングポータルとしてのコミュニティの使用
コミュニティをオンボーディングポータルとして機能させることもできます。コミュニティにはラップトップからもモバイルデバイスからもアクセス可能なため、学生が各自のオンボーディングジャーニーにおける次のステップを簡単に確認できます。コミュニティでオンボーディング ToDo を積極的に遂行していく方法をいくつかご紹介します。
- オンボーディング ToDo のチェックリストを作成し、完了済みの事項とまだ完了していない事項を学生が明確に把握できるようにする。
- 入学関連カウンセラーとの面談を予約する。
- 新入生用のグループを作成して同級生とつながれるようにする。
- 保護者用のグループを作成する (保護者にも質問が山ほどあります)。
コミュニティは「入学前の意欲喪失」への対策としてエンゲージメントを高める初歩的な手段にもなります。「入学前の意欲喪失」とは、入学許可を受け取った学生が新学期に履修登録しない現象をいいます。こうした学生はさまざまな理由により、別の大学やコミュニティカレッジに進むことを選択します。入学予定者にもエンゲージして帰属意識を培い、質問や懸念がある場合にはどこに問い合わせればよいのかを知らせておきます。入学前の休暇中に学生が楽しめる有益なアクティビティや交流のアイデアを以下にご紹介します。
- 各人がお気に入りの映画を挙げて投票し合う。
- 入学後一番楽しみにしていることは何かを質問する。
- キャンパス内の人気の飲食スポットのレビューを書く。
- 教務課の職員に質問に答えてもらう。
Cloudy の今年度の新入生たちはアンケートが気に入っているようです。このグループのファシリテーターであるアドバイザーは、エンゲージメントが最も高いのがアンケート付きの投稿で、コメント数も最多であることに気が付きました。アンケートを毎日投稿してうんざりさせるようなことはしたくなかったため、週に 1 度実施することにし、投稿に「教えて! 水曜日」というタイトルを付けました。水曜日の投稿には毎回、学生同士が気軽に仲良くなり、入学後も引き続き関係を構築できるようにすることを目的とするさまざまなアンケートを掲載しています。
次の手順に従って、Cloudy の新入生のグループに投稿されているようなアンケートを作成します (省略可能)。
- Chatter フィードの上にある [アンケート] をクリックします。
- テキストボックスに質問を入力します。
質問文にハッシュタグを追加したり、他のユーザーを @メンションしたりすることもできます。 - 選択肢を少なくとも 2 つ設定します。
- アンケートをグループに投稿する場合は、ドロップダウンリストからグループの名前を選択します。
- [共有] をクリックすると、アンケートが投稿されます。
ベストプラクティスの実践によるコミュニティの強化
実際のキャンパスコミュニティと同様に、Salesforce コミュニティも適切に管理されていれば、コミュニティメンバーが自身よりも何か大きな存在の一員であるという感覚を抱くようになります。自信や情報を備えた学生は、自分が助けを必要とするときは人々に連絡する一方で、仲間のコミュニティメンバーが支援を必要とするときには手を差し伸べる可能性が高くなります。新入生を対象とする活気ある健全なコミュニティを構築し管理していくうえで、チームが考慮すべきベストプラクティスとして私たちが収集したアイデアをご紹介します。
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例 |
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重要な事項をすべて投稿する |
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関連性の高い情報を継続的に伝達する |
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未回答の質問がないようにする |
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楽しめるものにする! |
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Salesforce Advisor Link を使用した継続的な対応
コミュニティでサポート体制を整えても入学予定者の質問が尽きることはないため、継続的なオンボーディングを実施する一番の方法は、学生が多様なチャネルで回答を求められるようにしておくことです。新入生が入学後うまく適応していくために必要な支援を行ううえで学校が活用できるもう 1 つのツールが、Salesforce Advisor Link です。Advisor Link は、特に教育機関のお客様向けに Salesforce ソリューション上に構築されたアドバイスソリューションで、この基盤は Education Data Architecture (EDA) と Service Cloud です。Service Cloud についてはこのモジュールの前半で説明し、EDA の詳細は教育向けの Salesforce の他のモジュールで取り上げられています。復習が必要な場合、この単元の末尾にある「リソース」セクションに該当するモジュールのリンクが記載されています。
サクセスチームとサクセスプラン
Advisor Link では学生がサクセスチームにすぐ連絡を取ることができます。サクセスチームとは、アカデミックアドバイジング、キャリアカウンセリング、学資支援相談など、学生がそのジャーニーの各所で支援を求めることができるアドバイザーや教職員からなるネットワークです。サクセスチームが学生を支援する手法として、具体的なニーズに対応するサクセスプランを作成することが考えられます。新入生には特に、オンボーディング用と 1 学期目の履修計画用のサクセスプランが役立ちます。
次の手順に従って、新入生のオンボーディングのサクセスプランを作成します (省略可能)。
- 指導学生レコードの [ケース] にある [Success Plans (サクセスプラン)] リストビューまたは関連リストからサクセスプランにアクセスします。
a.[Success Plans (サクセスプラン)] リストビューで、[New (新規)] をクリックします。
b.指導学生レコードの [ケース] にある [Success Plans (サクセスプラン)] 関連リストで、[Apply Success Plan (サクセスプランを適用)] をクリックします。 - ウィザードの手順に従います
a.リストビューで [New (新規)] をクリックした場合は、レコードタイプを選択します。
b.関連リストで [Apply Success Plan (サクセスプランを適用)] をクリックした場合はまず、[Create a new Success Plan from scratch (サクセスプランを最初から作成)] を選択した後、[次へ] をクリックしてレコードタイプを選択します。 - 適切な項目に入力します。
a.Plan Name (プラン名)
サクセスプランにわかりやすい名前を付けます (この例では、「Summer Internship」(夏季インターンシップ) になっています)。
b.Advisee Contact (指導学生連絡先)
必須。
c.Advisee Record (指導学生レコード)
サクセスプランを指導学生レコードの [ケース] にある関連リストから作成した場合は、正しい ID が事前入力されています。指導学生連絡先を指定している場合は、指導学生レコードのケースが必須ではありません。
d.Comments (コメント)
省略可能。
e.Published (公開済み)
コミュニティのサクセスプランコンポーネントで指導学生がこのサクセスプランを表示できるようにする場合は、[Published (公開済み)] を選択します。 - [保存] をクリックします。
Advisor Link 管理者が他のユーザーにアクセス権を拡大している場合を除き、このプランの編集、状況の更新、削除を実行する権限を有するのは (プランの作成者権所有者である) あなたのみです。
パスウェイを使用したジャーニーの展望の視覚化
オンボーディングプロセスを進行する学生をサポートする Advisor Link のもう 1 つのツールがパスウェイです。パスウェイは、学生がアドバイザーと一緒に視覚的な補助機能を使いながら、学位の取得計画を立てることができるツールです。学生はパスウェイで 1 学期間、1 年間、4 年間の計画を立てることができます。学位の取得要件を確認したり、履修したい授業の時間割を組んだり、予定の年数で卒業するために各学期に履修する必要のある単位数を計算したりすることができます。
Shakima Seldon は転校生で、秋から Cloudy College の授業を履修します。これまでの 1 年半は地元のコミュニティカレッジに在籍していました。Cloudy 大学生としての新たなジャーニーに期待する一方で、授業についていけないのではないか、前校で取得した単位のどれくらいが Cloudy の栄養科学部で認められるのかという点に不安を抱いています。Shakima はアカデミックアドバイザーと面談して、互換される単位数を確認します。2 人はパスウェイに視覚表示された教科課程を確認し、Shakima が学位取得に向けて今後 Cloudy でどのように進んでいくのかを話し合います。
Cloudy College では、スムーズで包括的なオンボーディングエクスペリエンスが学生に大きなインパクトを及ぼすことを目のあたりにしてきました。Cloudy College の例を念頭に、入学許可から授業開始まで期待と不安で胸いっぱいの新入生をサポートするオンボーディングアプローチを構築する際、コミュニティや Advisor Link に搭載されているリソースやツールをどのように活用できるかを検討します。詳しい情報が必要な場合はまず、以下にリストされているリソースをご覧ください。